企業兼大株主酉島製作所東証プライム:6363】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)中期経営計画

 当社グループは、2021年5月に2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、「社会に欠かせない企業」をめざす「2050長期ビジョン及び2024中期経営計画 -Beyond110-」を公表いたしました。これに基づき、HOP、STEP、JUMPの3段階に分けた取組を推進しており、現在は、初期段階であるHOP期間を終え、STEP期間へと移行しています。各ステージでの取組を着実に積み重ねることで、社会の持続的な発展に貢献し、それが結果として当社グループの企業価値の持続的な向上につながるものと考えております。

 価値創造の重要課題の内容は、以下のとおりです。

1. 脱炭素社会実現に向けたエネルギー課題への取組

 ポンプは社会に欠かせない機器であるだけに、稼働台数が多く稼働時間も長く、莫大なエネルギーを消費するのも事実です。当社グループはこれを機会と捉え、ポンプの高効率化を徹底的に追求することで、消費電力及びCO2排出量を削減してまいります。2024年度には、世界最高水準の効率を達成した「スーパーエコポンプ(SEP)」を開発、販売開始し、省エネ大賞最高位の「経済産業大臣賞(電気需要最適化分野)」を受賞いたしました。今後、脱炭素化に取り組む大型工場等を主なターゲットに省エネ提案を強化してまいります。

 また、次世代エネルギー向けのポンプの開発では、液化アンモニアや液化水素を扱うポンプの開発にも積極的に取り組んでおり、2024年度には液化アンモニアポンプの商用規模での実液試験をインドネシアで実施しました。前年度に初号機の開発を完了した液化水素ポンプにおいても、さらなる高圧化及び大流量化に向けて引き続き開発を加速してまいります。

 これらに加えて、CO2分離回収プロセスにおけるポンプに関しても、新たに市場参入するなど、さまざま方向から脱炭素社会の実現に向けて取組を進めてまいります。

2. 安全・安心な社会の構築

 大型・高圧ポンプの提供を通して、人の暮らしに欠かせない「水と電気」のインフラを安定的に支えております。とくに海水淡水化プラント向けポンプでは高い競争力を持ち、近年は中東諸国や北アフリカ諸国に多数のポンプを納入してまいりました。

 また、近年頻発するゲリラ豪雨への対策として、独自技術を採用した気候変動対策向けポンプにより、減災・防災に貢献してまいります。これらの技術は、国土交通省が推進する下水道技術海外実証事業(WOW TO JAPANプロジェクト)にも採択され、パキスタンの排水機場において採用・高評価を得ております。

3. データ・AIの活用による新しいモノづくりとサービスの構築

 日本をはじめ先進国では少子高齢化が進み、人手不足や技術継承の課題が深刻化しています。当社グループはこれに対応するため、小型センサ一つで機械の状態を遠隔監視できる回転機械モニタリングシステム「TR-COM」を販売しております。

 2024年度には、TR-COMが経済産業省のスマート保安プロモーション委員会により「スマート保安技術」として認定されました。また、「インフラメンテナンス大賞」において農林水産省特別賞を受賞し、官公需分野での信頼向上と引き合い拡大にもつながっております。さらに、顧客ニーズに応え、防爆仕様の開発・販売も開始しました。2017年の販売開始以来、累計販売個数は2万個を突破いたしました。

 これらの価値創造に向けた取組は、中期経営計画の進捗とともに段階的に深化しており、持続可能な企業価値の向上に貢献するものと考えております。そうした取組の積み重ねを背景に、HOP期間では初年度より受注が好調に進み、当初掲げた2029年度目標を7年前倒しで達成したことから、2023年度終了時には目標を再設定いたしました。目下は、STEP期間の最終年度である2029年度に向けて、「売上高1,000億円規模、営業利益率10%以上、ROE10%以上」を主要な目標として掲げ、製品・サービスの高度化、グローバル市場における事業基盤の強化、ならびに持続可能な企業価値の向上をめざし、複数の施策を推進しております。

 一方で、昨今の国際情勢の変化や為替変動、原材料価格の高騰など、事業環境の不透明感は依然として高い状況が続いております。このような外部環境の不確実性はあるものの、現時点での2025年度の連結業績は、以下のとおり見込みます。

〔連結業績〕

 売上高   89,000百万円

 営業利益  6,700百万円

 経常利益  5,800百万円

 親会社株主に帰属する当期純利益  4,300百万円

(為替レートは1ドル=145円、1ユーロ160円を前提としております)

※業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(2)2025年度の重要な対応課題

 現状、売上高は中期経営目標に向けて順調に伸びるなか、営業利益率の改善が今後の大きなテーマとなります。そのため、当連結会計年度におきましては、これまでの取組の中で明らかとなった改善の必要性を踏まえ、以下の重要課題に注力してまいります。

1.「つくる力」の強化

1-1. フロントローディング

 2025年度では、製造プロセスの起点となる設計工程での対応力強化を最重点課題としております。具体的には、当社製品がすべて受注生産であることから、個別案件ごとに最適な設計対応が求められ、営業部門との緊密な連携による情報共有や早期の課題解決が極めて重要となります。このため、受注活動の初期から課題を顕在化させて対応する「フロントローディング」の考え方を導入し、営業部門との連携体制を強化するとともに、設計人財を営業部門に配置するなど、組織横断的な改善を進めております。これにより、手戻りの抑制やリードタイムの短縮を図り、総作業負荷を削減して生産性の改善をめざします。

1-2. 生産能力増強

 機械加工能力の増強を行い、社外に流出していた収益の取り込みをめざします。具体的には、国内外の子会社において設備投資をすでに開始しております。また、M&Aによる生産能力の向上も含めて、柔軟な生産拠点戦略を検討してまいります。

2.サービス事業の強化

 当社グループでは、ポンプ納入後に利益率の高いアフターサービスや保守関連業務が継続的に発生するという事業構造を経営戦略の柱の一つとし、中長期的な利益体質の強化を図っております。とくに海水淡水化プラント向けポンプ等の納入実績が多い中東地域を重点地域と定め、サービス体制の拡充に取り組んでおります。具体的には、エジプト、アラブ首長国連邦、カタールに新拠点を開設。さらに、よりお客様に近い場所での対応を可能にするため、サウジアラビアでは拠点を移設し、今年から順次稼働を開始しました。既存マーケットでも、新たなサービス拠点の設置を検討中です。

 現在の旺盛な受注環境を追い風に、こうしたグループ戦略を着実に進めることで、一定のタイムラグを経て、利益率の高いアフターサービスや保守業務の受注拡大につなげてまいります。

 これらの取組により、2029年度の目標である「売上高1,000億円規模」「営業利益率10%以上」「ROE10%以上」をめざします。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社グループは、全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計額に占めるポンプ事業の割合がいずれも90%を超えているため、記載を省略しております。

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