THECOO
【東証グロース:4255】「情報・通信業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は同じ想いを持つ仲間が集まって創業しました。当社は「“できっこない”に挑み続ける」を会社として最も重要な価値観と捉えております。これは、創業者達が「失敗するかもしれない」と不安になることで挑戦を諦めてしまい、一歩を踏み出せば物事が進むにも関わらず、踏み出すことを止めてしまっている現状を多く見てきたためです。人々が自分自身で可能性の芽をつむことをやめ、第一歩を踏み出すことで自ずと道は開ける、という想いを広く実現するため、当社は存在しております。
当社はインフルエンサーセールスやデジタル広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない”に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指します。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社の中長期的な経営戦略は、デジタルマーケティング事業に加え、成長事業としてファンビジネスプラットフォーム事業を中心に据え、エンタテインメント市場において、アイコンとファンにとってなくてはならないプラットフォーマーとしての地位を国内、そして国外(特に韓国)において築きあげることです。そのために、スポーツなどのより広いカテゴリーにおいてアイコン獲得を進めるだけでなく、魅力的なプラットフォーマーであり続けるために積極的に開発を進め、また、カスタマーサクセスをより強化してマネタイズの機会を創出してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ストック型の収益モデルとなっており、主な収益はファン(ユーザー)からの月額課金によるストック売上と購入されたポイントの消費によるフロー売上から構成されております。ファン(ユーザー)数については、「Fanicon」の売上構成要素のひとつではありますが、アイコン自身が行うコミュニティ開設の告知活動に影響される傾向があります。そのため、当社がファン(ユーザー)のコミュニティ加入に直接的に関わる機会が少ないため、ファン数同様にアイコン数も主要なKPIとして位置付けております。加えて、「Fanicon」のもうひとつの売上構成要素である、ARPU(Average Revenue Per Userの略称であり、1ファンあたりの平均売上金額を指します)は主要な経営指標と位置付けております。
また、デジタルマーケティング事業においては、インフルエンサーセールス事業の取扱件数及び案件単価を重要な経営指標として捉えております。
(4)経営環境・市場の拡大について
当社の主要なビジネスであるファンビジネスプラットフォーム事業では、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」を提供し、アーティストや俳優、インフルエンサー、スポーツ選手など幅広いジャンルのアイコンが、熱量の高いコアなファンとオンライン上の安心できる空間で交流できるサービスを提供しております。
ここ数年、エンタテインメント業界は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オフラインでの活動を制限されたアーティストやクリエイター等が、新たな活動の場としてオンラインによる活動を求める機会が増加しました。それに呼応するようにデジタル化した配信プラットフォームが多数出現し、アーティストやクリエイター等が、そのプラットフォームを活用し自らの情報発信を一元管理することが可能になりつつあります。加えて、当社が提供するプラットフォーム「Fanicon」が進化することで、アーティストやクリエイターとファンの間のコミュニケーションの促進・発展が進んでいます。その結果、マネタイズの機会が増えたことも影響し、市場成長が継続しております。
ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ファンコミュニティアプリである「Fanicon」は、ライブ配信機能、グループチャット機能、シーン投稿機能、スクラッチ(オンラインくじ)機能、EC(Eコマース)機能等、アイコンとファンとの双方向のコミュニケーションを促進する機能を有しております。また、従来のファンクラブが有していた機能として、グッズ、チケット販売などの機能も併設した完全会員制、完全有料制のファンビジネスプラットフォームとなっております。当プラットフォームは、ファンがいる方であればファン数の大小に左右されることなく誰でも(Fanicon利用規約の遵守が前提条件)「Fanicon」を開設することができ、多数の機能の中から、自分のファン層にあった機能だけを選択してファンコミュニティを運営することができます。なお、「Fanicon」を利用中のアイコンであれば大型の4面LEDパネルと最新の音楽配信機材をそろえ、アイコンとファンのコミュニケーションをデジタル・リアルの両面からサポートしております配信スタジオ「BLACKBOX³」を利用可能です。
コミュニティごとにその規模や特色は異なりますが、有名無名を問わず、アイコンの世界観をファンとともに分かち合う場を提供することはファン拡大に繋がるものであり、当社の成長のためにはアイコンに対する収益化のサポートだけでなく、アイコンの活躍の場を広げていくことが重要であると考えております。
当社のもう一つの主要事業であるデジタルマーケティング事業は、広告主に対して、影響力のあるインフルエンサーを活用したマーケティング施策等のサポートを提供しています。株式会社電通が発表した「2024年日本の広告費」によると、2024年のインターネット広告市場は前年比109.6%の3兆6,517億円と堅調に増加を示しております。この市場の動向から、当社は今後も同市場が着実に推移すると予測しています。また、サイバー・バズ/デジタルインファクトの調査によれば、2024年の国内インフルエンサーマーケティング市場は前年比116.4%の860億円と推計されており、ここ数年で市場規模が著しく成長しています。この背景から、インフルエンサーのソーシャルメディア上の影響力が増している中、広告主もますますインフルエンサーを活用したマーケティング手法に注目しています。デジタルマーケティング事業においては、従業員の育成に力を入れ、サービスの品質向上を図ることで、既存顧客からの継続発注を確保しています。同時に、マーケティングとインサイドセールスの活動を積極的に展開することで、国内外を問わず新規顧客の獲得も進めており、その結果、案件数の増加を実現しています。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 市場環境の変化に適応した継続的なサービス品質の向上
