artience
【東証プライム:4634】「化学」
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企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当企業グループは、2024年1月1日より、商号・理念体系を新たにしました。新商号artience(読み方:アーティエンス、英語表記artience Co., Ltd.)は、「art」と「science」を融合した言葉です。artは色彩をはじめとした五感や心への刺激に加え、リベラルアーツの観点、scienceは技術や素材、合理性を表現しています。
新たな理念体系は、経営の基本的な考え方となるCorporate Philosophy(経営哲学)「人間尊重の経営」、ステークホルダーへの約束となるBrand Promise & Slogan(ブランドプロミス&スローガン)「感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来に挑む」「Empowering Feeling」、社員の活動の拠り所となるOur Principles(行動指針)から構成されています。この理念体系の中で、持続的に輝き続ける未来のために人々が心豊かに暮らすことのできる社会を実現したいという「存在理由」、さまざまな技術や発想をつなぎ社会が抱える課題を解決に導くために、自社だけではなくパートナーと協業しその力を組み合わせることで人々の心を充たす美しさ・快さ・安心を届けるという「私たちの役割」を明確にし、我々が今後世界に提供していくべき価値を「感性に響く価値」と定義いたしました。
当企業グループは新たな理念体系のもと、強みとすべくartとscienceを融合し磨き上げ、目で見えること、触れて感じること、あるいは製品の品質を通じて感じることなど、人々の感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来の実現に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
前中期経営計画においては、コロナ禍や急速な原材料高騰、ウクライナ紛争の長期化など大きな環境変化のなか、LiB用CNT分散体の事業の立上げなど今後の成長に向けた取り組みが進捗した一方で、既存事業の収益力やキャッシュフローなど業績・経営基盤には課題が残る結果となりました。
この様な状況下、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、artience株式会社と商号を変更するとともに、その目指す姿の実現に向けて新しい中期経営計画を策定しております。
当企業グループが成長の軌道に乗り、市場での存在感を発揮していくために、“GROWTH”を柱に、強い覚悟を持って変革を進めてまいります。
当企業グループは2029年12月期にROE10.0%以上を目標として掲げ、その過程として2026年12月期にROE7.0%以上を目標としておりましたが、8.0%以上に修正しております。なお、2026年12月期の売上高は4,000億円、営業利益は250億円を計数目標としております。
マテリアリティとしては、事業ポートフォリオの変革、資本効率とキャッシュフローの最大化、そして企業基盤構築とサステナビリティ経営実践を掲げております。
(3) 中長期的な経営戦略
2024年度、artienceとして新たにスタートを切るにあたり、新たな理念体系のもと、変革を着実に実行すべく2030年をゴールとした経営計画artience2027/2030“GROWTH”を新たに設定いたしました。本期間を通じて、「事業ポートフォリオの変革」「資本効率とキャッシュフローの最大化」「企業基盤構築とサステナビリティ経営」に取り組んでまいります。
2024年からの3年間をartience2027とし、3つの基本方針「高収益既存事業群への変革」、「戦略的重点事業群の創出」、「経営基盤の変革」に基づき、変革へ向けた取組みを進めてまいります。
「高収益既存事業群への変革」では、当企業グループの既存事業を成長事業、収益基盤事業、構造改革・戦略再構築事業に分類し、それぞれの位置付けに応じた変革を進めます。変革にあたっては、収益力の向上が期待される事業の拡大へ集中するほか、収益が伸び悩む事業については、大胆な施策による構造改革を実行してまいります。
