エイチ・ツー・オー リテイリング
【東証プライム:8242】「小売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、『地域住民への生活モデルの提供を通して、地域社会になくてはならない存在であり続けること』を企業の基本理念としており、『「楽しい」「うれしい」「おいしい」の価値創造を通じ、お客様の心を豊かにする暮らしの元気パートナーとして、地域社会と子どもたちや地球の未来に貢献したい』というビジョンのもと、グループ全体のさらなる企業価値向上を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、成熟した市場環境の中で将来にわたり継続的に企業価値の向上を図るために、成長戦略の明確化、株主還元強化、株主・投資家層拡大とコミュニケーション強化により株価収益率(PER)を、総資産・自己資本のコントロール、高成長/高収益事業への集中投資により連結の自己資本当期純利益率(ROE)をそれぞれ向上させ、株価純資産倍率(PBR)1倍超の達成と定着を目指してまいります。
(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
[長期事業構想2030 Ver.2]
既存事業の再建・磨き上げ、新市場への展開、新事業モデルへの挑戦を軸とする「長期事業構想2030」について、「中期経営計画 2021-2023」の成果や経営環境変化などを踏まえ、「長期事業構想2030 Ver.2」として成長戦略を再構築しました。顧客を最大の「資産」と捉えて顧客視点でビジネスを再編、国内顧客・店舗ビジネス、海外顧客ビジネス、顧客サービスビジネス、顧客データ活用ビジネス、及び企業インフラ整備推進に注力し、LTV(顧客への生涯提供価値)最大化に向けて「コミュニケーションリテイラー」の確立を目指します。2030年にはグループアクティブ顧客数1,000万人、営業利益350~400億円、ROE8%以上を目標とします。
[中期経営計画2024-2026 方針と重点取り組み]
インフレ型経済への移行の可能性、人口減社会への緩やかな進行、消費マーケットの二極化、インバウンド消費の急拡大、デジタルをベースとした生活スタイルやコミュニケーションの定着、資本市場やステークホルダーからの要請拡大などの経営環境変化やそれを受けた問題意識などを前提に、「長期事業構想2030 Ver.2」の実現に向けて、「中期経営計画2024-2026」において次の5つの方針と重点取り組みを策定しました。
① 百貨店事業の重点顧客戦略と阪急本店リモデルなどの実施や、食品事業の4つの食品スーパーの業務統合推進と効果の刈り取り、エリアにおける競争力強化などによる「国内顧客・店舗ビジネス」の深化
② 顧客開拓×パーソナルコミュニケーション×コンテンツ開発というサイクル実現のための取り組み本格化などによる「海外顧客ビジネス」への注力・強化
③ 顧客サービスビジネス・顧客データ活用ビジネスなどによる「新たな収益源の開発・展開」
④ IT/DX投資や人材育成・開発・投資、サステナビリティ経営の基盤強化と活動推進などによる「事業を支えるグループインフラ整備・利活用」
⑤ 資本コストを明らかにしたうえで、総資産・自己資本のコントロールや株主還元強化などの「資本コストや株価を意識した経営」の推進
[今後の課題と取り組み]
国内顧客・店舗ビジネスでは、資産効果によるアッパーマーケット拡大の一方で、本質的な価値や自分充足、社会的価値を重視するなどの消費価値観変化への対応が求められております。また、物価上昇の継続を受け、実質賃金低下による生活防衛意識が高まっております。海外顧客ビジネスにおいては、2024年度の百貨店インバウンド売上は過去最高を記録しました。世界経済の不透明感から、足元では一部影響も見られるものの、長期的には高いポテンシャルと伸びしろを期待できます。こうした環境変化を踏まえたうえで、成長に向けた取り組みを加速し、「中期経営計画2024-2026」の目標達成及び「長期事業構想2030 Ver.2」の実現を目指します。
●既存事業「国内顧客・店舗ビジネス」の深化
