三井海洋開発
【東証プライム:6269】「機械」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが入手している情報に基づいて判断したものであります。
(1) 当社を取り巻く事業環境
脱炭素に向けた世界的規模の潮流は大きくは変わらず、再生可能エネルギー供給は急伸する見込みですが、一方で世界的なエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガスは今後も世界にとって必要不可欠なエネルギーとしてあり続けると考えております。足元で堅調に推移する石油・ガス需要の下、特に当社の競争力を活かせる超大水深及び大水深油田・ガス田は今後も高いニーズが期待され、FPSO事業開発に引き続き注力していく方針であります。また同時に、世界的課題である気候変動に対応する中で、エネルギー・トランジションに対する現実解を積極的に提案・発信し、事業のさらなる展開を進めてまいります。
(2) 中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』
当社は、2024年2月に、2024年から始まる3年間を期間とする中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』を発表しました。
当社を取り巻く事業環境や加速する世界的な脱炭素の流れを踏まえ、全体としてまず収益力の強化を掲げ、その上で事業面においては、中核事業であるFPSO事業の脱炭素化の推進、新事業の開拓・育成を行い、並行して人的資本を含めた事業基盤の強化を進める計画を策定いたしました。
(3) 中期経営計画2024-2026の進捗
当社グループの業績は、各種取組みの効果により、中期経営計画策定時の想定を大きく上回って収益力の向上が進んだことから、中期経営計画の最終年度目標値として掲げた純利益(175百万米ドル)を2024年に2年前倒しで達成しており、中期経営計画の1年目として順調に進捗しております。これに加え、FPSO事業の脱炭素化、新規事業の開拓・育成、ガバナンス・内部統制の体制強化を含めた事業基盤の強化に取り組んでおり、残りの中期経営計画期間中に着実に推進していく予定であります。
① 収益力の強化
Uaruプロジェクト(ガイアナ)とRaiaプロジェクト(ブラジル)という2つの大型FPSO建造プロジェクトの順調な進捗に加え、既存船においては近年集中的に取り組んできた保守・修繕工事の実施により操業が大きく改善し、また、古い契約が順次終了し、過去の教訓を活かして締結した新契約への入れ替えが進んでいることから、コロナ禍以降の最高益を達成しました。優良顧客との関係を強化し、引き続き優良な新規案件の受注、並びに、一層のアセット・マネジメントの強化を追求してまいります。
② 戦略的な経営資源の配分と獲得
当社の優位性や業界内ポジションを改めて整理し、石油・ガス市場動向や気候変動等外部環境を踏まえ、経営資源を優先的に配分するプロジェクトや事業を選別し、また人的資本や外部パートナーシップ等新たな経営資源の戦略的な獲得に向けた取組みを開始しております。
③ FPSO脱炭素化の推進
将来のFPSO事業のための次世代船の開発を推進し、FPSO事業の脱炭素化に向け、当社と協業可能性のあるCarbon Capture & Storage (CCS)技術を有する事業者の選定、脱炭素化に資する新技術の開発や検証を行っております。CCSを始めとする脱炭素化技術や新事業開発に向けて、研究開発活動を促進させてまいります。
④ 新事業具現化への布石
化石燃料社会から低炭素社会へのトランジションに貢献すべく、洋上風力発電や代替エネルギー事業における当社独自の新浮体式技術の開発を追求してまいります。2025年1月に東洋エンジニアリング株式会社と共同でFPSOより生産される随伴ガスからアンモニアを製造するブルーアンモニアFPSOの基本設計承認を米国船級協会より取得いたしました。実用化には更なる改良が必要となりますが、早期の実証に向けて開発を継続していく予定であります。また、新事業専任組織を発足させ、新規領域での事業開発体制を一元化し、取組みを加速させていく予定であります。
⑤ グループコラボレーションとシナジーの深化
デジタルを活用したグループ共通のマネジメントツールの導入を促進させております。人的資本経営の更なる推進に向けてワーキンググループを立ち上げ、専門家の知見を活用して当社グループ全体の人材戦略の策定を推進しております。
⑥ サステナビリティ・グループガバナンスの向上:
当社の重要なサステナビリティ課題として「気候変動」、「人権」、「人的資本・ダイバーシティ」の3分野を重点取組分野に選定の上、それぞれのワーキンググループを組成し、ロードマップを作成しながら具体的な取組みを開始しております。GHG削減に関する取組みについては、GHG排出量の開示対象を拡大し、第三者による検証にも取組み始めております。また、当社グループの企業価値向上に向けた価値創造プロセスを明示し、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションも進めていくべく、2025年6月に統合報告書を発行する予定であります。
(4) 中期経営計画における定量目標の再設定
上述の通り、中期経営計画の最終年度目標値として掲げた純利益を初年度である2024年に達成したことから、これらの業績動向を踏まえ、中期経営計画の最終年度である2026年の数値目標を上方修正し、新たな目標値として親会社の所有者に帰属する当期利益:300百万米ドル、ROE:20.0%、調整後EBITDA:450百万米ドルを公表しております。
なお、定性的な取組みについては、中期経営計画の内容を変更しておりませんが、これらも着実に進め、企業価値の持続的向上に取り組んでまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング