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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

 当社グループは、「ニッポンのモノづくり品質を世界へ」をキーワードに、ともに成長をめざすという『経営理念』のもと、HS・EMS・PSの3つの事業セグメントを国内外で事業展開しています。

 この多様化した事業構造は、お客様に新たな価値を提供するための源泉となるものであり、当社グループの特長です。これをさらに進化させ、変化に対し柔軟かつ機動的に対応できる基盤を強化し、企業価値・株主価値のより一層の向上を図るため、2017年4月より持株会社体制へ移行しました。

 当社(持株会社)の経営方針は以下のとおりです。

① グループ経営と事業執行の分離による意思決定スピードの向上・責任の明確化

② 事業会社間のシナジーの追求

③ 迅速なM&A・グループ再編の実行

④ 間接部門の重複業務集約や事務効率改善によるコストの最適化

⑤ グループ各社の事業特性に応じた機動的な会社運営

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 世界各国・地域において新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)対策と経済活動の両立が進展する中、ウクライナ情勢の長期化や中国の経済成長の減速、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げやこれに伴う為替変動など、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。

 また、脱炭素社会の実現に向けた新たな技術開発や、仕組みの導入が世界各国で進められており、様々な産業分野において電動化への転換が加速していくことが見込まれます。

 このような状況のもと、当社グループは、複合的、かつ、多様化する経営環境変化を好機に転換すべく、翌連結会計年度(第39期、2023年度)から3か年における中期経営計画を策定し、以下の取り組みを進めてまいります。

 目標経営数値としては、中期経営計画最終年度となる2025年度において、売上高1,000億円、営業利益42億円(営業利益率4.2%)、当期純利益25億円を計画するとともに、運転資本マネジメントを強化しフリーキャッシュ・フローを創出、有利子負債20%削減および自己資本比率20%台を目標とし、財務体質の改善を進めてまいります。

(3) 経営戦略、事業上及び財務上の対処すべき課題

 技術革新によるグローバリゼーションが進む中、市場はボーダーレス化し、地政学的リスクも絡み、世界経済は今後も目まぐるしく変化することが想定されます。

 日本の製造業においては、技術力だけでなく、景況変動への機動的な対応力が求められる状況となっており、固定費の圧縮や事業の選択と集中に加え、ファブレス化への転換が進んでいます。雇用においても少子高齢化が進む中、外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。

 また、脱炭素社会の実現に向けたエネルギー政策の進展や、これに伴う産業製品の電動化、技術の高度化が進む見通しです。

 このような状況のもと、これまで実行した施策の成果を定着させるとともに、当社グループが有する「独自性」「多様性」「多極化」、この3つの強みを活かすことで、事業環境の変化を好機に転換させ、持続的成長への転換をめざします。具体的には、以下の5点を重点項目および対処すべき課題として掲げ、その取り組みを実行してまいります。

① HS事業:多様な人材の確保・提供およびデジタル技術を活用した新たな仕組みの戦力化

② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略および開発機能の強化

③ PS事業:産業機器分野への進出および売上成長を伴う安定的な収益体質へ転換

④ 成長を支える基盤づくり:財務体質の改善

⑤ 多様な人材の活躍:ダイバーシティ&インクルージョンの推進

① HS事業:多様な人材の確保・提供およびデジタル技術を活用した新たな仕組みの戦力化

 少子高齢化が進む日本において、人材リソースの多様化は喫緊の課題です。外国人材の受け入れ・共生に関する政府施策を背景に、その推進が加速していくことが予想されます。これらを総合的、かつ、専門的に支援していくため、HS事業においては外国人材の定着支援に資する業務の拡大を図ります。

「外国人技能実習制度」においては、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア各国の技能実習生送り出し機関と提携するとともに、入国後教育研修受託に加え、実習生受け入れ先企業に対する総務支援サービスの提供等の展開を行っています。実習生だけでなく、高度技能を有する外国人材の就業機会提供も継続的に行っており、人口減少が懸念される日本において、外国人材が活躍する機会も増えていくことが予想されており、これまで培ったネットワークを活かし、受け入れ先企業へのニーズに合った提案・サービス提供から母国帰国後の就業支援も行い、その取り組みを加速させます。

