monoAI technology
【東証グロース:5240】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「先進技術で、社会の未来を創造する」ことをミッションとし、通信技術とAI技術をコアとして、ゲーム産業で培った先進技術をあらゆる産業に展開し、サービス開発することを通じて、企業価値の最大化を図ります。
当社グループのXR技術は特定の産業に依存せず、既存の事業・サービスに限らず、まだXR技術の活用が始まっていない新たな産業分野においても適用可能であると考えております。今後もXR技術の優位性を最大限に活用し、既存事業・サービスで培った知見を取り入れ、国内外へ展開してまいります。
(2)経営戦略
当社グループでは5つの成長戦略を掲げ、中長期的な経営計画を実現していきます。
成長戦略1:「XR CLOUD」のパッケージ化推進・機能拡充
顧客の多様なニーズに対応するため、当社プラットフォームである「XR CLOUD」の基本機能やアバター、会場などのプリセットを追加開発し、顧客ごとに個別対応を進めていきます。個別対応で培った機能を汎用化し、パッケージ化することで、多様なイベントに対応出来るようになり、顧客基盤の拡大を目指します。
また、特定業界に特化した、専門メタバースを開発し、業界固有のニーズに深くフィットするサービスを展開していきます。直近では、不登校や日本語の指導が必要な児童・生徒を支援する3Dメタバース「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(VLP)」や、生活者が自治体の各種サービスをメタバース上で利用できる「メタバース役所」などのパッケージを提供開始いたしました。今後も、様々な業界に特化した固有のメタバースを開発し、サービスを拡充してまいります。
成長戦略2:提供するサービスの拡充
当社は、「XR CLOUD」を前提にしたメタバースサービスだけにこだわらず、AIと組み合わせた産業用メタバースを含むAR・MR・VRのXR全般で顧客の課題を解決するソリューションを提供し、また顧客のニーズに沿って様々なメタバースプラットフォームを活用したプランを提案・販売・制作するなど、XR全般でのサービス提供を推進しております。
今後はとくに、ARとAIに力を入れ、「リアルビジネスで活用できるメタバース」を実現し、あらゆる業種・業態のDX推進をサポートしてまいります。
成長戦略3:アライアンス&マーケティング
新規顧客のリード獲得においては、営業機能を有するそれぞれの事業部ごとに営業活動を行っておりますが、メタバース開発需要のある当社ターゲット企業へ効率的にリーチできる体制を構築するため、オウンドメディア「メタバース相談室」を運営しております。
また、2024年12月期には、日本を代表するメタバースサービスを展開する4社が連携した、日本最大級のメタバースアライアンス「オープンメタバースネットワーク」の発足や、大日本印刷株式会社と資本業務提携契約の締結をしました。これらのアライアンスにより、各社と知見やリソースを共有することで、顧客により高い価値を提供できるようになることとメタバース市場の拡大を目指しています。
これらの取り組みにより商談へ至った案件に対しては、展示会や懇親会イベント等用途別に用意した幅広いラインナップから適切な提案を効率的に進めることで獲得の間口を広げ、獲得スピードおよび獲得数の最大化に努めます。
引き続き、戦略的なアライアンスやマーケティングを推進してまいります。
成長戦略4:R&D
当社では、国内外のクライアント企業の様々なニーズに対し最適なソリューションを提供するため、研究開発を進めております。
2024年12月期は、VisionPro対応として、VisionPro版のXR CLOUDに対応し、TestFlightでの公開に向けたアプリを作成し、営業用のデモアプリも制作しました。AI技術の活用においては、最新のAIフォトグラメトリ技術である3D Gaussian Splattingを用いてXR CLOUDのエリアデータ自動生成の検証を行い、AIバーチャルヒューマンの拡張機能を実装しました。また、ローカルLLMの環境構築、導入、動作検証を行い、ローカルLLMを活用したコミュニケーションプロダクトへの実装検証も進めました。さらに、XR CLOUD関連技術として、XR CLOUD内で動作する超低遅延動画配信環境の構築・実装を行いました。クラウドゲーミング分野では、自社クラウドゲーミング基盤Ver.2の設計・実装に対応しました。AR技術の研究においては、ARグラスと生成AIを組み合わせた新規プロダクトの研究と実装検証を行いました。
2025年12月期は、ARやAIの活用により、「リアルビジネスで活用できるメタバース」を実現するための研究開発を進める方針です。当社は技術の最前線での革新を続け、顧客に対してより高い価値を提供することを目指しています。
成長戦略5:収益基盤の強化
当社の成長戦略のひとつとして、新たに収益基盤の強化を掲げることといたしました。これを実現するために、以下の施策を推進してまいります。
まず、各事業においてKPIを明確に設定し、これを厳格に管理することで、利益率の向上を図ります。次に、AIを活用した業務改善ツールの導入を進め、生産性の向上を目指します。さらに、これまで外注していた業務の一部を内製化することで、コスト削減と品質向上を同時に実現します。
