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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、著作物を公正利用のもと、出来るだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展、及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。また、日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化されて数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の構築を目指して事業を行っております。

(2)中長期の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 国内の電子書籍の市場規模は、コロナ禍における巣ごもり特需で大きく成長した後も拡大を続け、2023年度には約6,400億円にまで拡大しました。市場規模の拡大に伴い成長率はこれまでに比べて鈍化するものの、今後も拡大基調は続き、2028年度には約8,000億円に拡大すると見込まれています(出所:インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2024」)。

 一方、世界の電子書籍の市場規模は2023年で2兆円を超え、引き続き拡大を維持する見込みです(出所:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。さらに、海外においてはマンガが中心である日本の電子書籍市場と異なり、文字ものが多くを占めているほか、オーディオブック市場が電子書籍市場に比肩する規模にまで拡大している地域もあります。また、動画配信サービスの普及によってアニメ等多様な日本の映像作品が全世界に多言語で同時配信されるようになり、その原作であるマンガや小説への関心も世界的に高まっております。

 当社グループは、ビジョンである「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」に引き続き立脚し、これらの環境変化を成長ドライバーとして企業価値向上に生かすべく、2026年2月期を初年度とする5カ年の中期経営計画を2025年4月14日付けで公表いたしました。現在国内の電子書籍市場を牽引するマンガはもとより、国内外における文字もの、オーディオブック等を含むコンテンツ流通に係るソリューションを進化させ、日本の出版業界の成長を世界規模でリードする存在を目指します。

[経営戦略]

① 書籍の流通ソリューション企業としての進化

 当社グループは、電子書籍流通の国内最大手として、約260万ファイルの電子書籍コンテンツを扱い、ほぼ全ての出版社・電子書店との広範な取引基盤を有しています。これにより、日本中のコンテンツが集積し続ける独自のポジションを確立してきました。

 今後は、電子書籍にとどまらない書籍の流通ソリューション企業として、更なる市場の進化を促します。コンテンツを最適な形で届けるための流通ソリューションの進化と拡大を図ることで、より多くの国内コンテンツを集め、世界中に届けるべく、以下の施策を実施します。

 ・国内において電子化が進んでいるマンガだけでなく、文字もののコンテンツの電子化を推進

 ・国内コンテンツのマルチユースの推進

―多言語翻訳を実現するMediaDo Translation System (MDTS)を開発し、電子書籍ファイルを短期間で低コストで多言語翻訳をする体制を構築

―翻訳されたコンテンツを電子書籍やオーディオブック、紙書籍といった各国でのニーズや市場環境に合わせて配信

② SC(Sustainability Creation)事業における地域をはじめとした多様なコンテンツの創出と社会との信頼関係の構築

 当社は、出版業界の発展に貢献するだけでなく、様々な産業の土台として存在する社会の発展への貢献を創業時から重視しております。特に地域に存在するコンテンツや価値を再発見・再創造し、国内外に届けていくことで、社会への貢献を続けてまいりました。このような活動を事業として行うことで、当社グループへの利益成長に結びつけるだけでなく、社会への貢献を通じて、社会や取引先、従業員からの信頼を高めることで、新たな事業や価値を生み出し続ける、100年続く企業体を目指してまいります。主に以下の施策を実施します。

 ・男子プロバスケットボールクラブ「徳島ガンバロウズ」の運営による利益貢献の拡大

 ―徳島県や徳島市の計画する新アリーナ建設も追い風にしながら、売上高と入場者数を伸ばし、最上位リーグへの参入を目指す

 ・「徳島ガンバロウズ」の運営だけでなく、起業家支援などを含めた幅広い活動を通じた、社会への貢献と社会からの信頼と認知の拡大

 [財務戦略・資源配分計画]

 当社グループは、高い資本効率と財務健全性のバランスを重視し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。また、中期的には事業の収益創出力の強化と規律あるキャッシュ・フローマネジメントにより、持続的な成長サイクルの実現を目指しております。

 引き続き、有利子負債の返済や利益積み上げを通じた自己資本比率の改善により財務健全性を向上させていくほか、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減を図ってまいります。また、財務レバレッジを考慮しつつ負債の規律ある活用も進めることにより、資本効率を向上させながら企業価値の創出に努めてまいります。

