大豊建設
【東証スタンダード:1822】「建設業」
へ投稿
企業概要
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復基調で推移
したものの、アメリカの通商政策等による景気の下振れが懸念されるなど、国内外ともに先行き不透明な状態が続
きました。加えて、国内において物価上昇が継続したことによる消費者マインドの停滞が、我が国の景気を下押し
するリスクとなっており、引き続き我が国経済・物価への影響を一層注視する必要がありました。
(1)経営理念
「顧客第一」「創造と開拓」「共生」「自己責任」の経営理念の下、社員が自己に誇りと責任を持ち、誠実に行動し、常に未来に向けて創造の精神と開拓する姿勢を持ち、企業として適正利潤を求めながら、総合力の発揮により、社会のそれぞれの地域に寄与し、その地域社会から真に信頼される良い会社であること、社員にとって夢のある会社であり続けることを目指します。
(2)目標とする経営指標
当社は、2023年5月に中期経営計画(2023-27年度)を策定し、「人的資本経営の強化」、「事業構造の変革」を基本方針として、目標達成に取り組んでまいりました。しかし、2023-24年度の2年間におきましては、建設資材価格の高騰、人件費の高騰による影響や品質確保の追加費用の発生などから、採算が悪化し、業績目標は未達となりました。これら2023-24年度の実績を踏まえ、当初計画の基本方針は維持しつつ、内外の環境変化にアジャストした計画へ見直し、下記の数値目標を掲げております。
2027年度数値目標(連結) | |
売上高 | 1,600億円 |
営業利益 | 67億円 |
RОE | 7.0%程度 |
(3)経営環境
①防災・減災事業ニーズの高まり
防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策により、防災・減災事業ニーズの高まりが想定されます。
特に、気候変動に伴うゲリラ豪雨は増加傾向にあり、首都圏をはじめ都市部での雨水処理能力が追いついていない状況により、都市機能を失わないための雨水対策として、当社が長年にわたり培ってきたシールド工法、ニューマチックケーソン工法を使用した地下貯留施設のニーズが今後増えていくと思われます。
②変化を求められる行政の事業形態
社会資本の維持管理・更新費等が増大している中、官民連携事業が推進され、公共事業の変革が余儀なくされると考えております。
③建設人材不足の深刻化
建設業就業者の減少と高齢化に伴い、労働者の処遇改善、働き方改革の推進、生産性の向上が求められると考えております。
④労働環境の変化
時間外労働上限規制の施行や働き方の多様化が求められる中、時間外労働時間の管理、就業規則等の整備が必要と考えております。
⑤DX化の推進
生産性向上に向けたデジタル化の推進やシステムの構築が必要であると考えております。
⑥サステナブルな建設業への動き
安全・安心、持続可能で誰一人取り残さない社会の実現・構築への貢献が求められる中、CO2排出量の削減や環境関連技術の開発に取り組む必要があると考えております。
⑦求められる企業価値向上への取組み
資本コストや株価を意識した経営が求められる中、中期経営計画に掲げた施策の実行や業績の回復に注力したいと考えております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社は、2023年5月に策定した「中期経営計画(2023-27年度)」の基本方針は維持しつつ、2025年5月に策定した「中期経営計画(2023-27)(アジャスト版)」に取り組むこととしています。
「より変化に対応できる企業」「より価値を生み出せる企業」への変革に取り組み、経営理念に立ち返り、“社会から真に信頼される良い会社”“社員にとって夢のある会社”でありつづける持続可能性を追求することとしています。
「価値」を生みだす事業戦略と「人」に特化した人材戦略及び、これらの実現に向けた投資戦略の枠組みを策定し、機動的に取り組みます。
また、「人的資本経営の強化」「事業構造の変革」を基本方針として、それらを実現する投資戦略により目標の実現を目指します。
①人的資本経営の強化
サステナブルな建設業と「より価値を生み出せる企業への変革」の実現に向け、「エンゲージメント強化」「DX・研究開発の促進」「人材育成」の3つの領域で人的資本経営を実践・強化して参ります。
②事業構造の変革
当社を取り巻く外部環境・内部環境を踏まえて、下記の領域で事業戦略を策定しております。
(1)基幹事業
・土木事業
当社の得意技術であるシールド・ニューマチックケーソン工事において、国内事業占有率50%以上を目標とします。また、維持修繕事業についての取組みを強化します。
・建築事業
産業関連事業領域(環境・生産・流通)、生活関連事業の均衡維持(住宅・医療福祉・商業)、PFI等公共事業領域の3つの領域を軸として、目標達成に取り組みます。
(2)新領域事業
・PPP事業
前中期経営計画から踏襲する戦略であるPPP事業については、麻生グループとの協業により、確かな取組みにして参ります。
・不動産開発事業
物流施設・シニア住宅等の開発事業、パートナー企業との協業事業拡大に取り組みます。
・ESG関連事業
再生エネルギー、食糧関連、環境保全他ESG課題の対応に寄与する新領域事業に取り組みます。
(3)内部統制の強化
・受注マネジメントの強化、案件に応じた適切な施工体制の整備、モニタリング体制の強化と作業所支援
及び繰越工事の利益確保・改善に取り組みます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①人的資本経営の強化
「エンゲージメント強化」「人材育成」「DX・研究開発の推進」を柱とし、作業現場の人員配置計画を見直し、「4週8休」を実現するとともに、罰則付き時間外労働上限規制を遵守する施工体制を構築しています。さらに、DX・研究開発の推進、従業員エンゲージメントを向上させる等により、企業価値及び生産性の向上を図ります。
②財務戦略
戦略投資として、2025年度から2027年度に207億円を様々な投資に充てます。
(1)事業領域拡大関連:80億円
・開発事業・維持修繕事業・PPP事業
・М&A(先行技術保有企業、人材獲得)
(2)経営基盤強化関連:37億円
・人材投資
・研究開発(シールド・ニューマチックケーソンなど)・DX
(3)株主還元:90億円
・配当性向70%への引上げ
③技術伝承
技術を伝承していくために、「得意技術の深化と進化」、「新分野への応用と新技術への挑戦」、「IT技術との融合」を柱として、社員の能力開発、教育・育成に努めます。
(6)株主還元策
株主還元方針につきまして、配当性向を70%以上とし中間配当も可能とする定款変更を予定しています。
また、業績および財務状況に応じた機動的な還元も検討してまいります。
(7)キャッシュ・アロケーションの見通し
営業キャッシュ・フローと有利子負債の活用によりキャッシュを創出し、株主への還元、企業価値向上に向け
た投資のための戦略投資を計画しています。レバレッジを高めることで、資金コストを意識した経営を推進
します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
- 検索
- 業種別業績ランキング