セーフィー
【東証グロース:4375】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、家から街まであらゆるビジネスシーンの映像をデータ化することで、人々の意思決定を支援するクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を開発・提供しております。「Safie」は高画質・安価・安全で、誰でも簡単にスマートフォンやパソコンで使える防犯カメラサービスであり、優位性の高い製品・サービスやアプリケーション、ソリューションが開発・提供されることで、小売・飲食・サービス・建設・物流・製造・インフラ・公共・医療などの幅広い業界の「現場DX」を支援しています。
加えて、映像、クラウド、AI技術を駆使し、またAPIを通じて様々な開発パートナーがデータ連携をできるオープンなプラットフォームを構築することで、一人一人の日々の意思決定を迅速かつ効果的に行える世界の実現を目指してまいります。
(2)当社グループの強み
① 商品の優位性とそれを支える技術力
「Safie」は従来の防犯カメラサービス(注)に比べ、高画質、高セキュリティで低価格なサービスとして、多様な用途で、様々な業界の顧客に活用いただいております。
このサービスを支えるのは、ユーザー視点を考慮したUI/UXとそれを支える技術力です。ウェブサービス・アプリケーションのエンジニアのみならず、膨大なデータを効率的かつ安全に処理するサーバーエンジニア、様々なデバイスを「Safie」とつなげる組み込みソフトを開発するデバイスエンジニア、AIを用いた画像解析を開発する役割や他社のAIソリューションを「Safie」につなげる役割を担うAIエンジニアと多様な異才が一体となってサービスを開発・提供しております。
創業以来、膨大な映像データをクラウドに安定的に保存し、効率的に配信し、APIを活用して他社との連携を構築してきた技術力と独自の仕組みが競争力の源泉であり、継続的なサービス品質・競争力の向上に向けて、新技術の開発や製品・サービスの改善を追求し続けております。
(注)アナログデータを出力するアナログカメラや、設置場所に録画装置を必要とするネットワークカメラを用いた防犯カメラサービス。
② あらゆる業界の顧客基盤
当社グループのサービスはさまざまな業界の大手企業から中小企業で活用されており、従来の「防犯」用途だけではなく、現場運営の生産性向上を目指した業務改善や売上向上を目指したマーケティング施策に役立てられています。
例えば、飲食チェーン企業においては、各店舗に設置したカメラを本社で一元管理し、複数の店舗映像を同時に確認・比較することで、接客オペレーションの実態を把握し、改善に当社グループのサービスを活かしています。また、建設会社やハウスメーカーでは、本社のベテラン社員が、全国の施工現場に設置されたカメラを使って、現場の状況をリアルタイムで確認し、指示を出すことで、移動時間や作業時間の短縮、そして施工品質の維持を実現しています。
当社グループのサービスは小売・飲食・サービス・建設・物流・製造・インフラ・公共・医療などのさまざまな業界での活用が見込まれていますが、各業界が抱える課題は異なります。そこで当社グループとしては、業界ごとの課題に対する理解を深め、その課題を解決するための製品・サービスを提供することで、さまざまな業界の「現場DX」を推進し、事業の拡大を進めています。
③ プラットフォームの拡張性と豊富な製品・サービスラインナップ
当社グループが提供するプラットフォーム上には既に約30万台のクラウドカメラから送られる膨大なデータが集約され、簡単かつセキュアにデータ連携やAI活用が可能となっております。顧客の膨大な映像データは当社グループが契約するクラウドサービス上で管理されておりますが、当社グループの利用規約において録画映像の知的財産権はそれぞれの顧客に帰属し、当社グループはこの映像を閲覧することはできない仕組みになっており、顧客の映像データは安全に管理されております。ただし、顧客からの個別の同意のもと、適切な認証プロセスを経た上で、当社グループや開発パートナーに映像を共有いただくことで、様々な新サービスの開発検討に活かすことがあります。またAPIを通じて開発パートナーが「Safie」サービスとデータ連携を行うためのアプリケーションの開発や連携を行うことや、「Safie」の組み込みソフトをデバイスメーカー等に提供することで多様な他社機器と連携することが可能です。また、映像データをAIで解析したソリューションを生み出すことが容易にしやすくなり、クラウドとAPIやAIを活用したプラットフォーム基盤の構築が進んでいます。
