第一工業製薬
【東証プライム:4461】「化学」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しています。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。この創業精神に則り、当社グループは、事業環境の急速な変化および市場の多様化に対応し、持続的な企業価値の向上を図ります。翌連結会計年度より従来の材料別6セグメントから、分野別の「電子・情報」、「環境・エネルギー」、「ライフ・ウェルネス」、「コア・マテリアル」の4セグメントへと開示セグメントの区分を変更します。これにより、各分野の特性に即した戦略立案を可能とするとともに、ステークホルダーの皆様に対する当社事業内容の理解促進、ならびに経営資源の効率的な管理・分析を通じた事業運営の高度化を図ってまいります。
<各事業セグメントの方針>
■ 電子・情報
・次世代高速通信に対応した低誘電材料の拡販
・技術トレンドに沿ったディスプレイ向け先端材料の開発促進
・独自技術を生かした次世代半導体材料への新規参入
■ 環境・エネルギー
・サステナブル社会実現に貢献するリチウムイオンバッテリー関連材料の開発
・電動化、電装化とともに循環社会に貢献する樹脂材料で拡大
・再生可能エネルギーの推進に貢献する太陽電池用材料の拡大
■ ライフ・ウェルネス
・認知機能維持をサポートする機能性表示食品「冬虫夏草」の拡販
・界面活性剤の技術を基盤に、食品添加物、香粧品、クリーニング用薬剤、においビジネスの拡大を図り、新しい用途への素材開発を推進
■ コア・マテリアル
・脱炭素社会へ貢献する環境負荷の少ない天然由来原料の活用
・コア技術である界面技術を注力分野3分野へ展開
・伝統ある製品・技術が産業界の基盤強化と発展に寄与
中長期的な成長を見据えた柔軟かつ持続的な経営基盤の構築に努め、安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。「こたえる、化学。」をミッションに掲げ、当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。
社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社は、2025年4月より、5カ年中期経営計画「SMART 2030(スマート ニイゼロサンゼロ)」を始動しました。2030年度の業績目標を設定し、持続的な企業価値の向上を目指しています。
本計画においては、以下の基本方針のもと経営体制および事業運営の強化を図ります。
1.事業運営体制の強化
事業本部制を導入し、営業部門および研究部門が一体となった分野別の事業部を設置しています。これにより、顧客課題への迅速な対応および新規開発テーマへの取り組みを可能とする体制を構築し、併せて、事業責任の明確化を通じた機動的な組織運営を推進します。
2.研究開発体制の強化
経営直轄組織として「生産技術研究所」および「京都中央研究所」を設置し、研究開発力の強化とスピードアップを図ります。取り組むテーマを短期および中長期に区分し、開発期間の短縮を図ることで、事業効率および競争力の一層の向上に取り組んでいます。
3.人事制度改革と人財育成の推進
新たな人事制度を導入することで、労働生産性の向上を図っています。成果を正当に評価する制度の構築により、社員一人ひとりの成長が企業の成長に直結する仕組みを整備するとともに、挑戦する社員を賞賛する企業風土の醸成を進めています。
また、当社は、従業員の健康保持・増進を重要な経営課題と捉え、「健康経営」の推進に取り組んでいます。その成果として、経済産業省および東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に連続で選定されています。これらの取り組みについては、執行役員が出席する委員会・会議において結果報告および計画の承認を受ける体制としており、企業の生産性ならびに企業価値の更なる向上を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年4月から開始した中期経営計画「FELIZ 115」の5年間が終了しました。わが国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境の改善が見られ、緩やかな景気回復となりました。しかしながら、世界的な資源価格の上昇や原材料価格の高止まりが続いており、円安の進行や物価高騰に伴う消費マインドの変化、海外からの安価な化学品が流入するなど、経済の先行きには依然として不透明感が残っています。
このような状況のもと、中期経営計画「FELIZ 115」の5年目は、継続した価格転嫁とともに、好調なハイエンドサーバ向けの製品の需要が好調を維持し、最高利益の達成となりました。
