企業SUBARU東証プライム:7270】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。

 当社グループは、『“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す』という経営理念のもと、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」の実現に向け、提供価値である「安心と愉しさ」を進化させていきます。そして、SUBARUを自動車事業と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドへ持続的に成長させるとともに、すべてのステークホルダーの皆様に事業活動へ共感いただくことを通じてSUBARUグループの持続的な成長と愉しく持続可能な社会の実現を目指しています。

(1) ありたい姿、提供価値、経営理念

<ありたい姿>  笑顔をつくる会社
 <提供価値>   安心と愉しさ
 <経営理念>  “お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す

(2) 基本方針

<品質方針>

 私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます

 1.お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします

 2.お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします

 3.法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします

<SUBARUグローバルサステナビリティ方針>

 私たちSUBARUグループ*は、人・社会・環境の調和を目指し、
 1.事業を通じて、地球環境の保護を含む様々な社会課題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献します。
 2.高品質と個性を大切にし、先進の技術で、SUBARUならではの価値を提供し続け、SUBARUグループに関わるすべての人々の人生を豊かにしていきます。

 3.国際社会における良き企業市民として、人権および多様な価値観・個性を尊重し、すべてのステークホルダーに誠実に向き合います。

 4.従業員一人ひとりが、安全に安心して働くことができ、かつ働きがいを感じられるよう職場環境を向上させます。
 5.国際ルールや各国・地域の法令を遵守するとともに、その文化・慣習等を尊重し、公正で透明な企業統治を行います。
 6.ステークホルダーとの対話を経営に活かすとともに、適時かつ適切に企業情報を開示します。

 *SUBARUグループ:株式会社SUBARUおよびすべての子会社

(3) 新経営体制における方針

 当社グループは、2023年の新経営体制への移行に伴い、同年8月2日に公表した「新経営体制における方針(以降、「新体制の方針」)」※1において、2030年に向けた電動化計画をアップデートし、2023年から2028年までの5年間を大変重要な期間と位置づけ、「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を目指した取り組みを進めています。100年に一度の大変革期を勝ち残っていくために、これらの取り組みを強力に推進し「安心と愉しさ」を追求し続けていきます。さらに近年の自動車産業を取り巻く非連続かつ従来以上にスピード感のある変化に対しては「柔軟性と拡張性」の観点を念頭に置き、よりタイムリーに対応していきます。

※1:詳細は2023年8月に公表した「新体制の方針」と2024年5月および2024年11月に公表したアップデートをご参照ください。https://www.subaru.co.jp/outline/about/policy/

(4) 対処すべき課題

<経営環境の変化の下での収益確保に向けた取り組み>

自動車メーカーとしては決して規模の大きくない当社グループが、厳しい競争環境のなかで稼ぐ力を維持し持続的に成長していくためには、お客様にSUBARUならではの価値を認めていただくことが何より大事であり、また徹底した差別化戦略・付加価値戦略が不可欠です。これまで、当社グループの強みを発揮できる分野や市場にターゲットを絞り、限られた経営資源を投入する「選択と集中」を推し進めることで「付加価値」を高めて、競争力を強化してきました。

市場については米国を最重要市場と設定し、商品は日常からアクティブライフまで使い勝手が良く、米国市場を中心にお客様との親和性が高いSUV領域に、開発においては当社グループの技術の強みを活かすことができる「安心と愉しさ」を追求する領域に経営資源を集中してきました。また、当社グループにとって大事なパートナーである販売店と共に、より良い社会の実現に向けて各地域に寄り添った支援活動「Love Promise」を米国において継続的に進めています。これらビジネスモデルや取り組みに対し、販売店・お客様・地域コミュニティからの共感をいただいており、共にSUBARUブランドを磨き、成長を遂げてきました。その結果、2008年からコロナ禍前の2019年にかけて12年連続で小売販売が前年実績を超え、販売台数は約3.7倍と急成長しました。

コロナ禍後も米国市場での堅調さは維持し、2025年3月には米国で販売する自動車ブランドの中で唯一、32か月連続で前年同月超えを記録しました。

2025年3月期の当社グループの全世界の売上台数93.6万台のうち、米国における売上台数は66.2万台を占めました。米国売上台数のうち50%強は米国現地生産車となりますが、日本で生産され輸入する車両も半数程度あります。日本から輸入する完成車のほか、米国現地生産車においては一部の国から輸入する部品などが米国の関税政策の影響を受けます。