当社グループは創業以来、あらゆる業界の異なるニーズに応えるため、顧客からのフィードバックを活かしながら、デバイスおよびソリューションラインナップを拡充し続けてきました。主に建設業界で活用されているウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket」シリーズは、現場に行かずとも遠隔から現場監督業務を実現したいというゼネコン各社の要望に応え開発・提供が開始されました。
また、2022年9月に提供開始した「Safie One(セーフィー ワン)」、2024年3月に提供開始した「Safie GO PTZ AI(セーフィー ゴー ピーティーゼット エーアイ)」のようにエッジAIを搭載しているカメラは、単純な防犯カメラとしてのサービスではなく「かしこくなるカメラ」として後から追加機能を付加することができ、様々な社会課題を解決するためのソリューションへ進化させていくことが可能となります。
当社グループのサービスを導入済みの顧客からはそのサービスの利便性と拡張性を高く評価されております。数店舗の導入からの全国店舗への導入拡大や、防犯用途で導入されたのちに、マーケティング用途やオペレーション改善を目的とした追加導入など、既存顧客からの多様なリピートオーダーが創出されております。
④ 販売力と強固なデリバリー体制
当社グループでは、展示会やwebサイトを活用したデジタルマーケティング等を通じて流入した企業への営業を中心とする直販営業網と、販売パートナー各社を通じた拡販が可能な営業網を有しております。双方の商流を活用することでクラウドモニタリング・録画サービス市場における稼働台数のシェアNo.1を獲得しています。
直販営業網では、営業組織の強化を進め各業界の大手顧客とのリレーションを築き取引を拡大させてきたことで、2022年以降は毎年、30%以上の成長率を誇っています。
販売パートナーとしてはNTTグループ、Canonグループ、SECOMグループを筆頭に、全国数千人規模の営業員や顧客ネットワークをもつ大企業の強みを活用した効率的な営業網を構築しております。販売パートナーと密に連携し、販売パートナーの事業成長にもコミットすることで当社グループの安定成長も実現しています。また、当社グループが直販営業で培った顧客セグメントごとの販売ノウハウを販売パートナーに共有をしたり、販売パートナーのブランド力を活かして販売パートナー独自の名称でサービス展開をしたり、販売パートナー各社の商材ともAPIで連携して独自商材をつくるなど、お互いの強みを活かして補完し合う協業を行っております。
販売パートナーとの収益モデルは、当社グループから販売パートナーへカメラやクラウドサービスを販売し、販売パートナーがそれぞれの顧客へ再販するモデルとなっており、当連結会計年度の当社グループ売上高における販売パートナーへの売上高割合は55%となっております。
また、大手企業や中小企業からの多様なニーズに応えるためのデリバリー体制も強化しています。当社グループでのカメラの導入に伴う設置工事件数は年々増加しておりますが、大規模な大型案件の受注にも耐えられる体制を整えております。さらに、当社グループのセーフィーベンチャーズ株式会社からの出資企業をはじめとするスタートアップ企業との協業により、クラウドカメラ以外のデバイスやサービスまで、当社グループが提供可能なサービスラインナップを拡充し、顧客が有する個別のカスタマイズニーズにも対応可能なシステムインテグレーション機能も強化しています。
⑤ 高い安定性を誇る財務・収益モデル
当社グループの中核サービスであるクラウド録画サービス「Safie」の課金モデルは、継続収入が見込めるリカーリング型の収益モデルとなっておりますが、このサービスの起点となるカメラは顧客に販売されるため、当社グループの売上高の構成は、リカーリング収益のみならず、スポット収益も伴います。スポット収益にはカメラ等の機器販売や設置工事費などが含まれ、リカーリング収益には、クラウド録画サービス、画像解析サービス、一部のカメラのレンタルサービスやLTE通信費などが含まれております。
カメラ1台当たりの収益構造として、導入時にスポット収益が発生し、その後毎月クラウド録画サービスや画像解析サービスなどのリカーリング収益が発生するため、カメラが継続利用されると最終的にはリカーリング収益のほうがスポット収益よりも大きくなる構造になっております。
当社グループはリカーリング収益をより重視しており、その達成状況を判断するための経営上の指標はARR(注1)とし、2023年12月末は9,370百万円、2024年12月末は11,937百万円となっております。また、ARRに関連する指標として、MRR(注2)及び課金カメラ台数(注3)を注視しております。課金カメラ台数は2023年12月末時点で23.4万台、2024年12月末時点で29.3万台と増加しております。
また当社グループの顧客からは、追加のカメラ導入や画像解析サービスが発生しており、2024年12月期において当社グループの直販NRR(注4)は111.2%、販売パートナーNRR(注4)は125.9%、全社平均月次解約率(注5)は0.9%になっております。
