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【東証グロース:2934】「食品業」
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企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社経営の基本方針
当社グループは、「人と社会を健康に美しく」を企業理念に掲げ、新型コロナウイルス感染症の影響で、「非対面」、「リモート」が常態化するというパラダイムシフトがおきた我が国において、特に医療・ヘルスケアの領域に着眼し、それらの分野でのパラダイムシフトを起こし、より良い生活文化の創造と発信を通じて、社会すべての人々の健康で幸福な生活の実現に貢献するという使命を基に、事業展開を行っております。
上記使命の要約は以下のとおりとなります。
① ヘルスケアテックカンパニーとして、デジタル技術の活用により、人々の幸福な生活に欠かせない医療・ヘルスケア領域を革新します。
② 医療・医薬分野のデジタルトランスフォーメーションを推進し、医療サービスの向上と社会保障制度の負担減に貢献します。
③ ヘルスケア領域において、特に「ケンビキョウイイ」(注)の分野における商品やサービスの開発に注力し、人々の健やかな生活を支えます。
(注)「ケンビキョウイイ」とは、「健康・美容・教育・癒し・医薬・医療」を指します。
(2) 経営戦略及び経営上の目標達成状況を判断するための経営指標等
当社グループでは、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図ることが重要と認識し、客観的な指標として、売上高、EBITDA(注1)を重視しており、その中長期的な向上を図る経営に努めてまいります。また、当社事業モデルを勘案したうえでの重要な経営指標は、未病・予防期間の長期化、疾病期間の短縮化を実現する“SOKUYAKUヘルスケア経済圏”における活動人口を表す「QAU(注2)」、および経済規模を示す「ARR(注3)」としております。
(注)1.「EBITDA」とは営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費のことをいいます。
2.「QAU」とは四半期間でのBtoCサービスのアクティブユニークユーザー数のことをいいます。
3.「ARR」とは年間経常収益であり、QAUから生じた売上高の年換算額のことをいいます。
(3) 経営環境及び市場戦略
当社グループの事業が対象とする市場は、健康食品や機能性表示食品、一般医薬品等のEC・通信販売市場及び調剤薬局市場であります。
日本国内における消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場は、インターネットやスマートフォンの普及の拡大の影響で、今後も引き続き堅調に推移していくと予想されております。2023年における日本国内の物販系分野のEC市場規模は14兆6,760億円で、前年比4.8%の伸び率となっております(注1)。その要因には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により外出を控え自宅にいながら買い物を楽しむという消費行動が、消費者の間で徐々に外出機会が回復した2023年においてもさらに定着しつつあること、ネット上での販売商品の多様化、市場参加者(売り手)の増加、 物流事業者による宅配時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増大化等が挙げられます。なお、2023年の物販系分野のEC化率は9.4%と、2022年の9.1%から上昇しております(注1)。しかしながら、米国のEC化率は約16%であり、近年ECの市場規模拡大が著しい中国のEC化率は既に45%を超えている(注1)ことと比較すると、我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、今後も伸びる可能性が十分にあると考えられます。
このような背景のもと、国内の健康食品、機能性表示食品・サプリメントの市場規模は、2023年度で9,050億円であり、2024年度以降も概ね同水準で推移すると見込まれております(注2)。また、一般用医薬品の市場規模は2024年で7,105億円(前年対比101.9%)と推計されており(注3)、増加トレンドにあります。 このような経営環境を踏まえ、当社は新商品の投入、定期会員へのサービス拡充などを通じて、引き続き健康食品等の通信販売事業を行うヘルスケアセールス事業及び医薬品の通信販売事業を行うメディカルケアセールス事業において、安定的な収益基盤を構築してまいります。
