企業兼大株主奥村組東証プライム:1833】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループは、建設構造物の品質や安全性の向上、さらには脱炭素社会の実現など多様化する社会のニーズに柔軟に対応すべく、建設に関する技術の研究開発を推進しています。2023年10月に開設したクロスイノベーションセンター(通称:クロスアイ)を拠点に、研究開発の促進に加え、ベンチャー企業等との交流による新技術の開拓を積極的に進めています。

 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,774百万円です。

 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。

 (土木事業)

土木事業では、発注者のニーズを的確に捉えつつ、施工の高度化や持続可能な社会の実現に寄与する技術などの研究開発を進めています。また、社会インフラの維持更新や自然環境の修復・保全に関わる技術などの開発にも取り組んでいます。

(1) プレキャストPC床版の新しい継手工法「Zスパイラル®工法」を開発

 プレキャストPC床版を、矩形状のスパイラル筋「Zスパイラル筋」を用いて接合する継手工法「Zスパイラル®工法」を昭和コンクリート工業㈱と共同で開発しました。

 近年、高速道路の老朽化対策として床版取替を行う大規模更新工事が多く発注されており、施工性の向上が求められていました。

 本工法は、床版取替工事の標準工法であるループ継手と同じループ筋にZスパイラル筋、せん断キーを組み合わせ、早強コンクリートを充填して一体化させるシンプルな構造です。本工法で接合したプレキャストPC床版は、床版の疲労耐久性を評価する輪荷重走行試験により、耐用年数100年相当を有することを確認しました。

 標準工法では、ループ筋内に橋軸直角方向鉄筋を通す作業に多くの時間と労力を要しますが、本工法は、Zスパイラル筋をループ筋の上部から挿入し、ループ筋に結束固定するだけでよいため、配筋作業時間を大幅に短縮できるうえ、橋軸直角方向鉄筋を通すための足場の設置や作業ヤードの確保が不要となります。

 実物大の床版試験体を用いた施工性確認試験により、接合部の配筋にかかる作業時間をループ継手工法に比べ約75%短縮できることを確認しました。

 今後は、高速道路の床版取替工事に本工法を積極的に提案し、普及・展開を図っていきます。

(2) 「山岳トンネルの覆工コンクリート自動打設システム」を開発

 山岳トンネルにおける覆工コンクリート施工の省人化・省力化を目的に、コンクリートの圧送と締固め作業を自動化する「自動打設システム」を北陸鋼産㈱と共同で開発しました。

 本システムは、当社が開発した「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これに圧送ポンプ機のリモコン端子と型枠バイブレータの制御盤を接続し、あらかじめ設定したコンクリートの打上がり高さに応じたポンプの圧送速度、ポンプと型枠バイブレータの稼働・停止を自動制御するものです。これにより、覆工コンクリートの打設が、打設口の切替え作業を除き自動化され、打設作業における省人化と、技能労働者の経験や感覚に頼らない施工が実現します。

 当社技術研究所において、実大規模の移動式型枠に中流動コンクリートを用いた施工実験を行い、本システムの実用性を確認しました。バイブレータの稼働のタイミングや作動時間をコンクリートの打上がり高さの計測値に基づき定量的に制御し、脱型後の表面観察や表面透気係数試験等で品質が確保されていることを確認しました。

 今後は、現場での施工結果をフィードバックして技術のブラッシュアップを図るとともに、移動式型枠の設置や養生などの作業を含めた自動化に取り組み、山岳トンネル工事のさらなる生産性向上を目指します。

(3) 「有機フッ素化合物(PFAS)による地下水・土壌汚染浄化技術」を開発

 人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(以下、「PFAS」)について、超強力酸化触媒を用いて浄化する技術を名古屋大学と共同で開発しました。

 多くの産業分野で利用されているPFASは自然界でほぼ分解されず、人体や環境中に長く残る特性を持っています。現在、国内での検出事例が報道されるなど汚染問題が顕在化しています。

 本技術は、名古屋大学物質科学国際研究センター/大学院理学研究科の山田泰之准教授・大学院理学研究科の田中健太郎教授のグループが開発した超強力酸化触媒「金属錯体担持カーボン触媒」を用いてPFASを酸化分解するものです。

 今回、同大学研究グループとの共同研究により、カーボン触媒のさらなる高活性化に成功し、水溶液中で様々なPFASが酸化分解可能であることを確認しました。さらに本技術を用いれば、汚染された河川水からPFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を99%以上吸着により除去しつつ、その一部を分解できることがわかりました。

 今後は、触媒にさらなる改良を加えるとともに、本技術をPFASにより汚染された地下水・土壌の浄化工事等に適用し、環境修復・保全の観点から社会に貢献していきます。

 (建築事業)

 建築事業では、建築物を地震から守り安全・安心を提供する免震技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらには企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化などに取り組んでいます。

(1) 巨大地震にも対応できる「性能可変オイルダンパー(VOD®)」を実適用

 東北大学、(有)シズメテックと共同開発した「性能可変オイルダンパー(VOD®)」を既存免震建物である当社名古屋支店に設置しました。

 免震建物にVOD®を適用することで、中大地震時には免震効果を維持しつつ、巨大地震時には減衰力(自身のエネルギーを吸収し揺れを小さくする力)が増加し、免震層の擁壁への衝突を回避します。

 当社名古屋支店は、国土交通省通知「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策について」に記載のある「設計時に構造計算に用いた地震動の大きさを上回る可能性が高い地域」にあり、巨大地震時には建物が免震層の擁壁に衝突するおそれがありました。この対策として、既設の従来型ダンパーをVOD®に全数交換する改修工事を行いました。

 このVOD®の開発・実建物への適用が評価され、「第26回日本免震構造協会賞 技術賞」を受賞しました。

 今後は、長周期地震動作用時に擁壁への衝突が危惧される既存の免震建物のほか、従来よりも免震クリアランスを抑えることで建築面積を拡大できる狭小敷地の免震建物にも本技術を適用していきます。

(2) 大型の物流倉庫や店舗の設計合理化が可能な「奥村式鉄骨基礎梁工法」を開発

 鉄骨造(以下、S造)の建築物において、基礎梁をS造の梁として既製杭と接合する「鉄骨基礎梁工法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第24-20号)を取得しました(特許出願中)。

 本工法は、杭を埋め込んだ下部フーチングと、上部構造の柱と基礎梁の接合部を巻き込んだ上部フーチングを直列的に結合することが特長です。これにより、基礎梁をRC造の梁とした場合と比べて、基礎梁重量の減少による杭径等の縮小に伴う杭工事費の削減や、鉄筋・型枠・コンクリートなどの躯体数量の減少に伴う施工の省力化と工期短縮が期待できます。

 今後は、大型物流倉庫や店舗の設計施工案件などで積極的に提案していきます。

 (投資開発事業)

研究開発活動は特段行われていません。

 (その他)

研究開発活動は特段行われていません。

PR
検索