企業兼大株主artience東証プライム:4634】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当企業グループは、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、新しい中期経営計画artience2027を策定しました。“GROWTH”を柱に、グループの強みであるコア素材・コア技術を強化、自社技術と外部技術との融合により、新技術開発・新生産技術開発を推進し、世界の人々に対しその感性を揺さぶるような、新製品、新事業創出に取り組んでまいります。

artience2027では、既存事業については、成長事業/収益基盤事業/構造改革・戦略再構築事業に区分し、それぞれに応じた戦略の実践により高収益化を図ってまいります。また、戦略的重点事業群として、モビリティ・バッテリー関連事業、ディスプレイ・先端エレクトロニクス関連事業、環境・バイオ・エネルギーなどの次世代事業の3つを設定し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、新たな収益基盤の創出に日々取り組んでまいります。

 当企業グループにおける研究開発体制では、新たな製品やソリューションを生み出す素材技術や科学技術の獲得を目的に、「R&D本部」内の「技術開発研究所」と「フロンティア研究所」の一部機能を統合し、「次世代研究所」としました。また、事業化推進を目的に「フロンティア研究所」の一部機能であったバイオ研究部門を「インキュベーションセンター」に移管し、マーケティング部門と研究開発部門を統合しました。さらに、「R&D本部」内の「知的財産部」を「グループ知的財産部」に昇格し、グループ全体の知財力強化に向け、AIの活用に向けた取り組みを開始しました。本体制のもと、国内・海外事業会社の連携による新製品開発、探索活動の強化、新技術開発に取り組みグループ全体のR&D機能、生産技術機能の強化・拡大を目指していきます。また、国内・海外の大学やアカデミア、スタートアップ、パートナー企業との連携を強化させ、さらには、海外の研究開発活動にも積極的に取り組み、将来の核となる事業の育成を推進していきます。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は10,109百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。

(1)色材・機能材関連事業

 当事業では、コア技術である有機合成技術と分散加工技術を進化/融合させることで社会、市場、お客様の課題解決に貢献する製品開発を続けております。

 顔料及び顔料分散体事業は、これまで培ってきた独自の顔料合成及び加工技術を進化/応用することで、従来のメイン市場であった印刷インキ市場に加えて、高付加価値市場である自動車塗料用をターゲットとした製品開発を進めました。これまでにない意匠を発現する技術開発が進み、採用に向けた技術マーケティング活動に繋げていく計画です。

 メディア材料事業は、生産工程での使用エネルギーを削減可能な革新製法への転換が進み、製品の環境負荷低減に繋げることができました。加えて液晶ディスプレイ製造工程におけるCO2削減に貢献する低温硬化レジストインキの開発を継続して進めており、SCMトータルでの環境負荷低減による社会貢献を目指しています。製品開発面では市場の大きな伸びが期待されるイメージセンサー用レジストインキの開発による採用が進みました。

 着色剤事業は、CO2削減によるカーボンニュートラルの達成・廃プラスチック削減問題という社会課題に対し、マテリアルリサイクルに寄与する製品や天然材料/バイオマス材料を使用した製品開発を進め、採用が拡大しつつあります。一方で世界的に需要が拡大しているエレクトロニクス材料に使用されるマスターバッチ、コンパウンドといった高付加価値製品のニーズも高まっており、将来の事業の柱とすべく開発を進め、一部では事業化が始まっています。

 機能材料事業は、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池用導電材料のグローバル商業生産の軌道化が堅調に進みました。一方で従来の正極用導電材料の開発・工業化に加えて負極用導電材料、次世代のバッテリーとして期待されている全固体リチウムイオン電池用の導電材料など、これまでの開発で培った技術の応用展開で、多様化するバッテリーシステム及び各部材に向けた開発も進めております。バッテリー市場向け以外にも、無機材料の分散加工技術を応用した半導体/エレクトロニクス市場向け材料の製品開発を進め、採用が広がりつつあります。

 インクジェットインキ事業は、印刷市場のデジタル化をビジネスチャンスと捉えて開発を進めました。商業印刷用途は、材料設計技術とインキの処方化技術の両面から従来の品質課題を解決し、事業化に繋げることができました。また軟包装用途では、年々厳しくなる化学物質法規制への対応をクリアすることができ、国内/海外ともに大きく事業を伸長させることができました。また印刷工程でのエネルギー低減を付加価値と捉えた製品開発も進めております。