 成長投資に関しては、企業価値の向上につながる事業投資を行うとともに、投資後3年でROIC15%以上を目標としたM&Aを積極的に推進します。具体的には、当社ビジョンである“More Content for More People!”の実現に向け、電子書籍取次におけるポジション強化や海外販路拡充・輸出支援、AI・Web3など先端テクノロジー活用の強化等に寄与する国内外の企業をリストアップし、ビジョンの実現に資する案件を慎重に精査のうえ、実行してまいります。

① 経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、当連結会計年度においては連結売上高の92.0%を電子書籍流通事業にて計上しております。電子書籍市場は将来にわたって拡大が見込まれることから、経営資源(人材、投資)は今後も一定程度、電子書籍流通事業に投下する方針であります。

 一方で、グループ全体における電子書籍流通事業への偏重がリスクにもなり得るとの認識から、戦略投資事業への経営資源の配分が、グループ全体の企業価値向上にも資するものと考え、回収可能性や、手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フローを十分に考慮したうえで、投資を実行してまいります。

 更に当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識するとともに、将来の持続的な成長に必要な設備投資等や経営基盤の強化も重要な経営目標と考えております。そのため、内部留保を確保しつつ、財政状態及び業績動向等、経営状態を総合的に判断して利益配当を行っていくことを基本方針としております。

 この方針に基づき、株主の皆様への利益還元については、配当及び自社株式の取得による総還元性向(注)30%以上を念頭に置き、配当と自己株式の取得の配分は、株価水準等に応じて判断いたします。

(注)総還元性向=(配当支払総額+自己株式取得総額)/親会社株主に帰属する当期純利益

② 資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、事業運営にかかる人件費や業務委託費などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、競争力の維持・強化に向けたシステム開発や事業領域拡大に伴うM&Aなどがあります。

③ 資金調達

 当社グループにおける設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としております。そのため、事業活動の維持拡大において外部資金が必要となる可能性は低いものと認識しております。

 一方、今後において、更なる企業価値向上に資するM&A等のための追加的な資金需要が生じる可能性もあります。その際には、内部資金及び外部資金を有効に活用することとしますが、外部資金が必要となる場合には、高い資本効率と財務健全性とのバランスを考慮のうえ、最適な資金調達手段を選択いたします。

 [経営目標]

連結

2025年2月期

実績

2026年2月期

計画

2028年2月期

計画

2030年2月期

計画

売上高

1,019億円

1,060億円

1,150億円

1,250億円

営業利益

24.7億円

27.2億円

32.2億円

40.0億円

EBITDA

37.9億円

39.3億円

45.0億円

52.0億円

親会社株主に帰属する当期純利益

13.6億円

20.0億円

21.5億円

25.0億円

 [対処すべき課題]

 当社グループを取り巻く外部・内部環境は、近年大きく変化しています。当社グループは、長期的かつ持続的な企業価値向上を実現するため、経営上の重要課題(マテリアリティ)を特定しました。各マテリアリティについて、グループが一体となって具体的な取組みを進めるとともに、サステナビリティ推進委員会を主体として各施策の実効性を検証し、外部・内部環境の変化に応じた見直しを行っています。

 当社グループは、経営方針に則り、「経営管理の仕組み」「人と組織が成長する仕組み」を構築するために「各仕組みを支えるガバナンス」を強化するとともに、気候変動への対応等、企業活動の土台となる自然環境を保全することが不可欠という認識のもと、10項目のマテリアリティテーマの位置づけを分類しています。

① 著作物の創出サイクルと価値の最大化

 当社グループは、著作物が公正な利用環境で流通し、著作者に収益が還元される健全な経済社会のサイクルをつくり、「ひとつでも多くのコンテンツ」が創出され、「ひとりでも多くの人へ」届く世界を実現することを最大の使命としています。出版業界をはじめとする多様なステークホルダーとの信頼関係を一層強固なものとしながら、国内に留まることなく世界に向けて様々なアプローチで、著作物の創出サイクルと価値の最大化に取り組みます。

