日東精工
【東証プライム:5957】「金属製品」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、コア事業である工業用ファスナー、自動組立機械、計測制御・検査機器など多岐にわたる技術、製品群をファスニング・ソリューションとして融合し、「締結・組立・計測検査における真のグローバルメーカー」となることを長期経営ビジョンに掲げております。
当社グループは、コンプライアンスの徹底、環境保護などの社会的責任を果たしつつ自己革新を進め、適正な利益を確保できる強靭な企業体質の構築と、持続可能な成長の実現により、株主、顧客、取引先、地域社会など、すべてのステークホルダーにとっての価値向上を目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、2019年に10年後のビジョンとして『世界中で認められ、求められる「モノづくりソリューショングループ」を目指す』を掲げ、その第1ステージとして4ヶ年の中期経営計画「NITTOSEIKO Mission "G" 」をスタートしました。5つの戦略テーマで、事業領域の拡大やグループシナジーの向上を中心とした取り組みを実践してまいりました。
2023年度から、第2ステージとなる3ヶ年の中期経営計画「Mission G-second」を策定しました。Gの意味するGroup's Global Growth を継承し、事業の成長と安定基盤の確立を重点とする4つの成長戦略で、ステークホルダーから高い信頼と、将来が期待される持続可能な企業を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等
当社グループは2023年を初年度とする3ヶ年の中期経営計画において、その最終年度である2025年には、売上高60,000百万円、営業利益5,160百万円、投下資本利益率(ROIC)8%以上及び自己資本当期純利益率(ROE)9%以上の達成を目標に取り組んでまいります。
(4)優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題
<会社の経営の基本方針>
経営の基本方針には、私たちの行動や意思決定の根底にある「我らの信条」が宿っています。この「我らの信条」は、企業の存在意義や価値観を明確にし、全ての従業員が共通の目標に向かって進むための道しるべとなっています。
当社グループは、持続可能な成長を追求し、社会の期待に応える企業としての責任を果たすことを基本的な考えとしています。私たちは、「モノづくり」の力を活かし、顧客のニーズを的確に捉え、革新を追求することで、企業価値の向上に努めてまいります。また、ステークホルダーとの信頼関係を大切にし、持続可能な社会の実現に寄与することを使命としています。
<中長期的な会社の経営戦略>
~世界中で認められ、求められる『モノづくりソリューショングループ』を目指す」の概要~
当社グループは、長期経営ビジョン「世界中で認められ、求められる『モノづくりソリューショングループ』を目指す」を掲げ、このビジョンに基づいて中長期的な経営戦略を策定しています。このビジョンは、当社が国際的な競争の中で持続可能な成長を実現し、顧客から信頼される存在であり続けることを目指しています。今後も革新と品質向上を追求し、グローバルな市場での競争力を強化してまいります。
<2024年度の業績状況を踏まえた中期経営計画「Mission G-second」の概要>
2024年度の業績状況は、売上高が前年同期比5.2%増加し、主に制御事業のエネルギー関連向け分析装置や欧米のPFAS規制対応製品、自動車向け部品検査機、そして海外でのファスナー事業のOA機器向け製品が好調でした。営業利益は前期比27.3%の大幅増益を達成し、これらは産機事業のねじ締め機やファスナー製品の価格転嫁、高付加価値の分析装置の出荷が進んだことによるものです。また、海外向けにおいては、欧州拠点での分析装置販売が好調に推移したことに加え、商流見直しにより中国で販売を開始したことも業績に貢献しました。
業績が比較的好調に推移した一方、人財・財務に関する取組みに関しては課題が残りました。これらの戦略は相互に関連し、持続可能な成長を実現するための基盤を形成します。課題を再認識した上で、中期経営計画「Mission G-second」のもと、引き続き以下の4つの成長戦略を進めてまいります。
① 事業拡大戦略
当社の事業拡大戦略は、成長の原動力として位置付けています。ファスナー事業では、自動車関連業界でのCASE関連製品の需要拡大に対応し、同関連製品向け売上目標に対し110%を達成しました。自動車の電動化は益々加速するものと捉えており、軽量化・薄肉化ニーズに応える新製品の開発に注力します。また、成長著しいインド市場において、子会社化した圧造部品メーカーでの事業が本格的に始動し、事業拡大に拍車がかかります。また、産機事業では、国内外の自動化需要に応えるため、高付加価値製品の投入を進め、新たな市場開拓を図ります。
