ヤマシンフィルタ
【東証プライム:6240】「機械」
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企業概要
当社グループの研究開発活動は、顧客の多様な仕様に対応した製品において、品質の確保はもとより、求められるスピードに応える信頼性と顧客満足の実現を目指して推進しております。
特に、当社グループではフィルタ製品の心臓部であるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発に注力しており、多種多様な用途に対応可能なフィルタ製品を、顧客ニーズに即応する形で開発しております。
また、当社グループの研究開発体制においては、当社が「ろ材」および構成部品の研究・開発を一手に担い、製品の基盤技術の強化と競争力の向上に努めております。
当社グループは、建機用フィルタについては、油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタやエンジンオイル用フィルタ製品などの開発にも積極的に取り組み、合わせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。産業用フィルタについては作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また、プロセス用フィルタについては洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で蓄積したノウハウを活用した製品開発を行っております。
また、フィルタ「ろ材」の独自開発においては、使用される状況や捕獲したゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っております。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層「ろ材」開発などを通じ、既に様々な当社製品に展開されております。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にする「ろ材」開発を積極的に推進してまいります。
更には、現在ではフィルタ開発のみならず、油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めております。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、またフィルタの目詰まり状況を把握し、寿命を予測することで適切なフィルタ交換時期をユーザーへ提供することが可能となり、純正品を使用するメリットをユーザーへ訴求できるものと考えております。具体的な取り組みとして、主要得意先各社へ当社製品の理解を深める機会として、当社開発センターにおいて、汚染度センサ、圧力センサを搭載した建設機械を実際に稼働させ、デモンストレーションを行うWeb見学会を当事業年度より開催しております。今後も主要得意先建機メーカーに対して、当社製品の付加価値を訴求する様々な取組みを実施してまいります。
また、当社グループは、従来のガラス繊維に代わる新しい「ろ材」として、「ナノファイバー」の開発を継続しております。「ナノファイバー」は、天然素材のガラス繊維に比し繊維径がきわめて細く、また繊維長の調整が可能であることから、ろ材として非常に優れた特性を有する素材であり、これを次世代ろ材に使用することで、①不純物のより効果的なろ過、②油圧システム内の作動油の循環効率の向上及び③フィルタの交換サイクルの長期化によるコスト低減、産業廃棄物の低減を通じた環境負荷低減に貢献することが可能となります。「ナノファイバー」による「ろ材」は建設機械用フィルタ事業においては、主要得意先である建機メーカー各社への採用が開始されております。
また、環境配慮型製品として化石燃料由来の樹脂からバイオマス由来の樹脂を用いてのナノファイバー紡糸にも着手しており、次世代建設機械用作動油フィルタとして低圧損、ロングライフ化を有する「ろ材」として開発を進めております。
エアフィルタ事業においては、ロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)の、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展しております。当社製品であるNanoWHELPは、企業に求められる温室効果ガスの削減のための有用な手段の一つとして、CO2の削減効果と同時に光熱費の低減に寄与する製品であることから、供給の拡大に向けた取り組みを強化するとともに、今後、国内市場のみならず、健康や環境被害を排除するための規制の強化がEUから各国に広がり始めている欧州市場をはじめとした海外市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。
更には、接着剤を使わない製法を生かして既存のガラス繊維に置き換わるナノファイバーを利用したオイルミスト用フィルタの開発を行い、HEPAレベルのオイルミストの除去ができる「ろ材」を開発し、製品化が実現いたしました。本製品は従来のガラス繊維HEPAフィルタとは異なり有機フッ素化合物 (以下「PFAS」)を使用しない「PFAS FREE」の製品であり、今後市場から要求が高まる健康や環境被害の排除、PFAS使用製品の製造や販売の規制の強化に対応することが可能な製品であります。今後、こうした市場環境の変化に対応し、より付加価値の高い低圧損、高捕集効率なエアフィルタの製品化を進めてまいります。
新たな領域への展開としまして、これまで「ろ材」としての高空隙特性と極細繊維の特徴に新たな機能を組み合わせた新素材の開発に着手しております。代表例としましてはナノファイバー製法の材料選択度の自由度を生かした耐熱素材の開発と、今後将来性の見込まれるウェアラブルセンサー等への組み込みが可能な導電性繊維の開発を行っており、今後、アパレル市場やスマートテキスタイル市場等への進出を見据えた活動を継続してまいります。
当社グループでは、当社独自製造技術に基づく「ナノファイバー」の製品化に向けた研究開発を今後進めることにより、既存事業の更なる高付加価値化及び競合他社との差別化を図るとともに、環境配慮型素材開発、新素材技術の活用による新規事業領域への進出にも積極的に取組んでまいります。
これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は427百万円となりました。
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