BASE
【東証グロース:4477】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営方針
当社グループは引き続き「Payment to the People, Power to the People.」のミッションのもと、個人及びスモールチーム、スタートアップ企業をエンパワーメントすることは変わらず、すべての人が活躍できる社会基盤を提供してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、対象顧客の拡大及びグループ独自の付加価値を向上させることにより、グループの価値創造の最大化を図ってまいります。
この価値創造を推進していくにあたり、中長期の経営方針として、既存プロダクトの成長及びシナジー創出に取り組むことを最優先にしながら、積極的なM&A及び提携等によりグループの非連続な成長を目指すことを掲げております。
<既存プロダクトの成長戦略>
① BASE事業
これまで通り、個人やスモールチームのエンパワーメントに注力する方針に変更はありません。GMV成長とテイクレート向上の両輪で成長させ、収益基盤としてグループの発展を支えてまいります。
2022年に月額有料プラン(グロースプラン)の提供を開始して以降は、テイクレートの向上により注力してまいりましたが、2024年12月期に実施した月額費用の値上げ等により、一定の成果を得られたことを受け、今後は、中長期的にGMVを成長させ続けるために、新規ショップ開設に改めて注力する方針です。
また、購入者向けショッピングサービス「Pay ID」については、BASEグループのショップ及び加盟店と、購入者双方に対するサービス及び機能の拡充により、「Pay ID」のショッピングアプリの収益化を実現し、BASE事業のテイクレート改善を目指してまいります。
プロダクト開発の方針といたしましては、越境ECや集客支援、ロジスティクス等の高付加価値な機能を、外部プラットフォームとの連携も実施しながら提供してまいります。特に、2024年8月に株式取得したwant.jp株式会社との共同開発により、「BASE」を利用するショップが誰でもかんたんに越境ECにチャレンジできる機能の提供を目指してまいります。
(注)「Pay ID」は、ID決済の提供により、購入者のショッピング体験をサポートするショッピングサービスで、登録者数は2024年12月現在、1,500万人を突破しております。
② PAY.JP事業
これまで通り、開発者が使いやすい競争力のあるプロダクトを追求し、プロダクトの付加価値向上を図ると同時に、料金体系の適正化や原価率の改善に加え、セールス&マーケティング等の強化により、引き続き力強いGMV成長と売上総利益率向上の両立に注力いたします。
③ YELL BANK事業
資金調達サービス「YELL BANK」は、BASEがショップの売上実績をもとに将来の売上を予測し、将来の売上債権を買い取ることで資金提供するサービスです。ショップは、商品が売れたときに支払い率に応じた売上金額を自動的にBASEに支払います。
さらに、2024年6月には、「YELL BANK」を「PAY.JP」の加盟店向けに横展開した「PAY.JP YELL BANK」の提供を開始いたしました。資金提供の仕組みは「BASE」のショップ向けと同様です。
このように、BASEグループ独自の資金調達サービスを「BASE」以外のプラットフォームにも横展開することにより、グループがエンパワーメントできる対象顧客の拡大を図ってまいります。
<積極的なM&A及び提携等によるグループの非連続な成長を目指す取組み>
引き続き既存事業の成長を最優先に追求しながらも、グループの非連続な成長の実現に向けて、積極的なM&A等による対象顧客の拡大と、「YELL BANK」の横展開等のBASEグループ独自のバリューアップにより、グループの価値創造の最大化を目指してまいります。
Eストアー社(注1)につきましては、2025年3月よりJG27(注2)がTOBを実施し、7月に当社がJG27からの全株式の譲受を予定しております。このEストアー社のM&Aにおいても、上記の方針のもとシナジー創出に注力し、テイクレートの向上を目指してまいります。
(注1)Eストアー社が提供する「Eストアーショップサーブ」は、ストアフロント型ネットショップの構築に必要な機能が盛り込まれた中小企業向けのSaaSシステムです。
(注2)JG27は、Eストアー及びコマース21の株式保有によるEストアー及びコマース21の事業活動の支配管理を主たる目的として、2024年12月24日に設立された株式会社です。
(3) 目標とする経営指標
