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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は同じ想いを持つ仲間が集まって創業しました。当社は「”できっこない”に挑み続ける」を会社として最も重要な価値観と捉えおります。これは、創業者達が「失敗するかもしれない」と不安になることで挑戦を諦めてしまい、一歩を踏み出せば物事が進むにも関わらず、踏み出すことを止めてしまっている現状を多く見てきたためです。人々が自分自身で可能性の芽をつむことをやめ、第一歩を踏み出すことで自ずと道は開ける、という想いを広く実現するため、当社は存在しております。

 当社はインフルエンサーセールスやデジタル広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない“に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指します。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社の中長期的な経営戦略は、デジタルマーケティング事業に加え、成長事業としてファンビジネスプラットフォーム事業を中心に据え、エンターテインメント市場において、アイコンとファンにとってなくてはならないプラットフォーマーとしての地位を国内、そして国外(特に韓国)において築きあげることです。そのために、スポーツなどのより広いカテゴリーにおいてアイコン獲得を進めるだけでなく、魅力的なプラットフォーマーであり続けるために積極的に開発を進め、また、カスタマーサクセスをより強化してマネタイズの機会を創出してまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ストック型の収益モデルとなっており、主な収益はファン(ユーザー)からの月額課金によるストック売上と購入されたポイントの消費によるフロー売上から構成されております。ファン(ユーザー)数については、「Fanicon」の売上構成要素のひとつではありますが、アイコン自身が行うコミュニティ開設の告知活動に影響される傾向があります。そのため、当社がファン(ユーザー)のコミュニティ加入に直接的に関わる機会が少ないため、ファン数同様にアイコン数も主要なKPIとして位置付けております。加えて、「Fanicon」のもうひとつの売上構成要素である、ARPU(Average Revenue Per Userの略称であり、1ファンあたりの平均売上金額を指します)は主要な経営指標と位置付けております。

 また、デジタルマーケティング事業においては、インフルエンサーセールス事業の取扱件数及び案件単価を重要な経営指標として捉えております。

(4)経営環境・市場の拡大について

 当社の主要なビジネスであるファンビジネスプラットフォーム事業では、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」を提供し、アーティストや俳優、インフルエンサー、スポーツ選手など幅広いジャンルのアイコンが、熱量の高いコアなファンとオンライン上の安心できる空間で交流できるサービスを提供しております。

 ファンビジネスプラットフォーム事業の市場環境としては、株式会社矢野経済研究所の調査「ファンコミュニティビジネス2022」によると、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)は、2020年度は24,800百万円(実績)、2021年度は41,500百万円(見込)(前期比167.3%)、2022年度は58,000百万円(前期比139.8%)と予測されております。新型コロナウイルス感染症による行動制限や海外渡航制限が解除されたことから個人の消費活動や企業による設備投資を中心に経済活動は持ち直しの方向に向かい始めたことやプラットフォーム上で全て一元管理できるサービスが増加し、コミュニティ開設者が芸能活動や創作活動に専念できるようになったことにより、年々市場が大きく成長しております。

 ファンビジネスプラットフォーム事業においては、スマホアプリである「Fanicon」は、ライブ配信機能、グループチャット機能、シーン投稿機能、スクラッチ(オンラインくじ)機能等、アイコンとファンとの双方向のコミュニケーションを促進する機能を有しております。また、従来のファンクラブが有していた機能として、グッズ、チケット販売などの機能も併設した完全会員制、完全有料制のファンビジネスプラットフォームとなっております。当プラットフォームは、ファンがいる方であればファン数の大小に左右されることなく誰でも(Fanicon利用規約の遵守が前提条件)「Fanicon」を開設することができ、多数の機能の中から、自分のファン層にあった機能だけを選択してファンコミュニティを運営することができます。なお、「Fanicon」を利用中のアイコンであれば大型の4面LEDパネルと最新の音楽配信機材をそろえ、アイコンとファンのコミュニケーションをデジタル・リアルの両面からサポートしております配信スタジオ「BLACKBOX³」を、無料で利用可能です。

 コミュニティごとにその規模や特色は異なりますが、有名無名を問わず、アイコンの世界観をファンとともに分かち合う場を提供することはファン拡大につながるものであり、当社の成長のためにはアイコンに対する収益化のサポートだけでなく、アイコンの活躍の場を広げていくことが重要であると考えております。

 当社のもう一つの主要事業であるインフルエンサーセールス事業は、クライアント企業に対して、影響力のあるインフルエンサーを活用したマーケティング施策のサポートを提供しています。株式会社電通が発表した「2023年日本の広告費」によると、2023年のインターネット広告市場は前年比107.8%の3兆3,330億円と堅調に増加を示し、その中で総広告費に占める媒体構成比は前年比2ポイント増の45.5%に達しています。この市場の動向から、当社は今後も同市場が着実に推移すると予測しています。また、サイバー・バズ/デジタルインファクトの調査によれば、2023年の国内インフルエンサーマーケティング市場は前年比120.5%の741億円と推計されており、ここ数年で市場規模が著しく成長しています。この背景から、インフルエンサーのソーシャルメディア上の影響力が増している中、クライアント企業もますますインフルエンサーを活用したマーケティング手法に注目しています。しかしながらインフルエンサーセールス事業においては、当社従業員の不祥事により、業績と信用力が大きく落ちてしまいました。これを受けてマーケティングやインサイドセールスの取組みを強化しつつ、従業員の不祥事により毀損した信用を回復すべく従業員の倫理と透明性に焦点を当てることで、既存案件の取引再開に留まらず、国内外の顧客との新規案件も獲得を目指してまいります。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① サービスと保守運用人材の強化