 また、製造業の生産移管が年々増えているベトナムにおいては、住友商事株式会社と業務提携し、同社が運営する、ベトナム・タンロン工業団地において人材サービスも含めた、製造支援サービスの展開を進めています。当連結会計年度においては、当社グループが有するデジタル技術を活用した、エキスパート人材の育成や定着を支援する仕組み「グローバル・プラットフォーム・サービス」を立ち上げ、製造業の海外進出支援をワンストップで行うソリューションを提供してまいります。

 製造業のファブレス化が進む中、グループ内EMS事業の製造受託ノウハウも融合させ、請負・受託の事業規模拡大を図るとともに、今後も人材リソースの多様化を図りながら、需要変動に耐え得る柔軟かつ強固な基盤を構築し、収益力強化を進めます。

② EMS事業:製造業のファブレス化に即応する拠点戦略および開発機能の強化

 当連結会計年度においては、ベトナム拠点の量産立ち上げの取り組みが進み、お客様のASEANへの生産移管ニーズもあり、順次新規量産プログラムの立ち上げを行いました。米国・メキシコ拠点においては、部材不足に起因するお客様の稼働停止や生産計画後ろ倒し等による影響が顕著となり、事業全体の停滞を余儀なくされていましたが、ポートフォリオの見直しを行い、車載関連分野だけでなく、市場規模が大きく、かつ、安定した市場であるエンジニアリングツール分野をターゲットとした顧客開拓を進めており、順次、新規量産プログラムを立ち上げてまいります。

 国内EMS事業においても、ポートフォリオの見直しを行っており、経営効率を高めるとともに、グローバル生産体制の機動力をあげる要として、営業・技術・調達・管理など、その機能をさらに強化してまいります。

 また、当事業においては、これまで各拠点の機能を、発展途上国において大量生産品を日本品質でより低価格で実現する「メガEMS」、熟成したマーケットにおける「オーダーメード型EMS」で定義づけし、有機的連携によりその機能を最大化することを行ってまいりましたが、中期経営計画においては、それをさらに進化させ、開発設計機能を強化、お客様とのパートナー戦略で持続的成長をめざします。

 当事業は製造業のファブレス化、生産の多極化ニーズに合致しており、トップライン成長への機動力を上げるとともに、運転資本マネジメントを強化し、強固な収益基盤を構築してまいります。加えて、各拠点で活躍する現地人材の登用も行い、ローカライゼーションを進め、多様な人材の成長とともに事業を進化させ、EMS事業全体の競争力強化を進めます。

③ PS事業:産業機器分野への進出および売上成長を伴う安定的な収益体質へ転換

 主軸の電源部品が立脚する複合機・複写機などドキュメント関連市場は、市場の成熟化もあり環境の変化が激しくなっています。安定した事業基盤の再構築が急務であり、そのためには新規市場への参入が急務となっています。

 これを加速させるのが、脱炭素社会実現への産業界の取り組みです。最終製品の環境性能高度化および仕組みの構築において、電動化は重要な鍵であり、この中で当事業の新たなニーズが生まれています。

 具体的には、新規市場分野として、産業機器分野における殺菌・滅菌機器の開発・投入を進めており、電源製品の需要が拡大しています。産業機器分野への参入は電源製品の新たな価値を創出するものであり、この需要拡大を背景に「既存コア市場」と「新ターゲット市場」を再定義するとともに、開発を高度化させ、売上成長を伴った安定的な収益体質への転換を進めます。

 拠点戦略としては、2018年1月11日付で「松阪工場」(松阪本社敷地内)を開設し、開発・製造が一体となったマザー拠点機能を強化するとともに、既存製品の生産は中国・広東省(佛山)にて一極集中生産を行っていることから、チャイナリスクや国際情勢の変化に対応すべく、2020年3月、タイに販売拠点を設置しました。加えて、PS事業の販売体制一本化を目的として、2020年7月1日にPower Supply Technology(Hong Kong)Co., Limitedを設立、TKR Hong Kong LimitedからPS事業の販売機能および資産を譲受し、2021年1月より事業を開始しております。

 また、2023年4月から、関東圏における開発設計機能として、神奈川県横浜市にR&Dセンターを設置しました。マーケティング機能を強化し、開発、設計、試作から量産、市場投入までのさらなるスピードアップを図り、事業全体の収益性向上を図ります。