一方、調剤薬局を取り巻く市場環境につきまして、調剤医療費(調剤報酬)は2023年では約8.3兆円の市場規模となっております(注4)。また、処方箋枚数は2023年で年間8.8億枚前後となっており(注4)、65歳以上が我が国の人口の3分の1を占めると言われる2025年に向けて、今後も増加していくことが予想され、調剤薬局の果たすべき役割期待と業務負担は今後も重くなるものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、調剤薬局を含む医療機関においては、病院内・薬局店舗内での感染を恐れた患者の通院・来店差し控え、医療情報の不透明性や手続きの煩雑性等、現在の医療制度の脆弱性が露呈し、医療サービスを受けたくても受けられないという状態に陥りました。他方、受け入れ側の医療機関に関しては、2018年の時点で39兆円である医療費は、65歳人口が我が国人口の全体の3分の1を占めるとされる2025年には26%増の49兆円に膨らむとされているにもかかわらず、医療従事者数は2018年とほぼ横ばいの水準に留まると予想されており(注5)、医療現場の人手不足から効率化・生産性向上が今後ますます必要になるといえます。
このような経営環境を踏まえ、医療業界の課題をITで解決し、誰もが自分自身にあった適切な医療サービスをタイムリーに受けられる社会の実現を目指して、オンライン診療・オンライン服薬指導、そして処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供可能な医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」の提供を2021年2月に開始しました。令和4年度診療報酬改定によりオンラインでの初診料の引き上げやオンライン服薬指導の実施要件が緩和されるなど、医療体制のオンライン化の推進が図られ、医療現場の効率化・生産性向上に向けた取り組みが進んでおり、「SOKUYAKU」の提携医療機関及びユーザーは急速に増加しております。引き続き「SOKUYAKU」の事業拡大に向け、着実に事業を推進してまいります。
(注)1.令和5年度電子商取引に関する市場調査 2024年9月 経済産業省
2.2025年版 健康食品の市場実態と展望~市場調査編~ 株式会社矢野経済研究所
3.一般用医薬品データブック2024-2025 株式会社富士経済
4.令和5年度 調剤医療費(電算処理分)の動向 厚生労働省
5.2040年を見据えた社会保障の将来見通し 2018年5月21日 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、健康・美容・医療医薬の分野で事業展開を行っており、オンライン診療、オンライン服薬指導処方箋医薬品の宅配事業を含む医療プラットフォームサービス事業「SOKUYAKU」並びに医薬品及び医薬部外品の通信販売事業を含むメディカルケアセールス事業、健康食品の通信販売事業を行うヘルスケアセールス事業、及び他社商品のマーケティング支援を行うヘルスケアマーケティング事業を運営しております。今後もこれらの事業の持続的成長を実現させていくため、以下の項目を対処すべき課題として、引き続き取り組んでまいります。
① コーポレートブランドの価値の向上
当社の経営理念・ビジョン実現のためには、お客様から支持される商品・サービスを提供し続けることに加え、多くの方々に愛着を持っていただける会社になることが不可欠であると考えております。テレビのインフォマーシャル広告や著名人等を使用したキャスティングで自社ブランド商品の知名度は徐々に浸透してまいりましたが、更なる事業拡大及び競合企業との差別化を図るにあたり、引き続きインフォマーシャル広告やSNSを使った広告に加え、適切な情報開示と、積極的な広報活動及びCSR活動を行ってまいります。その一環として、当社は2020年12月1日に国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」に即した企業活動を行うことを宣言しました。具体的には、①オンライン医療サービスアプリの開発や低糖質米の開発プロジェクトなどの社会における健康的な生活の確保、健康増進に貢献する②女性や外国人労働者の活躍を推進するなどの性別、障がい、人種、民族様々な状況に関わりなく、健康で働きがいのある職場環境を創り、社員が幸せに生きる明るい未来を創造する③バイオマスプラスチック配合のレジ袋の導入などの環境に配慮した取り組みで、CO2の削減と廃棄ロスゼロを目指す、以上3点になります。このような活動を推進し、引き続き当社のコーポレートブランド価値の向上を図ってまいります。
② お客様との継続的な関係構築
