加賀電子
【東証プライム:8154】「卸売業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)フィロソフィー
①経営理念:すべてはお客様のために
②ビジョン:我が国業界No.1企業を目指す
グローバル競争に勝ち残る企業を目指す
③行動指針:「F.Y.T.(ファイト)」(変化に柔軟に、常に若々しく、果敢に挑戦する)
「3G(スリージー)」(あらゆるものを、グローバルに、総合力を活かして)
「加賀イズム」(経営マインド・営業マインド・社会人としての心構え)
当社は、創業以来「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、お客様の様々なニーズにお応えすることにより、事業領域を拡大してまいりました。独立系商社としての強みを活かした電子部品・半導体の販売に始まり、多品種・小ロットを得意とするEMSビジネス(電子機器の製造受託サービス)、更には、お客様製品の企画・開発や設計支援、ソフトウェア・映像制作、ネットワークソリューションやシステムサポートなど、今や国内外を問わず、エレクトロニクスの総合商社として多様なサービスを提供しております。
(2)「中期経営計画2024」の振り返り
2022年4月より始動し、当連結会計年度が最終年度となる「中期経営計画 2024(2022-2024)」の成果につきまして、「経営数値」および「経営施策」に関してご報告いたします。
①定量目標
2021年11月に公表しました「中期経営計画 2024」最終年度(2024年度)の経営目標につきましては、計画初年度であった2022年度については、新規M&A目標を除き、「売上高」、「営業利益」ならびに「ROE」のすべてのKPIにおいて、2年前倒しで達成しました。この好調な初年度の成果を踏まえ、最終年度の業績見通しをアップデートし、2023年5月に「最新見通し」として公表しました。
しかしながら、その後の想定外の在庫調整の長期化や賃上げなどの影響もあり、計画最終年度となる2024年度(2025年3月期)は「売上高5,477億円、営業利益236億円」となり、「最新見通し」には及びませんでした。
一方、ROEは、計画期間中は安定して「10%以上」の水準で推移しました。
②定性目標
当社グループは、「中期経営計画 2024」で定めた4つの基本方針に沿って、これまでの3事業年度を通して、様々な経営施策に取り組んでまいりました。
まず、「更なる収益力の向上」につきましては、EMSビジネスにおいて、マレーシア、トルコ、メキシコの各工場を移転・拡張し、生産能力増強に積極的に取り組みました。
次に、「経営基盤の高度化」では、基幹システム入れ替えやSFAツールの導入などデジタル技術を活用したDX化を推進しました。また、インフレ手当支給や賃上げ実施の他、男性育児特別休暇制度の新設など、人的資本への投資に取り組みました。
「SDGs経営の推進」につきましては、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)の経営課題にも積極的に取り組みました。
「新規事業の創出」に関しては、小型無線モジュールビジネスを事業譲受したほか、ベンチャー企業への投資を11件実行したものの、大型M&Aの案件は本計画期間中に実現には至りませんでした。
(3)「中期経営計画2027」の策定
①コンセプト
当社は、「中期経営計画 2024」での成果と課題を踏まえ、次代に向けた当社グループの持続的成長の指針として、2025年度(2026年3月期)から2027年度(2028年3月期)までの3ヶ年の経営計画「中期経営計画 2027(2025-2027)」を、2024年11月6日に公表しました。新中計では、当社が創業60周年を迎える2028年度(2029年3月期)には、「売上高1兆円企業」の実現を見据えた長期構想の下、前中計で掲げた“グローバル競争に勝ち残る世界に通用する企業”、“我が国業界No.1企業”の「経営ビジョン」を継承しております。
②「中期経営計画2027」の概要
1)基本方針 ~重点施策とアクションプラン~
新中計は、「収益性と資本効率を重視した経営により、企業価値を高める」ことを基本方針とし、以下の重点施策を定めました。
一つ目の「更なる収益力の向上」につきましては、中核事業の拡大に加えて、M&Aへの挑戦と新規事業の創出に取り組んでまいります。
次の「経営基盤の高度化」では、戦略的な資本政策を実行すべく、キャッシュアロケーションの考え方を明らかにするとともに、株主還元方針についても見直しました。
最後の「SDGs 経営の推進」につきましては、2021年11月に策定しましたサステナビリティ中長期経営計画に基づき、ESGに関連する経営課題への対応を加速してまいります。
2)経営目標 ~自立成長+新規M&Aで持続的な成長を実現~
新中計における経営目標につきましては、2028年度「売上高1兆円」を見据え、計画最終年度となる2027年度に「売上高8,000億円以上」、「営業利益360億円以上」としました。このうち、オーガニック成長による目標は、「売上高7,000億円以上」、「営業利益350億円以上」としております。営業利益率は、厳しい事業環境が想定されますが、5.0%を確保することを目標とします。なお、2025年3月期実績からの年平均成長率(CAGR)は、売上高で8.5%、営業利益で14.0%となります。
また、「資本効率重視」の基本方針に則り、ROEの最終年度目標は、現状の株主資本コスト10%を意識し、「12.0%以上」としました。
