企業兼大株主住友商事東証プライム:8053】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

中期経営計画2026の進捗

中期経営計画2026では、「No.1事業群」をテーマに掲げ、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させております。

中期経営計画2026の一年目となる2024年度は、政治的混乱や地政学的緊張の高まり、主要先進国の成長鈍化等、事業環境の不確実性はより高まりましたが、「No.1事業群」の実現に向けた各施策を着実に実行し、期初計画を上回る利益成長を果たしました。


(1) 中期経営計画2026における取組の状況

事業ポートフォリオ変革

・主な成長分野を中心に過去最高レベルの7,300億円の投資を実行

(SCSKによるネットワンシステムズ買収 等)

・資産入替が着実に進捗し、事業ポートフォリオの新陳代謝を加速

(ティーガイアの売却、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社の売却(注)等)

(注)2025年度中を目途に売却完了予定

強みを核とした成長

・主な成長分野について、建機やアグリ事業等足元低調なビジネスもあるがリースや都市総合開発、デジタル等で収益基盤を拡大

・主な成長分野における進捗と今後の方針は以下のとおり


成長の原動力の強化

・親和性のあるビジネスを同一グループに再編したことにより、都市総合開発ではインフラ事業の知見やノウハウを活かした海外不動産案件の投資実行等のシナジーが拡大

・WILL選考(注)の実施、社内公募制の拡大のように多様な“個”の意志・ポテンシャルを最大限に引き出す施策に加え、経営人財を計画的に育成する人財マネジメントサイクルと、積極的なキャリア採用や女性・若手の登用等、(属性に囚われず)真にビジネスの成長戦略を後押しする人財配置を推進

(注)初期配属組織を確約する新卒向け採用選考

(2) 定量計画

① 経営環境

全般

 世界経済は、米国の関税措置を背景に先行きの不透明感が強まっており、家計や企業の経済活動に慎重姿勢が見られる中、成長ペースは鈍化していく見通しです。

 先進国経済では、米国は関税措置が、今後の経済活動全般に悪影響を及ぼすことが懸念されています。ユーロ圏では、物価の安定に伴い、政策当局は金融緩和方針を強めており、主要国における積極的な財政政策と相まって、景気は緩やかな回復基調を維持する見通しです。日本経済は、米国の関税措置の影響が懸念されるものの、実質賃金の改善に伴う個人消費の回復を背景に景気は緩やかな持ち直しの動きが続くと見られます。新興国経済では、中国は財政支援が景気の下支え要因となる一方で、不動産市場の低迷や米国との通商関係を巡る先行き不透明感により、成長ペースの鈍化が継続する見通しです。アジア諸国は米国の関税措置の影響により、回復の足取りは重くなると見られております。

 今後のリスク要因としては、政策運営の不透明感、金融市場の混乱、ロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナ情勢の再緊迫化、関税引き上げによる物価への影響、新興国の債務問題、アジアやアフリカなどにおける地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。

鉄鋼グループ

 当グループは、鋼管・鋼材などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。

 鋼管分野では、米国では鋼管価格が足元回復傾向にあるものの、今後の原油価格次第では鋼管需要減退の恐れもあります。その他地域向けでは一部プロジェクトの端境期となっております。また、世界各国でエネルギー安定供給の重要性から石油・ガス開発は維持され、加えて脱炭素に向けたエナジートランジションの動きも継続するものとみられます。

 鋼材分野では、米国では鋼材価格が上昇傾向にあるものの、物価高や景気動向による鋼材需要への影響が出る可能性があります。その他地域では中国での需要低迷が継続し、中国からの鋼材が東南アジア等に流入しており、各地市況が押し下げられております。他方、欧州洋上風力発電用の基礎構造物事業への出資等、収益基盤の拡大に取り組んでおります。

 このような環境を踏まえ、当グループとしては既存事業を堅持しつつ、当グループが強みを有する事業・地域に経営資本を傾注し、収益力を強化してまいります。また、DXを通じた新たな価値提供、再生可能エネルギー・CCSなどカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による産業のGX実現への貢献にも取り組んでいきます。

自動車グループ

 当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の製造、販売、リース並びにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。

 当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高まっております。一方で、米国の関税措置の影響や地政学リスクがもたらすサプライチェーンの混乱、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。