当社グループのヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業においては自社ブランド商品(酵水素328選シリーズ、ホワイピュア、トンデケア、JFD等)の通信販売事業による売上高の比率が高く、一定の間隔で同一商品を継続的にお届けする定期購入サービスを利用するお客様に支えられております。そのため、お客様との継続的な関係を構築することが、今後の持続可能な安定収益を確保するために極めて重要となるものと考えております。更なるお客様満足度の向上に向けて、新たな商品ラインナップの展開や販促品・同梱販促物等のクオリティアップ、徹底した商品の品質の追求、お客様に寄り添ったアフターサポートサービスの拡充、デジタル化による各種手続き等の利便性向上などに取り組んでまいります。
③ 広告投資における課題
ヘルスケアセールス事業における当社商品ブランドはダイエット訴求の商材が中心となっております。中でも主力商品である「酵水素328選もぎたて生スムージー」では、ダイエットの結果が出るおよそ3か月から6か月を経過したタイミングで定期コースを休止する顧客が比較的多い傾向にあります。そのため、当事業で安定した収益を確保するためには、既に定期コースに申し込み済みの会員顧客の満足度を向上させる取り組みと共に、新規の顧客を継続的に獲得することが重要と考えております。新規顧客を獲得するためには広告投資が必要不可欠でありますので、媒体ごとの広告市況や顧客の反応、CPO(定期顧客一人あたりの獲得単価)等を随時モニタリングしながら、継続的に効果的かつ効率的な広告投資が実施できるよう取り組んでまいります。
④ 情報管理体制の強化
当社グループが事業活動を行う中で、お客様の個人情報を取扱うことが多いことから、一般財団法人日本情報経済社会推進協会運営のプライバシーマーク制度や情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS(ISO27001))の認証取得や社内規程の整備及び業務フローの厳格な運用等を行っております。
今後、当社グループが業容を拡大するにおいて、お客様の信頼性の更なる向上のため、セキュリティに関するシステムの整備や社員の教育を行い、個人情報管理体制の強化を図ってまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社グループが、今後更なる成長を実現するためには、事業環境の変化に適応しつつ、持続的な成長を支える組織体制・内部管理体制の強化が重要であると考えております。企業規模拡大に応じた内部管理体制の構築を図るために、コーポレート・ガバナンスを重視し、リスクマネジメントの強化、並びに金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制制度の適用等も踏まえた内部統制の継続的な改善及び強化を推進し、強固な経営基盤の構築を図ってまいります。
<特別調査委員会による調査報告書で指摘を受けた課題>
当社は、2024年11月13日付の「特別調査委員会の調査報告書に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社の2024年5月期の一部の広告売上取引における売上高及び原価の計上において不適切な会計処理がある旨の疑義(以下「本事案」といいます。)について、特別調査委員会を設置のうえ調査を進め、2024年11月11日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。2024年12月11日付の「再発防止策の策定等に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会より指摘を受けた事項を踏まえ、当社として今回の事態が生じた原因は、役職員のコンプライアンス意識の醸成が不十分であったこと及びガバナンスの機能不全・牽制機能の欠如に起因するものであったと認識し、下記のとおり、再発防止策を策定・実行しております。
ⅰ コンプライアンス意識の強化
ア.経営トップからの継続的なメッセージの発信
コンプライアンスを最優先とした組織風土を醸成するために、経営トップ自らコンプライアンス遵守が経営の最重要課題であることを再度明確にし、年に一度代表取締役社長自らスピーチを行うとともに、その後スピーチの概要を改めてグループ全役職員に対してメールで配信することで、役職員に対し継続的にメッセージを発信しております。
イ.役職員のコンプライアンス意識向上
経営トップからの継続的なメッセージの発信に加えて、コンプライアンス意識の維持向上のため、グループ全役職員を対象に、本事案等を踏まえたコンプライアンス研修を定期的に実施しております。
ⅱ 執行サイドに対する牽制機能の強化
ア.取締役執行役員CFOの選任と社外取締役の増員
