企業兼大株主ENEOSホールディングス東証プライム:5020】「石油・石炭製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。

 また、当社グループを取り巻く事業環境はかつてない転換期を迎えています。このような環境の下、「ENEOSグループ理念」の実現に向けて「『今日のあたり前』を支え、『明日のあたり前』をリードする。」を新たな決意として掲げました。ENEOSグループは、困難な課題に挑戦し、「明日のあたり前」を創りつづけるリーディングカンパニーとして、ステークホルダーの皆様からの一層の信頼に応えていきます。

(2)ENEOSグループ長期ビジョン

 足下の事業環境は、エネルギーセキュリティの揺らぎ、カーボンニュートラルに向けた社会的コンセンサスの形成、デジタル・トランスフォーメーションの更なる進展など、第2次中期経営計画策定時から変化しています。大きな方向性に変わりはないものの、変化のスピードは加速しており、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、エネルギートランジションに挑戦することが強く求められています。このような課題認識のもと、当社グループは、次のとおり「ENEOSグループ長期ビジョン」を掲げています。

 今後の事業環境を展望すると社会がカーボンニュートラルへ進むことが確実と考えられる一方カーボンニュートラルエネルギーの主役や必要な技術ブレイクスルーの時期は依然として不透明でありまたこのような状況であってもS+3E(注1)を満たしつつ、カーボンニュートラル社会へスムースに転換する必要がありますこうした状況の中で当社グループは日本のエネルギートランジションをリードしカーボンニュートラル社会においても国内の一次エネルギーの2割を供給(SAF(注2)・水素・合成燃料で最大シェア)するメインプレイヤーでありたいと考えています

(注)1.安全性(Safety)安定供給(Energy security)経済性(Economic efficiency)環境(Environment)

2.Sustainable Aviation Fuel :持続可能な航空燃料

 現段階では、カーボンニュートラル社会の主役となるエネルギーは明確ではありませんが、当社グループは、カーボンニュートラル社会の主力となる次世代エネルギーへの強みを発現すべく、第2次中期経営計画期間中に着々と布石を打ってきました。またデジタル社会の中心素材となる製品群や高度なリサイクル技術に加えシェアリングエコノミーの進展を支えるインフラ/ビジネスネットワークも保有しています当社グループが有する様なシナリオに対応する高いレジリエンス2030年以降の大きな収益ポテンシャル(成長機会)を活かし、すべてのステークホルダーの期待に応えていきます。

2040年度に向けて当社グループは化石燃料中心のポートフォリオを脱炭素分野へシフトしながらエネルギートランジションを進化させていきますROIC/事業領域別収益規模は次のとおりです

(3)第2次中期経営計画(2020年度から2022年度まで)の振り返り

 当社グループは、第2次中期経営計画を「ENEOSグループ長期ビジョン」の実現に向けた変革の推進と位置づけ、各事業ポートフォリオにおける「構造改革の加速」及び「成長事業の育成・強化」に取り組みました。

<基本方針>

 業績面の財務目標については、新型コロナウイルス感染症による影響を主因とした石油製品及び石油化学製品の減販や製油所トラブルの影響等により、ネットD/Eレシオのみの達成に留まりました。

 一方、株主還元については、配当金の支払と自社株買いにより、3ヵ年累計の在庫影響除き当期利益の50%以上を実施しました。

 事業面については、大型のM&Aや資産売却による事業ポートフォリオの入れ替えやカーボンニュートラル計画の策定等、ESGに関する各種施策を展開し、経営基盤の強化には、一定の成果を挙げました。

 第2次中期経営計画における事業面や経営基盤の成果と課題の詳細は、以下のとおりです。

 大型のM&Aによる新たな事業の獲得を機に、第3次中期経営計画では、各事業の特性に応じた「自律型経営」を目指したグループ運営体制に移行します。

(4)対処すべき課題

 当社グループは、長期ビジョンと今後の事業環境の認識を踏まえ、第3次中期経営計画(以下、第3次中計)を策定しました。

 エネルギートランジション成否のカギは、第3次中計及び第4次中期経営計画の期間における周到な準備と展開であり、これらによって戦略的優位性を確立することが必要です。

 長期ビジョンと中計の位置付けは、以下のとおりです。

<基本方針>

 長期ビジョンの実現に向け、重要な期間となる第3次中計では、「3つの柱」を方針として掲げました。「確かな収益の礎の確立」と「エネルギートランジションの実現に向けた取り組みの加速」及び「経営基盤の強化」の3つです。

 この柱に基づき、様々な施策に取り組むことで、『確かな収益の礎の確立』を行い、そこで得られたキャッシュを原資として、『エネルギートランジションの実現に向けた取り組み』を加速させます。

