日本調剤
【東証プライム:3341】「小売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、日本調剤グループ理念である「私たちの使命」として、「すべての人の『生きる』に向き合う」を掲げております。また、「グループの目指す姿」として、「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループへ」を公表しています。このグループ理念のもと、当社グループは、生活の一番近くで医療を担う者として、一人ひとりの「生きる」に真摯に向き合い、全国で質の高い医療サービスを国民の皆さまに提供してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは2024年9月25日付にて、以下のとおり「日本調剤グループ 長期ビジョン2035」を公開いたしました。
① 背景
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を境界線として医療・医薬品業界は大きな変化を迎えることとなります。“医療費の増加抑制”と“良質な医療サービスの提供”を同時に実現するために、さまざまな制度改革が進められ、柔軟かつ大胆な発想の転換が求められます。
調剤薬局業界では、2015年10月に厚生労働省より「患者のための薬局ビジョン」が公表され、薬剤師・薬局の将来像=必要とされる薬剤師像・薬局像が具体的かつ明確に示されました。同時にすべての調剤薬局をかかりつけ薬剤師・薬局に再編するとの構想が打ち出され、それ以降、同ビジョン・同構想の実現に向けた調剤報酬の改定が進められています。2019年11月には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(改正薬機法)が可決・成立し(2019年12月4日公布)、機能別薬局の認定制度が開始されました。加えて、毎年薬価改定などの薬価制度の抜本的な改革、オンライン服薬指導及びリフィル処方箋の開始、電子処方箋の導入、マイナンバーカードの健康保険証利用の開始など制度改革が矢継ぎ早に実施されています。
日本調剤グループは、こうした大きな環境変化を乗り越え、さらなる飛躍に向けた強固な企業基盤を構築すべく、コア事業である調剤薬局事業と医薬品製造販売事業並びに医療従事者派遣・紹介事業とのシナジーを最大限発揮することに従来にも増して注力し業容拡大に努めております。
また、プライム市場上場企業としてステークホルダーからの中長期的な企業価値向上に向けた期待や要請も年々高まっています。このようなステークホルダーからの期待に応えるため日本調剤グループの「長期ビジョン2035」を策定いたしました。
② グループ理念
私たちの使命
「すべての人の『生きる』に向き合う」
グループの目指す姿
「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループへ」
③ 2035年に向けた3つの戦略の柱
1.日本一明るく活力あふれるグループへ -ホスピタリティ溢れる組織-
2.あらゆるニーズに応えられるグループへ -お客さまに真摯に向き合う-
3.イノベーションに挑戦し続けるグループへ –自前主義から共創へ-
(3) 目標とする経営指標
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| 指標 | 2036年3月期(ありたい姿) |
財務KPI | 資本収益性 | ROE1. | 15% |
ROIC2. | 15% | ||
成長性 | 売上高 年平均成長率 (対2024年3月期) | 10%以上 | |
EBITDA3. 年平均成長率 (対2024年3月期) | 10%以上 | ||
未財務KPI | 組織活力度 | NPS※とエンゲージメントスコア等から検討 | |
イノベーション創出力 | 新たな提供価値を中心としたサービスに関する指標として検討 |
※Net Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤルティ(サービスに対する信頼・愛着)を測る指標。実際にそのサービスを推奨する人がどれくらいの割合いるのかを表すもの。
1.ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本
2.ROIC(%)=税引後営業利益÷(有利子負債+株主資本)
3.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
当社グループにおける長期的な経営指標においては、財務KPIでは資本収益性の指標としてROEとROIC、成長性の指標として連結売上高年平均成長率と連結EBITDA年平均成長率を重要な経営指標と位置付けています。2036年3月期のありたい姿として、ROEとROIC15%、連結売上高年平均成長率と連結EBITDA年平均成長率で10%超を目指し、資本収益性と成長性の改善を図ってまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
我が国では2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるなど、加速度的に進行する超高齢社会に対して“医療費の増加抑制”と“良質な医療サービスの提供”を同時に実現するために、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」をはじめとして、さまざまな制度改革などが進められています。このような状況を背景として、医療・医薬品業界を取り巻く環境は大きな変化を迎え、業界再編が加速することが想定されます。
調剤薬局業界では、2021年8月より、患者さまが自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局の都道府県知事による認定制度が開始されました。この制度により、在宅医療や、入退院時を含め他の医療機関との服薬情報の連携に対応できる「地域連携薬局」及び、がん等のより高度な薬学管理への対応や高い専門性が求められる「専門医療機関連携薬局」の認定が始まり、患者さまのニーズに応えられる薬局づくりが今後ますます求められます。また、かかりつけ機能の強化と活用、質の高い在宅医療、医療DX推進体制等への評価に重点を置いた診療報酬改定がなされるなど、地域の医療機関として薬局・薬剤師に求められる役割が拡大するとともに、大きな変化への対応力が求められています。
調剤薬局事業では、これまで電子お薬手帳「お薬手帳プラス」を活用した服薬情報の一元管理や、患者さまに応じた服薬指導の実施、医療機関連携、調剤後の相談・フォローの充実といった対人業務へ積極的に取り組むとともに、自社開発の日本調剤オンライン薬局サービス「NiCOMS」によるオンライン医療の普及拡大や電子処方箋制度への対応等にもいち早く取り組みを行っております。さらに、患者さまにさらなる良質な医療サービスを提供すべく、業界に先駆けて数多くの専門医療機関連携薬局・地域連携薬局としての認定を取得しており、地域の医療機関連携や高度医療のハブとなる薬局づくりと高い専門性を有する薬剤師の育成に注力しております。
医薬品製造販売事業においては、ジェネリック医薬品の数量ベース使用割合について「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2029年度末までに全ての都道府県で80%以上」とする目標が継続されるとともに、「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」とする等の副次目標が新たに定められ、引き続きジェネリック医薬品の使用促進が求められております。一方で、2021年度以降は、2年に1度の通常の薬価改定に加え中間年における薬価改定が実施されるなど、ジェネリック医薬品業界は大きな変化の時期を迎えております。このような環境において、従来以上に安定供給体制、品質に対する信頼性の確保及び情報収集・提供体制の整備・強化等が求められており、「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループ」を掲げる当社としては、これらの要請に応えていくことが果たすべき社会的責任であると認識しております。ジェネリック医薬品の品質管理と安定供給を最優先としつつ、研究開発投資による新規薬価収載品の継続的な上市に取り組んでまいります。
医療従事者派遣・紹介事業においては、かかりつけ薬剤師制度の浸透により薬剤師事業のマーケット需要が、派遣から紹介へと大きく変化しております。当社グループでは、いち早く需要の変化をとらえて派遣事業から紹介事業へのシフトを進めるとともに、ブランド力の向上による薬剤師事業のシェア拡大を進めております。加えて、医師事業においても、2017年以降取組みを強化し全国展開を図ってまいりました。さらに、国内企業における健康経営の重要性の高まりを背景として産業医事業を含むヘルスケア事業の拡大を推し進める等、引き続き人材市場の需要に応えるべく更なる事業拡大に取り組んでまいります。
当社グループは、大きな事業環境の変化を乗り越え、高収益を実現するための事業ポートフォリオ戦略、ROICを主とした経営管理等による構造転換を進めていくと同時に、DXのさらなる推進やAI活用により労働生産性、ひいては資本効率性の向上を目指します。また、長期ビジョン2035の実現に向けて最も重要な課題の一つである人的資本経営の推進を加速してまいります。加えて、グループ理念である私たちの使命「すべての人の『生きる』に向き合う」のもと、サステナビリティ経営を強化し、社会課題の解決を通じて持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
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