当社では、事業執行サイドの最高責任者である専務取締役執行役員COOが事業本部のみならず、コーポレート本部及び経営企画本部等も所掌していたことから、事業本部における予算達成のために企図された不正に対し、管理部門による内部牽制が十分に機能しづらい体制となっておりました。これを是正するために当社は、2025年2月の株主総会にて、コーポレート本部及び経営企画本部を所掌する最高財務責任者(CFO)を取締役に選任致しました。これにより、管理部門による牽制機能を強化してまいります。さらに、同株主総会において、社外取締役を1名増員いたしました。これにより、取締役会の監督機能を強化してまいります。
イ.異常検知のための実績モニタリング
本事案は広告施策がどのように事業成果に影響しているのかについて売上高と広告費には明確な相関関係が存在しないという特殊性から、従来主に行っていた予算実績差異分析によるモニタリングに加え、コーポレート本部が主体となって、一定金額以上の案件に対して利益率実績の月次推移分析を実施することで、異常をいち早く検知することができるモニタリング体制を構築いたしました。検知した異常については、その取引の商流や条件の経済合理性を検討し最高財務責任者(CFO)に報告することを徹底いたします。
ⅲ 内部通報制度の実効性の向上
当社の内部通報制度は、総務部や外部の弁護士へ役職員全員が直接通報することができ、かつ、役職員全員が見ることができる社内イントラへの掲示がされているものの、役職員に対する内部通報制度の周知が十分になされていなかったことを踏まえ、内部通報制度の実効性を向上すべく、コンプライアンス研修に内部通報制度に関する内容も織り込みました。これにより、内部通報制度の周知及び浸透を図ってまいります。
ⅳ 取締役会や監査役会へ十分な情報提供を行うことによる監督機能の強化
上記のとおり本事案については取締役会及び監査役会への情報提供が不十分であったがために、十分な議論がされておりませんでした。そのため、会計上の論点がある事項については最高財務責任者(CFO)より取締役会開催日に先立って取締役及び監査役に対して、審議するための十分な資料を共有することを徹底いたします。
ⅴ 内部監査体制の強化
内部監査の実効性を確保するため、必要に応じて外部の専門家を利用することで、内部監査の人的リソースを確保いたします。また、不正リスクを考慮した内部監査を実施し、内部監査の過程で不正の兆候等を検知した場合には、監査役会へ報告することを義務化いたします。さらに監査役、内部監査部門、会計監査人によるミーティングを少なくとも四半期毎に開催し、適時・適切な情報共有と意見交換を実施いたします。
ⅵ 会計監査人との連携の強化
会計監査人への相談対象とする会計論点について、相談に先立ち、当社の判断とその論拠についてポジションペーパーを作成いたします。また、当社と会計監査人間で確認・合意した会計処理にかかる方針について事後的な会計上の解釈の齟齬を防ぐため、整理して書面化することを徹底いたします。
⑥ 優秀な人材の確保及び育成
今後の一層の事業拡大及び収益基盤の確立にあたり、優秀な人材の確保及び育成が重要と考えております。当社の経営理念やビジョンに共鳴し、当社の持続的な成長を支える優秀な人材を確保・育成するため、採用活動及び研修活動を強化すると同時に、適材適所のアサインメントと適切な人事評価の徹底に努めてまいります。
⑦ 医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」事業の拡大
当社グループは、これまで健康食品・医薬品等の通信販売事業で培った、インターネットを活用したEC及び通販事業等の知見・ノウハウを活用し、今後は医療・医薬の分野へ事業領域を拡大してまいります。具体的には、医療制度の規制緩和を受けて、オンライン診療及びオンライン服薬指導に加えて、処方箋の宅配までをワンストップで提供する「SOKUYAKU」事業を展開しております。医療業界には、多種の法令や規制があり、これらの法令遵守を徹底することはもちろんのこと、今後の法令等の改正に合わせて、適時かつ臨機応変な事業展開を推進してまいります。
⑧ 中長期的な成長に向けたM&A・アライアンスの推進
当社グループは、ヘルスケアセールス事業等における新商品開発や、メディカルケアセールス事業における新規事業の立ち上げ等を通じて、これまで安定的な成長を実現してまいりました。今後は更なる事業成長及び中長期的な企業価値の向上に向けて、M&Aや他の企業とのアライアンス等にも取り組んでまいります。
これらの活動を通じて、当社の経営理念「人と社会を健康に美しく」に即した事業の拡大や新たな事業機会の創出、人材の獲得、取引先の開拓等に取り組んでまいります
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