しかしながら、当社グループがこれまで育んできたSUBARUブランドの強さおよびお客様との関係の深さに鑑みると、今後も米国市場を最重要市場と位置付けることが、当社グループにとって最善の選択であると考えています。今後、米国市場で最量販車種である「フォレスター」の生産地を米国に移管することを予定し、米国市場で需要が伸びているストロングハイブリッド車両も生産いたします。また、売上台数の増加・売上構成の改善・販売奨励金の抑制・原価低減・費用圧縮などあらゆる収益機会の創出を行うことにより、収益の確保に努めます。

<大変革期の勝ち残りに向けて>

①「柔軟性と拡張性」の考え方のもと「モノづくり革新」と「価値づくり」を推進

 当社グループは、BEV※2はカーボンニュートラルの実現に向けた有力な選択肢ではあるものの、その移行スピードは不透明であり、ICE※3系商品の需要も一定程度継続すると考えています。先行きの見えない変化に柔軟に対応していくためには、従来の考え方・手法を革新的に変えていく必要があり、2023年8月2日に発表した「新体制の方針」の中で、BEVを切り口に大変革に突き進むことを発信しました。

 一方で、最終的にどのパワーユニットの商品を選択するかを決めるのはお客様です。そのための選択肢として、BEVだけではなく、ICE系商品も幅広く用意することこそが「柔軟性」であり、それを実現するために「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を狙うという考え方は、方針発表当初から何ら変わるものではありません。その一つの手段として、更地にゼロから生産の構えを構築し、開発の手法・プロセスもゼロからスタートできるBEVに一旦舵を切り、「モノづくり革新」と「価値づくり」を実現し、その成果をICE系商品にも展開します。このようにして市場の変化に対応できる「柔軟性」を身に付けていきます。


※2:Battery Electric Vehicle(電気自動車)

※3:Internal Combustion Engine(内燃機関)

(商品ラインアップ)

BEVの市場導入については、2026年末までにSUVを4車種、2028年末までにはさらに4車種と合計8車種のラインアップを予定しています。2026年末までに導入を予定する4車種のうち、2022年に市場に導入した「ソルテラ」はトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)と共に両社の強みを持ち寄りつくりあげ、その改良モデルを2025年4月に公開しました。また同時にBEVラインナップの第2弾となる新型「トレイルシーカー」を公開しました。新型「トレイルシーカー」は2026年以降に米国市場への導入を予定しており、当社の矢島工場で生産し、トヨタへの供給も予定しています。また2024年度は、トヨタハイブリッドシステムをベースとし水平対向エンジンと機械式AWDを組み合わせたSUBARUらしい独自のストロングハイブリッドシステムである次世代e-BOXERを開発・公表しました。搭載する国内向け「クロストレック」、国内および米国向けの新型「フォレスター」を発表し、すでに多くの受注をいただいています。今後も市場の動向を見据えながら展開拡大を計画します。

 新型「トレイルシーカー」(米国仕様車)          ストロングハイブリッドシステム

 さらに、SUBARUのフラッグシップクロスオーバーSUVとして歴史を積み重ねてきた「アウトバック」をフルモデルチェンジいたします。パワーユニットは、改良された水平対向2.5L直噴NAエンジンと2.4L直噴ターボエンジンを採用し、2026年以降に米国市場への導入を予定しています。このように、市場のニーズに合わせたBEV/HEV※4/ICEそれぞれのラインアップを充実させ、電動化移行期における商品の柔軟性を確保していきます。

※4:Hybrid Electric Vehicle(ハイブリッド自動車)

(生産体制の再編計画)

 電動車の生産に向け、当社グループは2022年5月より生産体制の再編計画を段階的にアップデートしてきました。国内では2024年秋に北本工場において、ストロングハイブリッドシステムの基幹ユニットとなるトランスアクスルの生産を当初予定通りに開始しました。また、新型「トレイルシーカー」およびトヨタへ供給予定の新型BEVならびにガソリンエンジン車の混流生産を矢島工場にて計画しており、2025年度はその準備が本格化します。矢島工場にある2本のラインのうち、1本のラインを約半年にわたり生産を止めて工事を行うため、一定数の生産台数の減少を想定していますが、その影響を最小限に抑えられるように進めていきます。

