TAKARA & COMPANY
【東証プライム:7921】「その他製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、企業価値の拡大を目指すお客様のニーズは、情報技術の進化やコーポレート・ガバナンスを取り巻く制度整備、ESG情報の開示に関する対応要請などを受け、高度化ならびに多様化しております。また、制度開示書類をはじめとした企業活動にかかわる文書の翻訳や海外上場のサポートなど、グローバルなソリューションへのニーズも増加の一途を辿っています。
私たちは経営理念である「社会の公器としての使命を果たす」を指針とし、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題に事業活動を通じて貢献するとともに、ディスクロージャーを起点として、様々なソリューションで企業の成長を支援するIT・専門性のあるテック企業として、「グローバルなオンリーワン企業集団」、「専門分野に特化したコンサルティングファーム」への進化を進めてまいります。
持株会社体制としている目的
1. グループの一体化と戦略機能の強化
グループ全体の視点に立った経営戦略の立案により、グループ内経営資源の配分を最適化します。ディスクロージャー&IRのサービス提供を通じて築き上げた顧客基盤と、当社グループの“ブランド”への信頼を活かし、既存分野から周辺へサービス提供を拡げるべく、グループの一体経営を推進します。同時に、子会社事業も独自性・専門性の発揮による成長を目指し、戦略機能の強化を図ります。
2. 新規事業創出機能の強化
事業領域の拡大に向けて、当社グループとの親和性が高い外部企業を傘下に迎え入れる器づくりと、機動的な戦略的事業提携に対応し得る体制を実現します。
3. 経営者人財の確保・育成
グループ全体の変革を推進する次世代リーダーの育成に向けて、事業会社における幹部登用を積極化します。また、事業会社間の人事交流を活性化させ、グループ内で人財の流動性を高めることで、社員の成長を促進する機会を実現します。事業領域の拡大に合わせて、活躍の場を求める多様な資質を持つ人財を確保していきます。
4. スピーディーな意思決定が可能な経営体制の実現
各事業会社への権限委譲とともに経営責任の明確化を図り、それぞれの事業展開におけるスピーディーな意思決定と独立性を担保しつつ、全社視点でのマネジメントを確立します。
5. ダイバーシティ環境の実現
全社視点に立ったマネジメントの強化、適材適所の人財配置、事業内容に応じた組織デザインと事務プロセスの効率化を進め、さらなるダイバーシティ環境の推進を図ります。
■企業理念、目指す姿、行動指針
私たちは、事業を通してお客さまの情報化社会におけるコミュニケーションを支援し、資本市場にとって「なくてはならない企業」であり続けます。お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーとともに私たちの使命を果たしながら、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
■気候変動をはじめとしたサステナビリティ課題への取組み
当社グループは、気候変動をはじめとしたサステナビリティ課題を経営課題の一つと認識しており、サステナビリティ委員会を設置し、検討を進めております。サステナビリティ基本方針のもと以下の5つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、各マテリアリティにおいてアクションプラン基本方針、2030年までのアクションプランを定め、これを実行し、実現することを目標としております。
① 専門知識の蓄積、研鑽と発信
② ガバナンスの深化
③ 従業員の幸せ
④ 環境問題解決に向けたソリューションの創出
⑤ ステークホルダーとの共栄
環境への取り組みとしては、当社グループはこれまで環境保全活動に積極的に取り組んでおり、電力使用量の測定・削減、用紙使用量削減・再生紙活用の推進、汚染物資・化学物質の削減、産業廃棄物排出量の削減等を進め、継続的に環境負荷の軽減を図ってまいりました。今後は気候変動が当社グループの業績に与える影響について検討を進め、FSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を参照し、サステナビリティ委員会において検討のうえ、枠組みに沿った情報開示を進めてまいります。
(2) 経営環境