② 環境戦略
当社は、環境問題に積極的に取り組む企業として、CO2排出量の削減に向けた施策を推進しています。太陽光発電装置の設置や製造工程における省エネルギー化の推進、従業員一人ひとりが環境意識を高め、日常業務においてもエコ活動に参加することで、組織全体の意識改革が進んだ結果、CO2削減率は16.4%(2019年比)を達成し、2025年度の目標を上回る結果となりました。この成果は、グループを挙げた取り組みの結果であり、今後のさらなる成長に向けた大きな一歩と捉え、2050年に向けたカーボンニュートラル達成に向けた確かな足跡を残すことができたと考えています。
新たな環境戦略の柱として、溶剤リサイクル装置の共同研究を開始しました。この環境ビジネスが軌道に乗ることで、当社は新たな収益源を確保し、経営基盤の強化を図ることができます。このことにより、お客様もコスト削減や環境規制への対応といったメリットを享受でき、双方にとってWIN-WINの関係を築くことが可能となります。また、リサイクルによって得られる経済的利益や環境保護に寄与することによるブランド価値の向上が期待されます。
環境負荷を軽減するこれらの技術を糧に早期に開発を進め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化してまいります。
③ 人財戦略
人は企業の最も重要な資源であると考え、働きやすい職場環境の整備に力を入れています。しかし、2024年度において労働生産性、エンゲージメントスコアの指標が目標に達しなかったことは、私たちにとって大きな課題であると認識しています。
労働生産性の未達は、業務の効率化やプロセス改善が不十分であることを示唆しています。このため、業務フローの見直しやITシステムの導入、労働環境の整備を急務として捉え、従業員が最大限に能力を発揮できる環境を構築していきます。
エンゲージメントスコアの低下は、従業員の声を十分に反映する仕組みやキャリア開発の機会が不足していると考えられます。これらを改善するために、定期的なフィードバックやコミュニケーションの機会を増やし、従業員の意見を尊重する企業文化を醸成していきます。
迅速かつ効果的な対策を講じることで、労働生産性とエンゲージメントの向上を図り、持続可能な成長を実現してまいります。人的資本経営を重視し、従業員一人ひとりが活躍できる環境を整えることに注力して、企業全体の競争力を高め、組織全体の活性化に取り組んでまいります。
④ 財務戦略
当社は、「稼ぐ力」を体現する財務戦略を強化しています。ROICを指標に掲げ、資本コスト経営を徹底し、持続的な利益成長を実現します。しかし、2024年度においてROIC、ROE共に目標未達であったことは、私たちにとって大きな課題であると認識しています。
ROICについては、投下資本に対する利益の創出が期待した水準に達しておらず、資本コストを上回るリターンを確保するための戦略が不足している可能性があります。この課題を解決するためには、資本配分の見直しや新規事業の収益性向上、既存事業の効率化を進めることが不可欠です。改善策として、成長が見込まれる分野への戦略的な投資を実施し、資本の最適化を図ってまいります。
ROEについては、自己資本に対する利益の創出が不十分であることを示しています。資本効率の向上へ転嫁するため、より高付加価値の製品やサービスの提供を強化し、収益性の高い事業ポートフォリオの構築を進めることで、自己資本に対するリターンを最大化する施策に取り組みます。
これからも、資本の効率的な運用と高い収益性を追求し、株主還元の充実を図り、企業価値の向上に取り組んでまいります。
<次期(2025年度)の経営方針>
中期経営計画「Mission G-second」の最終年度である次期経営方針は、「価値(勝ち)の連鎖を極めて、未来を拓いていこう」を合言葉に、これまでの「お客さま目線の行動」「稼ぎ力」の集大成として、収益を還元することで未来へつなげてまいります。各戦略の実行を加速させ、市場環境の変化に柔軟に対応しながら、新たなビジネスチャンスを捉え、持続可能な成長を実現するための具体的な施策を展開してまいります。さらなる事業拡大と環境への配慮を両立させ、企業としての社会的責任を果たすことを目指します。
具体的な目標は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ④指標と目標」に記載のとおりであります。
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