企業兼大株主明電舎東証プライム:6508】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)中期経営計画2024振り返り

 ●当社グループを取り巻く事業環境

 中期経営計画2024(以下、中計2024)策定時に想定した事業環境に対して大きな変化が生じました。第一に、世界的なインフレと部材調達の長納期化であります。その影響は主に社会システム事業セグメントの業績を直撃しました。しかし、代替品の開発や新規調達先の開拓といった様々な取組みを進めてきたことで、当連結会計年度は長納期化の影響は概ね収まり、またインフレ影響の価格転嫁も進むなど、業績には明るい兆しが見えてまいりました。

 第二にEV市場の動向の変化であります。2015年のパリ協定採択以降、多くの国がEV化の目標を掲げ、EV導入を推進した結果、EV市場は大きく成長しましたが、その勢いが落ち着きつつあります。これは、新技術への関心が高いアーリーアダプターの需要が一巡したことや各国のEV購入に対する補助金終了等の影響であると考えております。脱炭素の観点から、今後も世界全体のEVへの移行は進んでいくと考えられておりますが、国によっては導入期から普及期へ転換するにあたり、充電インフラの整備等が必要となってきていると捉えております。

 最後に電力市場の動向の変化であります。国内においては、送配電網について、高度経済成長期に整備された設備の老朽化による更新需要に加え、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のための整備を目的とした需要が拡大しました。更に、レベニューキャップ制度が導入されたことによって計画的な送配電網の整備が可能となり、安定的に更新できることとなりました。海外においても、先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど市場が急速に拡大しました。このような動向は、今後も暫く継続すると考えております。

 ●業績(2021年度~2024年度)

 このような事業環境の中、当社グループは業績を順調に拡大させ、中計2024で目標として掲げた営業利益180億円、ROE10%を上回り、当連結会計年度は受注高、売上高、営業利益いずれも過去最高値を達成することができました。

 財務状況について、中計2024開始前の2021年3月末時点と比べて、自己資本比率は34.6%から40.7%に向上し、有利子負債の圧縮も進んだことでネットD/Eレシオは0.34倍から0.10倍に改善するなど、より強固な財務基盤を構築することができました。効率性の面においては、総資産回転率が0.84回転から0.89回転に若干の改善が見られた一方で、部材長納期化への対策で戦略的に在庫を増やした影響等により、棚卸資産回転率が3.95回転から3.24回転に大きく悪化し、課題の残る結果となりました。

 受注環境については、インド高速鉄道1号線(ムンバイ〜アーメダバード間)向け変電機器の大型受注を獲得するなど極めて良好で、受注残も年々増加しております。好調な受注状況を業績向上に繋げていくためにも、効率性指標の向上による生産力の拡大は重要な経営課題であると捉えております。

(2) 新中期経営計画:中期経営計画2027

 ●ビジョン達成に向けた価値創造プロセス

 当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。中計2024では、2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。

 近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、マテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値提供を展開してまいります。

 ビジョン達成に向けた価値創造プロセスについて


 ●価値創造を実現するための戦略

 当社グループは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「成長&挑戦」をキーワードに成長戦略を推進してまいります。

 成長戦略は大きく3つの柱で構成されます。第一の柱は「製品」であり、生産能力の増強のため、国内では変圧器や電子機器の生産設備を増設・増強し、海外ではアメリカ・ドイツ・シンガポール・インドにおける拠点再構築や新工場設立を進めるなど、合計260億円超の設備投資を計画しております。また、受注から出荷までの情報基盤整備や自動化・試験データの連携による生産プロセスの効率化等、DXによる生産性向上とリードタイムの削減を進めてまいります。

 第二の柱は「事業」であり、新たな需要が見込まれる海外市場の開拓と、データ活用によるサービスビジネスの拡大を図ってまいります。変電事業・電鉄事業・半導体関連事業のグローバル展開に加え、水インフラ事業では機器・工事・運転維持管理・保守までを担う総合エンジニアリング体制を構築するなど、従来の機器販売に留まらない価値提供を推進してまいります。

