企業兼大株主JSR東証プライム:4185】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、企業理念「Materials Innovation-マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」を着実に実現しうる企業として、経営の効率化と透明性・健全性の維持により継続的に企業価値を創造し、全てのステークホルダーから信頼され、満足される魅力ある企業の実現を目指しております。創業から現在までに築き上げてきた良き企業文化を継承するとともに、時代や環境、価値観の変化に迅速に対応できるスピード感のある経営に努め、マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーとして、全てのステークホルダーの皆様の信頼に応えてまいります。当社グループでは、好奇心・寛容さ・適応力に基づく文化を今後も発展させ、責任ある企業市民であるために、単に経営の知見だけではなく、企業としてのありたい姿に不可欠なコアバリュー(基本的価値観)を示してまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標

<中長期的な会社の経営戦略>

 経営方針では、持続的(Sustainable)成長を目指しすべてのステークホルダーに価値を創造すること及びあらゆる環境変化に適応する強靭な(Resilient)組織を作ることをVisionとして掲げております。

 今後の社会の発展に重要であり、市場の成長が期待され、技術革新の要求が高く当社グループの強みを発揮できる、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業をコア事業と定めました。2024年度の数値目標としましては、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業の拡大の結果、二事業で売上収益3,000億円以上、過去最高利益の更新、全社の株主資本利益率(ROE)10%以上を目指します。また、各事業については投下資本利益率(ROIC)による投下資本リターンの管理を行い、その最大化を図っていきます。

(3)経営環境について

 2023年度も、ウクライナ情勢の緊迫化などの地政学的変動、米中間のデカップリング(分断)、グローバル各国での物価上昇の広がりによる需要抑制、各国の金利政策を受けた為替影響など不透明な状況が続くことが見込まれています。

 そのような情勢の中、当社の対面市場である半導体市場につきましては足元において一時的な稼働 調整が発生しているものの、デジタルインフラの需要に支えられ、社会に不可欠なエッセンシャル事 業として長期的には成長することが見込まれています。また、ライフサイエンス分野も中長期的な観 点で堅調な需要見通しに変わりはありません。合成樹脂事業の主要対面市場である世界の自動車生産 台数は回復基調が続くと想定しております。

 このような事業環境の中、当社は、レジリエンスとサステナビリティを重ね持った企業体となるために更なる事業構造及び経営体制の強化へ向け、成長事業である半導体材料事業、ライフサイエンス 事業について積極的な研究開発および事業投資を今後も実行してまいります。

(利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当)

 当社は、長期的視点に立って研究開発の強化に努め、新たな事業展開などにより企業の競争力強化 を図り、会社の業績を持続的に向上させることが最も重要な課題であると考えております。株主還元 につきましては、業績と中長期的な資金需要とを勘案し、株主の皆様への利益還元と会社の将来の成 長のための内部留保とのバランスを考慮しながら決定してまいります。当期の期末配当金は、配当の 安定性に鑑み、期末配当金1株につき35円とさせていただく予定であります。これにより、当期の年 間配当金は1株当たり70円となります。次期(2024年3月期)につきましては、長期的な視点に立って当社の業績を持続的に向上させることを目的に、株主の皆様への還元と会社の将来の成長のための内部留保のバランスを考慮し、当期と同額の1株当たりの年間配当金は70円を予定しております。

(4)対処すべき課題

<デジタルソリューション事業>

  デジタルソリューション事業については、半導体材料事業は、従来通り最先端プロセス向けを中心に展開し、中でもナノメートル世代以降向けEUVフォトレジストにより注力し、リソグラフィー材料のグローバル市場でのシェアを維持・拡大に努めます。また、材料ポートフォリオを広げ、半導体チップの微細化や3次元実装化、5G需要を確実に取り込むべく、販売拡大に努めます。その一方で需要環境は対面市場の需要減少により、当面は調整局面が続くことが見込まれております。洗浄剤においては需要減に起因した米国工場の販売減少もあり厳しい事業環境が見込まれる中、大幅な事業規模の縮小を行いました。事業の選択と集中をより明確化し、EUVフォトレジストやメタルオキサイドレジスト等への積極投資と共に、コスト構造の見直しや効率化を推進し、需要回復期及び成長期に備え強靭な事業体制を築いてまいります。販売・技術サービス体制につきましては、アジア市場における電子材料事業活動の強化、顧客満足度の向上、サービス提供の迅速化を目的に2021年度にはシンガポール、台湾、2022年度は中国に現地法人を設立いたしました。韓国では当社電子材料事業の販売代理店を完全子会社化し、グループ一体運営により、より一層の機能強化を図ってまいります。