(注)1.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出。
2.MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。MRRは対象月末時点における継続課金となる契約に基づく当月分の料金の合計額(販売代理店経由の売上含む)。
3.課金カメラ台数:各四半期に販売したカメラ台数ではなく、各四半期末時点で稼働・課金しているカメラ台数。
4.NRR:Net Revenue Retentionの略称。直販NRRは、「2023年12月末時点における直販課金顧客から生じる2024年12月末時点における直販MRR」を「2023年12月末時点の直販MRR」で除して算出(販売パートナーからのMRRは含まない)。販売パートナーNRRは「2023年12月末時点における販売パートナーから生じる2024年12月末時点におけるMRR」を「2023年12月末時点の販売パートナーから生じるMRR」で除して算出。
5.平均月次解約率:前月末における課金カメラ台数に占める、当月中に解約に伴い減少した月額課金台数の割合の過去12ヶ月平均値
⑥ 企業文化
当社グループは「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、それを実現するため、7つのSafie cultureを行動指針として定義しております。このcultureに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感を持つ組織を実現しております。
7つのculture
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的に安定して売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そのため、達成状況を判断するための経営上の指標としてARRを重視しており、2023年12月末は9,370百万円、2024年12月末は11,937百万円となっております。また、ARRに関連する指標として、MRR及び課金カメラ台数を増やしていくことが重要であると考えております。
(4)経営環境
現在、日本が抱える少子高齢化・労働人口減少の問題は地方でも都市部でも顕在化しており、2040年には働き手が現在の8割になるという「8掛け社会」が到来する(注1)と推定され、人々の生活に多大なる影響を及ぼすと考えられています。特に現場を持つ業界では顕著であり、建設業界では必要な労働力が22.0%、小売業界の販売職では24.8%不足(注2)すると予測されています。
このような労働力不足に備え、デジタル庁は業務の生産性を高め技術革新を促進することを目的に、デジタル技術の活用・業務効率化を妨げる「アナログ規制」を見直す方針を公表、規制の緩和・撤廃が進んでおり、AIやIoTを含んだデジタル技術の活用が促進されています。また、このような現場業務を機械やロボットで代替する動きが広がり、省人化や自動化が進むにあたり、クラウドカメラの活用や映像データの解析・分析によるデータ利活用が広がっています。
さらに、少子高齢化・労働人口減少の社会課題を解決するため、生成AIをはじめとするAI技術の社会実装にも期待が集まっています。例えば、経済産業省はデジタル社会の実現を目指し、半導体やAI技術への積極的な政策資源の投資を進めています(注3)。北海道や熊本県に設立された半導体工場に対し1兆円を超える支援を行っており、また、AI向けの計算資源を国内に整備し提供を行う事業者への支援や、生成AIの基盤モデルの開発者に対する計算資源の提供支援を行っています。
そのような環境下で加えて、当社グループが特に注力する業界である建築・住宅・インフラ業では、2024年6月に厚生労働省が「目視規制」について、デジタルツールを活用した「遠隔巡視」を可能とする旨の通知を行いました(注4)。当社グループが提供する屋外向けクラウドカメラやウェアラブルクラウドカメラを活用することで、事業者の負担を軽減し、かつ安全性を確保する「遠隔巡視」の広がりが期待されています。また、小売・サービス業においては、これまで人による対面接客を基本としてきた中、クラウドカメラやAIソリューションを活用することで、店舗運営の効率化や生産性向上を可能にし、データを基にした店舗マーケティング施策の実施によるデータドリブンな運営が進みます。これにより、利用者にとってもより安心で利便性の高い省人店舗を提供し、満足度向上に寄与することができます。
(注)1.出典元:リクルートワークス研究所:「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」
