企業TalentX東証グロース:330A】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 ビジョン(Vision) 「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」

 当社は、日本の採用を人材獲得に変革する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」を提供しています。

 少子高齢化による労働力減少、終身雇用の崩壊、第四次産業革命の到来など、日本の採用市場は転換点を迎えております。全ての企業は待っているのみでなく、知恵を駆使し、自らタレントを惹きつける術を考えるなど、採用競争力をつけることが企業の生産性を分ける時代になります。また個人はよりリアルな情報を求め、雇用が流動化することで潜在的な機会が増えます。

 TalentXの社名は、ビジョンである「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」の実現に向け、企業が自前で人材を獲得する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」を通じて、日本の採用に変革(X)を起こす集団としての決意を込めており、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化することを目指しています。

 当社の事業の一つである「MyRefer」サービスは、HR業界の当たり前を変革し、転職・採用市場に新しい概念を創るという想いで2015年にスタートしました。その当時、リファラル採用という概念はまだ一般的に浸透しておらず、「採用は人事が担うもの」という考え方が主流でした。2023年の1年間の中で、「MyRefer」ご利用企業様や当社へ問い合わせをいただいた企業のうち62.0%の企業は何らかのリファラル制度を実施しており(注1)、企業の主要な採用チャネルのひとつとして定着しつつあります。少子高齢化により労働人口減少に拍車がかかり、未来の人材採用がより激化すると予想されます。このような状況において、全ての企業は待ちの姿勢ではなく、知恵を駆使し、自らタレントを惹きつける術を考える必要があります。採用競争力が、企業の生産性を分ける時代に既に突入しています。

 当社は、目先の応募を集める募集活動に終始している企業に日本の採用のあり方を転換する新たな概念・サービスを提供し、企業の採用競争力を高めるべく、日々活動しています。

(注1) 当社調べ「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」

 調査対象企業2,586社、有効回答2,174社、うち1,348社が実施

https://mytalent.jp/lab/resource_337/

2023年の1年間の中で、MyReferご利用企業様や弊社へ問い合わせをいただいた企業様2,586社に対して、各社のリファラル実施状況を調査したものとなります。

 パーパス(PURPOSE) 「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」

 当社は、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化(X)することを目指しています。あらゆる人には、自分固有の強みややりがいを発揮できる環境があり、あらゆる企業には自社固有の強みや働く魅力があります。

 人や会社の「らしさ」を引き出し、本来巡り合えなかった本質的なマッチングを創出することで、自分たちの存在意義、介在価値、やりがいを感じられる。

 このような、人と組織のポテンシャルを解放する社会を創造することが、私たちの存在意義です。

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として、売上高、MyシリーズMRRを含むサブスクリプション売上高比率、売上高総利益率、営業利益率、ARR(Annual Recurring Revenue)(注1)、課金利用社数(注2)、MyシリーズのARPA(注3)を重要な客観的な指標と捉えております。

(注1)ARR(Annual Recurring Revenue):年間経常収益(Annual Recurring Revenue)

 各期末時点におけるMRR(Monthly Recurring Revenue、対象月の月末時点における管理会計上のサブスクリプション売上高)を12倍して算出しています。

(注2)課金利用社数:Myシリーズを課金利用していただいている社数です。複数アカウントを利用している企業もあります。

(注3)「Myシリーズ」のARPA(1社当たりの月額サブスクリプション売上高)

(3)経営環境

 日本では労働人口が減少し、概ね全ての職業が人手不足となる一方で、求人数は増加の一途を辿っており、企業の人材獲得はますます困難になると予想されています。(注1)

(注1) 左図表 出典:みずほ総合研究所株式会社(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)作成(総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)

 右図表 出典:パーソルキャリア株式会社「転職求人倍率レポート(2024年12月)」

 日本の労働市場では労働力人口6,967万人のうち転職者は331万人と全体の5%程度である中で、既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め転職等希望者数が過去最高の1,000万人を突破しています(注2)。

(注2) 出典:総務省統計局「労働力調査2024年」

 労働人口の減少が大きな社会課題となる中、当社が属する採用市場は、国内で2020年約0.9兆円から2023年約1.5兆円と増加しており、中途採用計画が未充足の企業が58%と半数以上となっております(注3)。なお、世界の採用マーケティング市場は2022年に約15兆円まで拡大しております(注4)。

 当社はこの国内における1.5兆円の仲介採用市場(人材紹介及び求人広告の合算市場)に加え、転職を検討している潜在層を含む領域も事業領域としており、当社のService Available Marketは大手企業向けで約650億円、中小企業も対象とした場合は約1,661億円と推計しております(注5)。

(注3) 出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2024年度上半期実績、正社員)」。

(注4) 左図表 出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書 令和5年度版」、全国求人情報協会「求人情報提供サービス市場規模調査結果 2025年」

 右図表 出典:Fortune Business Insights Online Recruitment Technology Market Size, Share & COVID-19 Impact Analysis,市場規模は日本円に換算しております。1米ドル当たり約148円(2025年5月12日時点)