 ディスプレイ材料事業は、顧客業界の変化に対応した構造改革を確実に実行したことで、引き続き液晶パネル市場の成長が見込まれる中国市場において、大型TV用液晶パネル向けに競争力のある配向膜、絶縁膜を中心に、販売の拡大を進めてまいります。また、有機EL(OLED)市場の拡大に伴い低温硬化絶縁膜を中心に販売の拡大を進めてまいります。

 エッジコンピューティング事業については、主にスマートフォンの小型カメラに使用されるNIRカットフィルターの更なる拡販などにより、事業拡大に努めます。

<ライフサイエンス事業>

  ライフサイエンス事業は、KBI、SelexisによるCDMO事業の新規受託拡大、パイプライン(先行契約)増加などの顧客基盤の拡大と業務の効率化、Crown BioscienceのCRO事業における競争力あるサービスの拡大を中心として、売上収益及び利益率の更なる向上を図ってまいります。KBIにおいては米国ノースカロライナ新工場の生産バッチ数を2023年度下期に向け段階的にフル稼働へ拡大させ売上収益の向上に努めます。また、製造設備の万全な立上げに加え、収益性強化に向けた継続的な取り組みとして固定費及びオペレーションの最適化、販売政策の強化などの構造改革を実行しマージンの改善に注力してまいります。Crown Bioscienceにおいては、MBLとの合弁会社により、日本国内の前臨床向けサービスをさらに拡大してまいります。また、Indivumed GmbHのIndivuServ事業部門を買収するなど、サービスの拡大を進めています。診断薬材料およびバイオプロセス材料のグローバルな採用拡大、MBLの診断薬事業の強化、また、JSR Bioscience and informatics R&D center(JSR BiRD)やJSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター(JKiC)などの研究活動なども合わせ、当社グループ一体となって力強い事業拡大を進めてまいります。

 <合成樹脂事業>

  合成樹脂事業では、自動車業界の生産性改革や高品質化に対応するきしみ音対策材HUSHLLOYⓇ、めっき用材料PLATZONⓇといった特色のある差別化製品をグローバル市場において拡販するとともに、原料価格高騰に適切に対応し、利益の確保に努めてまいります。

<次世代研究>

  RDテクノロジー・デジタル変革センターを中心にコンピュータ技術、データサイエンスの応用による研究開発業務全般の加速、新規事業創出に向けた高度な機能・特性を有する革新的材料の開発研究、JSR・東京大学協創拠点CURIEにおけるJSR製品開発の理論的な理解の探索を進めております。また、国内外の大学や研究機関との共同研究などのオープンイノベーションを推進しており、ライフサイエンス分野のJKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させて、様々な研究領域に取り組んでおります。更に、JSR BiRDでは次世代医療およびマテリアルズ・インフォマティクスを軸とする新規事業創出にむけたオープンイノベーション拠点として、安全安心で豊かなデジタル社会、低環境負荷で持続可能な社会に貢献していくことを目指し、未来に向けた価値の創出に取り組んでおります。

(5)その他の対処すべき課題

▶持続性(サステナビリティ)と強靭化(レジリエンス)

 当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を築き、信頼され、世の中に必要とされるグローバル企業となることを目指しております。企業理念を礎に、先行きが不確実で激変する経営環境の中で、組織の持続性(サステナビリティ)と強靭化(レジリエンス)を中期経営方針の中核として事業活動を推進し、中長期的な成長及び企業価値の向上に努めます。

▶ESG課題への取り組み

E(環境)

 当社グループは、事業活動により顧客企業を通して、地球環境保全に貢献しております。また、2050年のGHG排出「実質ネットゼロ」※1を目指し、今後もGHG排出量の削減に積極的に取り組んでまいります。2020年10月に賛同を表明したTCFD※2提言のシナリオ分析を活用して、気候変動がビジネスに与える影響を検討し、あらゆる局面に対応できるレジリエントな企業体制を構築いたします。

 ※1:最終的にCO2の排出量をゼロにすること
 ※2:金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース。2017年
6月、FSBは気候変動リスクが金融機関や企業、政府などにおよぼす影響を、財務報告において開示
することを求める提言を公表した。

S(社会)

