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【東証プライム:4689】「情報・通信業」
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企業概要
1. 経営の基本方針
当社グループは、"「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。"をミッションに掲げ、その実現を目指しています。
情報技術の発展により、人々はインターネットを介してあらゆる知識・情報の取得と、世界中に向けた情報発信が可能になりました。今後も人々は情報技術の活用によって様々な制約から解放されるとともに、新たな未来を創っていくと当社グループは考えます。
常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上に努め、人々や社会の課題を解決することに貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。
2. 目標とする経営指標
当社グループは主要財務指標として、全社の売上収益、調整後EBITDAおよび調整後EPS(注)を重視しています。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。
売上収益:全ての収益の源泉となるものであり、成長性および収益性、事業規模を表す指標として採用しました。
調整後EBITDA、調整後EPS:減価償却費及び償却費に加え、減損損失や企業結合に伴う再測定損益などの非経常かつ非現金の取引損益を除外することにより、経常的な収益性を把握できる指標として採用しました。
財務以外の主要指標として、ポータルサイトのYahoo! JAPANは1日あたりの利用ブラウザ数(DUB)等、コミュニケーションアプリのLINEは月間アクティブユーザー数(MAU)、DAU/MAU比率(MAUに占める日次アクティブユーザー数(DAU)の比率。アクティブ率)等をそれぞれ重視しています。そのほか、事業別の主要指標は以下のとおりです。
メディア事業:広告関連売上収益、「LINE公式アカウント」有償アカウント数等
コマース事業:eコマース取扱高等
戦略事業:PayPay(株)の「PayPay」取扱高、「PayPay」決済回数、PayPayカード(株)の「PayPayカード」クレジットカード取扱高、PayPay銀行(株)の銀行口座数等
(注) 調整後EBITDA、調整後EPSは、IFRSにおいて定義された財務指標ではありませんが、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として当該指標を採用しています。そのため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。
3. 中長期的な会社の経営戦略
(1)経営環境
近年、AIをはじめとするデジタル技術の飛躍的な進化により、社会のあらゆる領域でデータが価値の源泉となりつつあります。特に生成AIをはじめとする先進テクノロジーは驚異的な成長を遂げ、仕事、学習、日常生活といった様々な領域において、ますます重要な存在になりつつあります。今後、インターネットの領域はもちろん、医療、教育等の多くの産業に影響を与えるとともに、交通渋滞の緩和やエネルギーの効率的な利用、犯罪の防止等、あらゆる面でAIが用いられ、社会のあり方さえも大きく変容していくことが予想されます。
当社グループの展開する事業はメディア事業、コマース事業、ならびに戦略事業に大別されます。
メディア事業では、多様なメディアサービスを提供し、企業等の広告を掲載することで収益を上げています。(株)電通の発表によると、2024年の日本の総広告費は通年で前年比4.9%増の7兆6,730億円で、1947年に同社が推定を開始して以降、過去最高となりました。中でもインターネット広告費は前年比9.6%増の3兆6,517億円と、社会のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、日本の総広告費全体の成長をけん引しています。また、インターネット広告費の約8割を占めるインターネット広告媒体費は、ビデオ(動画)広告、特にSNS上の縦型動画広告の成長により、前年比10.2%増の2兆9,611億円となりました。インターネット広告媒体費は、検索連動型広告とディスプレイ広告の2種が全体の約6割強を占め、ビデオ(動画)広告は前年比23.0%増で全体の3割弱を占めています。
コマース事業では、eコマースを中心とした多様なサービスを展開しています。経済産業省の調査によると、2023年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は前年比9.2%増の約24.8兆円、物販系分野におけるEC化率は9.38%となりました。昨年に引き続き、消費者の実店舗回帰による「巣ごもり需要」の一服が継続したものの、市場規模は堅調に拡大しました。一方で、小売業における実店舗の役割の変化、また、ECと実店舗を融合させる取り組みも一層進んでおり、実店舗の特性を活かした実店舗とECの連携の動き、顧客体験の改善のトレンド等は加速していくことが予想されます。
戦略事業では、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。経済産業省の調査によると、2024年の日本のキャッシュレス決済比率は前年比3.5ポイント増の42.8%と政府目標である4割を前倒しで達成した一方で、諸外国との比較では依然として低水準にとどまっています。経済産業省は、80%まで上昇させることを目標としているため、日本のキャッシュレス決済市場は今後も拡大が予想されます。
(2)経営戦略
当社グループは、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供する、世界的にもユニークな企業グループです。当社グループの提供する多様なサービスから得られる豊富なデータは、当社グループならではのサービスを創り出すための重要な競争優位性となります。各サービスから得られるデータを横断的に活用することで、利用者一人ひとりに最適化されたサービスを提供し、さらに質の高い利用者体験の提供を目指します。また、豊富なデータ量と多様性あふれるデータ資産を持ち合わせた国内最大級のデータ所有者として、その能力を最大限に引き出し、社会全体の価値を向上させる企業を目指します。
また、当社グループの提供するサービスの多くが属するインターネット領域では、競合他社が積極的な投資の下、AIに代表される先端技術を応用した競争力のあるサービスを投入し、競争の激化が続いています。そのような環境下、持続的にサービスを拡大させ継続的な成長を図るためには、経営資源の戦略的な配分が重要となります。当社では、下記キャピタル・アロケーション方針に基づき、事業成長に向けたCAPEX投資やグループ内再編およびM&Aを実施する他、企業価値の最大化を目的として、安定配当や機動的な自己株式の取得を通じて株主還元も推進していきます。
キャピタル・アロケーション方針 (2023-2025年度累計概算値/金融業除く)
