企業兼大株主日本高純度化学東証プライム:4973】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。なお、当社は単一セグメントです。

(1)経営方針

 IT社会は多様な産業に支えられていますが、日本が最も活躍している産業は、電子デバイスに必要とされる機能

 性材料を供給しているファインケミカル分野です。当社の主要製品である貴金属めっき薬品は、その機能性材料の一種であることから、当社はケミストリ(化学)を基礎に科学的に理論武装した独創的な製品により、社会課題と向き合い、多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業を目指します。

(2)経営戦略等

 当社は少数精鋭・ファブレス型・開発型企業として、貴金属めっきに特化して事業を発展させてきました。製造プラント等の生産設備は持っておらず、新規製品開発のためのマーケティング、それを実行するための技術開発及び営業活動に力を入れ、いち早く商品化を実現することで、市場のシェアを獲得してまいりました。設立50年を過ぎた今、コロナ禍を追い風にDX化等により急拡大する電子部品業界において、既存市場以外においても当社の技術で解決できる社会課題があることが、より鮮明になってきました。

 そこで当社は、自身の強みを堅持しつつ、新規事業領域や既存市場でのニーズをとらえて社会課題の解決につなげるべく、中長期ビジョン「RDD2030※」を策定し、2030年までの期間を3つのフェーズに分け、既存市場はもとより、新たな市場で評価される“日本高純度化学”へと進化していくことを目指しています。

※RDD2030= Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030

■中期経営計画

-ビジョン:RDD2030* :Team JPCでRedox技術を深化!進化!新化!

*RDD2030:Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030

-RDD2030で目指す姿:めっきで培ったRedox技術**により、ナノレベル***から豊かな未来を支える

** Redox:レドックス、reduction/oxidationの混成語で酸化還元の意

*** 1ナノメートル=10億分の1メートル

-戦略の方向性:めっき工程のトータルプロセスカンパニーへの変革

-事業戦略の基調テーマ:投資による事業拡大

(3)経営環境

 当社が主力基盤とする半導体・電子部品市場は、グローバル規模での発展を維持しており、当社の販売先であるメーカーの多くは、この広大な市場に適応するために、新技術を生み出す開発力を競い合っています。

 当社を取り巻くリスクについては、次項3〔事業等のリスク〕に記載の通りですが、パンデミックや気候変動等の「環境的リスク」、貿易制限や紛争・戦争といった「地政学的リスク」、重要原材料・重要部品の不足等の「経済的リスク」、輸送インフラ不全等の「技術的リスク」といった様々なリスクが見られる不透明・不確実な足元の経営環境の中でも、新型ウイルスによるライフスタイルの変革、脱炭素/省資源に伴うエネルギーシフト、データ通信量・容量の急激な増加等の「変わらぬメガトレンド」が存在し、当社が貢献できる社会課題は多数あると認識するとともに、中長期的にも、AIやロボットとの調和、スマートシティ、宇宙開発、ヘルステックなど、人々が豊かで幸せな暮らしを送る未来社会に向けて、当社の独創性、知的財産を活かした事業機会はますます広がっていくと考えています。

(4)対処すべき課題と対策

①営業力の強化

 デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションへの投資の拡大、自動車のEV化・電装化の進展に伴い、データセンターや高速大容量通信、生成AI・AI搭載機器、パワーデバイスなどを中心としたエレクトロニクス分野の需要が大きく拡大しております。この流れの中で、半導体をはじめ、各種ハイエンド電子部品のニーズが高まっており、これらの製造に不可欠な高性能・高品質なめっき薬品が求められております。

 当社では、こうした成長分野において国内外の主要顧客にタイムリーな製品提供を進めるとともに、省資源プロセスなど環境配慮型製品の提案、プロセス全体での性能向上提案など、積極的なマーケティング・技術提案を行うことが今後のビジネスを展開する上で重要と考えております。そのために、自社製品の開発だけではなく、表面処理薬品メーカーや装置メーカーとの協業体制を構築してまいります。また、国際的な学会発表や技術コンソーシアムへの参画、海外展示会への出展といった広報活動を通じて、新技術およびブランド認知度を向上させ、新規顧客の獲得と事業拡大を図ってまいります。

