企業兼大株主J.フロント リテイリング東証プライム:3086】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2023年5月26日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。

(1) 経営方針

当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、SC事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。

加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”というグループビジョンの実現に挑戦してまいります。

(2) 経営目標

2021年4月13日に、当社グループは「2021~2023年度 中期経営計画」を策定いたしました。

1.経営数値目標

本中期経営計画より、資本収益性を管理する指標として新たにROIC(投下資本利益率)を採用いたします。

2023年度に連結営業利益385億円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)7%、ROIC4.6%、また、サステナビリティの目標として、温室効果ガス排出量40%削減、女性管理職比率26%達成を目指してまいります。

2.財務政策

3年間で1,900億円以上の営業キャッシュ・フロー(使用権資産に係る減価償却費を含む)を創出し、うち600億円を成長投資と設備投資に充当いたします。投資は2023年度までに利益貢献する案件及び「デベロッパー戦略」に優先的に充当いたします。

有利子負債残高(除くリース負債)は2023年度末に2,250億円に圧縮いたします。

連結配当性向30%以上を目途に株主還元を実施し、自己株式取得も適宜検討してまいります。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

サステナビリティ経営を基軸とする中期経営計画(2021-2023年度)をスタートさせ、2年が経過しました。

2022年度は、度重なる感染症拡大や行動制限等による影響が縮小に向かうなか、“攻めの経営”への転換を図り、重点戦略に基づく集中投資、経営構造改革などを推進しました。これらの結果、主に年度中盤以降、売上収益は着実に回復基調を辿り、また有利子負債の削減などにより財務体質は改善しました。

事業を取り巻く環境は、社会・経済活動の正常化が進む一方、地政学リスクの顕在化や世界的なインフレの進行、供給制約の長期化による景気後退懸念の高まりなど不確実性が一層増しています。「コロナ禍による消費行動の変化」「既存の事業モデルの衰退」に加え、これらのリスクに対し、「短期」「中長期」の両面から対応する必要があると認識しています。

中期経営計画の最終年度となる2023年度は、回復基調にある国内消費やインバウンド需要を着実に捉え、「早期の収益力回復」を図るため、各事業において重点戦略・施策の推進にスピードを上げて取り組みます。また、不確実性の高い事業環境を踏まえ、経営構造改革における固定費削減では、当初計画に対しさらなる効果創出を図るとともに、変動費など経費管理を徹底してまいります。

2023年度の業績目標について、当初想定以上に水光熱費等の高騰が見込まれること、国内消費やインバウンド需要の動向を見極める必要があることから、期初時点では営業利益目標を慎重に設定しました。今後の事業環境変化を踏まえ、各戦略・施策を着実に推進することにより、経営目標の達成を目指してまいります。

また、コロナ禍による消費行動の変化が加速するなか、事業ポートフォリオ変革の重要性が一層高まっています。こうしたなか、サステナビリティ経営を基軸に、2030年を見据えたグループ将来像を定め、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長への道筋」を明確にいたします。また、これらの中長期戦略に基づき、2024年度から始動する次期中期経営計画の策定に取り組んでまいります。

(1)「早期の収益力回復」に向けた重点戦略、経営構造改革の加速推進

1)リアル×デジタル戦略

基幹店舗への集中投資による店舗の魅力化、デジタルを活用したオンラインビジネスの強化に取り組みます。

また、グループ顧客データベースの統合活用に向け、名古屋・心斎橋など重点エリアにおける相互送客の促進などグループ顧客基盤の拡大に取り組みます。

①店舗の魅力化

・各地域での競争優位性の確立に向け、百貨店事業では顧客支持の高い重点カテゴリーのさらなる強化を図るほか、独自の催事・イベントを強化します。また、美や健康、環境を切り口とした新規コンテンツの開発を進める一方、実用性商材を扱う売場を効率化するなどマーケット変化への対応を加速します。

・渋谷や池袋、名古屋、心斎橋PARCOなど基幹店舗への集中投資に加え、来店価値向上に向け、新しさや楽しさを体験できる売場開発やプロモーションの展開、国内外への情報発信強化に取り組みます。また、地域密着型の新たな商業施設を開業します。

②オンラインビジネスの強化

・百貨店WEBや化粧品メディアコマースの商品・ブランドの拡充などに加え、ファッションサブスクリプション事業でのメンズラインのサービス開始、オンラインを活用した地域産品の販路拡大などCSV視点の事業活動を強化します。

・SC事業では、従来のオンラインストアを刷新し、ショップや販売メニューの充実、越境ECへの対応など顧客やショップの利便性向上、付加価値の高いサービス提供に取り組みます。

2)プライムライフ戦略

富裕層マーケットへの対応強化に向け、顧客基盤の拡大、新たなコンテンツの開発、店頭・外商・WEBなど多様な顧客接点を通じた顧客政策の進化を図ります。

①顧客基盤の拡大

・百貨店事業では、他社提携やオンライン入会、お得意様向け専用サイトの会員登録の促進による顧客基盤の拡大とともに、アプリを活用した訪日外国人の顧客固定化に取り組みます。

②新たな商品・サービスの開発

・百貨店事業では、主力カテゴリーのさらなる強化に加え、希少性の高いコンテンツの開発やロイヤルティを高めるサービスの構築、また決済・金融事業では業務提携等を通じた顧客のライフステージに応じた金融サービスの開発・提供を他社との連携により推進します。