(注5) Service Available Market:事業が獲得しうる最大の市場規模です。当社CRMで管理している日本国内の従業員数1,000名以上の企業3,738社のうち、「Myシリーズ」がコアターゲットとしている企業数(中途採用において人材紹介または媒体を活用している企業)を算出しております。コアターゲット企業数を従業員数1,000~2,999名、3,000名以上に分類し、「Myシリーズ(「MyRefer」、「MyTalent」、「MyBrand」)」の新規獲得時の月額利用料を積算し、これを1年間分(12か月分)に換算して推計しております。

(4)経営戦略等

 当社は、サステナブル・グロース(持続可能な成長)を中長期の経営テーマとして掲げており、売上高成長率と利益率を組み合わせた成長指標が中長期的な企業価値の向上につながると考えています。このため、「Rule of 40(40%ルール)」(注1)を予算検討項目の重要指標として位置づけ、利益を意識しながらも持続可能な成長を図ってまいります。

 売上成長を実現するための戦略

 売上成長を実現するための戦略としては、大手企業への新規開拓および既存顧客の深耕に継続的に取り組み、「Myシリーズ」のアップセル及びクロスセルを推進してまいります。

 新規顧客開拓においては、国内に従業員数1,000名以上の大手企業が約4,000社存在する中、現在「Myシリーズ」をご利用いただいている企業は約200社であり、約95%に新規開拓の余地がある状況です。「Myシリーズ」は、リファラル採用、アルムナイ採用、採用ブランディングなど、採用DXプラットフォームとして独自のブランドポジションを確立しております。その結果、2025年3月期における新規契約の約8割は、広告宣伝費に連動しないアウトバウンド(注2)およびインバウンド(注3)、自社開催イベントによるものであり、新規売上獲得に占めるマーケティングコストの割合は10%程度となっております。このことから、多額の広告宣伝費に依存しない効率的な営業体制を構築しており、営業人員を増加することで新規顧客開拓をさらに促進してまいります(注4)。

 既存顧客の深耕においては、「MyRefer」単体でみても導入企業における利用人数カバー率は48%(注5)であり、アップセルの機会が残されています。これに加え、現在、「MyRefer」や「MyTalent」など2つ以上のモジュールを利用している企業の割合は15%(注5)、また「MyRefer」「MyTalent」「MyBrand」など3つ以上のモジュールを利用している企業の割合は3%(注5)となっております。このように「Myシリーズ」にはクロスセルの余地が大きく残されていることから、プラットフォーム開発を推進し、複数モジュールの利用を促進することで解約率の低下も期待しております。このようなポテンシャルを活かし、当社では積極的にクロスセル戦略を推進してまいります。

 また、売上成長を実現する中長期的な戦略として、当社はストック型収益を基盤とするリカーリング事業の拡大に加え、フロー型収益で構成されるパフォーマンス事業にも注力しています。「Myシリーズ」などのSaaS事業は、安定的なリカーリング収益をもたらし、業務に深く入り込むため、顧客にとってリプレイスされにくいという強みがあります。一方で、顧客にさらなる付加価値を提供し、安定性と急成長を両立するために、パフォーマンス事業の立ち上げにも力を入れています。採用マーケティングプロダクトの展開を通じて寄せられる顧客のニーズに応え、採用戦略全般をコンサルティングするRXO事業や、採用決定時に収益を計上する成果報酬事業など、リカーリング事業とパフォーマンス事業の強みと弱みを補完し合う独自のポジショニングを築き、さらなる成長を目指してまいります。

 利益成長を実現するための戦略

 利益成長を実現する戦略としては、「Myシリーズ」のプロダクトにおけるAI技術の実装に加え、付随する人的サポートをAIで自動化することで、当社営業人員の生産性向上を目指しております。具体的には、「MyRefer」では社内広報活動の自動化機能を既にリリースしており、今後は従業員のリファラルネットワークを可視化するさらなる自動化機能の開発を予定しています。また、MyTalentにおいては、AIを活用した応募意欲の高い候補者の自動サジェスト機能を既にリリースしており、今後は候補者へのスカウト自動化機能の開発を進める予定です。

 「Myシリーズ」はプラットフォームの価値を高めるネットワーク効果を発揮し、既存の人材業界事業者や新規参入事業者に対して競合優位性を築き上げ、参入障壁を構築してきました。当社は2015年以降、リファラル採用をはじめとする採用マーケティング市場の創造とともにコンパウンドSaaSとしてビジネスモデルを強化し、シングルIDによるプラットフォーム展開やプロダクト間のシナジー効果を発揮しております。さらに専門性の高いコンサルティング力や、日本を代表する大手企業の導入実績が当社の信頼性を高めています。また解約率が1%を下回り年々低下傾向にあることも、プラットフォームの持続可能な成長を支える要因となっております。