 一方、米国の貿易政策や地政学リスクの高まりから、主要顧客である電子部品メーカーの生産拠点が中国から東南アジアなど他地域へと移管される動きが加速しており、当社においても製品の供給体制、テクニカルサポート体制を顧客動向に対応させる必要があります。そのために、当社はグローバルなテクニカルサポート機能の拡充に取り組んでまいります。この取り組みとして、(キャリア採用による)海外営業人員を拡充するとともに、顧客との連携強化を目的とした技術情報・生産状況共有のためのデータベース構築を進めており、国内外を問わず高度なソリューションを提案するサポート体制の構築を推進してまいります。

 今後も、変化する市場環境に対して機動的に対応しながら、顧客との信頼関係をさらに深化させ、ビジネスの拡大を図ってまいります。

②技術開発力の強化

 当社の競争相手は、貴金属めっき薬品業界だけでなく卑金属めっき薬品業界も含みます。また、グローバル化が進んだ昨今では海外のローカルメーカーも台頭しつつあり、技術開発競争は一層厳しさを増しております。このような状況の中、貴金属めっき分野では顧客要望に対しタイムリーな改良に対応できるプロセス提案力及び車載向けや産業機械向け等の新用途開拓に向けた技術開発力の向上が不可欠となります。なかでもニッケル不使用プロセスをはじめとする次世代最終表面処理プロセスの実現にあたっては、貴金属めっき薬品に限定せず、前・後処理、装置等のニッチトップ企業との協力を含むプロセス全体での性能向上を達成し、めっき工程のトータルプロセスカンパニーへと変革していく必要があります。

 また貴金属/卑金属にこだわらず、業界として技術的に未完成なテーマを厳選して完成に向けた開発を推進していくことが重要と考えます。

 さらに当社は、めっきで培った酸化還元(Redox)の技術を活かし、既存の事業領域だけでなく新しい事業領域の創出を目指しており、中長期ビジョンRDD2030*のもと、電池材料開発を推進中です。従来のめっきだけに留まらない柔軟な思考力と技術開発力が必要となります。

 サステナビリティを巡っては、当社は貴金属や希少鉱物を使用する製造業であり、多くの化学物質を取り扱う事業の性質上、地球環境への配慮が不可欠です。環境負荷低減につながる製品開発、めっき工程におけるエネルギー使用量削減といった環境にやさしい製品づくりが重要な課題であると認識しています。

 このような状況の中、当社の数倍の技術陣容を有する競合薬品メーカーに対抗するためには、ユニークな発想を持ち視野の広い技術陣の育成が必要となります。能動型自律人材の採用と育成により、技術陣のレベルアップを実現し、開発力の強化を図ってまいります。同時に、当社単独では困難な技術開発やトータルソリューション力の強化を効率的に実施していくため、最適な外部連携及び協業を図ってまいります。

*RDD2030 = Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030

(5)目標の達成状況を判断するための経営指標

 生成AI向けは好調でスマートフォン向けも緩やかに回復したため、車載向けが下期に減速、産業機械向けの市場低迷の影響を受けつつも、営業利益は502百万円と前期比148百万円増加いたしました。さらに政策保有株式の売却を進めたため、当期純利益は1,579百万円と前期比1,031百万円増加し、2025年3月期のROEは11.3%と前期比7.4ポイント大幅に改善しております。詳細につきましては、「第一部〔企業情報〕第1〔企業の概況〕〔主要な経営指標等の推移〕自己資本利益率」をご参照ください。中長期のROE目標10%の達成に向けて、収益性の向上、資産の更なる効率化に取り組んでいく所存であります。

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