 このような環境を踏まえ、足元の市場環境の変化への備えを確実にするとともに、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長促進、自動車リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大と新たな事業機会の取り込み、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでいきます。

輸送機・建機グループ

 当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業投資を行っております。

 当グループを取り巻く事業環境は、米国の関税措置の影響や金利高止まりによる景気減速懸念はありますが、航空機リース市況は引き続き好況に推移し、海上貨物輸送やインフラ建設・更新の需要は堅調で、いずれも引き続き成長が見込まれます。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な要請が一層高まっております。

 こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上に注力します。リース・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では米国の関税措置といった不確実性への影響を注視しつつ、コスト削減やフリートマネジメントを柱とした収益改善施策を進めます。

 また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進め、成長を加速していきます。

都市総合開発グループ

 当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラの開発・運営・アセットマネジメント事業、建材、セメントなどの建設資材関連事業、産業用設備などの機電設備関連事業、物流・保険関連事業を展開しております。

 不動産分野では国内不動産事業や米国住宅案件が好調に推移し、期初予想を上回る水準となりました。また、国内の建設資機材及び機械設備のトレード事業や物流、保険事業においても堅調を維持しました。世界の都市開発需要は引き続き旺盛なるも、マクロ環境としては気候変動等災害や地政学リスク、各国の金利動向やコスト上昇に対するレジリエンスの重要性が増しております。

 このような認識のもと、流動性の高さや金融ストラクチャリングを導入しうる優良案件・市場に注力し、自然環境に配慮した安心安全で災害に強いインフラ開発及び街づくりのグローバル展開を目指していきます。

メディア・デジタルグループ

 当グループは、デジタルソリューション事業、情報通信事業、携帯端末流通事業、第5世代移動通信システム(5G)事業、ケーブルテレビ事業、テレビ通販事業、映像コンテンツ関連事業、グローバルCVC事業(スタートアップ投資)を行っております。

 デジタルソリューション事業では、デジタルやデータ活用の重要性の高まりにより、IT投資需要が拡大しており、デジタル技術の社会実装による新市場の創出・拡大も進行しております。こうした事業機会の広がりを着実に捉えるべく、国内外デジタル事業の領域拡大・機能強化に取り組んでいきます。

 ケーブルテレビ事業及びテレビ通販事業では、顧客や消費者のニーズ、購買行動・形態の多様化が見込まれております。こうした事業環境の変化を踏まえ、ケーブルテレビ事業では新規サービスの拡充、テレビ通販事業ではTV・デジタル・リアルを連携させたエンタメショッピングへの変革・進化に取り組んでいきます。映像コンテンツ関連事業では、日本コンテンツに対するグローバルな需要の高まりを踏まえ、アニメ等の日本コンテンツの海外事業展開を推し進めていきます。

ライフスタイルグループ

 当グループは、食品スーパー・ブランドなどのリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニックなどのヘルスケア事業を展開しております。

 リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健康に関する消費者意識の高まりが見込まれます。ヘルスケア分野においては、高齢化加速に伴う医療費適正化ニーズが加速する見通しであります。また、全般的に気候変動や地政学リスクの継続や人件費・燃料費の高止まりの懸念があり、動向を注視していきますが、生活を支える事業としての社会的重要性は引き続き高いものになっていくものと見ております。

 このような環境を踏まえ、リテイル事業を中心に圧倒的な顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、データ活用によるマーケティング及びDX・AI活用によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組みます。食料分野では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとネットワークを生かした収益基盤の拡大と成長が見込まれる分野への事業展開を図ります。また、ヘルスケア分野では、国内外の医療費高騰の解決に向け、医療費抑制・適正化に資するビジネス実現を目指します。

資源グループ

 当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。

 資源価格は、地政学リスク等を背景に先行きの不透明感が強まっておりますが、中長期の市況変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経験・強みを発揮し、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の改善・強化を進めております。

 下振れ耐性強化と収益基盤拡充の観点から、足元では、マダガスカル・ニッケル事業の一層の体質改善並びにそれを踏まえた方針見定めに注力すると共に、基幹産業を支えるベースメタルを中心に権益積み増し、市況影響を受けにくい製造業・トレード等の中下流ビジネス拡充に取り組み、環境負荷低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与するバリューチェーン構築を推進しております。これら取り組みを通じて、日本及び世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指します。