④ 成長を支える基盤づくり:財務体質の改善

 中期経営計画においては、キャッシュマネジメントを強化、有利子負債削減を行い、財務体質の改善を進めます。

 具体的には、質が伴った事業収益創出基盤とすべく、運転資本マネジメントを強化し、キャッシュを生み出す仕組みの定着を進めます。これらにより、有利子負債の削減を進め、社外流出キャッシュの抑制を図るとともに、投資の採算性、効率性のモニタリングを強化し、投資回収までの効率を高め、フリーキャッシュ・フロー創出への取り組みを強化します。

 また、業績の変動要因となる、部品・部材調達リスク及び為替変動リスクについては、以下の取り組みを行ってまいります。

i)  部品・部材調達リスクについて

 製造業各社においてグローバルでサプライチェーンの見直しが進められており、当連結会計年度においては、最先端の部材だけでなく、多岐にわたる部品・部材が調達難となった状況を踏まえ、これらの影響を最小限に抑えるため、部材調達リソースの多様化、顧客の生産変動に即応する当社グループのサプライチェーンマネジメントを強化し、グループ全体で機動的かつ柔軟に対応できる体制を高度化させてまいります。

ii) 為替変動について

 当社グループはすべての事業セグメントにおいて、グローバル市場におけるビジネスを展開しており、為替変動リスクの構成要素である、グループ各社の為替持ち高(エクスポージャー)の圧縮を進めます。為替持ち高の圧縮は外貨建て資産・負債の増減により一定程度の圧縮が可能であり、金融取引・商取引の双方からの取り組みを進め、為替変動リスクの抑制に努めてまいります。

⑤ 多様な人材の活躍:ダイバーシティ&インクルージョンの推進

 当社は、経営理念において「人づくり」を掲げ「社員一人一人の成長が会社の発展につながる」との考えのもと、企業文化を発展させてきました。さまざまな国・地域で活躍する社員一人ひとりの活躍および成長が、お客様への価値創出の源泉であり、我々の成長を支えています。

 これをさらに進化させ、持続的成長を実現していくために「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げ、その取り組みを加速してまいります。

 具体的には、ダイバーシティでは多様性を主眼とし、様々な価値観を共有し、その違いを積極的に活かすことで多様なアイデアやニーズを経営に取り込み、柔軟、かつ、機動力ある企業文化へと進化させてまいります。

 インクルージョンでは、多様な人材が活躍するための仕組みづくりを主眼とし、キャリア志向に合わせた啓発や場の提供、働き方改革や人事評価制度改革など、多様な人材が活躍する風土づくりとその定着を進めてまいります。

 中期経営計画期間における指標として、女性管理職比率10%以上、海外拠点における現地ローカル人材の幹部登用比率50%以上、働き方改革の継続的な実践として年次有給休暇取得率60%以上、を設定しております。海外拠点におけるローカライゼーションの推進や女性人材の活躍推進など、すでに取り組みが進んでいる項目もありますが、指標設定および推進部署の設置等を行い、そのプロセスを可視化することで、多様な人材の活躍と仕組みの定着を加速させてまいります。

(4) 経営環境

 当連結会計年度は、感染症による影響に加え、半導体関連をはじめとする部品不足や部材価格の高騰および物流コスト上昇等による影響があり、ウクライナ情勢の長期化や中国の経済成長率の減速、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利引き上げおよびこれに伴う急激な為替変動等、景気は先行き不透明な状況が続きました。

 また、当連結会計年度第2四半期後半から部品不足が緩和傾向に転じ、中国を中心にお客様の挽回生産の動きが活発となり、当社グループ事業においても生産量が増加しましたが、2023年に入り欧州における政策金利引き上げ実行されたことを機に、個人消費の減退を見込む動きが顕著となり、翌連結会計年度は当連結会計年度の挽回生産のあおりもあり、上半期は在庫調整が続く様相です。

 このように、今後も不透明な事業環境が続く様相ですが、当連結会計年度に実行した事業構造改革の効果に加え、HS事業における売上・利益の回復やEMS事業の新規量産立ち上げ、PS事業の産業機器分野への電源製品需要拡大等を背景に、すべての事業セグメントで業績は着実に成長していく見込みです。

 引き続き、グループ全体で事業基盤の強化を進めるとともに、戦略投資の立ち上げや新規事業、新市場への参入を進め、売上・利益の確保に努めてまいります。

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