 そして第三の柱は「技術」であり、未来の社会を見据えた指向型研究を通じて、将来的な競争力の源泉を育成してまいります。注力する技術の方向性を、①直流・高周波、②パワーケミトロニクス(パワーエレクトロニクス×電気化学)、③デジタルツインO&Mという3つに定め、実現したい社会を構成するシステム・要素を整理し、その中で当社が特に取り組むコア技術の獲得を目指してまいります。

 これら3つの成長戦略を支えるのが、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を軸とした経営基盤の強化であります。「グリーン戦略の深化」では、脱炭素経営を加速し、工場ユニットの脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組みを推進してまいります。「人的資本の強化」では、多様な人財が活躍できる環境づくりを進め、採用・育成・活躍の質的転換を目指してまいります。そして「社内DXの加速」では、基幹システムの刷新とデータ基盤の整備による業務の標準化・効率化・可視化を推進してまいります。

 価値創造を実現するための戦略について


(3) 資本コストや株価を意識した経営

 ●基本方針

 当社グループは、企業価値向上の取組みとして、ROE(自己資本利益率)の向上とPER(株価収益率)の向上という二つの観点から方針を掲げ、それぞれに基づいた施策を実行しております。ROE向上に向けては、収益力の強化や投資効率の向上に取り組むことで、効率的な資本活用を通じた価値の創出を目指しております。一方、PER向上に向けては、成長期待を高める投資の実行と、人的資本やガバナンス体制の強化等、非財務価値の充実を通じて、将来にわたる持続的な価値創造に取り組んでおります。

 これらの方針は、中計2027における成長戦略・投資戦略と連動しており、収益力や資産効率の向上を通じてキャッシュ創出力を高め、創出されたキャッシュを再投資することで、更なる成長と企業価値の向上を生み出す好循環の構築を目指してまいります。また、限られた経営資源をいかに成長投資と株主還元へ配分していくかというキャッシュ・アロケーションの最適化にも重点を置き、長期的な視点での価値創造に取り組んでまいります。

 ●キャッシュ・アロケーション

 中計2027においては、上位格付けの取得に向けた財務基盤の強化と、大型投資を可能とする資本力の増強に取り組み、将来に向けた戦略的投資を着実に実行できる体制を整備してまいります。

 設備投資については、事業の持続的成長と競争力強化を目的に、「成長・DX投資」に350億円、「通常投資」に350億円を計画しております。成長投資では、真空コンデンサ製造ラインの増設等、新市場の開拓や生産能力の増強を通じて新たな価値の創出に挑戦してまいります。DX投資では、プロジェクト管理や経営情報の可視化、データ活用の高度化を目的とした基幹システムの再構築により、全社的な業務価値の最大化を図ってまいります。通常投資については、既存設備の更新・維持・補修を通じて、生産性と品質の安定を確保し、継続的な事業価値の維持・向上に努めてまいります。

 設備投資において、特に大型案件については社内の投資判断における収益率の基準(ハードルレート)等の定量的指標と戦略的意義等の定性的要素を総合的に評価したうえで実施の可否を判断してまいります。また、将来を見据えた戦略の具体化を進める中で、非連続的な価値創造を目指すM&A等の大型投資とその資金調達方法についても検討を進めてまいります。

 株主還元については、「安定的かつ継続的な配当の実施」と「成長による中長期的な株主価値の向上」の両立を基本方針としております。具体的には、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当によって直接還元するとともに、中計2027の施策を通じて、既存事業による継続的な価値の創出と新たな収益源の確保を両立させ、株主価値の更なる向上を実現してまいります。

 資本コストや株価を意識した経営について


(4)「中期経営計画2027」財務指標・非財務指標

 以上の戦略を踏まえ、中計2027の財務指標・非財務指標は次のとおり設定しております。


※1.計画為替レート:140円/USD 

※2.ROIC=税引後営業利益/(有利子負債+自己資本) 

※3.Scope1,2,3:2019年度実績比

※4.eNPS:従業員向けNPS®(ネット・プロモーター・スコア)。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標であります。

eNPSの単位を%とし、記載しております。また、eNPSの対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。

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