 また、全ての下支えとなる『経営基盤の強化』については、重要施策として「ROICを指標としたポートフォリオ経営」「グループ運営体制の変更」を一体として行います。

「グループ運営体制の変更」では、各事業の競争力強化と事業特性に応じた「自律型経営」実現のため、グループの組織・体制に関して、2つの大きな施策を実行します。

1点目は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)からの機能材事業、電気事業及び再生可能エネルギー事業の分社化・再編です。

ENEOSの機能材事業と再生可能エネルギー事業については、第2次中期経営計画期間での大型M&Aで獲得した株式会社ENEOSマテリアルとジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社を核として、当社傘下の事業会社として分社化します。電気事業は、同じくENEOSから事業分離して、新会社を設立し、当社傘下の事業会社とします。(2024年4月予定)

2点目が、当社とJX金属株式会社(以下、JX金属)の更なる企業価値向上を目的として実施するJX金属の上場に向けた準備です。この施策を通じて、当社は、JX金属の高い成長性を株式市場に対して適正に訴求し、ポートフォリオ転換のための投資や株主への機敏かつ確実な還元を実行します。

JX金属は、事業特性に応じた迅速な意思決定と成長分野における各種戦略の実行を実現します。また、独立経営体制を確立すべく将来的には、持分法適用関連会社への移行を目指します。

 グループ運営体制の変更後、各社には自律型経営を求めますが、その一方、当社は、ROICを指標としたポートフォリオ管理を行うことにより、低効率事業は、抜本的な経営改善に取り組みます。

 このように、自律の促進および適切なグリップを両立させた経営管理を実現します。

<財務目標・非財務目標>

 第3次中計期間中の財務目標及び非財務目標は、次のとおりです。

 第3次中計から、ROICを財務目標に加えます。このROICは、事業リスクを考慮したうえで株主資本コストを設定し、そこから当社の戦略・強み等を考慮した付加価値を想定して、事業別に設定しています。

 第3次中計最終年度となる2025年度において、インキュベーション(現時点では実証段階にあるなどの事業として評価が相応しくない水素・合成燃料などの事業)を除き、事業全体で7%以上とすることを目標としました。

 非財務目標のうち、「温室効果ガス排出量の削減」では、国際社会でも指標として使われているCI(カーボン・インテンシティ)を指標とすることにしました。なお、詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)気候変動対応(TCFD)」をご参照ください。

<設備投資計画>

 第3次中計期間での3ヵ年の設備投資計画は、次のとおりです。

 第3次中計は、『今日の当たり前』を支えながら、将来の戦略的優位性を確立する期間に位置付けられます。この基本的な考え方のもと、成長戦略とキャッシュ・フローを重視した計画とし、また短期リターン投資と中長期でリターンを得る投資のバランスを考慮し、策定しています。

<株主還元>

 株主の利益還元は、引き続き経営上の重要課題であると認識しており、中期的な連結業績推移及び見通しを反映した利益還元の実施を基本に、安定的な配当の継続に努める方針です。第3次中計期間中は、3ヵ年平均で、在庫影響除き当期利益の50%以上を「配当と自社株買い」で還元するとともに、安定的な配当継続に配慮し、22円/株の配当を下限とする考えです。

<次期の連結業績予想について(2023年5月公表)>

 石油・天然ガス資源価格の下落や経費の増加による石油・天然ガス開発事業の減益や前期に高騰していた石油製品等の輸出市況の下落を織り込む一方で、製油所の稼働回復に伴う輸出数量の増加や白油・輸出マージンのマイナスのタイムラグが解消するほか、前期に計上したカセロネス銅鉱山事業の評価損失の反転などにより増益の見通しです。前提条件に基づく次期の業績予想は下記のとおりです。

●前提条件(2023年4月以降)

 為替:130円/ドル、原油(ドバイスポット):80ドル/バーレル

 銅価:360セント/ポンド

 売上高:13兆4,000億円 営業利益:3,400億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,800億円

 なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、営業利益と同額の3,400億円と見込んでいます。

<ENEOSにおける高圧ガス保安法上の不備について>

ENEOSにおける高圧ガス保安法上の不備により、2023年6月9日付で経済産業省から、川崎製油所浮島北地区・浮島南地区への同法に基づく「認定完成検査実施者」(浮島北地区は、コンビナート等保安規則に基づく「特定認定完成検査実施事業者」を含む)の認定取消し処分を受けました。

 高圧ガス保安法に定める認定事業者として、厳しい自主保安管理が求められる中にあって、このような事態を招きましたことを深くお詫び申し上げます。

ENEOSでは、同様の事態を二度と繰り返さないよう、高い保安意識の徹底や保安管理体制の強化などの再発防止策の実施に全社を挙げて取り組んでいきます。

 また、グループ全体で、コンプライアンス遵守への取組みを再徹底・強化し、皆様の信頼を早期に回復できるよう努めていきます。

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