 今後のプロダクト展開としては、プラットフォームの強みを生かし、長期的に採用マーケティングエコシステムの構築を目指してまいります。具体的には既存プロダクト(「MyRefer」、「MyTalent」、「MyBrand」)においては、AIを活用した採用マーケティング機能の強化を図り、新規プロダクトにおいては人事データ、従業員データを活かして従業員向けのマーケティングを強化するプロダクトを開発予定です。「MyRefer」では求人に適合する友人やリクルーターを発掘する機能、「MyTalent」では求人に適合する候補者を発掘する機能、「MyBrand」では候補者に適合する求人やメディアを表示する機能など、AIや自動化技術を活用し、よりパーソナライズされた候補者体験を提供するとともに、採用担当者の負担軽減を実現することを目指します。

 また、自社開発に留まらず外部パートナーとの連携や協業を通じて、採用マーケティング全体のエコシステムを構築することで、更なるユーザーの利便性向上、並びに当社の事業優位性を強化してまいります。

 かつてCRMが営業活動にマーケティングの変革をもたらしたように、当社は採用活動をマーケティングに変革することを目指しております。CRMの登場により、営業活動はWeb上で情報を一元管理し、自社の見込み顧客に対して効果的にマーケティングを行う時代へと進化を遂げました。

 同様に、当社が提供する「Myシリーズ」は、候補者情報を資産としてWeb上で一元管理し、自社の候補者に対してマーケティングを行うという、採用マーケティングの新たな概念を提唱しております。

 これにより、「Myシリーズ」は、優秀な人材を効率的かつ自律的に獲得可能とする採用DXプラットフォームとして、従来のエージェントや求人広告への依存から脱却する手法を提供いたします。また、採用競合との直接的な競争を回避しつつ、転職潜在層からの応募促進、自社の魅力向上、さらに入社後の活躍を見据えたタレント・アクイジション(注6)の実現を推進してまいります。

(注1)売上高成長率と利益率の合計が40%以上であることを理想とする指標です。このルールは、SaaS企業の健全な成長と収益性のバランスを測るために用いられます。

(注2)当社の営業社員が直接顧客に対して電話やメールなどにより商談を獲得すること。

(注3)顧客が自ら当社に問い合わせすることをきっかけにし、商談を獲得すること。

(注4)2025年3月期における新規受注件数におけるチャネル内訳は、インバウンド25.0%、アウトバウンド34.7%、イベント(自社)22.2%、イベント(外部)5.6%、アライアンス4.2%、その他8.3%となります。また新規売上獲得に占めるマーケティングコストの割合は、2022年3月期上半期68%・下半期67%、2023年3月期上半期13%・下半期17%、2024年3月期上半期7%・下半期6%、2025年3月期上半期8%・下半期11%となります。

(注5)各数値は2025年3月末時点

(注6)企業が必要なスキルや経験を持つ優れた人材を戦略的に見つけ出し採用するプロセスを指し、採用活動にとどまらず、長期的なタレントプールの構築や採用ブランディングの強化も含めて行うこと。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は、以下の項目と認識しております。

① 採用DXプラットフォームの推進

 既にリリース済みのリファラル採用支援ツール「MyRefer」、採用マーケティングオートメーション(MA)ツール「MyTalent」、採用ブランディング支援ツール「MyBrand」に加え、従業員マーケティングモジュールなど新たなサービスを順次導入することで、「Myシリーズ」のサービスラインをさらに拡充してまいります。これにより、当社サービスのプラットフォーム化を一層強化し、既存顧客の深耕および新規顧客の獲得を推進してまいります。

② 収益性の追求

 2023年3月期までは③に記載の人材の確保・育成のための人件費や採用費等が積み重なった結果、営業損失が先行して発生し、2024年3月期より利益に転じております。

 2025年3月期以降は、人的支援領域、SaaS領域の双方の観点で事業間シナジーを生み出し、高い収益性を追求することで利益確保・増益に注力いたします。成長事業に対しては積極的に開発投資を実施しながらも、全社的な開発コストの適正化を図ってまいります。

③ 優秀な人材の確保・育成

 当社事業を成長させていくため、優秀な人材の確保・育成は不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに組織化を進め、教育制度も拡充し、従業員の成長をサポートしてまいります。

④ 情報管理体制の継続的な強化

 当社の運営する事業においては、顧客情報や個人情報を取り扱っており、これらの情報管理体制を強化することが重要であると考えております。そのため、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。

⑤ 内部管理体制の強化

 当社が継続的な成長を続けていくことができる強固な組織基盤の確立に向け、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化を図ってまいります。

⑥ 財務上の課題

 当社は金融機関から借入を行ってはおりますが、営業活動による安定的なキャッシュ・フローを源泉として健全な財務基盤を築いているため、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はありません。しかしながら、今後当社の成長の一つの選択肢としてM&Aを実施した場合、一時的に有利子負債が増加する可能性があるため、営業活動による安定したキャッシュ・フローの確保に加え、金融機関との一層の関係強化や資金調達の多様化により、財務体質の更なる強化に努めてまいります。

PR
検索