企業Terra Drone東証:278A】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になり、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった、明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻したいと考えております。

「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、特に、若者をインスパイアし、世界でドローン社会を実現するためのプラットフォームの構築を目指しております。


 また、社員の行動指針として、以下4つの「Terra Way」を掲げ、新産業で、世界で勝てる人財の育成支援を進めております。

1 Center Pin & Speed (センターピンとスピード)

2 Ownership & Grit (経営者意識とやりきる力)

3 Inspire & Inspired (インスパイア)

4 Challenge as Global NO.1 (志高く世界へ挑め)


(2) 経営環境

 ①ドローンソリューション業界の市場環境

 当社グループの属するドローン業界は、ハードウェアを消費者向けに販売するビジネスが先んじて普及してきましたが、足許では産業課題の解決を目的としたドローンソリューションビジネスの本格普及期に入ったと当社グループでは認識しております。

 現在、建設業界では、地積測量や通路測量、土地の容量計算、LiDAR(光検出と測距)、自動マッピングを行うためにドローンデータサービスの利用が増加しています。さらに、水路、地形、土壌の種類、土地開拓に関する情報を得るために、農業におけるドローンデータサービスの利用が増加していることも、市場にプラスの影響を及ぼしています。

 ドローンソリューションの市場規模(注1)


 ドローンソリューションの普及と同時に、世界のドローン総飛行数も大幅に増加すると予測されており、低空域

 はドローンの普及により混雑化が進むと考えられています。そのような環境下において、今後一層のドローンソ

 リューションの普及を見据え、低空域の安全性を高める必要があり、そのような観点からも各国ではUTMの導入が

 求められています。

 世界ドローン総飛行数予測(注1)


(注1)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。

2.ドローンソリューション市場は、ドローンを活用した各種サービスプロバイダーの事業収入(売上)を指し、当社グループのドローンソリューションセグメントも当該事業に所属するものと認識しております。

② UTM業界の市場環境

 上述の市場見解により、各国政府はUTM導入の必要性を認識しており、欧州のU-space(注2)規制を筆頭にUTMの実装が各地域で進められております。

 欧州委員会は2023年に“U-Spaceに係る規制2021/664”を施行し、加盟している全27ヵ国にてUTMの実装が必須

 となりました。米国ではFAAやNASA主導でUTM検討が進められており、点検・物流・農業・軍事などの幅広いドロー

 ン活用におけるUTM導入が進む見立てとされております。また、欧州や米国以外の諸国も国策としてドローン活用を

 目指し、EASA(European Union Aviation Safety Agency)/FAA(Federal Aviation Administration) 等の基準を

 後追いで採用する傾向となっており、UTMの導入について具体的に検討を進め始めています。

UTM市場規模の予測(注3)


                         *グラフは予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない

(注2)欧州におけるドローンや空飛ぶクルマの運航管理システム

(注3)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。

2.UTM市場はUTMに関わるソフトウェア・サービス提供企業の事業収入(売上)を指し、当社グループの運航管理セグメントも当該事業に所属するものと認識しております。

  ③ 市場の更なる広がり

 今後は、ドローンソリューションビジネスの本格普及に加え、ドローン配送等を中心に、ドローン機体の多頻

 度・高密度運航の世界的な拡大が期待されています。ドローン以外にも、空飛ぶクルマのOEMは多くの国で型式証

 明を取得に向けた動きが進んでおり、近い将来商用利用が見込まれています。空飛ぶクルマの世界市場は、2040年

 までに約1.5兆USDに成長すると予測されており、ドローンや空飛ぶクルマが飛び交う社会「低空域経済圏」は今後

 大きく成長していくものと当社グループでは考えています。

空飛ぶクルマの世界市場規模の予測(注4)


(注4)出典:Morgan Stanley, “Are Flying Car Preparing for Takeoff?

        http://www.morganstanley.com/ideas/autonomous-aircraft

 UTMはドローンだけでなく空飛ぶクルマの運航管理を担っていくことも想定され、国際民間航空機関は、空飛ぶクルマの交通管理がUTMによって行われること、UTMが航空交通管理(ATM:Air Traffic Management) の進化の一翼を担うことを期待し、UTMの技術的な発展と各国での普及を重要視しております。(注5) また、欧州航空航法安全機構は、U-Spaceにおいて空飛ぶクルマの運航管理が行われることを想定し、複数のSESARプロジェクトにおいてコンソーシアムリーダーとして関与しています。

