パイオラックス
【東証プライム:5988】「金属製品」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 企業理念
当社グループは1933年に「加藤発條製作所」として創業し、自動車や電気通信向けの精密金属ばねの生産からスタートしました。1969年には樹脂製の自動車用ファスナー類の開発・製造に事業拡大、1990年代には医療機器分野に進出する等、金属と樹脂の両方に精通した独自の製品開発と製造技術を強みに、新たな製品開発と販路拡大により成長を続け、広く産業や社会に貢献してまいりました。
当社グループがこの先も持続的に成長・発展していくため、創業90周年を機に新しい企業理念「パイオラックス ウェイ」を策定しました。これまで金属や樹脂をはじめ、あらゆる素材の「弾性(Elasticity)」を追求した製品の開発・販売を行ってきましたが、それに加えて人や社会、サステナビリティなどさまざまな可能性を追求し、新しい価値を創造することで、すべてのステークホルダーの期待に応えるとともに飛躍を目指してまいります。当社が永年培ってきたコアコンピテンスである技術の力で、人・モノ・社会をつなぎ、より豊かで安全快適な未来を実現することを経営の基本方針としております。
<パイオラックスグループ企業理念「パイオラックス ウェイ」>
[パーパス]人と社会を技術でつなぎ、心弾む未来を実現する
[ビジョン]新しい価値の創造 -弾性を創造するパイオニアからその先へ-
[バリュー]1.パイオニアを志し、挑戦と変化を続ける
2.最良を目指し、熱意と信頼を以て協調する
3.創造性を尊び、自由にしなやかに発想する
<社是> 至誠・協力・奉仕
(2) 経営環境
当社の主要な取引先である自動車業界においては、CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応の加速、部品メーカー同士のコラボレーション、異業種の自動車業界への参入など、100年に一度の大変革期と言われております。また、インフレ率の上昇や金利の引き上げ、米国追加関税政策や地域紛争等の地政学リスクが及ぼす世界情勢への影響が懸念されております。原材料や電力料をはじめとした各種エネルギー価格の高騰や中国経済の成長の鈍化等の要因から不透明感が継続しております。
(3) 経営方針
これまで当社は、自動車の生産台数の増加と共に成長してまいりました。ファスナー部品、燃料系部品、駆動系部品、開閉機構部品の4つの商品群からなる事業部体制の下、これらの商品に注力した経営を行ってまいりました。しかし、自動車を構成する部品の変化、生産台数の伸びの鈍化、開発スピードの加速、そして様々なコストの増加など、事業環境の変化に対応するため、自動車生産台数に頼らない経営方針へシフトいたします。
(4)対処すべき課題
①商品戦略
当社の強みである技術と開発力を活かし、既存商品群の枠を超え、自動車市場の動向に追従した高付加価値製品の創出に取り組んでまいります。特に注力していく商品として、先進運転技術(ADAS)関連商品やバッテリー、eアクスル向けのバスバーなどがあり、新真岡工場(栃木県)を中心とした大型成形機の導入など、設備投資も積極的に進めてまいります。
②地域・顧客戦略
地域別にメリハリをつけ、市場成長が期待できる地域へ積極的な投資を進めていきます。海外では、日系以外の海外自動車メーカーへの拡販を推進してまいります。米国では、生産体制見直しと製造現場における省人化の推進、中国では現地自動車関連メーカーの開発スピードに負けない体制づくり、特に成長が期待できるインドでは、生産能力増強のため、第2工場の建設を計画し、ADAS関連商品など付加価値の高い商品への参入を行ってまいります。
③組織改革
当社は事業部の壁を超え、迅速で柔軟な事業展開ができる体制の構築を目指しております。その実現のため、これまでの4つの商品群からなるSBU(戦略的ビジネスユニット)制を廃止し、2025年4月から機能別の体制へ改編をすることとしました。経営環境が大きく変化する中、機能別の体制を敷くことにより、戦略立案と実行、意思決定の迅速化や適正なリソース配分の実現を加速させ、企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。
④医療機器事業の展開
子会社の㈱パイオラックス メディカル デバイスは、IVR(血管内治療)からスタートしましたが、消化器に使用する内視鏡治療、脳外科用の整形分野へと業容を拡大し、血管や管腔を利用し身体になるべく傷をつけずに治療する「低侵襲治療」に取り組んでおります。大学病院等との共同研究により、商品企画力・営業力の強化を図りつつ、高齢化社会のニーズを捉え、「人に優しい弾性材料」で作られた医療用具の開発・製造・販売を推進してまいります。
⑤サステナビリティに関する取組
「人と社会を技術でつなぎ、心弾む未来を実現する」をパーパスに掲げ、利益を追求するだけでなく、当社のステークホルダーの方々と協力し、社会への貢献を目指しております。
当社ではサステナビリティ課題の解決に向け、2030年に向けたビジョン「PIOLAX ESG Vision 2030」を掲げ、重点方策を定め、KPIに落とし込んで活動を継続しております。脱炭素社会と循環型社会を目指した企業活動、安心して働ける活気ある職場づくり、公正・公平な取引と信頼関係の向上、ガバナンス強化による安定した組織運営をESG Visionに掲げ、持続可能な社会の実現に向けた取組を、中長期的な視点で着実に実行してまいります。
⑥資本政策の見直し
当社グループでは、資本効率を改善し、企業価値を向上させるために2024年11月に資本政策を大幅に見直しました。2025年3月期~2027年3月期の3ヵ年における主な取組は以下の3件です。
1.3年間における累計自己株式取得300億円
2.3年間における年間配当金92円以上、連結配当性向100%の継続
3.㈱佐賀鉄工所との業務提携基本契約変更
今後も資本効率を意識した経営を実践してまいります。
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