企業unerry東証グロース:5034】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 スマートフォン等のデバイスが浸透し、ありとあらゆるものがIoT化された世界では、インターネット(オンライン)上の“デジタル行動”のみならず、実世界での“リアル行動”も含めた行動分析に基づき、自分の身の回りの環境が自分のことをもっとよく理解してくれる“環境知能”を前提としたマーケティングコミュニケーションから、新たなビジネス価値が生まれます。当社は、「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げ、実社会のデータを解析し、リアルとデジタルが融合した「環境知能」を未来に実装します。さまざまな不便を解消するのはもちろん、地域や交通における社会課題までも改善させ、生活のUX(注1)を心地よくしていきます。

 私たちは、未来のメガネで社会を見つめ、より多様な選択肢や出会いにあふれる時代の“うねり”をつくりだします。

(注) 1.UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザがプロダクトやサービスを通して得られた体験を表す言葉です。

(2) 経営環境

① 市場規模、市場動向について

 当社では主にリテールDX、リテールメディア、スマートシティ領域にて生活者行動ビッグデータを活用し、マーケティングや街づくりに必要なサービスを提供しております。

 リテールDX市場は、国内において2030年に2019年比で1.6倍となる8,737億円(注2)に、グローバルにおいて2030年に2025年比で5倍となる29.5兆円(注3)に成長することが見込まれております。リテールメディア市場は、国内において2028年に2025年比で1.8倍となる1.1兆円(注4)に、グローバルにおいて2030年に2025年比で1.8倍となる8.6兆円(注5)に成長することが見込まれております。スマートシティ市場は、国内において2030年に2026年比で6倍の6.5兆円(注6)に増加することが見込まれ、人流と親和性の高いスマートシティIoTの世界市場は2030年に2025年比で4.2倍となる691兆円(注7)に成長することが見込まれております。

(注) 2.株式会社富士経済「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」の小売、外食、宿泊業向け機器、システム&サービスの2030年市場規模

3.Stratistics Market Research Consulting「Smart Retail Market, By Solution, By Technology, By Application, By Geography」

4.株式会社CARTA HOLDINGS「リテールメディア広告市場」(2025年1月)

5.Market Research Intellect「Retail Media Networks Market Size By Product, By Application, By Geography, Competitive Landscape And Forecast」September 2024

6.KPMG「2030年市場展望と人材要件:行政(行政DX‧スマートシティ(都市OS))」

7.market.us「Global Smart City Market Size, Share, Statistics Analysis Report By Application」

②  競争優位性について

 当社は独自特許や独自AIによる技術優位性を活かし、ネットワーク効果を持つビーコンプラットフォームや業務効率性の高いプロダクトを開発しており、競争優位性の源泉はビーコンシェア・次世代IoTの技術特許や独自AIの開発による「位置情報に関する技術優位性」、強いネットワーク効果を有するビーコンプラットフォーム、ワンストップでの施策実行や業界を牽引するプライバシー対応による「プラットフォームの優位性」の2点に起因していると考えております。その結果として、当社は屋外・屋内のシームレスなデータから生活者の行動を予測し、リアルタイムに必要な情報をレコメンドできる各種サービス提供を可能としており、競合サービスとは違う優位性を構築しております。今後長期的な成長を続けるべくさらなる競争優位性を確保するため、位置情報ビッグデータを徹底的に科学し、ユーザの状況推定(注9)やペルソナ推定(注10)、店舗の混雑状況や来店者予測等のAIアルゴリズムを開発してまいります。また、位置情報に関連する他データ(購買データ・オンラインデータ等)との掛合せによる、広告効果測定、品揃え予測、キャッシュレスの推進等の先進的かつ高度な用途にも挑戦してまいります。

(注) 9.徒歩・自動車・電車などの移動手段、日常・非日常の活動状況等を推定。

10.サービス・商品の典型的なユーザ像のこと。


③ 主要製品・サービスの内容について

 当社の主要なサービスの内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2)サービスの内容」に記載しております。

④ 顧客基盤及び販売網について

 当社は主に、小売事業者、商業施設運営事業者、消費財メーカー、自治体向けにサービスを提供しており、当社からの直接の営業アプローチに加えて、業務提携先からのご紹介等を通じて受注をおこなっております。

(3) 中期的な経営戦略

 当社は、「電気・ガス・水道・unerry」をスローガンに掲げ、どんな店舗や街に行っても、どんな情報に触れていても、当社の行動データが活用された環境知能が実装されている状態を指す「unerry, everywhere」の実現を目指しています。 この実現にあたり、多くのメガプレイヤーが自社ユーザに対する垂直型のエコシステムを形成する一方、当社はこれらのメガプレイヤーと連携し、様々なデータやサービスなどリアルとデジタルを融合したあらゆる生活者行動を独自のIDで連携する横断型のデータエコシステムを確立することで差別化を図ります。


 また、当社は2028年6月期に売上高100億円の達成を中期目標として掲げており、その実現に向けて以下の4つの戦略を推進してまいります。

1.Data Scaling Law 戦略

 データの幅と量を拡充することで競争優位性に直結するプラットフォームを強化し、中期的な成長率の向上と持続的な競争優位性を確立してまいります。

2.重点パートナー戦略

 成長性の高いパートナーとの協業を拡大し、当社単独ではリーチできない顧客層に対しても接点を広げることで、新規顧客の獲得を進めます。

3.フライホイールプロダクト戦略

 当社の基盤である「Beacon Bank」を活用し、複数のプロダクトを連携させる仕組みを強化することで、リカーリング顧客化を推進し、既存のリカーリング顧客の単価の向上を図ります。