「戦略的重点事業群の創出」では、車載用リチウムイオン電池材料、ラミネート接着剤をはじめとするモビリティ・バッテリー分野と、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料や光学用粘着剤、半導体向け材料などのディスプレイ・先端エレクトロニクス分野の2つの領域にグループの資源を集中し、新たな収益の柱となる事業群を創出してまいります。また、2030年以降を見据え、環境・バイオ・エネルギーを次世代事業と位置付け、戦略的に資源を配分し事業の拡大や創出へ向けた取り組みを進めてまいります。
「経営基盤の変革」では、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を基本とした経営資源の強化に取り組みます。その中でも、変革の起点と考える人的資本の強化や風土の醸成、資本効率性の向上へは特に注力してまいります。人・風土に対しては、各種制度の刷新や環境整備等を通じたエンゲージメントの向上、挑戦する風土の醸成に取り組みます。また、ROICなどの指標に基づいたマネジメントを進め、資本効率の向上に取り組んでまいります。そのほか、artienceサステナビリティビジョン、asv2050/2030を通じた社会的責任への対応、DXや生成AIの実践展開など、目指す姿の実現を支える経営基盤の変革を進めてまいります。
(4) 対処すべき課題
新中期経営計画「artience2027」の2年目となる次期連結会計年度では、各事業を以下の通り推進してまいります。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料の中国市場でのシェア向上へ、現地での生産体制の確立など、市場ニーズに合わせた重点施策を進めてまいります。光半導体用材料は着実に事業を拡大させていくとともに、次世代技術の開発や用途展開により更に事業の幅を広げていきます。また、車載用リチウムイオン電池材料は、中長期でのEVシフトの方向性は変わらない見通しのもと、事業環境を見据えながら欧•米•中•日での生産体制の確立を進めるとともに、新規採用の更なる獲得、負極用やLMFP用の導電助剤などの製品構成拡大により収益機会の多様化を進めます。これらと並行し、全固体電池など次世代技術の開発も推進してまいります。
ポリマー・塗加工関連事業では、中国•米国•インドを中心にニーズを捉えた粘接着剤製品の開発を進め、グローバル視点でのサプライチェーンの最適化と更なる生産増強を図ります。缶用塗料は、2023年に実施したM&Aの効果を拡大すべく、グローバルで拠点間のネットワークを強化してシナジー創出に取り組みます。また、エレクトロニクス関連材料は、半導体向け製品群の実績を拡大するとともに、パイロットプラントを活用した差別化製品開発と量産化技術の獲得を促進し、アライアンスやM&Aも視野に事業拡大を加速してまいります。
パッケージ関連事業では、インドや東南アジアなど、海外市場の成長の取り込みを進めてまいります。中国では更なる成長へ向けて生産・営業・技術を強化すべく拠点間の連携体制の再構築を進めます。トルコでは新工場を稼働させ、トルコ市場のみならずEMEA地域(欧州・中東・アフリカ)への展開も加速させてまいります。また、顧客ニーズに先行した環境調和型製品の開発や展開を進めてまいります。
印刷・情報関連事業では、国内の情報系印刷市場の縮小が継続するとの考えのもと、アライアンスなども含めた更なる効率化を進めてまいります。また、省エネニーズをとらえたUV及びLEDインキの拡販や、脱プラに貢献する枚葉インキ・機能性コーティング剤の展開を進め、海外市場への拡大と紙器パッケージ市場での製品展開を加速させてまいります。
このような事業活動に加え、持続可能な経営の実践として経営基盤強化への取り組みを進めてまいります。人事制度や人材育成体系の刷新、DE&Iの推進、ビジネスアイデアコンテストの実施などの諸施策により、エンゲージメントの向上や挑戦する風土の醸成を図るとともに、事業戦略と連動した人材確保の取り組みなど、人的資本の強化を進めてまいります。また、ROIC等の資本効率性指標の浸透を進め、事業活動での実践展開を図ります。さらに、artienceサステナビリティビジョン、asv2050/2030に基づき、環境負荷低減などの社会的要請に応える取り組みを継続していきます。デジタル変革においては、攻め・守りのDXの取り組み、素材開発や事業戦略への生成AIの実践投入など、製品開発やオペレーションの変革を進めます。また、新CIと理念体系の社内外への浸透に引き続き取り組み、新たなブランドの構築を一段と進めてまいります。
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