百貨店事業では、国内富裕層の拡大及び消費価値観の変化に対するスピーディーな対応や、重点顧客との関係性深化を課題と捉え、阪急本店のストアコンセプトを見直し、MD価値に加えて顧客満足価値、店舗価値を磨き上げ、国内外の顧客にとって高い目的性と魅力を装備した「グローバルデパートメントストア」に向けアップスケール化を図る改装に着手します。また、2025年5月には、集客力強化と事業構造見直しを図る阪神梅田本店において、大型専門店の導入に加え、フードワールドの磨き上げに向けた修正改装を実施。加えて、リニューアルオープンを迎えた「川西阪急スクエア」も、百貨店と専門店のベストミックスによる新しい郊外型百貨店モデルへと生まれ変わりました。さらに、今後、人口増加や再開発進行などによるマーケット成長を見込み、博多阪急リモデルを計画しております。
食品事業では、株式会社関西フードマーケットを完全子会社化し、食品スーパー事業の営業本部・本社機能を株式会社関西フードマーケットに集約するなど、事業基盤確立に取り組むとともに、食品スーパー約230店の店舗ポジション・役割を整理しました。そのうえで、顧客の二極化への対応として、価値訴求型と価格訴求型の店舗フォーマットを開発・推進し、マーケットシェア拡大を目指します。
※価値訴求型:阪急オアシス 宝塚南口店(2025年4月新規開業)
価格訴求型:関西スーパーデイリーマート 市岡店(2025年4月改装開業)
●成長ポテンシャルの高い「海外顧客ビジネス」への注力・強化
世界経済の先行きが不透明な中、直近のインバウンド需要が為替の変動を受け減速する一方、海外富裕層の売上は堅調に推移しており、優良顧客の開拓と固定化が今後の重要な課題です。阪急うめだ本店にVIP専用の海外顧客サービスコーナーを新設し顧客対応への活用を進めることで、顧客開拓、コミュニケーション、コンテンツ開発に加え、顧客化推進を図り、外部環境に左右されにくいビジネスの確立を目指します。また、連結子会社化した寧波阪急は、2024年に実施したリモデル効果により業績は回復基調で、さらに2026年にかけて周辺エリアの開発が進展することもあり、収益事業として確立・成長を目指すとともに、阪急本店との連携により海外顧客ビジネス拠点として着実に推進します。
●事業を支えるグループインフラ整備・利活用
人材育成・開発・投資においては、企業と個人の関係を「ともに価値を高め成長し合う共創パートナー」と位置づけ、組織パフォーマンスの最適化、従業員エンゲージメントの活性化と働く環境・風土改革の3つの方針を掲げ、グループ横断の人事施策を推進しております。当社や株式会社阪急阪神百貨店で先行して実施している新たな価値創造に向けた人材育成などについては、今後グループへの拡充を目指します。
そして、サステナビリティ経営においては、大阪・関西万博2025のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に賛同し、「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーとして参画するなど、今後さらに地域社会の成長への貢献を推進していきます。
<※数値目標>
連結合計 | 2024年度実績 | 2025年度予想 |
営業利益 | 348億円 | 300億円 |
ROE | 12.3% | 6.0% |
実質ROE | 8.9% | - |
ROIC | 6.0% | 5.4% |
※実質ROEは資産売却などの特別利益や税効果を除く。
[サステナビリティ経営方針]
2021年4月に「地域社会の健全で持続的な発展に貢献すること」を柱にした3つの重点テーマと2つの基本テーマをグループの「重要課題(マテリアリティ)」と位置づけ、取り組みを推進しています。
・重点テーマ 「地域の絆を深める」「地域の子どもたちを育む」「豊かな地域の自然を守り、引き継ぐ」
・基本テーマ 「お客さま・ステークホルダーからの信頼に応える」「従業員の働きがいを高める」
地域の皆さまとの深いつながりは、当社グループにとって大切な財産です。私たちは各事業での「マーケットシェアNo.1」を目指すとともに「マインドシェアNo.1」のためにいつも地域の皆さまに寄り添い、心を豊かにするパートナーであることを目指します。
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