SOMPOホールディングス
【東証プライム:8630】「保険業」
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企業概要
当社グループの「経営方針」「経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」「報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。また、文中の当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下「KPI」といいます。)の各数値については、本有価証券報告書提出日現在において、予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。また、文中のKPIの各数値については、特に断りが無い限りIFRSにもとづき表示しております。
(1) 経営方針
当社グループは、保険だけにとどまらない“安心・安全・健康”に資するサービスを提供し、未来を切り拓いていくという当社グループの想いを込めた「SOMPOのパーパス」を定めております。
<SOMPOのパーパス>
“安心・安全・健康”であふれる未来へ
(2)経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等
① 経営環境
国内外の金融政策や為替、グローバルなビジネス環境や保険市場の動向の不確実性は増しており、国内ではインフレが企業経営や人々の生活に影響を与え、中期的には少子高齢化の進行による人口動態の変化、それがもたらす国内保険市場の縮小や介護事業の働き手が大きく不足することによる介護労働力の需給ギャップ拡大が見込まれております。また、気候変動による自然災害の激甚化・頻発化や深刻化する地政学リスク、生成AIに代表されるテクノロジーの急速な進歩によって、私たちを取り巻く環境・社会は日々大きく変化し、同時にお客さまをはじめとするステークホルダーのニーズも絶えず変化し続けております。
当社グループは、こうした環境下においても、ステークホルダーの期待に応え続け、中長期的な企業価値向上を果たしていけるよう、持続的な収益力の強化に向けて徹底した業務の見直しを実践してまいります。国内損害保険事業をはじめとする伝統的なマーケットにおいては、旧態依然とした商慣習やビジネスモデルからいち早く脱却し、業務の適正性・健全性と収益性の両方を向上させるための変革へのチャレンジに着手しております。また、介護事業では、ご利用者様やそのご家族様の幸せだけでなく、寄り添う職員の働きがいと処遇を高め続けていけることが同じように大切と位置付け、高いサービス品質と生産性を実現するための経営に取り組んでおります。これらに不可欠なAIの業務実装やデータの利活用には、グループとして積極的に資本投下を行い、今後も実用化のスピードを高めていくことを目指しております。
② 中期経営計画(2024~2026年度)および経営数値目標の進捗状況
当社は、2024年度より3年間の中期経営計画をスタートさせており、「レジリエンスのさらなる向上」と「つなぐ・つながる」の実現を通じて、持続的な企業価値の向上を果たしていくことを目指し、この中期経営計画における経営数値目標として、修正連結ROE(13~15%)と修正EPS成長率(年率+12%超)を掲げております。
2024年度の当社グループは、国内損害保険事業は業務の健全性と収益力を高めるための取組みを着実に進め、海外保険事業は保険引受利益の改善と計画に沿った地理的な拡大を進めました。さらに、グローバルな資産運用の成果や為替影響等も利益成長を後押ししました。ただし、インフレ等を背景に自動車保険は保険金の支払単価が上昇し続けております。また、国内生命保険事業では、より魅力あるInsurhealth®(※1)を提供して法人・個人向けの健康応援サービスの利用促進との相乗効果でお客さま(ひまわりファン(※2))を増やす取組みを、介護事業では、品質を伴う生産性向上(未来の介護)を軸にサービスを充実させながら収益力も高めていく選択と集中を、それぞれ着実に進めました。
当社はグループ全体の持株会社として、事業計画の遂行と企業価値の持続的な向上に必要な経営資源の配賦を行い、事業のトランスフォーメーションとポートフォリオ変革を推進しました。この結果、2024年度の当社グループの修正連結利益は3,234億円となり、修正連結ROEは9.2%となりました。
また、新たに総額300億円規模のファンドを設けて、グループの人材強化に向けた投資を開始しました。生成AIやデジタルを活用したデータ・ドリブンなオペレーションの実装・拡大に向けた取組みも進めております。