化学品・エレクトロニクス・農業グループ

 当グループは、基礎化学品、農業資材、医薬、化粧品、動物薬、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しております。

2024年度は、農業資材分野はブラジルでの天候不順や市況下落に起因する需要減や貸倒損失により低調な推移となりましたが、エレクトロニクス材料・製品分野、医薬品関連分野等では需要の増加を捉え業績が堅調に推移しました。2025年度は、米国の関税措置等の外的要因に起因する景況感や市況の悪化 は懸念されるものの、グループ全体では農業資材分野での業績回復による収益増を見込んでおります。

 このような環境を踏まえ、農業資材分野では下振れ耐性にも資するべく、更なる機能強化やバイオ農薬等の高付加価値製品の販売強化に取り組みます。基礎化学品分野では、ディストリビューション・物流の機能を更に強化して、需給バランスやトレードフローの変化を捉えたビジネス拡大に注力します。グリーンケミカル分野では、環境負荷低減や経済安全保障のニーズを踏まえた新規事業開発を継続します。エレクトロニクス分野やライフサイエンス分野においても既存事業の強化・拡大に取り組むとともに新規ビジネス創出により更なる成長を目指します。

エネルギートランスフォーメーショングループ

 当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。

 海外発電事業は堅調に推移しており、アジア・欧米事業を中心に収益が増加しました。また、国内電力小売事業は、猛暑の影響もあり電力需要は堅調でしたが、前年度好調だったこともあり反動減となっております。

 エネルギー分野においては、一部トレード事業において前年度好調の反動減があったものの、市況の高止まりや価格変動を上手く収益化したことにより、エネルギートレードビジネスは好業績で推移しました。このような環境を踏まえ、当グループでは世界的な地政学リスクの高まりに備えるためにも市況変動リスク管理を一層強化いたします。

 また、2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、当社発電ポートフォリオの低炭素化を促進する新たな電力・エネルギーサービスの事業化を進め、次世代エネルギー関連事業の開発にも引き続き取り組んでいきます。

 不可逆的なGX潮流を事業機会と捉え、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築やサステナブルなカーボンサイクル実現を通じて、住友商事グループ全体のエネルギートランスフォーメーション事業を牽引していきます。

② 定量計画

・利益計画

2025年度は、成長分野で昨年度低調だった鉄鋼、建機、アグリ事業の改善に加え、強みのある事業に経営資源を更に投入することで530億円の増益を計画しているほか、米国タイヤ販売事業におけるマイダス社売却などの資産入替関連及び特殊損益で400億円の利益を見込んでおり、積上げで6,100億円の利益となります。一方、米国関税措置を含めた不透明な事業環境を踏まえ△400億円のバッファーを設定し、通期業績予想は5,700億円としております。

 米国の関税措置が事業及び業績に与える影響等については、現時点で見積ることが困難ではあるものの、クロスボーダー取引における契約当事者としての当社への直接的な関税負担の影響は限定的ながら、間接的な影響は一定程度生じる可能性があり、その他のリスク要因も含めて、△400億円のバッファーに織り込んでおります。


*「資産入替関連及び特殊損益」は従来の一過性損益を呼び変えたもの。

・キャッシュ・フローアロケーション

 株主還元後フリーキャッシュ・フロー黒字の基本方針、キャッシュ・フローアロケーション方針の変更はありません。

2024年度の実績及び中期経営計画2026中の計画については以下のとおりです。


(3) 株主還元方針

2024年度から開始した中期経営計画2026以降の株主還元方針については以下のとおりです。

・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株取得を実施

・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す

(注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持または増配を行うことを指します。

2025年度の年間配当金は2025年度通期連結業績予想5,700億円を踏まえ、前期比10円増配となる1株当たり140円とする予定です。また、2025年5月1日の取締役会決議において、800億円(うち、2025年度の株主還元:600億円)を上限とする自己株式の取得を決定しました。

 今後も、持続的な利益成長及び更なる収益基盤の強化に努めることで、株主還元の充実を図り、株主価値上を目指してまいります。


 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。

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