3)キャッシュアロケーション
新中計では、企業価値の向上に向けて、財務規律を維持しつつ、創出したキャッシュは「成長投資」と「株主還元」に重点的に配分することを基本的な考え方としております。
この考えに基づき、新中計期間中の3ヵ年で獲得する営業キャッシュフローを600億円程度と見込み、その配分については、株主還元に220億円から300億円規模、新規M&AやEMS事業における生産能力増強など成長投資には300億円超を配分することを目安にしております。
なお、M&Aは、案件によっては必要な資金量が大きくぶれる可能性がありますので、超過する場合は、外部借り入れで賄い、また、不要になった場合は株主還元に充当してまいります。
(4)株主還元に関する基本情報
当社は、株主の皆様に対してより積極的に配当を実施する観点から、新中計期間中の目安を「連結配当性向30~40%」に引き上げ、これにより中長期的な利益成長を通じた配当成長に努めてまいります。普通配当については、安定的かつ継続的な配当の目安として、「DOE 4.0%」を新たな指標としました。また、利益水準や資本効率性に応じた追加施策として、特別配当や自己株式取得を機動的に実施してまいります。
(5)「サステナビリティ中長期経営計画」
当社は、2021年11月に、「サステナビリティ中長期経営計画」を策定し、「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「持続的なグループの成長」の両立を目指したサステナビリティ経営を推進しております。その取り組みにあたっては、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の向上を目指してまいります。
①サステナビリティ方針
1)事業活動を通じて環境課題に取り組みます
事業活動を通じて、CO2排出量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進に取り組むとともに、環境に配慮した製品およびサービスを提供することで、地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。
2)人権を尊重し、人財を育成します
性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。また、多様な従業員が心身ともに安全且つ健康に働ける職場環境や個々の能力を最大限発揮できる人事制度・教育研修体系を整備し、イノベーションに挑戦する人財づくりに取り組みます。
3)社会との相互信頼の確立を目指します
法令や規則を遵守し、公正な競争、高品質な製品およびサービスの提供、適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践するとともに、ガバナンス体制の強化を図ることで社会から信頼される企業を目指します。
②サステナビリティ推進体制
加賀電子グループは、CSRならびにサステナビリティの推進を重要な経営課題と捉え、加賀電子株式会社の代表取締役 社長執行役員が委員長となる「サステナビリティ委員会」を設置し、その直下には「環境経営推進」「ダイバーシティ推進」「ガバナンス」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示」の各専門委員会を配して、グループ横断的にCSRならびにサステナビリティを推進するマネジメント体制を敷いています。経営トップのコミットメントのもと、事業部門とも連携して、各委員会を通じて、ESG課題に対する方針施策・目標策定、進捗管理などグループ一体となってサステナビリティの推進に取り組んでいます。
③マテリアリティ(重要課題)の特定
加賀電子グループは、世界および当社が直面する様々な課題や社会からの要請に真摯に向き合い、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」ならびに「B:事業」の4つの観点から、当社の経営にとってインパクトの大きい重要課題を以下の通り特定しました。これらのマテリアリティの取組みを通じて、持続可能な社会の実現に寄与する企業活動を実践し、さらなる企業価値の向上を推進していきます。
| マテリアリティ | 関連するSDGs (注) | 経済・社会情勢の変化 | 取組み課題 |
E | クリーンな地球環境を作る | 7・13 | ・地球温暖化・環境問題の深刻化 ・カーボンニュートラルへの 要請 | ・環境・エネルギー問題に貢献する製品およびサービスの提供 ・環境負荷低減に向けた取り組みの継続 |
S | 働きやすい会社、豊かな社会を作る | 5・8・10 | ・ニューノーマルに向けた社会構造の変化 ・少子高齢化による人材の逼迫 | ・ニューノーマルに相応しいダイバーシティおよび 働き方の促進 ・加賀イズムの継承・発展による人財育成 |
G | 持続可能な経営基盤を作る | 16・17 | ・コーポレート・ガバナンス強化への要請 ・環境変化に耐えうるレジリエンスの実現 | ・ガバナンス、コンプライアンスのさらなる強化 ・利益重視経営の徹底 |
B | 持続的な事業成長を実現する | 9・12・17 | ・デジタルトランスフォーメーションの進展 ・IoT・AIなどICTの普及による超スマート社会の到来 ・グローバル競争の激化 | ・デジタル化社会に貢献する製品およびサービスの提供 ・社会課題解決に貢献する新規事業創出 ・グローバル展開のさらなる促進 |