これらの施策を通じて、コスト管理とプロセスの改善に努め、新たな成長投資に必要な資源を確保するために筋肉質な利益体制を構築してまいります。
(3)経営環境
当社グループを取り巻くメタバース環境は現在黎明期にあたり、メタバースを支える技術の成熟化やライフスタイルの変化によりバーチャル空間でのサービス提供需要は急速に高まり、メタバース市場の拡大は今後もさらに加速するものと見込まれております。また、顧客の動向は引き続きメタバースの可能性の模索が大部分を占めている中、様々な潜在的ニーズが存在する状況となっており、当社グループでは、顧客のミッション達成に向け、「XR CLOUD」を軸としたソリューション提供を進める一方で、顧客ニーズに合わせて最適なXR技術や他社メタバースプラットフォームを駆使したソリューション提供も進めてまいります。
各種経済活動が徐々に回復しつつある中、当社グループが属するメタバース業界にも変化が見られます。仮想空間の浸透により市場は依然として拡大していますが、コロナ禍が落ち着いたことでバーチャルオンリーの需要は一部で縮小し、リアルとバーチャルの連動が新たな可能性として注目されています。一方で、新規参入企業の増加に伴う競争の激化も予想されます。このような状況を受け、当社グループは、メタバース・プラットフォーム「XR CLOUD」のさらなる進化を目指し、多様なメタバースニーズに応えていく必要があると考えております。また、持続的な成長を支える組織体制の強化やコーポレート・ガバナンスの向上、さらには既存事業の黒字化を実現することで安定した収益基盤を確立することも重要な課題として認識しております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的な成長を図るため、成長性、収益性及び効率性を重視した経営が必要と認識しております。このため、当社グループでは、売上高、営業利益及び売上高営業利益率、イベント実施数を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 開発体制の強化及び優秀な人材の確保
XR技術の開発は当社の競争力の源泉の一つであり、継続的な強化が不可欠です。今後も、国籍を問わず優れた能力を持つエンジニアの採用と育成に注力し、また、エンジニアが働きやすい環境を整備することで、長期的なコミットメントを引き出すための投資を続けてまいります。
② 既存事業の黒字化と新規事業の創出
当社のビジネスモデルは特定の産業に依存せず、独自性が高いものです。既存事業の黒字化を実現し、安定した収益基盤を築くことで、さらなる成長の土台を強化してまいります。また、XR技術の優位性を最大限に活用し、新たな産業分野への進出も図ります。必要に応じて他社との協業も視野に入れ、新規事業の展開を進めてまいります。一例を挙げると、メタバース領域においてAI技術の活用が進むことが予想されております。当社グループでいち早くこれらの市場に対応すべく開発を進めております。具体的には、メタバース領域における品質保証のAI技術活用、また、仮想空間内でのAIサポート業務(バーチャルヒューマン機能等)を想定しております。更にサービスを提供する過程で、当該サービスの周辺業務を含むより広範な事業単位へと価値提供を拡張することが可能と判断した場合には、当社のみならず他社との協業含め、新規事業として展開していきます。
③ 内部管理体制の強化
一層の事業拡大を見込み成長段階にある当社は、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性と透明性を確保するために、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築に努めてまいります。
(注)1.バーチャルヒューマン機能
当社グループ「XR CLOUD」イベント来場者に対して、質疑応答や案内だけでなく、雑談もこなすことが出来る、高機能なAIキャラクター。当社子会社であるモリカトロン株式会社が開発した、自然な受け答えが出来るAI対話エンジンを採用。
2.WebGL対応
WebGLに対応した「XR CLOUD」クライアント。クラウドレンダリングに比べて、追加のサーバコストをかけずに、ブラウザ対応のイベントを実施することが出来る。
3.Meta Quest 2対応
VRヘッドセット「Meta Quest 2」でメタバースイベントに参加可能になる。ハンドトラッキングなどにも対応予定。
4.AR対応
スマートフォンのカメラ映像上に「XR CLOUD」上のキャラクターやオブジェクトを表示し、現実世界に「XR CLOUD」のキャラクターやオブジェクトを表示出来るモード。これにより、リアルとバーチャルが融合したイベントを開催する事が可能となる。
上記に加え、キャラクターがAR表示されるだけでなく、ARモードを使っている参加者自身もアバターとして仮想空間に登場し、仮想空間内のキャラクターとボイスチャットなどを行うことが可能となる。
5.ハイクオリティレンダリング対応
最先端のレンダリング技術に対応し、実写のようなハイクオリティな映像表現が利用可能となる。
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