   UTMのデファクトスタンダードを作り、世界各国に実装していくことで市場の進化を早め、数千年の歴史を持っていた馬車が20世紀初頭に自動車に置き換わったように、今後数年から数十年以内に自動車が空飛ぶクルマに置き換わり、「空の移動革命」が起きることが予想されます。それらを現実にするために、信頼のおける安全な運航管理を実現するインフラが不可欠となります。

    ④ 空飛ぶクルマの現状

 海外ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing)と呼ばれ、電動で飛行するヘリコプターのようなエア

 モビリティを指します。実現に向けて飛行規制や安全性含め様々な課題が存在しておりますが、米国や欧州を中

 心に運航開始・拡大に向け進んでいます。具体的には、米国では、ロサンゼルス五輪が開催される2028年に向けて

  FAA(連邦航空局)が空飛ぶクルマの運航拡大計画を発表しております。(注6) また、英国、アラブ首長国連邦、

 サウジアラビアなどを始め、多くの国が運航の実現に向けた計画を打ち出しています。

  ⑤ 空飛ぶクルマの運航管理システム開発に着手

 ドローン向けのUTMと密接に関わりがあり当社が注力している領域が、欧州や米国、中東、アジアなどの国外をタ

  ーゲットとした空飛ぶクルマ向けのUTM開発となります。既存のドローン向けのUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛

 行を完全にサポートできる仕様にはなっておらず、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムは、より多様で複雑なも

 のに成長すると考えています。

 当社、Unifly NV、Aloft Technologies, Inc.の3社は、空飛ぶクルマ向けの運航管理技術を備えたプラットフォ

  ームの開発を通じて、空飛ぶクルマの産業拡大や社会実装に貢献していくとともに、グローバルにおいて持続可能

 で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指していきます。


(注5)参考:https://www.icao.int/safety/UA/Documents/UTM%20Framework%20Edition%203.pdf

(注6)参考:https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/AAM-I28-Implementation-Plan.pdf

 (3) 経営戦略

 上述した市場環境を踏まえ、当社グループではドローンソリューションセグメントと運航管理セグメントの2つ

 のセグメントを通じて、ドローンソリューションによる産業課題の解決と、UTMの社会実装によるドローンや空飛ぶ

 クルマが飛び交う低空域経済圏の構築を中長期的な事業構想としております。

 低空域経済圏を構築し、エアモビリティ領域でのプラットフォーマーとしての立ち位置を確立するため、各セグ

 メントにおいて以下の通り事業に取り組みます。

 ① ドローンソリューションセグメントについて

 測量事業においては、サービス、ソフトウェアによる継続的な取引と顧客数の増加を背景に安定的なキャッシ

 ュ・フローを獲得しており、既に収益化している領域と認識しています。サウジアラビアやインドネシアといっ

 た新興国での事業立ち上げ等を通じて、現在よりもサービス収益の比率が高まるものと想定しており、中長期的に

 継続的な成長を維持することを目指します。

 点検事業においては、石油タンク等における業界大手企業との継続的な取引をベースとしながら、FPSO案件の獲

 得、点検業務に特化したハードウェアの販売等を通じて新規顧客を獲得することを目指します。また、欧州と日本

 で確立した点検手法を引き合いの強い新興国等の他地域にも展開することで、新規案件獲得を見込んでいます。こ

 のような取り組みによって現在同様の収益成長が継続するものと想定しています。

 農業事業は、2023年に事業譲受により参入しており、足許では積極的に資本を投下し、拠点整備やサービス用の

 ドローン調達を進めることで、サービスキャパシティの増加に努めています。事業を展開しているインドネシア、

 マレーシアにおけるアブラヤシ作付面積は広大であり、キャパシティ増加によるサービス面積拡大を企図してお

 り、当面高い成長率を維持できるものと考えています。中長期的には顧客獲得による加速度的な売上伸長に加え、オペレーションの整備・効率化を進め、利益率の改善を目指して取り組んで参ります。

 ② 運航管理セグメントについて

 運航管理セグメントでは、障壁の高い黎明期から事業に参入することで現時点でも大きなプレゼンスを得てお

 り、上述したU-Space規制に準拠したUTMの提供地域の拡大を見込んでいます。欧州で採用された基準がカナダとサ

 ウジアラビアのANSPで採用されている背景も鑑み、特に欧州や中東への拡大を見込んでおります。

 また、ドローン市場の拡大によってドローンの飛行回数増加が期待されており、飛行回数に応じた従量課金収益

 も増加していることが考えられます。市場の拡大と提供地域の拡大を背景に、中長期的には加速度的な売上伸長を

 想定しております。

 当社グループは、既存事業以外でも、ドローン黎明期からUTM事業に取り組むことで構築した業界ネットワーク等

 を通じて、顧客に高い付加価値を提供できると確認出来た領域については、農業事業のようにM&Aを活用して積極的

 に参入いたします。

 ③ 空飛ぶクルマ事業への拡大について

 国外を対象にした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手

 当社グループは、当社、Unifly NV、Aloft Technologies, Inc.の3社共同で、欧州や米州、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手することを2024年4月に発表いたしました。