2025年度は、国内損害保険事業の事業基盤・収益基盤変革、海外保険事業の規律ある拡大、ウェルビーイング事業の成長加速などにより利益成長を実現するとともに、資本を適切にコントロールすることで、ROEとEPSの向上を目指してまいります。
※1 保険本来の機能(Insurance)と健康応援機能(Healthcare)とを組み合わせた新たな価値
※2 保有契約件数と健康応援サービス利用者数の合計
<中期経営計画における主なグループ経営数値目標の進捗>
項目 | 2024年度 (実績) | 2025年度 (予想) | 2026年度 (目標) | |
修正連結ROE | 9.2% | 10%程度 | 13~15% | |
修正EPS成長率 | - | - | 年率+12%超 | |
修正連結利益 | 3,234億円 | 3,630億円 | - | |
| SOMPO P&C | 2,799億円 | 3,170億円 | - |
| 国内損害保険事業 | 1,202億円 | 1,140億円 | - |
| 海外保険事業 | 1,597億円 | 2,030億円 | - |
| SOMPOウェルビーイング | 662億円 | 720億円 | - |
| 国内生命保険事業 | 570億円 | 610億円 | - |
| 介護事業 | 83億円 | 100億円 | - |
| その他 | △227億円 | △260億円 | - |
(注)2025年度の事業部門別修正利益、修正連結利益、修正連結純資産、修正連結ROEの計算方法は、以下のとおりであります。
③ グループガバナンス体制
中期経営計画の取組みをさらに加速するために、当社は2025年4月にグループの執行体制を見直しました。新たな執行体制では、グループとしてお客さまにより優れた提案とサービスを実現していくために、グループの事業を「SOMPO P&C(損害保険事業)」と「SOMPOウェルビーイング」の2つのビジネス領域に集約して、それぞれの領域を統括するビジネスCEO(SOMPO P&C CEOおよびSOMPOウェルビーイングCEO)を選定しました。ビジネスCEOは、自身が委員長として開催する委員会(マネジメントボード)で各領域の経営方針を議論し、グループCEOとの協議を経て、自らの権限で重要な施策を実行します。これにより、グループに関する戦略的かつ重要な意思決定を迅速に行える体制を整備しました。
(SOMPO P&C(損害保険事業))
SOMPO P&C(損害保険事業)では、国内損害保険事業と海外保険事業の一体運営により、グループの規模と収益性を拡大し、「レジリエンスの向上」の実現を目指しております。コマーシャル分野では、グローバル水準のアンダーライティングの専門性と、お客さまやブローカーとのネットワークを活用して、各種目・各地域で巨大化・複雑化するリスクに対し、安定的に保険カバレッジを提供してまいります。また、コンシューマー分野では、グループ内のテクノロジーやイノベーションの知見を活用することで、商品開発、アンダーライティング、保険金支払いまで効率化・自動化されたオペレーションを実現してまいります。
(SOMPOウェルビーイング)
SOMPOウェルビーイングでは、人生100年時代、少子高齢化の中で顕在化する「健康の不」「老後資金の不」「介護の不」を解消する商品やサービスをグループ一体となって生み出すことを目指しております。国内生命保険事業では健康応援サービスやInsurhealth®の展開を拡大し、介護事業では介護オペレーターとしての日本一の品質と生産性を実現し、当社グループのヘルスケア関連事業の強みも活かしながら、お客さまの行動変容を促すことで「健康寿命の延伸」を実現してまいります。
また、SOMPO P&C(損害保険事業)とSOMPOウェルビーイングを、機動性と柔軟性を兼ね備えた働き方の実践とワークプレイスの構築により着実に推進させ、企業価値を持続的に高めていけるよう、その原動力となるグループの役員・社員の働き方等の指針を2025年6月に「SOMPOの働き方と働く場所」として定めました。
当社グループは、今後もこれまで培ってきた強みを最大限に活かしつつ、お客さまや社会の視点で最適なソリューションを提供するために、役員・社員が事業、性別、障害の有無、国籍、年齢等に捉われず、世界中の仲間とベストプラクティスをお互いに学び合い、成長することを通じて「センターオブエクセレンス」を実現することで、日本発の真のグローバル企業への進化に挑戦してまいります。