2.労働供給不足率=2040年時点での労働供給÷2040年時点での労働需要
3.出典元:経済産業省:「デジタル社会の実現に向けて」(2024年1月)
4.出典元:建設業労働災害防止協会:「令和5年度 ICTを活用した労働災害防止対策のあり方に関する検討委員会報告書」
(5)中長期的な会社の経営戦略
① ユーザー基盤のさらなる拡大
当社グループは、2024年12月末における課金カメラ台数を29.3万台とし、創業以来、順調に売上を拡大し続けております。しかしながら、日本国内に存在するカメラ台数だけで見ても、「Safie」の導入率は未だ低水準であり、潤沢な開拓余地が残されていると考えております。加えて、グローバル及び他の映像デバイスへの広がりを考えると「Safie」の接続デバイス数及び課金カメラ台数の増加余地は膨大に存在しております。
近年の防犯や安心・安全ニーズの高まりを受け、ネットワークカメラの設置需要も拡大してまいりました。日本国内における既設(オンプレミス)カメラ市場は2028年には900万台程度の稼働台数(注1)と試算され、現時点で弊社にて見積もれるネットワークカメラの国内市場は約4,000万台、グローバルでは2028年には約5億台程度になると推計(注2)しており、今後もさらに成長していくと考えております。またドライブレコーダーやドアホン、ロボットなど様々な映像デバイスに「Safie」を搭載し、また接続することができるため、潜在的な市場はカメラ以外にも見込まれております。
「Safie」はあらゆる業界で活用されていますが、特に、小売・サービス業と建設業での利用が進んでいます。建設業では、2024年4月から適用された「時間外労働の上限規制」を受け生産性向上が喫緊の課題となっており、屋外向けクラウドカメラ「Safie GO」シリーズとウェアラブルカメラ「Safie Pocket」シリーズの導入が拡大しております。これらを活用することで、現場全体の進捗管理や現場巡回管理を遠隔から実施でき、現場業務のDXを進めることができます。加えて、現場の出退勤管理には、顔認証クラウド入退室管理システム「Safie Entrance」シリーズ、安全管理には重機やクレーンとクラウドカメラを組み合わせたサービス、さらにドローンカメラの映像を「Safie Viewer」で一元管理できる映像伝送ルータ「Safie Connect」など、新しいソリューションを次々と展開し、それらを活用した現場DXを加速させることができます。
また、小売業では、労働力不足に加えて、効率化や生産性向上を可能とするデータドリブンな店舗運営を目指すなかで、万引き抑止や需要予測に基づくロス削減、生活者の購買体験の価値向上など多岐にわたる課題が浮上しています。2022年9月には当社グループ初となるエッジAI搭載カメラ「Safie One」を発売しました。その「Safie One」内にアプリケーション「AI-App」をインストールすることで、内包される各機能から来店人数や混雑具合を可視化し、オペレーション改善やマーケティング施策に活かすことが可能となります。「Safie One」は「AI-App」をはじめとし、ユーザーが使用したいアプリケーションをインストール可能な設計になっており、ユーザーのニーズに即した活用が可能になります。
小売業以外にも、倉庫や工場現場のIoT化が進む物流・製造業、安心安全なスマートシティ構築のための公共やインフラ業、現場の見守りや安全管理が必要となっている介護・医療業界など新しい業界での当社グループのサービス導入が広がっております。
国内の販売戦略は、直販営業による顧客ニーズを把握し、それに基づいた販売手法を確立することから始めます。その後、この手法を業界ごとの販売パートナーと協議して洗練させ、展開することで、当社グループ単独で行うよりも、はるかに迅速かつ多くのお客様にアプローチすることが可能になります。また、顧客ニーズを直接把握することで、製品開発へのフィードバックを効率的に行い、より使いやすいサービスに継続的にアップデートを行うことで、より長くお客様にご利用いただけるように努めております。今後は、対象となる業界をさらに広げ、さまざまな現場に合わせたソリューションやアプリケーションを増やしていき、それを販売パートナーへも展開することで成長を加速させていきます。
(注)1.日本国内における監視/モニタリングカメラ稼働台数は、矢野経済研究所「2024年度版監視カメラ市場予測と次世代戦略」において監視/モニタリングカメラの使用年数を5~7年と仮定しつつ、取材で得た情報を基に算出された矢野経済研究所による推計値。
2.グローバル総稼働台数は、国内の総稼働台数に係る矢野経済研究所の算出方法を参考に、その年を含む過去5年間の矢野経済研究所の推定による出荷台数の合計値として算出した当社グループ試算値。
② クラウド録画型映像プラットフォームとしての価値向上