当社が今後も高い成長を持続するためには、ファンビジネスプラットフォーム事業におけるファンコミュニティアプリ「Fanicon」の認知度向上と、ファンの皆様にとって魅力的な新規アイコンの継続的な獲得が不可欠であると考えております。そのため、「Fanicon」の魅力向上及び安定的な運用を通じて、顧客満足度のさらなる向上に努めてまいります。また、当社がファンビジネスプラットフォーム事業を通じて構築した芸能事務所、レーベル、テレビ局、制作会社等との強固なネットワークや、デジタルマーケティング事業で培った豊富な知見を活かし、国内外においてジャンルやカテゴリー、そして年代を問わず、新規アイコンの獲得に積極的に取り組んでまいります。これにより、多くのファンの皆様が「Fanicon」をより一層お楽しみいただけるよう環境を整備し、サービスの成長を実現してまいります。また、当社がファンビジネスプラットフォーム事業で築いた芸能事務所やレーベル、テレビ局、制作会社などとの人脈、さらにはデジタルマーケティング事業で築いたネットワークを活かして、ジャンルやカテゴリー、年代を問わず、多くの方々に「Fanicon」を楽しんでいただけるように、より多くの新規アイコンを獲得し、更なるサービス成長を図ります。
さらに、デジタルマーケティング事業におきましては、インフルエンサーセールス事業の強化に注力し、当該事業の強みである高品質なサービスを維持しつつ、変化する市場環境においてクライアントの多様なニーズにお応えできるよう努めてまいります。また、組織体制の強化を継続し、社員一人ひとりがデジタルマーケティングのプロフェッショナルとして成長し続けることで、新たな価値を創出し、当社全体の発展に寄与してまいります。
② 機能とユーザビリティ向上のための開発体制の構築
アプリ開発における技術革新のスピードは非常に速く、消費者の嗜好も日々変化している中、新たなサービスや競合他社が次々と登場しております。当社では、競合優位性の確保及び事業の拡大を目的として、よりクリエイティブなサービスを展開するため、「Fanicon」における新機能の追加開発やユーザビリティの向上に向けた投資を継続してまいります。また、当該開発を推進するにあたり、システム開発や開発プロジェクトの指揮・管理を担うプロダクトマネージャーの役割、さらには保守運用体制の強化が必要不可欠であると考えております。そのため、優秀な人材の確保を進め、より強固な開発体制を構築してまいります。
③ 情報管理体制の強化
当社では、インフルエンサーの個人情報に加え、「Fanicon」をご利用いただくアイコンや多数の会員の皆様の個人情報を取り扱っており、その件数はサービスの拡大に比例して増加しております。このため、個人情報の管理体制をより一層厳格にすることを重要な課題として認識し、以下の対策を講じております。まず、プライバシーマークの遵守を徹底するとともに、情報の取り扱いに関する社内規程を明確に定めております。また、情報セキュリティを強化するため、社内教育・研修を定期的に実施し、従業員の情報管理意識を高める取り組みを行っております。加えて、内部規定の整備を進めるとともに、社内で使用する端末やサービスについて適切な選定基準を設け、それに基づいた運用ルールを構築しております。これらの取り組みを通じて、当社の情報管理体制をさらに強化してまいります。
④ 組織体制の整備
当社は、持続的な成長を支える基盤として、組織体制の整備が不可欠であると考えております。そのため、当社が求める人材の要件を「THECOO DNA」として定義し、人事制度の指針としています。「THECOO DNA」に共感し、高い意欲を持つ優秀な人材を確保するとともに、その人材が最大限に活躍できるよう、労働環境の整備を継続的に進めてまいります。また、人事制度の構築・改善を通じて、より働きがいのある職場の実現を目指してまいります。
⑤ グローバルな事業展開
「Fanicon」では、国外のアイコンによるコミュニティ開設が進んでおり、現在アプリ内でのコミュニケーションは日本語に加え、多言語での対応が可能となっております。また、現在、グローバルなエンタテインメント市場において大きな影響力を持つ韓国のアイコンによるコミュニティも徐々に増加しています。今後は、さらに多くのアイコンとファンの皆様に、国境を越えて「Fanicon」をお楽しみいただけるよう、現地法人の設立、採用活動、パートナー企業の選定などを重要な経営課題として認識し、取り組んでまいります。また、デジタルマーケティング事業においては、近年、国外のクライアントからのニーズが高まりつつあり、特に中国及び米国のクライアントとの取引が大きく拡大しています。今後は、国内外のクリエイターの起用が可能なネットワークの構築を継続し、ボーダレスで支援できる体制の整備を進めてまいります。
⑥ 財務上の課題
当社では、2024年12月期においても営業損失を計上しており、その結果、利益剰余金がマイナスとなっております。現在、全社での黒字化を実現することが重要な課題であると認識しています。一方、資金繰りに関しては、ファンビジネスプラットフォーム事業において前受金収入の割合が大きいため、現時点では財務上の課題は認識しておりません。
⑦ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)
当社は、事業拡大を目指し、サービス品質の向上や顧客獲得のために積極的な先行投資を進めており、その結果、継続して営業損失を計上しております。収益構造については、デジタルマーケティング事業においては法人顧客との取引から得られる収益、また、ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ユーザーが利用期間に応じて支払う利用料金を基にしたサブスクリプション方式による継続的な収益や、ポイント使用に応じて認識される収益などが主要な要素となっております。
⑧ 内部管理体制の強化
当社では、法令遵守やコンプライアンス意識の向上、内部監査の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂、内部通報制度の実効性確保などを継続的な重要課題として取り組んでおります。全社的に管理体制のさらなる強化を目指し、所属するスタッフへの教育を進めるとともに、業務フローの改善や社内統制の向上を図ってまいります。
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