③顧客政策の進化

・お得意様向け専用サイトやオンライン接客などデジタルを活用した営業活動の強化、またデータ分析・活用範囲の拡大によるCRMの進化を図ります。

3)デベロッパー戦略

重点エリアでの大型開発プロジェクトの推進に加え、保有不動産の有効活用、事業基盤の強化を図ります。

また、本年3月から始動した新たな事業推進体制のもと、グループ全体最適、保有資産の高度利用の観点から、当社が事業基盤を有する7都市の重点エリア(※)を中心とする長期の開発計画を策定、推進します。

※札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡

①重点エリアにおける大型開発プロジェクトの推進

・名古屋栄地区、大阪心斎橋地区の大型開発プロジェクトに加え、福岡天神地区における「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」を、地域や他社との連携により推進します。

②保有不動産の有効活用

・保有不動産の特性に応じたレジデンス物件の開発、竣工による収益貢献を図ります。

③事業基盤の強化

・資産の入替え、アセットマネジメントビジネスの受託体制整備など事業基盤の強化に取り組みます。

4)経営構造改革

固定費削減において当初計画に対し、さらなる効果創出に取り組みます。加えて、想定以上に水光熱費等の高騰が続くなか、変動費の管理徹底を図ります。

①固定費削減

・この間推進してきた組織・要員構造改革、グループ共同購買や賃借物件の見直し等の効果とあわせ、業務委託領域の見直し、後方業務の効率化など経費構造改革のさらなる見直しを図ります。

②経営効率、資産効率の向上

・2024年度以降の「再成長」を見据え、将来性や成長性、投下資本に対する収益性に基づく事業基盤の絞り込みによる経営効率の向上、非事業用資産の見極めによる資産効率の向上を図ります。

(2)2030年を見据えたグループ将来像、「再成長」への道筋の明確化

コロナ禍を契機に、日常生活においてデジタル活用が進む一方で、地域や人との繋がり、場所や空間、感動の共有などリアルならではの体験価値が再認識され、また社会・環境課題への意識の高まりなど、消費行動の変化が加速しています。

お客様のくらし方や楽しみ方が多様化するなか、2030年を展望し「持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現」に向けたグループ将来像を定め、事業を通じた社会課題の解決、従来の事業領域や商品・サービスにとらわれない新たな価値創造に取り組んでまいります。

また、これらの具現化に向け、当社が有する店舗資産、顧客や地域、お取引先様との繋がり、事業ノウハウなどの経営資源を最大限活用し、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長」に向けた中長期の経営戦略、次期中期経営計画の策定に取り組んでまいります。

<「再成長」に向けた経営課題、方向性>

1)既存事業のビジネスモデル変革

百貨店・SC事業のビジネスモデル変革に向け、重点エリアでの顧客交流、海外顧客や次世代顧客への対応強化による顧客基盤の拡大、環境・社会価値の創出に向けた新規ビジネスの開発に取り組みます。

2)非商業分野での事業成長

デベロッパー事業では、多様な都市生活提案と魅力的な街づくりへの貢献を目指し、重点エリアにおける長期の開発計画、また建築内装事業の拡大、資産の入替えやアセットマネジメントによる収益の多元化など長期戦略を立案、推進します。

決済・金融事業では、グループ決済基盤の確立に向けた計画策定、顧客データを活用した付加価値の高いサービスの開発など金融ビジネスの成長戦略を再構築します。

3)新規事業の創出

eスポーツ、サブスクリプション事業など今後成長が期待される事業の育成や参入、また、リアル店舗と仮想空間を掛け合わせ、お客様に新しい体験を提供するなど、デジタル技術を活用した新規事業の創出に取り組みます。

また、これら戦略の実効性を高めるため、地域や他社との提携、事業買収、CVCファンドとの事業共創など社内外の多様な知見を活用します。

(3)中長期の成長実現に向けた経営基盤の強化

2030年を見据えたグループ将来像、事業ポートフォリオ変革の実効性を高める経営基盤強化に取り組んでまいります。特に、当社が目指すサステナビリティ経営の実現に向け、多様性を積極的に推進し、新たな価値を生み出す“人財”への重点投資を通じて、人と組織の持続的成長を図る「人的資本経営」を推進いたします。

1)グループ人財戦略

高度専門人財の採用強化や能力開発、次世代を担う人財育成、女性活躍の推進に加え、一人ひとりの意思意欲や潜在能力を引き出す配置やリスキリング(新たなスキルの獲得)など人財投資の強化を図ります。

また、グループ将来像、事業ポートフォリオ変革を見据え、求められる人財や能力の可視化に基づく育成・採用、配置政策の立案、従業員エンゲージメントの向上など、経営戦略と連動した人財戦略の推進にスピードを上げて取り組みます。

2)グループ財務戦略

事業ポートフォリオ変革、各事業の収益性を伴った成長実現に向け、各事業との連携による投下資本利益率(ROIC)向上への計画策定、社内浸透などグループ経営管理の高度化に取り組みます。また、資本市場等の動向等をふまえ、営業キャッシュ・フローの創出、戦略投資資金の確保、有利子負債のコントロールなど財務体質の強化を図ります。

3)グループシステム戦略

経営管理の高度化、業務の効率化を目指すグループ共通会計システムについて、次期中期経営計画での本格稼働を見据え、各社への導入を進めます。また、グループ全体最適及び情報セキュリティや事業継続への対応強化の観点から、新ネットワークの構築、投資計画・プロセスの一元管理など、グループITガバナンスを強化推進します。

4)コーポレートガバナンスの強化

中長期的な成長実現・企業価値の向上を目指し、事業ポートフォリオ変革に向けた経営の意思決定、執行の迅速化を図るとともに、取締役会による監督機能の強化などガバナンスの高度化に取り組みます。

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