 大泉新工場は現在、環境規制およびお客様の受容などの動向を踏まえながら、「段階的」な立ち上げ準備をしています。またバッテリーの生産工場は、パナソニックエナジー株式会社とともに大泉新工場の近接地への建設を予定しています。群馬県太田市を中心に近距離圏内に工場が位置するメリットを活かし、お取引先様および部品物流まで含めたサプライチェーンのさらなる「高効率化」を図ります。

 段階的な立ち上げおよびロケーションメリットの活用などにより、「合理的な生産」の実現を目指すというこれまでの方針に変わりはありませんが、昨今の経営環境を踏まえ、投資の実行のタイミングはこれまで以上に精緻かつ柔軟に判断いたします。


(モノづくり革新)

 モノづくり革新を通じて、小回りの利く「SUBARUの規模だからこそできる」製造・開発・お取引先様領域まで含めたサプライチェーンが一体となった“ひとつのSUBARU化”を進めることで、高密度なモノづくりを推進する―この考え方を軸に、「開発手番半減」、「部品点数半減」、「生産工程半減」を実現し、世界最先端のモノづくりを成し遂げます。開発を含むこれまでの「モノづくり」は、お客様ニーズの多様化やクルマの複雑化などにより対応領域が多岐にわたり、個々の領域の専門化およびお取引先様も含めた分業が一気に進みました。結果として、前工程の手離れを待つリレー式のモノづくりを定着させてきました。この形は、時代の変化に適応しながら成長する過程において発生した制約に対し、でき得る範囲で効率的かつ効果的に対応してきた結果であると評価しています。

 一方で、従来とは大きく車両構造の異なるBEVという「新しい商品」を企画・開発し、更地にゼロから建設する「新しい工場」で生産を始めるということは、「モノづくり」のアプローチやプロセスを大きく変えるチャンスであると捉えており、これらを起点に合理的で高密度なモノづくりを推進し、徹底的に極めていきます。お取引先様と共に集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」では、「ひとつのSUBARU化」を推し進め、モノの流れである「サプライチェーン」と開発の流れである「エンジニアリングチェーン」を一体化した「アジャイル」なモノづくりの検討を進めています。高密度な工場ロケーションやサプライチェーン網、それらを基盤とした物流システム確立などの「高効率なパッケージ」と合わせて「開発手番半減」、「部品点数半減」、「生産工程半減」を実現します。

「新しい工場」では「生産ラインのモジュール化」および「柔軟なサブラインの構築」、そして当社が長年突き詰めてきた「変種変量短生産」の考えに基づく「高効率」な混流生産手法をさらに進化させていきます。更地にゼロから建設する「自由度」を十分に活かしながら、敷地および建屋空間の最大活用も視野に入れて効率化を図っていきます。同時に、ラインで流れるBEVを始めとした「新しい商品」に関しても開発初期段階での「車両構造」および「仕様」のシンプル化による部品点数の大幅な削減を進め、「生産工程半減」へつなげます。これらの取り組みに加え、ストロングハイブリッドシステムの基幹ユニットとなるトランスアクスルを製造する埼玉県の北本工場を含めた各工場のロケーションメリットを最大活用し物流効率を極限まで高めることにより、リードタイムの大幅な短縮につなげていき、従来以上にお客様のニーズにお応えする商品をより早くお届けすることを目指します。


(価値づくり)

 米国では販売子会社であるスバル オブ アメリカ インク(SOA)と全米の販売店が一体となった「Love Promise」という活動が実を結んでいます。SUBARUの商品を核として、販売店・お客様・地域社会の人と人そしてSUBARUを強固につなげるこの取り組みこそが、SUBARUの「社会と未来への価値貢献」であり、これを守りさらに取り組みの輪を拡げていくという想いは、この先の大変革期や電動化時代においても決して変わるものではありません。そしてSUBARUは、フォーブス誌の「社会へ良い影響をもたらす企業ランキング」において、米国内3,000を超えるブランドの中で、2023年と2024年は2年連続で2位に、2025年には3位に選ばれました。これは、商品だけでなく、SUBARUの理念や取り組みに対する総合的な評価ですが、その根幹は「安心と愉しさ」という不変の提供価値を具現化するために追求し続けてきた「テクノロジー」にあると考えています。