当社グループの主要事業であるディスクロージャー関連の事業環境はこれまで、金融庁の電子開示システムEDINETの改訂、金融関連商品に対するディスクロージャーの詳細化、会社法の改正に伴う会社・株式制度の改革及び株主総会プロセスの電子化の促進、企業のIR活動の拡充、コーポレート・ガバナンスの充実、ESG情報の開示、海外投資家に向けた英語での会社情報の開示への一層の取組みなど、近年、大きく変化いたしました。また、EDINETの高度化やIFRSの適用など、更なる環境の変化が見込まれ、足元では2025年4月以降の決算・適時開示情報における和英同時開示がプライム市場上場企業を対象に義務化され、また投資家が株主総会の前に有価証券報告書を確認できるよう早期提出への出来る限りの対応が求められるなど、大きく、激しく変化しております。
このような事業環境において、多様化・高度化する情報開示に対するシステムの技術革新等を含めた対応要請、オンライン化、並びに事業体のグローバル化への動きは、今後も一層進展していくものと想定しております。
このような環境の中、当社はグループ一体となり、重要な経営目標である「中期経営計画2026」のもと、引き続きお客様の様々なニーズに応えるとともに、グループ会社間のシナジーを最大化させ、業績の拡大に努めております。
2025年5月期の連結業績は、事業環境が大きく変化する中、「中期経営計画2026」の2年目にあたり、その進捗は堅調に推移いたしました。顧客基盤の増強により各商材の成約、受注が好調に推移し売上高は増収となりました。営業利益については、両事業ともに人件費や職場環境の改善などにより経費の増加があったことから減益となりましたが、固定資産の譲渡に伴う特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は増加となりました。
中期経営計画2026の最終年度となる2026年5月期は、当社グループの各事業分野での更なる強化を見据え、2025年7月9日に最終年度の業績目標を修正いたしました。
「中期経営計画2026」の進捗状況
2025年5月期の状況
ディスクロージャー関連事業
・株主総会プロセスの電子化の更なる進展を想定したサービス体系構築
・決算開示アウトソーシング、制度変更起点のニーズに応えるコンサルティングの拡充
・有価証券報告書の株主総会前提出等、開示環境変化に対応するWizLaboの機能拡充
・WizLaboの機能追加により決算開示プロセスの効率化を実現
(API連携拡大、WizLabo Box強化、WizLabo Library CMS機能強化)
・海外情報、サステナビリティ情報キャッチアップ機能の強化(㈱宝印刷D&IR研究所)
・改組によるIPO検討企業へのアプローチ力を大幅に強化
・IPOコンサル組織対応の強化(㈱タスクとの連携)
・ファンド案件、再上場案件の管理徹底
通訳・翻訳事業
・開示/IR関連文書の翻訳需要の増加に対応可能な、量と品質両面での翻訳体制を強化
・グループ内での勉強会・人材交流により、サービス品質を向上
・サイマル・アカデミーのディスクロージャー翻訳講座を通じた人材発掘を推進
・開示書類翻訳へのAI翻訳導入を見据え、グループ内各社との連携による自社利用AI翻訳エンジンの育成、MTPEサービスの本格提供に向けた取組みを推進
・MTPEについて、特定文書の翻訳に際し人手翻訳と同等の翻訳品質を実現すべく、特有の注意点を洗い出し、当該情報を蓄積/共有
・サイマル/十印/THPLの連携営業の強化
・各種イベント等でのプレゼンテーション強化
・中国・東南アジア言語を中心とした英語以外の言語の翻訳対応力を強化
(3) 経営戦略
当社は上記の経営環境の認識の下、2023年7月7日に、2024年5月期~2026年5月期の「新・中期経営計画2026」を発表し、以下の目指す姿、基本方針を策定・発表しました。
1.TAKARA & COグループが目指す2030年に向けたあるべき姿
特定した5つのマテリアリティにおける2030年までのアクションプランを実行し、これらを実現していくことを通じて当社グループの使命を果たし、人的資本の持続的な成長と信頼関係の発展を図りながら、各社の企業価値を高めていく。
2.「新・中期経営計画2026」における基本方針
・サステナビリティ経営の推進
・グローバル化の拡大促進
・新事業領域の拡大
・グループ戦略立案とグループ連携の強化
・グループ各社の企業価値向上
上記基本方針のもと、以下の成長戦略、具体的施策を推進していきます。
① ディスクロージャー関連事業
・四半期制度見直し、会社法改正など制度変更に伴うビジネスの創出
