リンクアンドモチベーション
【東証プライム:2170】「サービス業」
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企業概要
当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下のとおりであります。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。
(1)当社グループのミッション
当社グループのミッションは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」です。当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」をビジネスモデルに適用し、組織や個人が「夢」や「生きがい」によって、たくさんの意味をくみ取っている社会を実現してまいります。
(2)経営の基本方針
当社グループは、創業当初より「社員のモチベーションこそが会社の成長エンジン」であると考えております。この基本的な考え方を前提に、企業理念の実現に向けた会社の経営においては、以下の3点を重要視しております。
1.人的資本を最重要視し、人的資本及びその他の資本の最大化を図ること
当社グループのビジネスはソフトビジネスであり、人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であると考えております。具体的には、人的資本がビジネスを通して財務資本を、技術開発を通して知的資本を、顧客開発を通して社会関係資本を創造し、増大させております。だからこそ、人的資本投資を加速させることで、その他の様々な資本を持続的に増強し続けることを目指しております。
2.「モチベーションエンジニアリング」をビジネスモデルに徹底活用すること
「モチベーションエンジニアリング」は、経営学・社会システム論・行動経済学・心理学などの学術的成果をもとに創られた当社グループの競争優位性となる基幹技術です。「診断技術」と「変革技術」から構成されたこの技術を全ての事業、商品サービスに組み込むことで、顧客価値を最大化しております。
3.事業戦略と組織戦略を常につなげて捉え、顧客価値と人的資本価値の最大化を同時実現すること
当社グループは、顧客価値の最大化を実現するための事業戦略と人的資本価値の最大化を実現するための組織戦略を対等に捉え、常に双方をつなげて考えております。そして、そのバランス度合いを示す生産性(人的資本ROI、社員1人当たりの売上総利益)をモニタリングすることで、環境変化に応じて適切な経営判断を行っております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
ⅰ経営環境
近年、労働力人口の減少やビジネスのソフト化、ワークモチベーションの多様化が進む中で、企業が従業員や応募者から選ばれ続ける重要性と難易度は加速度的に高まっております。さらにAIの技術的発展が進む中で、優秀な人材の獲得競争がより一層激化していくことが想定されております。こうした環境下において企業は、既存社員がパフォーマンスを発揮するための人材力の向上や、人材の維持と獲得のための従業員エンゲージメントの向上に取り組む必要があることから、このような環境変化は当社グループにとって非常に重要な機会であると認識しております。
ⅱ事業戦略及び目標とする経営指標、対処すべき課題
人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の機運が高まっている中、当面の間は、成長可能性の高い組織開発Divisionのコンサル・クラウド事業に注力する方針です。企業の「人的資本経営」を総合的に支援できる、他にはない優位性を発揮することで支援を拡大し、当社グループの成長ドライバーとしてまいります。
目標とする経営指標
事業の収益性・生産性を重視した経営を行うべく「売上収益営業利益率」を重要な経営指標として位置づけております。加えて、規模の拡大に向けて「売上収益」「営業利益」「親会社の所有者に帰属する当期利益」、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて「ROE」も重要な経営指標として位置づけております。そして、組織戦略とのバランス度合いを示す生産性(人的資本ROI、社員1人当たりの売上総利益)も重要指標としております。
事業戦略及び対処すべき課題
<組織開発Division>
人的資本経営においては、定期的なエンゲージメントの診断と組織課題に応じた変革が不可欠ですが、当事業は人的資本経営を総合的に支援できる、他にはない競争優位性を有しております。今後はさらなる成長実現に向けて、各支援内容における重点テーマを設定し、クラウドとコンサルティングの両面における拡大を目指してまいります。
コンサル・クラウド事業の重点テーマ
支援内容 | クラウドによる 組織診断 | クラウドによる 変革支援 | コンサルティングによる 変革支援 | |
重点 テーマ | 継続 | 国内大手企業への注力 | 変革サービスのクラウド化によるアップセル | 顧客深耕による 単価向上 |