      UTMの実装・運用実績が豊富な企業として、その実績を基に複数社が手を組んで空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発を手掛けるのは当社が認識する限り世界初であり、3社合同で、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指し、2030年以降には空飛ぶクルマの航空管制システムの収益をアップサイドとして見込んでいます。

              空飛ぶクルマの運航管理システムイメージ(当社ホームページより)


(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、上記「(3) 経営戦略」に記載の経営戦略のもと、成長性及びキャッシュ・フロー創出を把握するために、売上高、営業利益及び調整後営業利益(注)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益及び当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。

(注)調整後営業利益

 財務会計上の営業利益(GAAP、日本基準)に国内UTM事業に係る補助金収入(営業外収入)を加算したものであり、当グループの経営成績を理解する上で有用な情報と判断しております。国内UTM事業は、今後の本格的な事業立ち上げに向けて開発費が発生している状況にあり、当面は補助金を含めた収益管理の実施が適切であると考えております。

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 中長期的な経営戦略として、売上・利益の拡大を実現するために、重要課題である以下の項目に取組んでまいります。

① M&Aを活用した積極的な事業推進

 当社グループの持続的な業容拡大のために、自立成長だけではなくM&Aによる成長は重要な課題であると考えて

 おります。当社は、サービス開始以降、世界各国のドローンに関わるサービス、技術を有する企業を買収し、ノ

 ウハウや情報、人脈などを獲得しながら事業拡大してまいりました。現在は測量、点検、農業、運航管理領域を

 軸に日本から世界に向けて事業展開しておりますが、ドローンに関わる領域だけでなく、中長期的に産業革命に

 繋がり企業価値の向上を目指せる他企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて積極的に推進してまいります。ま

 た、M&Aに関しては、競合企業を中心にソーシングし案件が具体化した際、デュー・デリジェンス、PMI(M&A後の

 統合行為)を重点的に対応しながら着実に成果に結びつくよう取り組んでまいります。段階出資によってリスク

 をミニマイズするとともに、ソリューション×地域の総合的な視点で有望なM&Aターゲットを選定し、企業間の技

 術シナジー、他地域へのソリューション展開の円滑化など「テラ群戦略」を展開してまいります。

② 優秀な人財の確保・育成

 当社グループは、今後も事業領域を広げつつ、各事業の成長を目指していく上で、多様なバックグラウンドを

 持つ優秀な人財を採用し続けることが不可欠であると考えております。採用においては優れた専門性のみなら

 ず、当社グループの行動指針である「Terra Way」を体現できる人財が組織に大切であると考えており、役職員全

 員が感謝の気持ちを忘れず、謙虚で常に学び続ける素養があるかなど、人間性を重視した人財採用を行っており

 ます。それらを持ち合わせた優秀な人財を確保するために、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に

 努め、当社グループの成長速度に見合った、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。

③ 内部管理体制の強化

 当社グループは国内連結子会社1社及び海外連結子会社7社、海外持分法適用会社1社により構成されたグル

   ープ企業体制であります。持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保すると

 ともに取締役会及び監査役会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った

 各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでおります。様々なリスクをコントロ

   ールするための内部管理体制の強化を行うとともに、今後も事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施

 によるコンプライアンス体制の強化、監査役会による監査等を基軸とするコーポレート・ガバナンス機能の充実

 等を図ってまいります。

④ 収益性の向上

 当連結会計年度の当社グループの売上高は50%成長(前年比)しておりますが、2か年共に当期純損失を計上しております。主な要因は、先行的な体制拡大による販管費増、赤字事業の農業・UTMの通年化が影響し赤字となっており、各事業の成長により今後の黒字化を目指してまいります。

⑤ グローバルプラットフォーマーとしてのリスク

 当社グループは、ドローンを通じた低空域経済圏のグローバルプラットフォーマーの実現を目指しており、

 現在においても海外連結子会社及び海外持分法適用会社を有しております。国内のみでなく国外においてビジネ

 スを展開することで、地政学リスクや為替リスク等、様々な潜在的リスクを抱えております。リスクのヘッジ

 手段として、1エリアに子会社を集中させないことによる利益の分散や、段階的なM&Aの実施を行うことなどが

 挙げられます。

より抜粋
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