企業兼大株主伊藤園東証プライム:2593】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年7月23日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)当社グループの経営の基本方針

 当社グループは創業以来、「お客様第一主義」の経営理念に基づき、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」の製品開発コンセプトに基づき、お客様にお喜びいただける製品の開発と、お客様に密着したサービスに努めてまいりました。

 当社グループの考える「お客様」とは、「消費者の皆様・株主の皆様・販売先の皆様・仕入先の皆様・金融機関の皆様・地域社会の皆様」であり、単に消費者の皆様にとどまらず、当社グループと関わりを持たれるすべての方々を「お客様」と定義しております。

 全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」の精神を持ち、「お客様」にお喜びいただける最良のサービスをご提供することが、最良の経営につながるものと確信しております。

 今後も、当社グループは「お客様第一主義」の経営理念に基づき、継続的に企業価値を高め、より一層株主価値を向上させる経営に努めてまいります。

(2)当社グループの中期的な経営戦略

 当社グループは、2024年6月に2029年4月期までを対象とする新たな「伊藤園グループ 中期経営計画」(以下、中期経営計画)を発表しました。

 中期経営計画では、お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会を実現するため、2041年4月期の将来像実現に向けて、より迅速な事業展開を推進します。当社グループは、「お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会の実現」を使命として、「健康創造企業」をグループのミッションとして掲げています。新たに策定した中期経営計画に基づき、今後も「心身の健康」「社会の健康」「地球環境の健康」の価値創造に取り組み、お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

中期経営計画 5つの重点戦略

(3)当社グループの対処すべき課題

 当社グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられる中、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。

①ブランドの確立

1.製品開発

 当社は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を製品開発コンセプトに、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、当社独自の提案制度であるVoice制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取り入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発及び既存製品の改良を行っております。今後もVoice制度を積極的に活用し、お客様のニーズに即した製品開発・改良に努めてまいります。

2.研究開発

 当社の研究開発は、特に「健康・安全・おいしい」、及び持続可能な社会への貢献として環境に重点を置き、基礎・応用研究を進めております。当社が提供する製品が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、常に最新情報を発信し続けます。さらに健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでまいります。また、飲料のおいしさに関与する成分研究や物性に関する研究を進め、より優れた製品開発に向けた技術提案を行ってまいります。環境については、「お~いお茶(Oi Ocha)」などの飲料製造工程で発生する茶殻を、肥料や飼料への再利用のほか、新たなアップサイクル製品へと生まれ変わる「茶殻リサイクルシステム」を推進してまいります。

3.ブランド強化政策

 「伊藤園(ITO EN)」という総称ブランドを軸に、「お~いお茶(Oi Ocha)」「健康ミネラルむぎ茶」「TULLY'S COFFEE」「1日分の野菜」などの個別ブランドの強化を図ってまいります。

 特に主力製品であります「お~いお茶(Oi Ocha)」につきましては、1985年の発売から続いている原料と製法にこだわり、自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した当社ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・ほうじ茶・玄米茶・抹茶」など、茶葉の特徴を取り入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、より一層のブランド強化に努めてまいります。

②営業基盤の強化

1.ルートセールス

 ルートセールスとは、製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システムのことであります。当社はこのシステムを採用することにより、当社とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した営業活動を展開しております。

 また、機能性・携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。

2.お客様へのサービスの強化

 これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様への訪問の強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。

③総コストの削減

1.委託生産方式

 飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 自社工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。

 また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流の効率化も可能となっております。

2.原材料調達力の強化

 当社は、緑茶のトップメーカーとして国内荒茶生産量の約4分の1を取扱い、長年にわたり生産者との信頼関係を築き上げた結果、高品質の原料を安定的に確保できる極めて強力な原料調達力を持っております。また、これまでに蓄積したノウハウと高い製造技術により、高品質の飲料用原料を自社製造で調達することができる飲料メーカーであります。

 国内では就農者の高齢化と後継者不足のため、就農人口、茶園面積の減少が進んでおります。そこで当社は、日本農業の課題解決と、今後も需要増加が見込まれる緑茶飲料用を中心とした原料の安定調達の両立を目指して1976年より茶産地育成事業を行っております。各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、荒廃農地などを大規模な茶園に造成して茶葉を生産する“新産地事業”で茶産地をサポートしています。新産地事業では、九州5県に加え静岡県及び埼玉県にて、苗木の選定から茶園づくり、そしてその茶園を機械化、IT化により低コストで管理できる栽培及び荒茶加工ノウハウを、当社から農家に対し提供することで、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、荒廃農地の活用及び生産農家の後継者育成並びに雇用の創出など茶業界と地域の活性化にも寄与しております。

 原料を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。たとえば、気候変動に伴う異常気象や自然災害の頻発、生産地域の変更や栽培面積の縮小といった課題が顕在化しています。さらに、エネルギー費、肥料費、人件費、物流費の高騰や、相場・為替の変動、地政学的リスクや社会情勢の変化など、調達環境は多様なリスクにさらされています。
 このような状況下においても、コーヒー豆の調達については、当社グループ間で連携し、世界各地の産地やサプライヤーと協力して、安定的な原料調達を推進しています。
 また、「1日分の野菜」等の主要原料である人参に関しては、当社専用の人参を使用しており、50品種の中から厳選した、栄養価・風味・生産効率に優れた品種を採用しております。在来品種についても計画的に品種の見直しを行い、それらを継続的に評価しております。

 さらに、原料の調達においては、供給エリア、生産時期、地政学リスク、輸送ルートなどを総合的に考慮し、供給先の分散化を推進しております。主要原料については、複数の供給元からの購買を徹底することで、安定供給体制を構築しております。

④海外事業の強化

 連結子会社であるITO EN (North America) INC. が米国における緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店等に対し営業活動を行い、日本茶を米国に普及させると同時に、「伊藤園(ITO EN)」及び「お~いお茶(Oi Ocha)」ブランドの確立を図っております。「ITO EN MATCHA GREEN TEA」につきましては、これまで米国市場には無かった高品質のティーバッグ製品や抹茶製品として、また「お~いお茶(Oi Ocha)」につきましては、日本と同様にティーバッグからインスタント、抹茶、飲料製品に至るフルラインアップによって、米国での日本茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。中国、東南アジア、豪州、欧州などにつきましても、引き続き販売強化を進めてまいります。また、近年世界的に需要が急拡大している抹茶に関しましては、国内の調達・生産・加工体制を強化するとともに、全世界への供給網を整備しており、抹茶事業を新たな事業として捉え、取り組んでおります。

⑤サステナビリティ経営の推進

 当社グループは、経営理念「お客様第一主義」に基づき、サステナビリティ経営の推進と実践により、社会・環境課題の解決と企業価値向上の両立(共有価値の創造:CSV)を目指しています。2022年度に「伊藤園グループにとっての重要度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の双方向から評価した7つのマテリアリティを特定していました。しかし、気候変動による影響広まり、グローバルサプライチェーンの混乱や人権問題の顕在化、ウェルビーイングへの関心の高まりなど、急激な変化が起きていることから、経営環境の変化とグローバル化を成長戦略とする中期経営計画(2025年4月期~2029年4月期)を踏まえて、2024年度にマテリアリティの見直しを行い、新たに7つのマテリアリティを特定しました(2025年3月特定)。

 当社グループ全体で中期経営計画とマテリアリティに取り組み、サステナビリティ経営を推進していきます。詳細は、「第2 事業等の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

PR
検索