企業東和フードサービス東証スタンダード:3329】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

 当社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、「あったら楽しい」「手の届く贅沢」を営業コンセプトとしております。「東京圏ベストロケーション」「女性ターゲット」「ライトフード・自社生産」という戦略に基づき、すべて直営店での店舗展開をしながら営業活動を行っており、また3つの生産拠点で製造するパスタソース・ドレッシング・珈琲豆・ケーキ・焼き菓子など自社製品のインターネット販売、催事販売も行っております。

(2)経営環境及び対処すべき課題等

① 食材価格の高騰と安定調達に向けた対応

 2022年以降、国際情勢の不安定化や円安傾向の継続、物流コストの上昇などを背景に、食材価格の高騰が継続しています。特に主力として取り扱う珈琲豆、小麦粉、乳製品、卵といった基礎原材料は、国内外問わず価格変動が大きく、店舗運営の安定性を脅かす要因となっています。

 当社では、これまで基幹システムに登録されていた食材原価・レシピデータがレガシー化しており、現場との乖離が原価管理精度の低下を招いていました。これに対応すべく、2024年度に全社的な基幹システムの刷新を実施し、各レシピ単位での理論原価を日々の発注単価ベースで更新・可視化する体制を構築しました。

 また、メニュー設計においては高付加価値商品の開発に注力し、原価率の上昇を客単価の向上でカバーする戦略を展開しております。具体的には、戸塚カミサリーで製造するオリジナルのソースやドレッシングを活用した季節限定メニューや深川コンフェクショナリーで製造する高付加価値ケーキ、ダッキーダックグループのケーキスタジオで製造する季節限定スイーツが好評を博し、平均客単価は前年比103.8%を達成しております。メニューエンジニアリングの高度化により、お客様満足度を維持しながら利益率の向上を図ってまいります。今後もサプライヤーとのパートナーシップをさらに強化し、原材料の品質維持と価格安定化の両立を目指します。また、セントラルキッチンを持つ強みを活かし、調達ロットの最適化や、製造工程における歩留まり向上による実原価の低減に取り組んでいます。今後も需給予測と原材料の相場分析を連動させ、契約交渉や在庫戦略に反映させることにより、調達リスクの低減とコストの安定化を推進してまいります。

② 労働力不足への構造的対応

 飲食業界における人手不足は慢性化しており、特に一都三県の都市部では競合業態との採用競争が激化しています。当社はこの問題を短期的対応に留めることなく、構造的かつ中長期的に解決すべく、2025年度より人事システムの全面リプレースを進めます。

 新システムでは、本社の研修センターが社員・アルバイト双方のスキル評価、キャリア履歴を一元管理し、適切な人員配置と人材育成を支援します。業務量・業績評価の可視化と公正な評価・処遇をリンクさせることで、離職率の低下と定着率の向上を実現します。

 また、アルバイトの人員体制に関しても、これまでの店舗単位のシフト管理を脱却し、全社横断での支援体制を構築しました。一都三県という出店エリアの集中を活かし、エリア内での応援勤務をスムーズに行えるよう新たなシフト管理システムを導入しました。繁閑差に応じた人材配置の最適化が実現し、急な欠員や需要変動にも柔軟に対応できる組織体制が整いつつあります。

 さらに、教育・研修プログラムを体系化し、特に当社の強みである接客と珈琲に関する専門知識・技術の標準化と共有が進み、全店舗でのサービス品質の均一化が図られております。

 働き方改革への対応としては、労働時間を前年比10%削減するとともに、有給休暇取得率を85%まで向上させました。また、育児・介護と仕事の両立支援制度を拡充し、多様な働き方を可能にする環境整備を進めております。

 今後は、従業員エンゲージメント向上のための施策を展開してまいります。特に、従業員の声を経営に活かす双方向コミュニケーションの仕組みを強化し、働きがいのある職場づくりを推進いたします。

③ 消費行動の変化と付加価値の再訴求

 コロナ禍以降、消費者の外食に対する価値観は大きく変容しています。利便性や価格重視の需要が増す一方で、体験価値やこだわりを求める層も拡大しており、二極化が進んでいます。当社が展開する椿屋珈琲グループは、後者のニーズに応えるポジションにありますが、価格に見合う価値を提供できなければ選ばれないリスクを抱えています。

 このため当社では、商品開発において単なる味や見た目の追求に留まらず、素材の生産地・加工背景のストーリー化、季節ごとの体験演出、空間デザインの更新など、五感すべてで価値を伝える施策に取り組んでいます。また、全店舗でスタッフによる接客の均質化を図るため、接遇教育プログラムとランクアップ制度を刷新。ブランド体験の強化と再訴求を通じて、価格に対する納得感を確立します。

④ 直営店舗の収益性と生産性の向上

 一都三県を中心に展開する直営店舗モデルは、当社にとって高いブランドコントロールとサービス品質を確保できる利点がありますが、その反面、人件費・賃料・光熱費等の固定費比率が高く、経済変動に対する柔軟性が問われる経営形態でもあります。

 このため当社では、直営店舗ごとのP/L管理に加え、業態別・エリア別の生産性指標(人時売上高、FL比率、坪効率など)を毎月可視化・分析する体制を強化。高収益店の運営モデルを横展開する「ベストプラクティス手法」を用い、現場のノウハウを全社で共有しています。

 また、セントラルキッチンを活用し、店舗での調理工数の削減も推進中です。特にイタリアンダイニングDONA、こてがえし・ぱすたかんにおいては、下処理やソース調合の集中化により、店内作業の20〜30%を削減し、スタッフ1人あたりの生産性向上を実現しています。さらに、収益性とブランド力を両立する新規店舗開発指針を策定し、今後の出店・退店戦略の高度化を図ります。

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