強化 | さらなる販路拡大 | サービス拡充による アップセル | 生産性向上による キャパシティ拡大 |
① クラウドによる組織診断
人的資本経営やその情報開示の機運が高まる中、すでに企業の営業利益率や労働生産性との相関も明らかになっている従業員エンゲージメントへの注目はますます高まっており、モチベーションクラウドは従業員エンゲージメント市場において売上シェア7年連続1位を獲得しております。一方で、現在の導入企業数は上場企業約4,000社のうち未だ5%程度であり、拡大余地は充分にあると認識しております。引き続き国内大手企業への導入を推進するとともに、今後は「さらなる販路拡大」を進めてまいります。具体的には、中小企業への導入に向けて、2024年8月に業務提携契約を締結した株式会社FCEの顧客基盤を活用するとともに、海外日系企業への導入に向けては、2025年1月より営業を開始した4か国(シンガポール、ベトナム、タイ、フィリピン)の海外子会社を通じて、導入を推進してまいります。
② クラウドによる変革支援
これまで、人材育成支援の「ストレッチクラウド」やコミュニケーション支援の「コミュニケーションクラウド」といった、変革サービスのクラウド化を進めてまいりましたが、2025年3月より、「コミュニケーションクラウド」「ストレッチクラウド」を「モチベーションクラウド」に集約し、2024年8月に業務提携契約を締結した株式会社FCEが提供している「RPA Robo-Pat DX」や「FCEプロンプトゲート」などの生産性向上のサービスについても、モチベーションクラウドの変革サービスとして追加いたします。今後は、「サービス拡充によるアップセル」に向けて、フリーキャッシュフローの一定割合を投下し、M&Aや事業提携等を通じて変革サービスをさらに拡充する予定です。これらの取り組みを進めることで、圧倒的な競争優位性を確立してまいります。
③ コンサルティングによる変革支援
当社グループは、採用・育成・制度・風土といった組織人事に関わる変革ソリューションをワンストップで提供できることが大きな競争優位性となっています。コンサルティングについては、これまで顧客単価の向上を目的に、顧客深耕に注力しておりましたが、今後は「生産性向上によるキャパシティ拡大」も推進してまいります。すでに生成AIの活用をはじめとした生産性向上に取り組んでおりますが、2024年12月期はコンサルティング専門部隊の一部において、前年比約25%の業務時間削減を実現するとともに、社員1人当たりの売上高は前年比約140%を実現しました。今後はさらなる生産性の向上に努めるとともに、生産性向上によって生まれたキャパシティで顧客深耕に注力することで、さらなるコンサルティング売上の増加を目指します。
<個人開発Division>
オンライン講座の売上拡大
キャリアスクール事業では、コロナ禍における学びのニーズの変化に合わせ、IT・資格・英会話のオンライン講座を提供し、オンラインにおいても「挫折させない」支援を継続しています。2022年から2023年にかけて、校舎を移転・撤退してオンラインへと移行する構造改革を推進した結果、売上総利益率は大きく向上し、オンライン講座の売上は順調に伸長しております。今後は注目度の高い生成AIの活用や生産性向上をテーマとした講座開発に注力することで、さらなる拡大を実現してまいります。
<マッチングDivision>
① ALT配置事業の安定的な成長
当社グループで最も売上収益の大きいALT配置事業については、引き続き安定的な成長を目指します。事業環境としては、2022年10月より、週20時間以上働くALTを社会保険の加入対象とする法令が、従業員数の多い企業から順次適用されることとなり、民間企業として最もシェアを持つ当社グループは競合他社に比して先行して適用されたことで一時的に厳しい状況となりました。しかし、2024年10月からの適用範囲拡大によって競争環境がフラット化したことで、2024年12月期のALT配置人数は想定通り回復しました。引き続き、強みであるALTの質の向上に加えて、トップシェア企業としてオンライン化やICT活用といった多様化する顧客ニーズへの対応も進めることで、さらなるシェア拡大を実現してまいります。
② 人材紹介事業における「OpenWorkリクルーティング」の価値向上
「OpenWorkリクルーティング」とは、国内最大級の社員クチコミ数を有する情報プラットフォーム「OpenWork」を活用したダイレクトリクルーティングサービスで、転職市場の活況を背景に、現在急成長しています。今後さらに成長を加速させるためには、積極的なキャリア形成に向けて情報収集や転職活動を行うユーザーを増加させていく必要があると考えています。また、社員クチコミデータや企業情報などの蓄積データを解析し、求職者と求人企業のマッチングの最適化を推進させることも重要だと考えています。サービス上での求職活動を活性化させること、マッチングの最適化を進めること、入社後の求職者と企業のミスマッチの発生を抑制し企業・求職者双方の満足度を向上させることで「OpenWorkリクルーティング」の価値を向上させてまいります。
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