 例えば、運転支援システム「アイサイト」は、30年以上にわたる開発の過程で「安心」という「価値」を磨いてきました。今後も究極の安全を目指し、お客様にあらゆる運転環境下においても絶対的な安心を感じていただくために、SUBARUの強み領域におけるテクノロジーの進化を加速させていきます。商品や機能を核とし、お客様には「安心」、「挑戦」、「いつでも新しい」というような「SUBARUと共に過ごすことでの色褪せない情緒的な価値」を感じていただけると考えています。

 電動化が進むことにより、「今まで以上にお客様の人生に寄り添うSUBARU」を目指していきます。

 テクノロジーの進化に向けた取り組みのポイントは、2つあります。1つ目のポイントは「協業の深化」です。特にBEVでは新たな領域の「価値づくり」が必要であり、従来のお取引先様との関係を越えて、いかに協業のカタチをより深化させるかが大切です。2つ目のポイントは、「知能化」です。SUBARUらしい「安心と愉しさ」の強化はもちろん、BEVならではの「シームレスでストレスフリー」といった新たな価値を加え、そしてそれらをICE系商品にも展開していきます。


 協業の深化

2024年1月に稼働を開始した群馬県太田市の開発拠点「イノベーション・ハブ」では、当社従業員とお取引先様が垣根なく集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」を推し進めています。

 軽量・コンパクトな次世代電動車両用e-Axleは株式会社アイシンと共同で開発しています。単なる共同開発の枠に留まらず、調達・生産の領域まで踏み込むことにより両社の強みを活かした競争力のあるe-Axleを実現するために、共に歩みを進めています。


 互いに100年を超える歴史を持つパナソニック エナジー株式会社とは、「次の100年をつくり上げるために、互いの技術と知見を持ち寄り、世界最先端の性能とコストを実現する」という大義のもとで、バッテリー供給に関する協業を進めています。新設するバッテリー工場のロケーションメリットやコスト視点も踏まえた両社の様々な知見の活用など、競争力を高める取り組みを進めています。

 世界的な半導体メーカーであるAMDとは、「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現に向けて、アイサイトとAI推論の融合に関わる協業を行っています。その協業により実現する最適化されたSoC※5は、「ADAS※6」のみならず「車両運動」領域などを制御する「統合ECU」の重要な構成要素を担います。

 これらの「協業の深化」により、世界最先端の「安心と愉しさ」の実現を目指していきます。

※5:System on a Chip  

※6:Advanced Driver-Assistance Systems(先進運転支援システム)

 知能化

「統合ECU」はSUBARUの強みである安全や走りの領域に絞り込んだ「内製開発」により、コスト競争力を保ちつつ、車両の「頭脳」として、SUBARUらしい高度な「知能化」を実現します。「統合ECU」を活用した制御ノウハウやBEVをつくりあげる過程で得た知見を蓄積するとともに、当社が得意とする内製化のスピードをさらに高め、ICE系商品への活用および実装も踏まえて検討を深めます。

 当社グループは、この100年に一度と言われる大変革期の中、「モノづくり革新」と「価値づくり」を推し進めます。開発・生産の工程はもちろん、事業活動全体の効率化・生産性を突き詰め、商品競争力を磨き、SUBARUらしいアフォーダブルな商品として提供することで「お客様に感じていただける価値の最大化」に取り組みます。2030年以降に向けてそれらを実現することにより、「業界高位の収益力」を維持し、勝ち残っていきます。