② 戦略投資の実行と事業ポートフォリオ最適化

 当社グループは、各事業で創出した収益を持続的な成長を見据えた戦略的な投資に適切に配分し、最適な事業ポートフォリオを構築することで成長を一層加速します。資本コストや資本収益性を意識した規律ある投資行動と効率的な事業運営に努めることで、創出する事業価値の最大化を図るとともに、経営・事業の多角化により最適な事業ポートフォリオ構築に取り組みます。

③ メディアドゥらしい人材の育成・獲得

 当社グループは、求める人材像「私たちを育んでくれた環境を感謝でき、敬意を持って自ら動く」を体現する人材を育成・獲得することで、持続的な企業価値向上を実現します。社是「成長と可能性」において、互いの可能性を信じ尊敬し合い、成長を喜び合う良好な信頼関係を長期に築くことが何よりも大切な価値であることを示している通り、当社グループの価値創造の根幹は「人材」です。こうした企業文化と従業員の働く目的意識を調和させ、当社グループで働く意欲を高める施策を実行します。また、適切な人事制度の改善と充実にも注力し、従業員の能力の向上に取り組みます。

④ 地域のエンパワーメント

 当社グループは、創業期から地域社会に支えられる中で成長を遂げてきた企業であるという認識に立ち、引き続き地域社会との社会関係資本を拡大し、当社グループと地域社会の両者の持続的な成長と発展を実現します。地方創生に資する各事業において、創業者の経営精神を基礎とした当社グループ独自のアプローチで地域社会の課題解決に貢献し、出版業界の枠組みを超えた地域社会との協働関係を一層深める取り組みを推進します。

⑤ 働く環境の整備

 当社グループは、価値創造の根幹である多様な人材が最大限に能力を発揮して活躍しながら、長期的に働くことのできる環境を整えることで、安定した経営基盤の構築・維持、当社グループが提供するサービスの質・生産性の向上を実現します。従業員の健康で豊かな生活を追求し、個人の人格を構成する多様な性質・背景を尊重するため、職場環境、健康環境、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)環境の整備に取り組みます。

⑥ ガバナンス強化

 当社グループは、経営のグローバル化を進める中で、更なる業容拡大と企業価値の向上の観点から、コーポレート・ガバナンスの充実による経営の健全性と透明性の向上が重要な経営課題であると認識しています。公正かつ透明性、実効性の高い経営の実現に向けて、取締役会の監督のもと、適切な資源配分、意思決定の迅速化等、コーポレート・ガバナンスにおける不断の改善を図ります。

⑦ コンプライアンス強化

 企業経営の健全性を向上するためには、企業倫理の確立や意識の全社的な浸透が必須であり、これにより当社グループや各機関及び全役職員一人ひとりが的確かつ公正な意思決定を行う風土が醸成されると考えています。同時に、企業市民として有する社会的責任を常に意識して行動することが多様なステークホルダーからの信頼の獲得に繋がるという認識のもと、事業活動を遂行してまいります。

⑧ 情報セキュリティ強化

 デジタルコンテンツを取り扱う当社グループは、豊かな文化の発展に寄与する社会インフラを提供し、著作物の健全な流通と創造サイクルの構築を実現するため、著作者、出版社、書店、ユーザー(読者)といった各ステークホルダーが安心・信頼して利用できるサービス及びシステムの構築が不可欠との前提に立ち、重要な経営課題として情報セキュリティの強化に取り組んでいます。

⑨ 先端テクノロジーの活用

 当社グループは、新しい技術の研究と活用によってプロダクトやサービスを開発・提供します。持続的に数多くの著作物が創出され、多くの人々が享受するための様々な課題を解決し、文化の発展に貢献する存在となることを目指します。

⑩ 自然資本の保護と最適活用

 環境への負荷低減は、持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくため、そして100年先まで続く企業体を目指す当社グループにとって取り組むべき重要な課題の一つです。当社グループは、自らの事業活動で使用する自然資本の実態把握と効率的な活用策を講じるとともに、業界全体における資源利用の最適化にも積極的に寄与することを見据えながら、持続可能な業界・事業環境の構築を目指します。

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