 当事業に係わる研究開発費は、4,361百万円です。

(2)ポリマー・塗加工関連事業

 当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。

 包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品として、バイオマス製品の非可食・非パーム油化や、無溶剤型のUV硬化型製品を開発しました。接着剤では、環境価値提供を目的とした無溶剤タイプのラミネート用製品「ECOAD®」の用途拡張に注力し、採用が拡大しております。また、工業用高耐久接着剤は太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)・自動車部材で評価が進んでおります。水性樹脂では、プラスチックゴミの削減に貢献する紙用耐油・耐水コーティング剤の開発が進み、食品包装材用途で顧客評価が進んでいます。ホットメルト(熱溶融型接着剤)では、PETボトル胴巻ラベル用が海外顧客で採用となり供給を開始しました。缶用塗料では、環境負荷が疑われるビスフェノールAやフッ素化合物(PFAS)を含まない環境配慮型製品が完成し、国内外で展開しています。また、成型加飾フィルム用のハードコート剤では耐候性に優れた製品を開発し、自動車外装向けで顧客評価が進んでいます。

 エレクトロニクス市場向けについては、半導体パッケージ基板を一括封止する絶縁保護シート、電磁波シールドシート「LIOTELAN®」の開発が進み、絶縁保護シートが採用を獲得しました。また、半導体部材の絶縁材料に低誘電性と寸法安定性を付与する新規ポリマーの採用が内定し、現在顧客での量産検討が進んでいます。粘着剤では、中国のディスプレイ用途向けで新製品が採用され事業が拡大しました。

 メディカル・ヘルスケア市場については、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、粘着剤製品の開発を引き続き進め、インドでのヘルスケア向け粘着剤が新規に採用を獲得しております。

 当事業に係わる研究開発費は、2,873百万円です。

(3)パッケージ関連事業

 当事業では、環境調和型の軟包装用グラビア、フレキソインキ、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発を始め、マテリアルリサイクルシステムの構築など、CO2排出量削減や循環型社会の実現に貢献する製品、ソリューションの開発及び新たな価値の創造に取り組んでおります。

 軟包装分野では、植物由来原料を一部使用したバイオマス製品のラインナップ拡充や水性インキの品質向上、用途拡大を進めております。また、パッケージのモノマテリアル化、紙化、単層化に向けた各種機能性インキ(酸素・水蒸気バリア性、耐熱性、耐水性、撥水性付与など)の品質向上、ラインナップ拡充に取り組み、国内外で市場評価が拡大し一部実績化が進んでおります。さらに、当企業グループの単分散微粒子合成技術×周期配列化技術を用いた色素を含まない構造色インキを開発し、その特徴的な鮮やかな発色によるパッケージの新たな加飾表現付与の提案を行っております。マテリアルリサイクルでは、複数社と開発した剥離脱墨層を有する複層プラスチック包装材や成型品において高純度な再生材が得られることがパイロット設備にて実証されました。今後、早期の社会実装に向け、外部パートナー企業との連携により効率的なリサイクルフローならびに設備の検討・開発を進めていきます。

 建装材分野では、環境負荷低減製品(水性化、無溶剤)や建装材の長寿命化に繋がる高耐久性を有するグラビアインキ及びトップコートの開発に力を入れております。

 今後も、次世代環境配慮型パッケージ及び建装材分野に役立つ製品やマテリアルリサイクルシステムなどのソリューション提供を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成など、社会課題の解決に貢献してまいります。

 当事業に係わる研究開発費は、1,634百万円です。

(4)印刷・情報関連事業

 当事業では、グローバルで成長著しいUV硬化型インキの他、バイオマス度が高いことを特徴とする油性オフセットインキの製品開発を通して、カーボンニュートラルをはじめとする様々な社会課題の解決に資する価値を提供しています。

UVインキには瞬間硬化、VOCの非含有、紙からプラスチックまでの対応幅の広さという利点があることから、パッケージやラベルなどの身の回りの製品にて数多く使用されています。特に長寿命、低消費電力により省エネ化が期待できるLED-UV硬化システムが普及しつつあり、当社はLEDに対応した製品群を多数ラインナップする事により、GHG排出量のうちScope3の削減に貢献いたします。

 また、循環型社会の実現に貢献すべく、硬質プラスチックに印刷されたUVインキを分離できる当社独自開発脱墨コーティング剤を用いることによるリサイクルの試験研究を外部パートナー企業と進めています。

 一方、今後普及することが予想される電子線(EB)硬化型製品については 、当社保有電子線照射装置を活用し、研究開発に注力しています。UVインキと同様にEBインキも堅牢な塗膜を有する事を特徴としつつ、UVインキで必須の光重合開始剤が不要のほか、良好な密着性を有する事から様々な包材への適用が期待されています。グラビア印刷やデジタル印刷上にEBトップコートを塗工し、包材の構成を表刷化することによるプラスチックの削減に貢献いたします。

 当事業に係わる研究開発費は、1,218百万円です。

 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、21百万円です。

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