当社グループでは、売上総利益(売上高から流通総額に応じて決済会社へ支払う決済手数料を控除した金額)の成長を重視した経営を行っております。
当社グループの主な収益は、BASE事業においては、BASEショップの流通総額に対して発生する決済手数料及びサービス利用料であり、PAY.JP事業においては、PAY.JP加盟店の流通総額に対して発生する決済手数料であります。そのため収益の源泉である流通総額の最大化と、さらに提供するサービスの高付加価値化及び売上原価の低減により実現される売上総利益の最大化を目指しております。
(4) 経営環境
国内の電子商取引(BtoC-EC)市場は、ネット上での販売商品の多様化、市場参加者の増加、物流事業者による配達時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増加等を背景に引き続き順調な市場拡大が見込まれております。経済産業省発表の「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」によると、BtoC-ECの市場規模は2023年時点で約24.8兆円(物販系約14.6兆円、サービス系約7.5兆円、デジタル系約2.6兆円)となっております。当社設立の2012年の市場規模は約9.5兆円であり、2012年からの10年間で市場規模は2倍を超え大きく成長しております。
また、昨今のSNSの普及により、購入者はネットショップで何らかの商品・サービスを購入する際に、その商品・サービスの販売者と直接交流をして商品・サービスの情報を取得したうえで、商品・サービスの「ユニークさ」や、ショップの世界観や販売者のパーソナリティに価値を見出して、購入するようになってきており、今後もSNSを活用した個人やスモールチームによる情報発信と個人同士のダイレクトな交流による商品販売の流れがさらに強まるものと考えております。
当社の「BASE」におきましても、オリジナル商品を販売するネットショップやブランド独自の世界観を有するネットショップに多数ご利用していただいており、今後想定されうる購入者の志向の変化にもタイムリーに対応可能であると考えております。
また、現在、電子決済普及拡大への取り組みは官民で非常に活発化しており、電子決済やキャッシュレス市場にとっては追い風が吹いている状況とも考えております。
2022年12月期においては、リオープニングに伴うオフライン消費の回復により、国内のオンライン消費が当社の想定以上に減速し、短期的には「BASE」にとって逆風の事業環境となっておりましたが、2023年12月期からは回復基調にあります。当社グループでは、こうした事業環境の変化にも機動的に対応し、現在の入手可能な情報に基づき最善の経営戦略を立案することで、企業価値の最大化に努めております。
(5) 対処すべき課題
上記の経営環境の下、当社グループが対処すべき主な課題として考える事項は以下のとおりであります。
① サステナブルな社会の実現
当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、インターネットテクノロジーによって、多くの方が必要としながらもまだ享受できずにいる決済や金融領域へのアクセシビリティを高め、これにより個人やスモールチームをエンパワーメントすることで、すべての人が活躍できる社会の実現を目指して企業活動を行っております。当社グループは、1日も早いミッションの実現を目指して、社会に開かれた決済・金融を提供するプラットフォーマーとしての責任と役割に向き合い、サステナブルな社会を実現するためにグループ全体を通じてESGに関する取組みを推進することが重要な課題であると考えております。
そのため、当社グループではサステナビリティ委員会を設置し、当該委員会においてサステナビリティに関する事項の審議、推進施策及び設定したKPIの遂行状況のモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告することで、ESGに関する取組みを推進する体制を確保しており、当連結会計年度は、PRIDE指標2024におけるゴールド認定取得やスコープ3(GHG排出量)の開示義務化に備えた一部カテゴリの算出及び情報開示等、DE&Iや気候変動関連の取組みを実施いたしました。
今後も、2022年に特定した当社グループの重点課題であるマテリアリティに関する取組みを中心に、ESGに関する取組みを推進してまいります。
なお、特定したマテリアリティは以下の通りです。
② トップラインの成長と収益性向上の両立
当社グループはこれまで、2025年12月期における営業利益の通期黒字化を目標に掲げておりましたが、グループGMVの増加及びYELL BANK事業の成長、全ての事業における収益性の改善に加え、売上原価の削減と販売費及び一般管理費の効率化等を継続的に実施してきた結果、当連結会計年度において、1期前倒しでの黒字化を達成いたしました。
