ラクオリア創薬
【東証グロース:4579】「医薬品」
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企業概要
(A)研究開発の概要
当社グループの研究開発部門が行っている研究開発の概要とその流れは、以下のとおりであります。当社グループでは、創薬標的分子(*)の探索から初期臨床試験(主として第Ⅰ相臨床試験、必要に応じて前期第Ⅱ相臨床試験)まで、博士・修士号を有した研究者を中心にこの業務を推進しております。
(B)当社グループの研究開発体制
当社グループは、豊富な知識と経験を有する研究員を有し、国内バイオベンチャートップクラスのインフラを最大限に活かした創薬研究開発体制を構築しております。
a)プロジェクトを中心とした研究開発体制
当社グループの研究開発体制は、組織横断的なプロジェクトを単位として運営されており、迅速な意思決定及び業務の遂行を可能にしております。実際の業務は、プロジェクト単位で協議し決定され、特に重要な方針に関わる場合は、プロジェクトから経営戦略委員会へ提案が行われ、その決定は速やかにプロジェクト活動に反映されます。
b)研究・開発・事業開発活動の一体化
当社グループにおいては、探索研究から開発そして導出に至るまで、プロジェクトチームが一貫して主体性を持ち、組織横断的に業務を実施しております。これにより、一貫した研究・開発、導出計画の下、必要な情報を随時共有し、適切な情報をタイムリーに導出先企業に提供することを可能としております。
(C)研究開発ポートフォリオ(*)による展開
当社グループの研究開発は、創薬の初期段階を担うものであり、少数の限られたプロジェクトを選択して経営資源を集中することにより、研究開発ポートフォリオ(*)を拡充し、製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出していくことに重点を置いたものであります。
医薬品開発は、研究開発のいずれの段階においても、安全性、有効性及び薬物動態(*)並びにその他の開発上の問題から中止される可能性があります。当社グループにおいては、探索段階から海外市場において上市済みのものまで、各段階のプロジェクトを保有しており、さらに、自社の探索研究から新たな開発化合物(*)を継続して創出する能力を備えていることから、複数のプロジェクトからなる研究開発ポートフォリオ(*)を拡充するとともに、開発リスクを低減し、より安定した事業の遂行を図りたいと考えております。
⑤ 導出活動
当社グループの導出活動は、内外の各製薬企業各社における医薬品として成功する可能性の高い高品質な化合物に対するニーズに対応するため、初期探索段階から臨床開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とし、機動的かつ柔軟な営業活動を進めております。
また、研究開発ポートフォリオ(*)は、各プロジェクトの特性と導出先である製薬企業各社等のニーズに応じて、日本・東アジア・米国・欧州等の地域ごとの導出、あるいは剤形(経口剤、注射剤、局所用剤)ごとの導出、さらには動物用医薬品用途での導出等、様々な形態で導出を図っております。
⑥ 当社グループの収益
当社グループの収益は、探索研究、前臨床試験及び初期臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)を製薬企業各社等に導出することにより獲得するものであり、その概要は以下のとおりであります。
収 益 | 内 容 |
契約一時金収入 | 導出または共同研究に係る契約締結時に、当社グループが提供するそれまでの研究開発成果の対価等として受け取る収入 |
マイルストン収入 | 契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)または売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入 |
ロイヤルティ収入 | 医薬品の上市後に販売額の一定割合(契約書に規定された料率に基づく)を受け取る収入 |
研究協力金収入 | 共同研究の期間中に提供する役務等の対価等として受け取る収入 |
⑦ 事業系統図
当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。
(2)当社グループの研究開発対象領域及び研究開発ポートフォリオ(*)
① 当社グループの研究開発対象領域
当社グループは、当社の前身であるファイザー社中央研究所から引き続き消化器疾患領域及び疼痛疾患領域を中心に研究開発活動を行ってまいりましたが、2014年より国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)に研究拠点を移した後は、幅広い疾患領域における魅力ある創薬テーマの研究開発に取り組んでおります。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。
② 当社グループのポートフォリオ(*)及び研究開発の状況
一般的に医薬品の研究開発は長期に渡って多額の資金を必要とされております。当社グループは、当社グループ保有の開発化合物(*)の研究開発投資において、パートナーシップに基づくオープンイノベーション型の研究開発を積極的に展開するとともに適切な選択と集中を行うことで、資源の有効活用を図っております。
具体的には、当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラムを「導出準備プログラム」、当社グループからの導出後に導出先が中心となって開発を進めるプログラムを「導出済みプログラム」と定義しております。また、探索研究段階においては、当社グループと提携先企業の双方が強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラムを「共同研究プログラム」と定義しております。
当連結会計年度末現在の主な「導出準備プログラム」及び「導出済みプログラム」、「共同研究プログラム」の状況は、以下のとおりであります。
(A)導出準備プログラム
当連結会計年度末現在の「導出準備プログラム」は、以下のとおりであります。当社グループは、これらのプロジェクトに関して一部導出済みの契約を除き、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利を有しております。
プログラム | 化合物コード (注)1 | 導出対象 地域 | 主な想定適応症 | 研究開発段階 |
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー (P-CAB) | RQ-00000004 (tegoprazan) | 日本 | 胃食道逆流症(*) | 第Ⅰ相臨床試験終了(日本) |
5-HT4作動薬 | RQ-00000010 | 全世界 | 胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 慢性便秘 | 第Ⅰ相臨床試験終了(英国) |
5-HT2B拮抗薬 | RQ-00310941 | 全世界 | 下痢型過敏性腸症候群(*) | 第Ⅰ相臨床試験終了(英国) |
モチリン受容体作動薬 | RQ-00201894 | 全世界 | 胃不全麻痺 機能性胃腸症(*) 術後イレウス | 前臨床試験終了 |