 当社が今後も高い成長率を持続していくためには、ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」の認知度を向上させ、ファンにとって魅力ある新規アイコンの獲得に継続して取り組むことが必要不可欠であると考えております。そのためには、「Fanicon」でのサービスをより魅力的なものとし、保守運用体制の強化を通じて、顧客満足度を高めていくことが重要と考えております。

 また、当社がファンビジネスプラットフォーム事業で築いた芸能事務所やレーベル、テレビ局、制作会社などとの人脈、さらにはデジタルマーケティング事業で築いたネットワークを活かして、ジャンルやカテゴリー、年代を問わず、多くの方々に「Fanicon」を楽しんでいただけるように、より多くの新規アイコンを獲得し、更なるサービス成長を図ります。

 デジタルマーケティング事業においては、インフルエンサーセールス事業をさらに強化し、当社のインフルエンサーセールス事業の強みであるサービスのクオリティを高く維持しながら、変化する市場にてクライアントのニーズを満たすべく邁進してまいります。人員・組織体制を継続して強化し、メンバー各々がデジタルマーケティングのプロフェッショナルとして成長・変化し続けることで、新しい価値の創造を実現いたします。

② 機能とユーザビリティ向上のための開発体制の構築

 アプリ開発の技術革新のスピードは非常に早く、消費者の嗜好も日々変化し、また新たなサービスや競合他社が次々と現れます。当社では、競合優位性の確保及び事業の拡大を図り、よりクリエイティブなサービスを展開するために、「Fanicon」において新機能の追加開発、ユーザビリティの向上のために投資を継続してまいります。当該開発に際しては、システム開発や開発プロジェクトの指揮管理役であるプロダクトマネージャー、そして保守運用体制の強化が必要不可欠と考えており、優秀な人材の確保を行ってまいります。

③ 情報管理体制の強化

 当社は、インフルエンサーの個人情報に加え、「Fanicon」を利用する多数の会員の個人情報を取り扱っており、その数はサービスの拡大に比例して増加しております。そのため、今後個人情報の管理体制をより一層厳格に行うことを重要な課題として認識しており、対策として、プライバシーマークを取得し、情報の取扱いに関する社内規程を定めております。情報セキュリティに関する社内教育・研修を定期的に実施し、引き続き従業員の情報管理意識を高めてまいります。

④ 組織体制の整備

 当社の継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を確保し、その人材が活躍するために、当社は従業員が働きやすい環境の整備を促進し、人事制度の構築を進めてまいります。

⑤ グローバルな事業展開

「Fanicon」は国内外のアイコンが運営するコミュニティ開設が進んでおり、現在アプリ内でのコミュニケーションは日本語だけでなく多言語での対応が可能となっております。また、現在グローバルなエンターテインメント市場にて大きな影響力を持つ、韓国アイコンが開設するコミュニティも徐々に増加しております。今後は更に多くのアイコンとファンに国境を越えて「Fanicon」を楽しんでいただけるように、現地法人設立の検討、採用、パートナー企業の選定等も重要な経営課題として認識しております。

 デジタルマーケティング事業は、近年、国外のクライアントからのニーズも高まりつつあり、特に中国及び米国のクライアントとの取引が大きく拡大しております。今後は継続して国内外のクリエイターの起用が可能なネットワークの構築と、ボーダレスでの支援が可能な社内体制を構築してまいります。

⑥ 財務上の課題

2023年12月期においても営業損失を計上しております。そのため、利益剰余金がマイナスとなっており、全社での黒字化が課題と認識しております。一方、資金繰りに関しては、ファンビジネスプラットフォーム事業において前受金収入の割合が大きいことから、現時点において財務上の課題は認識しておりません。

⑦ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)

 当社は、事業拡大を目指し、人材獲得等への先行投資を積極的に進めており、継続して営業損失を計上しております。当社の収益は、デジタルマーケティング事業の法人顧客を取引先とした収益と、ファンビジネスプラットフォーム事業においては、ユーザーが利用期間に応じて利用料金を支払うサブスクリプション方式等による継続的な収益、ポイント使用に応じて認識する収益によっております。今後は売上高の拡大を目指す一方で、オペレーション改善や収支管理に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。

⑧ 内部管理体制の強化

2023年5月8日付「当社従業員による不正行為及び特別調査委員会の設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社元従業員3名が、2019年度以降、自身らと関連を有する会社等に対して架空発注や水増発注による不適切な発注(以下「本件不正発注行為」といいます。)を行っていたことが発覚しました。当社は、本件不正発注行為の事実関係の全容解明、原因究明、類似事案の有無の確認及び再発防止策の検討を行うことを目的として特別調査委員会を設置し(その後、委員の構成を変更して独立調査委員会を組成しております。)、2023年6月26日に独立調査委員会より調査報告書を受領しました。

 当社では、独立調査委員会による再発防止策の提言等を踏まえ、法令遵守・コンプライアンス意識の向上や内部監査の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂や内部通報制度の実効性確保等を当社の最優先事項として2023年第3、4四半期に注力してまいりました。特に、不正問題を招いたインフルエンサーへの発注・納品のプロセス、取引先の登録プロセスについては販売管理システムの設定と運用を一から見直し、3線防御による強固な内部統制を導入致しました。また、特にデジタルマーケティング事業本部所属のスタッフへの教育や提案活動の強化を進め、組織を変更し、顧客に対してより質の高いサービスの提供を可能とする体制を構築してまいります。

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