・開示支援システムの技術革新、オンライン・Webサービスの強化
・統合報告書、サステナビリティ、タイムリーディスクロージャー等情報開示の多角化、高度化への対応
・IPOサービス体制の強化、コンサルティングの拡大
② 通訳・翻訳事業
・通訳翻訳の更なる使いやすさとクリエイティブな品質の追求
・通訳翻訳業界の認知向上と次世代を担う通訳者、翻訳者の育成
・機械翻訳、遠隔通訳等の技術進化への対応
・海外顧客向け高付加価値サービスの拡大、取り扱い言語数の拡大
③ 価値共創基盤の強化(両事業の融合)
・マテリアリティに沿った活動の着実な推進
・人材育成と従業員の幸せの実現
・海外投資家向け情報開示の品質強化、キャパシティ拡大
・グループシナジーの進展
・M&Aによる事業領域の拡大
・経営基盤のDX化、RPAの推進
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1. グループ経営の強化
当社グループは、継続的に中期経営計画を策定・公表しております。この目標を達成するために、サステナビリティ経営を推進し、グループ間シナジーの創出を通じて企業価値向上を持続的に実現してまいります。
2. 新規事業の開拓と育成
当社グループがさらに飛躍するためには、新規事業の開拓と育成が必要と考えております。当社グループは、ディスクロージャー&IR事業を基盤として、その周辺分野へサービスの範囲を拡大していく事のほか、当社グループのビジネスに関連するM&Aやアライアンスの実施も視野に入れた新たな事業展開等へ100億円の成長投資枠を確保しており、新規事業の開拓と育成を進めてまいります。
3. 開示支援サービスの信頼性向上
ディスクロージャー&IR事業の環境の変化とお客様のニーズを的確に捉え、統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo」をプラットフォームとした、総合ディスクロージャーソリューション企業として、ワンストップでのソリューション提供を通じた顧客体験の更なる向上を図ります。
具体的には、「WizLabo」へのAI実装本格化・データ収集機能強化を始めとした機能拡充、更なる株主総会プロセスの電子化進展に対応する電子化商材の機能強化と拡販、投資家向け情報開示のグローバル化によるニーズ拡大を踏まえたAI翻訳等新技術の積極的な利活用、高度な開示領域で高まる顧客ニーズに対応したコンサルティングサービスの拡大等に努めます。お客様に満足していただけるサービスの提供を通じて、信頼性の向上を図り、法定開示書類、任意開示書類の受注拡大、IPO等における受注拡大を図ってまいります。
4. 通訳・翻訳事業の拡大と高品質+αの競争優位の確立
通訳事業では、引き続き堅調な需要が見込まれる中、次世代通訳者の不足、AIの進化等、業界における課題が変化しております。当社グループでは次世代通訳者の獲得・育成、AI関連サービスの商品化を主要課題として、質・量ともに業界リーダーとしての強みを生かし、更なる業績拡大を推進してまいります。翻訳事業では、ディスクロージャー翻訳、ビジネス翻訳など、高い専門性が求められる分野の品質向上に引き続き注力するとともに、新商材「SIMULwiz」の拡販等AIを始めとしたテクノロジーの活用を積極的に進めてまいります。また、ビジネスのグローバル化に伴う、企業のWebサイト・広告・書籍等における多言語ローカライズニーズに対応するトランスクリエーション(マーケティング/クリエイティブ色の強い翻訳)サービスの強化にも注力しております。
これら各種サービスの提供を通じて、お客様の利便性・信頼性の向上を図り、通訳・翻訳事業の高品質+αの競争優位性の確立を実現してまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
過去3期の実績、および2024年5月期から2026年5月期における経営数値目標は、「新・中期経営計画2026」として2023年7月7日開催の取締役会にて決議し、同日付で開示いたしました。また、2026年5月期の目標を進捗の状況および今後の業績を勘案し修正することについて、2025年7月9日開催の取締役会で決議し、開示しております。
その計画期間最終期となる2026年5月期における経営数値目標は、売上高330億円、営業利益44億円、営業利益率13.3%、親会社株主に帰属する当期純利益31億円、ROE10.0%として設定しております。
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