グレリン受容体作動薬 | RQ-00433412 | 全世界 | 便秘 がんに伴う食欲不振 悪液質症候群 | 前臨床試験実施中 |
TRPM8遮断薬 | RQ-00434739 | 日本 | 疼痛 | (注)2 |
IRAK-M分解誘導薬 | FIM-001 | 全世界 | がん | 前臨床試験実施中 |
(注)1.化合物コードは、RQ-(当社)、FIM-(ファイメクス株式会社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
2.日本以外の権利を導出しているXgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)により、前臨床試験が行われ、当連結会計年度末時点で豪州における第Ⅰ相臨床試験が進行中です。
(B)導出済みプログラム
当連結会計年度末現在、当社グループの導出済みのプログラムの状況は、以下のとおりであります。なお、契約内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。
[ヒト用医薬品領域]
プロジェクト | 化合物コード (注)1 | 主な想定適応症 | 研究開発段階 | 権利地域 | 導出先 |
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB) | RQ-00000004 (tegoprazan) | 胃食道逆流症(*) | 販売中(韓国、中国、フィリピン、インドネシア、メキシコを含む中南米諸国など、全15カ国) 審査中・承認申請準備中(ベトナム他) 第Ⅲ相臨床試験実施中(米国) | 日本を除く全世界 | HK inno.N Corporation (韓国) |
EP4拮抗薬 | RQ-00000007 (grapiprant) | 疼痛 | 第Ⅰ相臨床試験終了(中国)(注)3 | 全世界 | 株式会社AskAt |
がん | 第Ⅰ相臨床試験終了(米国) (注)4 第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) | ||||
RQ-00000008 | 変形性関節症、自己免疫疾患他 | 前臨床試験終了 | |||
5-HT4部分作動薬 | RQ-00000009 | アルツハイマー病 | 第Ⅰ相臨床試験終了 (注)4 | 全世界 | |
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬 | RQ-00317076 | 疼痛 | 第Ⅰ相臨床試験実施中(中国) (注)2 | 全世界 | |
CB2作動薬 | RQ-00202730 | 鎮痛等 | 第Ⅰ相臨床試験実施中(英国) | 全世界 | |
P2X7受容体拮抗薬 | RQ-00466479 | 慢性疼痛 | 第Ⅱ相臨床試験実施中(米国) (注)4 | 全世界 | 旭化成ファーマ 株式会社 |
特定のイオンチャネル(*) | - | 消化器領域 | 非開示 | 全世界 | EAファーマ株式会社 |
TRPM8遮断薬 | RQ-00434739 | 慢性疼痛 | 第Ⅰ相臨床試験実施中(豪州) (注)5 | 日本を除く全世界 | Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港) |
ナトリウムチャネル遮断薬 | RQ-00350215 | 慢性疼痛 | 非開示 | 全世界 | 久光製薬株式会社 |
タミバロテン | tamibarotene TM-411 SY-1425 | 高リスク骨髄異形成症候群 | 第Ⅲ相臨床試験実施中(米国) | 北米及び欧州 | Syros Pharmaceuticals, Inc.(米国) |
急性骨髄性白血病 | 第Ⅱ相臨床試験実施中(米国) |
(注)1.化合物コードは、RQ-(当社)TM-(テムリック株式会社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
2.Pfizer Inc.(米国)において、前期第Ⅱ相臨床試験を実施済みです。
3.Pfizer Inc.(米国)において、第Ⅰ相臨床試験を実施済みです。
4.2021年1月にEli Lilly and Company(米国)にサブライセンスされ、2022年11月より第Ⅱ相臨床試験が開始されました。
5.2024年5月に、Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)が第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。
[動物用医薬品領域]
プロジェクト | 化合物コード (注)7 | 主適応症 | 研究開発段階 | 権利地域 | 導出先 |
グレリン受容体作動薬 | RQ-00000005 (capromorelin、ENTYCE®、ELURA®) | 食欲不振(犬) | 販売中(米国) | 全世界 | Elanco Animal Health Inc. |
慢性腎疾患の体重減少管理(猫) | 販売中(米国、欧州、日本) | 全世界 | |||
EP4拮抗薬 | RQ-00000007 (grapiprant、GALLIPRANT®) | 変形性関節症(犬) | 販売中 (米国、欧州、日本他) | 全世界 | |
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬 | RQ-00317076 | 疼痛 | パイロットフィールド試験実施中 (注)8 | 全世界 | 株式会社AskAt /Velo-1, Inc.(米国) |
5-HT4作動薬 | RQ-00000010 | 腸管運動障害(犬・猫) | POC試験実施中 | 全世界 | Vetbiolix SAS |
特定の4化合物 | 非開示 | 評価中 | 評価中 | 全世界 | Velovia Pharma, LLC |
(注)7.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。
8.2022年7月にVelo-1, Inc.(米国)にサブライセンスされました。.
(C)共同研究プログラム
当連結会計年度末現在、製薬企業各社等との共同研究プログラムは、以下のとおりであります。なお、研究内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。
プロジェクト | 共同研究先 | 研究開発段階 |
当社化合物の難病・希少疾患への適応可能性の探索に関する共同研究 | ソシウム株式会社 | 探索研究段階 |
難病・希少疾患治療薬の創製を目指した細胞内抗体技術(STAND技術)の創薬応用の可能性検証 | STAND Therapeutics株式会社 | 探索研究段階 |
眼疾患治療薬創製に向けた共同研究 | 株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | 探索研究段階 |
メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子医薬品の創出に向けた共同研究 | 株式会社Veritas In Silico | 探索研究段階 |
膜タンパク質の3次元立体構造解析 | leadXpro AG | 探索研究段階 |
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