田岡化学工業
【東証スタンダード:4113】「化学」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。なお、業績の見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により、大きく異なる可能性があります。
(1) 経営理念
「田岡化学は、化学技術を基盤として時代が求める新たな価値を創造し、生み出された化学製品を社会に供給することで、快適で豊かな暮らしの実現と社会の持続的な発展に貢献します。」
(2) 経営環境
2024年度は、地政学的リスクの継続や金融資本市場の変動等、経済環境は不透明な状況が続いていましたが、当社を取り巻く事業環境を見ると、世界的なスマートフォン市場の回復に伴い関連製品の需要が戻りつつあるなど、徐々にではありますが改善の動きが見られます。こうした中、当社は従来から①既存事業の収益改善、財務体質の改善、②中期経営計画で掲げる事業戦略の遂行と早期収益化、③中期経営計画のアクションプランの一つである新規受託品の早期事業化の実現、④研究開発および新規事業の探索強化に注力することで、収益の早期回復を図るとともに、中期的な成長の実現に向けた取り組みを推進してまいりました。2024年度の業績は、原料価格高騰に対応した価格施策の進展、原料調達における原価低減努力等の業績改善諸施策のほか、懸案であったスマートフォン関連製品の顧客在庫調整が進み、年度後半から出荷数量が増加に転じたことにより、中期経営計画の目標達成には至らなかったものの、前年度と比べ、営業利益、経常利益、当期純利益の各利益段階で増益となりました。
当社は、2025年度より3か年の新中期経営計画「TCG as one2027」をスタートしています。足元の事業環境は回復途上にはあるものの、引き続き既存事業の一層の強化や原燃料価格の変化に応じた適切な価格施策の推進、各種合理化によるコスト削減、受託事業の強化等に取り組み、更なる収益の回復に努めてまいります。また、当社の将来の成長の源泉となる研究開発・新規事業開発に加え、さらなる生産性向上を目指したDXの推進にも積極的な投資を進めることで、企業として競争力の向上を目指してまいります。
(3) 中期経営計画
中期経営計画については当社のホームページ(https://www.taoka-chem.co.jp/ir/note/2025_0512d.pdf)にも詳しく記載していますのでご参照ください。
(前中期計画の振り返り)
業績目標についてはROIC、営業利益率ともに目標未達となりましたが、2022年度を底に改善してまいりました。
投融資計画(着工基準)は、3か年で100億円を目標にしていましたが、3か年累計で36億円となりました。
研究開発費については、10億円/年としていましたが、一部経費の執行減等などにより8億円程度となりました。
新製品開発目標(新製品上市後5年間の売上高)は年間70億円を目標にしていましたが2023年度および2024年度は未達となりました。
海外事業規模についても年間70億円を目標にしていましたが、未達となりました。
(中長期ビジョン)
2025年度を初年度とした新中期経営計画の中長期の事業目標は、2030年代初頭において、売上高500億円の達成、営業利益40億円の達成、ROIC10%以上の継続としています。
基本方針として、これまで蓄積してきた有機合成技術と生産技術をベースに継続的に新製品開発を行い、事業規模の拡大を図ります。また既存製品の収益構造の底上げを追求し、全ての事業においてROIC・営業利益率の改善を目指し、企業価値を持続的に向上させます。
(中期経営計画スローガン)
”TCG as one 2027”(TCGはTaoka Chemical Group の略)
「田岡化学グループ」が一丸となって中長期ビジョンの実現に向けて中期経営計画を推進していきます。
(経営指標:KPI Key Performance Indicator)
経営指標は、売上高目標を400億円、ROIC10%以上、定常投資として3か年累計で100億円、さらに戦略投資として60億円を計上し、新製品売上高率は20%を目標とします。
これらのうちROICと戦略投資を経営課題としています。
(経営課題)
・ROIC
既存事業の深耕、新規開発品の早期上市、新規事業の開拓、海外事業の拡大等、全事業部門での収益向上に取組みます。
・戦略投資
既存プラントの縮小・撤退を含めた再構築とともに、効率化を追求して生産数量の最大化を図る一方で、成長投資としてマルチプラントの新設を計画します。
(基本戦略)
コンプライアンスの徹底と安全・安定操業継続を最優先したうえで、以下の基本戦略を設定します。
①収益力の向上
・新規開発品目の導入と低採算品目の損益改善対策の実行による総合的な収益力の向上の達成
②生産体制の拡充
・新製品の早期導入に向けたプラント再編計画
・将来の人員不足に備えた工場自動化の推進
・生産終了工場跡地の活用
③研究開発の強化
・新製品売上高率20%
・効率的な研究開発体制の構築
・持続的成長の為の研究開発における総合力の強化
④DX推進
・マテリアルズインフォマティクスの導入による研究開発の効率化、高速化
・設備、保全管理への活用
・原料購買関連のビッグデータ活用
⑤従業員エンゲージメントの向上
・働きやすい職場風土の醸成
・自ら学び自ら成長する社員のキャリアを支援
・多様な価値観を認め合い創造性を発揮
・健康経営の推進
⑥サステナビリティ製品の開発
・生分解性・バイオマス可塑剤の開発
・プラスチックリサイクル活用研究(光学樹脂レンズ廃材の再利用等)
・高機能絶縁材料の開発(BEV,HEV,PHEV等のモーター用)
(投融資計画)
これらの基本戦略に基づいた新中期経営計画の設備投資は、維持・更新投資として60億円、DX投資で5億円、増強合理化投資で35億円と合わせて100億円を予定しており、さらに新製品対応の生産プラント新設や既存プラントの再構築費用として60億円を加えた160億円を3か年の設備投資計画としています。
(キャッシュアロケーション方針)
この中期経営計画3か年において産出される営業キャッシュフローは100億円とみており、これに加えDEレシオ0.4倍の範囲内において資金調達を行い、設備投資の160億円ならびに株主還元を30%程度とする3か年合計約15億円の配当に充当します。
(配当政策・株主還元)
当社は従来より「安定的な配当を行う」ということを配当政策としていましたが、今後はより株主還元を明確にするため、本中期経営計画では、「配当性向30%程度を維持する」という方針を掲げています。
(4)2025年度業績予想
2025年度の業績予想については、売上高は精密化学品事業の増収を中心に前期から60億円増収の360億円としています。利益面では、播磨新多目的工場の減価償却費の増加や、ベースアップなどによる労務費増加はあるものの、販売数量増加による利益の増加により、営業利益は6億13百万円増益の25億円、経常利益は5億36百万円増益の25億円、当期純利益は2億22百万円増益の17億円を予想しています。
配当予想は、配当性向30%程度の維持という方針に則り、中間配当18円、期末配当18円として1株当たり年間配当は36円としています。
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