②脱炭素社会に向けた取り組み

 当社グループは脱炭素社会に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィスなど(スコープ1および2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を設定しています。これらの目標は非連続かつ急速に変化する事業環境に応じて随時見直されており、2023年には、工場・オフィスなどの中期目標を「2035年度に2016年度比60%削減」に引き上げました。当社グループのバリューチェーン全体のCO2排出量は販売した商品の使用によるものが大部分を占めるため、前述の通り自動車の電動化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要です。また、当社グループが直接排出するCO2(スコープ1および2)の削減に当社自らが率先して取り組むことは、バリューチェーン全体での削減活動をより充実させていくものと考え、再生可能エネルギーの利用や高効率な設備への更新などに取り組んでいきます。

 なお、商品および工場・オフィスに「素材部品」、「輸送」、「廃棄」を加えたバリューチェーン全体の脱炭素社会に向けた取り組みは、各領域でのCO2削減を目的とした会議体にて管理され、最終的には環境委員会にて全体統括されています。

<人財づくり>

 当社が目指す世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」は「真の競争力をもった人・組織」により実現されると認識しており、その強化に取り組んでいます。当社では「真の競争力をもった人・組織」とは、「人財それぞれの異なる能力が最大発揮されている」、「本質業務に注力し成果創出までのスピードが速い」、「全体最適の意識を持ち、組織の壁を容易に越えながら動ける」、「挑戦・応援できる風土がある」状態と捉えており、その実現に向けた各種施策を実施しています。

「個の成長」に向けた人財育成では、自律的なキャリアプランの形成を職場や上司がサポートする仕組みをベースに、さらにチャレンジを加速する施策として「公募型ジョブローテーション」や従業員が学びの機会を自ら探し出し会社から全面支援を受けることができる制度などを導入し、推進しています。ほかにも全従業員が自身のレベルや目的に応じて選択できる多様な研修プログラムを整備し、個々に応じたキャリア開発が実現できうる仕組みづくりを進めています。「個の成長」を後押しする仕組みの整備や様々な施策の継続により、自律的な人財の育成が着実に実を結びつつあります。

「組織の成長」に向けて、直接部門では全員参加の現場主権による現場力強化活動を、間接部門ではDX推進による業務の効率化・機械化の推進を基軸として生産性向上を図り、成長につなげていきます。IT・AI活用の領域においては技術部門で構築済の「ソフトウエア人財育成プロジェクト」に加え、すべてのSUBARU社員を対象とした「ITアカデミー」を設立しました。

 また、さらなる成長を目指す観点では、「つながりの強化」を最重要項目に位置付け注力していきます。経営として目指す姿と従業員一人ひとりの取り組みのつながりの深化、部署間の連携や協働の強化、全社のチャレンジを支援・応援できる仕組みづくり、従業員同士の接点増加などを通じて、個々のチャレンジをより大きな成果につなげるとともに、挑戦に向かう人財創出スピードを向上させていきます。一例として全役職者約4,000名を対象に「組織の壁を越え、組織の力を強化する」手法を学ぶ大規模研修を進めています。

 自律した人財一人ひとりが持つ熱意や個性を最大限に活かし、「ひとつのSUBARU」として持続的に最大限の成果を創出できるよう、「真の競争力をもった人・組織」の実現に向けた取り組みを強力に推し進めていきます。

<資本コストや株価を意識した経営>

 当社は持続的な成長に向けて「資本コストや株価を意識した経営の実現」が不可欠だと考えています。当社の直近の資本コスト(WACC ※CAPMベース)は7%半ばですが、ROEは12.8%と資本コストを上回る数値で推移しております。自動車業界の大変革期においても、世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」を着実に実行し、競争力のあるSUBARUらしい商品を市場へ導入することで2030年を見据えた長期的目標として、「業界高位の収益力」「ROE10%以上」を追求していきます。

2025年3月期は、足許のキャッシュの状況および株価の水準などを踏まえ、より一層、株主の皆様に報いる趣旨から安定的・累進的な配当を目指し、DOE(親会社所有者帰属持分配当率)の考え方を取り入れた株主還元方針に変更いたしました。一方、PERについては、現状6倍前後とプライム市場平均PERに対し低位で推移し、また、PBRは1倍を下回っています。米国における関税政策など自動車産業の不確実性を背景に期待が醸成されづらい状況であることが要因と捉えており、今後より一層のIR活動の強化に取り組み、「モノづくり革新」「価値づくり」の着実な実行の進捗開示などを通して、当社グループへの期待値向上へつなげていきます。

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