当社グループは、拡大したカメラユーザー基盤からクラウドに保存される膨大な映像データを活用し、さらに便利なサービスをお客様に提供する好循環を生み出しています。クラウドに保存される映像データは、映像データの知的財産権を有する顧客からの適切な承諾を得た上で、AIによる画像解析の貴重な教師データとなり、このデータを活用することで、新しい画像解析サービスや画像解析の精度向上が可能です。結果、商用利用可能なレベルの精度を持つAI画像解析サービスをエンドユーザーに提供できるようになります。
「Safie」に、継続的に新しい画像解析機能などが追加され、使いやすさが増すことで、利用者数が増え、それに伴って映像データが集まる好循環を生み出しております。
お客様は「かしこくなるカメラ」として追加機能を簡単に利用でき、開発者・ソリューションサプライヤーはOpen APIを通じて簡単にデータにアクセスできるようになります。これにより、当社グループは客単価の増加や解約率の低下を見込んでいます。このエコシステムがネットワーク効果を生み、ユーザーの拡大が多様なソリューションの開発・提供につながり、さらに多くのユーザーを引き寄せる好循環をもたらし、「Safie」の成長を支える要因となります。
さらに、ネットワークカメラにとどまらず、マルチデバイスのデータを取得することも可能です。映像に加えて、音声や自然言語の時系列データなど、さまざまな種類のデータを解析する基盤として活用できます。今後、IoTやAI技術の進展とともに、「Safie」が活用される機会はますます増えていくと考えております。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 優秀な人材の採用と育成
当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。特に経営戦略の実現の中で、業界ごとの顧客ニーズを正確に把握し、業界別のソリューションを開発していくことが重要と考えており、顧客ニーズを適切に把握できる営業や開発の人員を強化していくことが必要であります。当社グループのミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組んでまいります。
② 情報管理体制の継続的な強化
当社グループは多くの個人情報を扱っており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えております。経営方針に従って「映像から未来をつくる」ため、当社グループは膨大な顧客の映像データを管理することになり、プラットフォーマーとしての健全性を強く求められると認識しております。当社グループで取り扱う映像データは個人が特定できる鮮明な画像であることが多く、原則として個人情報に該当するため、現在も個人情報保護に係る施策には万全の注意を払っておりますが、今後も社外有識者との会議を含め、社内体制や管理方法の強化・整備を行ってまいります。
③ 技術力の強化と追加サービスの展開
大量の映像データの処理及び解析に係る技術力は当社グループの競争力の源泉であり、事業の成長を支える基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えております。優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリング等を通じて、技術力の向上に取り組んでまいります。
また映像プラットフォームとしての価値向上のために、自社サービスの追加開発や、他社のソリューションが提供しやすい仕組みを継続的に開発し続けてまいります。
④ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)
当社グループは、事業拡大を目指し、開発投資や広告宣伝活動等に積極的に投資を進めており、2024年12月期は、営業損失を計上しております。
当社グループの収益の中心は、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることでリカーリング収益が積みあがるストック型の収益モデルになります。一方で開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、中長期的なキャッシュ・フロー、利益の最大化のために短期的には赤字が先行することが一般的です。当社グループでは事業の拡大に伴い、ストック収益が順調に積みあがることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下し、将来的には持続的にキャッシュ・フロー、利益を創出できる体質に改善すると見込んでおります。
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