4.人的資本戦略

 急速な事業成長に対応するため、組織体制の強化と人材育成を両軸で進め、一人ひとりの生産性向上を実現することで、持続的な企業成長を支えてまいります。


 こうした戦略の推進を通じて、2028年6月期に売上高100億円の達成を目指すとともに、持続的な成長と企業価値の最大化に努めてまいります。


(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社の顧客は、より高い効果を得るため、当社が展開する3つのサービス(分析・可視化サービス、行動変容サービス、One to Oneサービス)を横断的かつ継続的に活用していただいております。このように継続的に取引いただいている顧客について、当社では、①4四半期以上連続で取引のある顧客企業、及び②直近3ヶ月以上連続で取引のある新規顧客企業を「リカーリング顧客」と定義しております。

 当社では、持続的な成長と企業価値向上を目指しており、直近では拡大する市場を積極的に取り込むべく売上高の成長率と、それを支えるリカーリング顧客に関する指標(リカーリング顧客売上高、リカーリング顧客売上高比率、リカーリング顧客数、リカーリング顧客平均売上高、NRR)を重視しております。直近における各サービス別の売上高成長率及びリカーリング顧客に関する指標は以下のとおりであります。

        (千円、社)

サービス名/リカーリング顧客関連指標

第6期事業年度

(自 2020年

7月1日

至 2021年

6月30日)

第7期事業年度

(自 2021年

7月1日

至 2022年

6月30日)

第8期事業年度

(自 2022年

7月1日

至 2023年

6月30日)

第9期事業年度

(自 2023年

7月1日

至 2024年

6月30日)

第10期事業年度

(自 2024年

7月1日

至 2025年

6月30日)

分析・可視化

サービス

190,585

△1.7%

503,614

164.2%

598,387

18.8%

870,572

45.5%

1,188,977

36.6%

行動変容

サービス

388,219

41.6%

576,608

48.5%

873,534

51.5%

1,190,765

36.3%

1,771,799

48.8%

One to One

サービス

204,213

87.0%

366,103

79.3%

604,816

65.2%

773,569

27.9%

765,355

△1.1%

売上高合計

783,018

35.6%

1,446,325

84.7%

2,076,737

43.6%

2,834,907

36.5%

3,726,133

31.4%

リカーリング顧客

売上高

713,547

1,247,950

1,869,435

2,539,517

3,255,884

リカーリング顧客

売上高比率

91.1%

86.3%

90.0%

89.6%

87.4%

リカーリング顧客数

37

49

78

109

140

リカーリング顧客

平均売上高

19,285

25,468

23,967

23,298

23,256

NRR(※)

110.4%

160.1%

123.9%

124.2%

116.2%

※サービス別売上高の上段は売上高、下段は売上高成長率を記載しております。

※NRR(ネットレベニューリテンションレート)は、以下の式で算出しております。
NRR=(前期以前に獲得したリカーリング顧客の当期売上高)÷(当該顧客の前期売上高)

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 安定的売上の確保

 安定的な収益基盤を確立するため、生活者行動分析・可視化ツールをSaaSとして導入する企業を拡大し、そこから出てきた顧客課題を積極的に提案することで、行動変容サービス及びOne to Oneサービスをクロスセルし、顧客に継続的にサービスを利用していただくことが重要であります。当社では、継続的に取引いただいている顧客について、4四半期以上連続で取引のある顧客企業および、直近3ヶ月以上連続で取引のある新規顧客企業を「リカーリング顧客」と定義しており、このリカーリング顧客の数を積み上げていくとともに、クロスセルの推進により売上高に占めるリカーリング顧客の売上比率を90%程度に保つことで、安定的な売上を確保してまいります。

② 新規事業の展開

「心地よい未来を、データとつくる」というミッションの下、事業規模拡大と収益多様化を図るため、既存事業はもちろん、新規事業にも積極的な投資を行ってまいります。「中期的な経営戦略」に記載しましたリテールメディア・スマートシティ(都市OS)を軸に、事業領域を拡大させることで、新規顧客の獲得とともに新たな収益源の確保を図ります。

③ 優秀な人材の確保と育成

 当社は、今後の事業拡大や継続的な成長を目指す上で、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に社員の半数以上を占めるデータ関連人材については当社の競合優位性を支える中核的な人材と捉えており、社内教育制度を充実させながら、スキル向上にも取り組んでおります。そのため、引き続き積極的な採用活動や社外ネットワークの強化を行うとともに、働きやすい環境の整備や育成機会の拡充など人材に対する投資を行ってまいります。

④ 内部管理体制の強化
a コーポレート・ガバナンスの強化

 株主を含めたステークホルダーとの良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。取引先をはじめとした社外関係者との良好な取引関係を維持していくには、当社も社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く有効なビッグデータを提供していく社会的責任を果たす必要があると認識しております。

 そのため、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制及び人員増を含めた管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査人と監査役との連携強化等の施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。

b 経営管理体制

 当社が継続的な開発パイプラインの拡充および事業開発の展開を進める上で、パイプラインの進捗管理、予実管理等を行うための経営管理体制の強化は重要な課題と認識しております。当社は、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、パイプラインの進捗モニタリングを行うための内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針です。

⑤  資金調達・財務基盤の強化

 人材の採用・育成及びその他事業活動に多額の資金が必要となってまいります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資等を通して、事業の運営、プロダクトの開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。

⑥ 情報セキュリティの強化

 近年外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、マルウェア等のコンピュータウイルス等によりシステム障害が発生する事例や、機密情報や個人情報等が漏洩する事例が増加しております。当社は、情報システム及び通信ネットワーク上の障害や外部からのサイバー攻撃等に備えるため、ファイアウォールシステムの構築や不正アクセスの監視、定期的なデータバックアップ等の対策を実施しておりますが、今後も必要に応じて適宜情報セキュリティの強化を行ってまいります。

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