● ベース投資およびベース株主還元:5,500億円
- ベース投資:主に、既存事業の継続的成長を目的としたCAPEX投資やグループ内再編等の原資
- ベース株主還元:配当等の固定的な株主還元の原資
● 付加的投資および資本政策バッファ:5,800億円 (うち、約3,330億円は自己株取得に充当済
み、BEENOS(株)の株式取得に充当済み、LYST LTDの株式取得(注)に充当済み)
- 非連続な事業成長を目的としたグループ外M&Aや付加的投資に充当する他、自己株式取得に
よる株主還元にも充当
1. 自己株式取得:1,500億円(2024年8月5日-9月5日) / 1,162億円(2025年5月8日-6月4日)
BEENOS株式取得:約446億円、LYST LTD株式取得:約221億円
(注)欧米を中心にオンラインファッションプラットフォーム事業を展開する英国企業で、2025年4月18日付で
当社グループ会社 ㈱ZOZOが子会社化
(3)主要セグメントの基本方針
メディア事業
メディア事業では、日常に欠かせない多様なメディアサービスを提供することで多くの利用者を集め、広告により収益を上げています。ユーザーファーストの理念に基づき、必要とされるサービスを適切なタイミングで提供することに日々努めています。メディアとしての信頼性を高めることが、結果として中長期的なユーザー数の拡大、広告売上収益の拡大につながると考えています。
また当社は、「LINE公式アカウント」とLINEヤフーが保有する法人向けサービスを連携し、あらゆる顧客起点を一気通貫させ、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化させるプラットフォーム「Connect One」構想を進めています。今後は、ビジネスソリューション(広告プロダクト)を超えた、さらなる進化を実現していきます。
加えて、グループ横断有料会員プログラム「LYPプレミアム」によるクロスユースの促進を図っています。旧「Yahoo!プレミアム」で提供していた特典に加えて、「LINE」アプリがもっと楽しく便利になる特典を利用できるサービスを通して新規会員を獲得し、LINEヤフーグループのサービス利用の拡大を目指します。
コマース事業
コマース事業では、eコマース関連サービスを提供しています。国内最大級のユーザー基盤を持つ、「LINE」、「ヤフー」、「PayPay」の3つの起点をつなげ、グループサービス間のクロスユースを促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。グループサービスの特典を組み合わせた「LYPプレミアム」により、eコマース取扱高の拡大を図るとともに、「PayPay」や「PayPayカード」等の会員数および取扱高増加にもつなげています。また、2025年度下期から段階的にLINEアプリのリニューアルを予定しています。新たに「ショッピング」タブを追加することで、メッセンジャーアプリを起点とした購入体験を提供します。リニューアルを通じて、LINEの利便性向上と、さらなるクロスユースの促進強化に取り組みます。
戦略事業
戦略事業では、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。国内のQRコード決済市場において6割以上のシェアを占めるキャッシュレス決済サービス「PayPay」を起点に、クレジットカード、銀行、証券、保険等の様々な金融サービスの拡大を図ります。
4. 優先的に対処すべき課題
当社グループは、(3)2.の経営戦略を実行するにあたり、最優先課題として個人に関する情報(以下パーソナルデータ)の保護をはじめとするセキュリティの強化に取り組んでいます。横断的なマルチビッグデータの利活用を進める上で、最も大切な基本姿勢は利用者のパーソナルデータを尊重することです。当社グループは、プライバシーポリシーを策定し、同ポリシーに基づいて適切にパーソナルデータを保護していくことに努めてまいります。
なお、当社は①2023年11月に公表しました不正アクセスによる情報漏洩に関して2023年度に総務省から行政指導および個人情報保護委員会から勧告等を受け、また2024年度において総務省から追加の行政指導を受けました。加えて、②2024年11月に生じたLINEのアルバムにおいてサムネイル画像が正しく表示されない不具合に関して、2024年度において総務省より行政指導を受けました。多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者としての信頼を損なう重大な事態であると重く受け止め、再発防止を推進してまいります。具体的な再発防止策およびその進捗状況については、総務省および個人情報保護委員会に報告するとともに、当社のコーポレートサイトにおいて適時適切に公開してまいります。
<詳細および最新状況>
①不正アクセスによる情報漏洩
URL:https://www.lycorp.co.jp/ja/privacy-security/recurrence-prevention/
②LINEアルバムにおける不具合
URL:https://www.lycorp.co.jp/ja/privacy-security/announcement/016609/
当社グループは突発的な事故や自然災害等に対する施設面・業務面でのリスクマネジメントの徹底にも努めています。現代社会において、インターネットは生活やビジネスに欠かせないインフラであり、その中で当社グループの担う公共的な責任も年々増していると考えるためです。また当社グループは、コーポレートガバナンスを中長期的な企業価値の拡大に必要不可欠な機能と位置づけており、少数株主を含む全株主の利益に適う経営が実現できるよう、ガバナンス体制の強化に努めています。加えて、企業の社会的責任を果たすための取組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築および運用についても、一層の強化を図ります。
あわせて、企業の価値創造の源泉である人材のパフォーマンス最大化も、重要な課題のひとつです。そのため当社グループは、仕事に対する社員の意識や仕事の質のスタンダードを向上させる仕組み・制度の整備を進めています。当社グループでは、働く人の心身のコンディションを最高の状態にすることが最大のパフォーマンスにつながり、働く人自身とその家族の幸せにつながると考えており、代表取締役社長による「健康宣言」のもと、自律的な健康づくりを支援する部門を設置し、健康経営に注力しています。これらの取り組みの結果、経済産業省および日本健康会議による「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」通称「ホワイト500」に選定されました。今後も全ての社員が心身ともに最高の状態で仕事に向き合えるような環境整備に、継続して取り組んでまいります。
※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
(注)文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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