 当社グループは、持続的成長を目指しすべてのステークホルダーにとって価値を創造し、あらゆる環境変化に適応できる強靭な組織を築き上げるため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを尊重し、すべての従業員個々の可能性を最大限に引き出すことに注力しております。従業員ひとりひとりが健康でエンゲージメント※3の高い状態を維持できるよう、当社グループでの経験・体験を改善する取り組みを支援するために、継続的にグループ全体の従業員エンゲージメント調査を実施しております。調査結果を慎重に検証し、コミュニケーションを通じた繋がりをエンゲージメント向上の重点項目として、経営層と従業員層の双方向の対話を活性化させるプログラムを策定し実行しています。また企業存続の前提は従業員の健康であると再定義し、従業員個々の健康ニーズをサポートする「JSR Health Promotion」活動の強化に取り組んでいます。このような取り組みを通じて、競争力強化と企業価値向上を目指してまいります。

 ※3:従業員が企業理念や方針を理解し、企業を信頼して貢献意欲を持っている状態

G(コーポレート・ガバナンス)

<取締役会の概要>

 当社の取締役会は代表取締役CEOを含む5名の社内取締役と、経営執行および財務活動に精通した4名の独立社外取締役から構成されており、1名の常勤監査役と財務・会計・税務および会社法を含む法務の専門家2名の独立社外監査役が毎回出席しております。

 事業環境の急速な変化に対応すべく、メンバーの過半数を独立社外取締役で構成し、独立社外取締役が委員長を務める指名諮問委員会からの答申に基づき、取締役会のさらなる多様性の拡充を進めております。

<当社グループの経営体制の継承と評価(指名諮問委員会の取り組み)>

 指名諮問委員会は、独立社外取締役を委員長とし、独立社外取締役4名(委員長含む)および代表取締役CEO兼社長の5名で構成され、CEOおよび社長の選解任、取締役会の構成及び選任や当社グループの経営体制、重要な経営ポストの継承計画について客観的かつ長期的に検討を行っております。

 2022年度についても、CEOおよび社長から同委員会に対する年間経営活動報告が行われ、年間経営活動に対する評価を行いました。また、今後の経営層の後継者計画や取締役会の構成及び選任等に関する検討を行いました。

<役員報酬体系の公平性と透明性の確保(報酬諮問委員会の取り組み)>

 報酬諮問委員会は、独立社外取締役を委員長とし、独立社外取締役4名(委員長含む)、代表取締役CEO兼社長および代表取締役常務執行役員の6名で構成され、外部機関からデータおよび助言を受けて、毎年度の業績などを考慮しながら公平、透明性、かつ競争力を持った報酬制度および報酬額、役員報酬の基本方針の取締役会への答申を行っております。

 2022年度は、例年通り、ベンチマークデータに基づき報酬制度および報酬額、または役員報酬の基本方針の妥当性の確認を行いました。

<当社取締役会の実効性評価の結果概要について>

 当社取締役会では、毎年、取締役会の実効性評価を実施し、実効性の向上を通じて、当社の企業価値の最大化を図っております。2022年度の実効性評価の結果、当社の取締役会は有効に機能しているとの結論を得ました。今後も実効性評価を実施してまいります。

<政策保有株式の縮減>

 個別の政策保有株式につき、保有目的、リスク・リターン、資本コスト等を考慮し、取締役会において政策保有株式の保有状況および保有方針を確認し、縮減を行っております。

<危機管理の取り組み>

 当社は、平時および有事におけるBCM/BCP体制をまとめたBCM規程を制定しております。本規程では、BCMを統括する組織や運用体制、BCPとして目標復旧時間・BCP発動と解除の基準・BCP発動時の組織体制・重要業務などについて定めております。新型コロナウイルス対応において、当社グループは世界の基幹産業を支える素材産業の一員として、各拠点での勤務環境の整備など安全に企業活動ができるよう、自社の経済活動の継続に努めました。また、ロシアのウクライナ侵攻に伴う各国の制裁・規制強化に対しては、日本、アジアおよび欧米の当社グループの原料調達や輸送などサプライチェーンへの影響、顧客への影響確認、欧州駐在員ならびにその家族への対応を図るとともに、サイバー攻撃リスクの高まりを受けグループ内注意喚起や対応演習などの施策も実施いたしました。

 今後とも世界各拠点の文化の違いや独自性を尊重しつつ、情報の一元管理を行い適切なアクションに繋げることで、危機管理および事業継続に努めてまいります。

 以上のような課題に対して確実に取り組み、CEO兼社長のリーダーシップの下、グローバルに遅滞なく遂行してまいります。

 なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

PR
検索