4月から始動する新中期経営計画は、「SMART 2030」と名付けました。「ユニ・トップ」、「サステナビリティ」、「チャレンジ」の3つをキーワードに、本計画を通じ、社会のさまざまな課題を解決するスマート・ケミカルパートナーを目指してまいります。本計画がぶれる要素としては、原材料価格及びエネルギーコストの高騰、金利の上昇、経済市況の悪化に加え、地政学リスクの継続が考えられます。
なお資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については以下のとおりです。
当社グループのPBR(株価純資産倍率)は、2025年3月期末時点で、市場環境の影響により1倍を下回っています。PBR改善に向けては、資本効率の向上に加え、事業ポートフォリオの見直し、成長投資の推進、株主還元の充実、IR活動による市場との対話に取り組み、株主価値の持続的な向上を図ります。
中期経営計画「SMART 2030」では、ROIC(投下資本利益率)を重要指標としています。今後もWACC(加重平均資本コスト)を上回るROICと投資収益を確保し、企業価値の向上に努めます。
配当については、事業成長に必要な内部留保とのバランスを図りつつ、長期的かつ安定的な配当を基本方針としています。「SMART 2030」計画の2030年3月期の連結配当性向を高めることを目標とし、積極的な株主還元を実施してまいります。内部留保は、国際競争力の強化や将来の成長に向けた投資に活用し、企業価値の増大を図ります。
(4)経営環境
当連結会計年度は、世界的な資源価格の上昇や原材料価格の高止まり、円安の進行や物価高騰、海外からの安価な化学品が流入するなど、経済の先行きには依然として不透明感がある中、価格転嫁、高付加価値製品拡販により、過去最高の営業利益となりました。
2025年4月からスタートする中期経営計画「SMART 2030」において、研究開発の強化とスピードアップにより競争力を高め、営業と研究を一体化した事業本部制を導入します。生産技術研究所、京都中央研究所など新組織を設立し、重点分野で技術革新を推進します。新人事制度で成果を正当に評価し、挑戦を称える企業文化を醸成します。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。
第1に、研究開発・事業体制の整備を行い、競争力強化を図ります。研究開発の加速と営業との一体化によって、顧客ニーズに迅速に対応できる「事業本部制」を導入し、注力分野(電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネス、コア・マテリアル)での技術革新を推進します。さらに、生産技術研究所、京都中央研究所で短期・中長期のテーマに基づく開発強化を図ります。
第2に、人事制度改革を通じて人財を最大限に活用し、企業文化を変革します。新人事制度を導入し、チャレンジした社員が賞賛される組織風土を醸成します。
第3に、ライフサイエンス事業の早期黒字化と市場拡大を進めます。BtoC製品の拡販に注力しつつ、脱臭・消臭技術の応用展開や医薬品GMPをはじめとする受託事業を強化し、収益化を図ります。
2025年度は中期経営計画「SMART 2030」の初年度であり、当社グループが企業価値のさらなる創造を目指して本格的な変革に踏み出す重要な一年です。本年度の年間標語には「付加価値を産み出す企業へ」を掲げ、変革への強い意志を表明しています。「ユニ・トップ」「サステナビリティ」「チャレンジ」の3つをキーワードに、行動規範を整備し、人財の充実に取り組むとともに、人的資本を含む無形資産の最大化と企業の持続的成長を連動させることを基本方針としています。
さらに、サステナビリティ開示の充実に取り組みます。気候変動、人的資本、人権尊重などの課題に対処するための活動を拡充していきます。
地球温暖化や資源の枯渇などの環境問題、また少子高齢化などさまざまな社会課題が私たちの暮らしを取り巻いています。当社は、環境や生活の安全性や快適性などを高めるため、「こたえる、化学。」を追求します。
今後とも当社グループへのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
(免責・注意事項)
本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等
に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般
的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら
見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。
従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。
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