今後につきましても、規律ある投資方針のもと売上総利益をさらに増加させるとともに、収益性を改善させ、グループ全体の価値創造の最大化を目指してまいります。
③ M&A等による非連続な成長戦略
当社グループはこれまで、BASE事業、PAY.JP事業及びYELL BANK事業(以下既存事業)がグループの柱となり、成長をけん引してきました。
今後につきましては、引き続き既存事業の継続的な成長を追求するとともに、強固な財務基盤を背景に、M&A等による非連続な成長を目指してまいります。
M&Aの対象となる企業は、グループの対象顧客を拡大するだけでなく、既存事業とのシナジー創出による収益性の改善を期待できる先を想定しています。対象企業の事業の成長も追求しながら、BASEグループへのグループジョインによって実現できる新たな付加価値の創出に取り組んでまいります。
④ 人的資本の強化
当社グループは、持続的な成長や事業価値の向上を実現する上で、人材は唯一無二の中核的な経営資源であると考えております。従業員が自身の仕事やキャリアに主体性を持ち、新たなスキル習得や業務改善に挑戦し続けることを支援することが重要であると考え、教育体制や人事制度の整備、具体的な人事施策の実施を行っています。
具体的には、各種研修の企画と実施、DE&I推進による多様性と公平性のある環境の整備、人材育成計画の企画と実施、育児支援策の導入などの取り組みを行っています。
これらを通じて、人材育成や自律的なキャリア構築を支援しています。
⑤ 開発力・技術力の強化
当社グループの事業はインターネット業界と深くかかわっており、競争力のあるプロダクトをEC市場へ提供していくためには、その情報技術やサービスをタイムリーに採用し、常に新しいプロダクトを創造し続けていくことが重要な課題であると考えております。
そのために、EC環境の変化や当社グループのサービス利用者の要望を効率よく吸収し、質の高いプロダクトを提供してまいります。
⑥ サービスの安全性・健全性の確保
当社グループは、取引の場や決済サービスを提供する事業者として、あらゆるステークホルダーが安心して取引を行うことができるよう、サービスの安全性・健全性を確保することが重要な課題であると考えております。
そのため、BASE事業においては、365日対応の専門部署を設置することはもちろん、当社グループが保有する取引データの機械学習の活用等による分析やクレジットカード会社の不正配送先データベースの活用、3Dセキュアの導入等による不正決済や不適切な商品の販売を検知・防止、ネットショップ運営者に対するログイン認証方法の強化等を実施しており、また、PAY.JP事業においては、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSSに完全準拠した運用でクレジットカード情報を管理することで、サービスの安全性・健全性の確保を図っております。
⑦ 情報管理体制の強化
当社グループが提供するサービスにおいては、サービス利用者の個人情報をはじめとした様々な情報を預かっており、これらの情報を適切に管理するための体制強化が重要な課題であると考えております。 そのため、当社グループでは情報セキュリティ基本方針や情報セキュリティ基本規程等の社内規程を制定し、これらに基づいて情報の適切な管理を徹底しております。
また、情報セキュリティ専門部署の設置や、全社員向けの情報セキュリティ研修実施による情報セキュリティ対策の強化を図ることはもちろん、情報セキュリティ委員会を定期開催して情報セキュリティ上のリスクの洗い出し及び議論を実施しております。
今後も、グループ全体の教育・研修の実施やシステムの強化・整備を推進し、情報管理体制を強化してまいります。
⑧ 内部管理体制の強化
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値の向上を図るために、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。
そのため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会を設置の上、業務運営上のリスクの把握及び管理の実施、役職員に対する定期的な研修等による啓蒙活動の実施、定期的な内部監査の実施等によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図っております。
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