(注)5:ジェンダー平等を実現しよう 7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も 9:産業と技術革新の基礎をつくろう
10:人や国の不平等をなくそう 12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を 16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう
④サステナビリティ中長期経営計画、主なKPIと活動・進捗状況
| 主なテーマ | 取り組み課題・検討課題 | 中期目標 | 長期目標 |
E | 再生可能エネルギー100%化の実現 | ・国内営業拠点における再エネ導入 | 2024年:40% (1%) | 2030年:100% |
・国内製造拠点における再エネ導入 | 〜2024年:情報収集・分析及び方針決定 ・自家発電/外部調達 ・太陽光パネル/バイオマス発電/再エネ事業者 | 2030年: 50% | ||
・海外製造拠点における再エネ導入 | 2030年: 30% | |||
社有車両EV化 | ・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え | 2024年:85% (78.5%) | 2030年:100% | |
S | ダイバーシティと | ・中核人財の多様性確保 | <女性新卒総合職比率> | <女性新卒総合職比率> |
・高齢者・障害者雇用の取り組み | ||||
「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」 | ・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充 | 2022年:各種制度拡充 | 2025年:外部認定取得 | |
・健康経営優良法人の認定取得 | ||||
G | CGコード改訂・ | ・独立社外取締役1/3以上 ・指名・報酬委員会の設置 | 2021年6月実施済み | 次期CGコード改訂に応じて目標設定 |
・取締役会の多様化 | 〜2022年6月:方針決定 | |||
・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ | 2021年11月実施済み | |||
経営の監督機能・執行機能の一層強化 | ・「委任型執行役員」制度の導入 | 2022年4月:施行 | ||
・「委員会等設置会社」への移行 | 〜2023年3月:方針決定 |
※()内は計画策定時数値:2021年11月
⑤サステナビリティ中長期経営計画の進捗
| 主なテーマ | 取り組み課題・検討課題 | 2023年度/2024年度の主な活動・進捗状況 |
E | 再生可能エネルギー100%化の実現 | ・国内営業拠点における再エネ導入 | ・再エネ由来電力は全体電力の2.3%で導入済。 ・「24年40%再エネ化」の目標達成に向けて、非化石証書購入。併せて、温室効果ガス排出量を可視化し、HP上で開示。 |
・国内製造拠点における再エネ導入 | ・太陽光発電での十和田工場の自給率は9.2%、増設も検討中。福島工場は21.9%の自給率の実績となる。 | ||
・海外製造拠点における再エネ導入 | ・メキシコ新工場の太陽光発電は2025年1月より政府から許可がおり発電開始。賃貸の製造拠点はIREC(再エネ証書)の購入を検討中。 | ||
社有車両EV化 | ・国内営業車両の電動車(EV、HV、PHV、FCV)への切り替え | ・電動車化比率は前年度5.2pt増の90.2%(2025年3月末) | |
S | ダイバーシティと | ・中核人財の多様性確保 | ・女性新卒総合職比率は、「行動計画」に沿った採用活動を実施し前年度比1.0pt増の22.7%に拡大も、目標30%に届かず。 ・女性管理職比率向上に関し、グループ内で協議、各社ごとに女性管理職員数の目標人数を設定済。2025年4月現在では前年度比0.1pt減の17.3% |
・高齢者・障がい者雇用の取り組み | ・障がい者雇用は法定雇用率100%(2025年3月末) | ||
「ワークライフ・マネジメント」と「生産性向上」 | ・育児・介護支援、テレワークなど各種制度拡充 | ・男性育児休業制度は連結29名、単体12名が利用。 男性育児休業取得率は連結89.7%、単体100%。 | |
・健康経営優良法人の認定取得 | ・2025年3月、3年連続で認定取得。 HPに健康経営方針や取り組みを掲載。 | ||
G | CGコード改訂・ | ・独立社外取締役1/3以上 ・指名・報酬委員会の設置 | ・減員していた社外取締役を2024年6月株主総会にて選任し、 取締役6名体制を維持(うち社外取締役3名)。 |
・取締役会の多様化 | ・2025年6月株主総会での「監査等委員会設置会社」への移行 決議により女性取締役就任。 | ||
・プライム市場に対応したCGコード・フルコンプライ | ・2024年度CGコードの改定はないが、社内対応の見直しを実施。 | ||
経営の監督機能・執行機能の一層強化 | ・「委任型執行役員」制度の導入 | ・2022年4月より導入済。 ・グループ経営本部会議の構成員を委任型執行役員へ拡大することを決定。2024年4月より運用開始。 | |
・「委員会等設置会社」への移行 | ・2025年6月株主総会決議により「監査等委員会設置会社」へ 移行。 |
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