こうした執行体制や業務改善計画の着実な実行を監督する体制につきましても、さらなる実効性の向上に取り組んでまいります。当社は指名委員会等設置会社として、社外取締役を中心に取締役会を構成しておりますが、2024年4月に社外取締役が取締役会議長を務める体制に移行することで、より実質的な議論を促進する議題設定および議事運営がなされております。
また、当社が持続的な企業価値の向上を目指すにあたって、取締役会が戦略的かつ大局的な観点での監督・助言機能をより実効的に発揮し、また、SOMPOグループのコーポレート・ガバナンスをさらに強化することを目的として、従前より行っていた取締役会の実効性評価を2024年度は外部専門家を活用して実施しました。
外部専門家によるインタビューを通じて、社外取締役が取締役会議長を務めることの有用性、グループCEOによる充実した業務執行報告や中長期の経営戦略に関する集中討議の機会を設けるなど、取締役会の運営面で継続的な改善が図られていること、業務改善計画のモニタリングが適切に行われていることなどが確認されました。
また、取締役会の実効性をさらに向上させるために、規模・多様性・スキルマトリクスなどの観点で取締役会の構成の最適化を図り続けること、当社の取締役会・法定委員会・社外取締役および各事業会社の取締役会がそれぞれ果たすべき職責を踏まえ、グループ全体のコーポレート・ガバナンスをより効率的かつ実効的に機能させていく必要性などを確認しました。
これらの結果を踏まえ、取締役会の実効性をさらに高めるための具体的な取組みを進めてまいります。なお、2024年度の取締役会実効性評価の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。
④ 業務改善計画の推進
当社の連結子会社である損害保険ジャパン株式会社(以下「損保ジャパン」といいます。)は、2023年12月26日付けで保険契約の保険料の調整行為に関する業務改善命令を受け、本命令に基づき策定した業務改善計画を2024年2月29日に金融庁に提出しました。また、複数の損害保険契約に関する同行為に関して、2024年10月31日付けで公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令および総額6億4,798万円の課徴金納付命令を受けました。
また、当社および損保ジャパンは、2024年1月25日付けで自動車保険金不正請求等への対応に係る業務改善命令を受け、本命令に基づき策定した業務改善計画を2024年3月15日に金融庁に提出しました。2つの業務改善計画については、同年6月14日、9月13日、12月13日、2025年3月14日および6月13日に金融庁に対して進捗報告を行いました。
さらに、損保ジャパンは、2024年7月22日付けで金融庁から保険契約情報等の不適切な管理に関して保険業法および個人情報の保護に関する法律に基づく報告徴求命令を受け、同年8月30日に事実関係、真因とそれを踏まえた再発防止策を金融庁に報告しました。その後、2025年3月24日付けで金融庁から保険業法に基づく業務改善命令を受け、本命令に基づき策定した業務改善計画を2025年5月30日に金融庁に提出しました。なお、本件につきましては、2025年4月30日付けで個人情報保護委員会および認定個人情報保護団体である一般社団法人日本損害保険協会から指導を受け、同年5月30日に個人情報保護委員会に、同年6月10日に一般社団法人日本損害保険協会に、それぞれ業務改善計画を提出しました。
当社および損保ジャパンとしては、業務改善計画を遂行している中で重ねて業務改善命令を受けたことを厳粛に受け止めており、遂行中の業務改善計画からさらに踏み込んだ再発防止策を追加で策定し、法令等の遵守およびお客さま保護を再徹底して信頼回復に向けて取り組んでまいります。
当社および損保ジャパンは、上記に記載のとおり、業務改善計画に取り組んでおり、グループ企業理念体系の下、実効性を高めるために「グループ共通コンピテンシー」とそれに基づく採用・評価・マネジメント登用・役員選任基準を見直すなど、コンプライアンス・お客さま保護を重視する健全な企業風土の醸成、浸透に取り組んでおります。
損保ジャパンでは、経営に関する大切な情報が社内で正しく伝達されるようコミュニケーションの在り方を見直しており、役員が全国の店舗を訪ねて社員と直接対話するタウンホールミーティングや、管理職を対象に各施策の取組み背景や内容の理解浸透を図るための集合研修(リーダー・サミット)を実施しております。また、実際にお客さまから寄せられている声を役員が聞く、現場が経営陣に不芳情報を直接伝える仕組みの導入、世の中から信頼を失った事実や記憶を風化させないための展示室(伝承室)を本社内に設置する、といった、強い意識を持って企業文化の変革を続けていくための取組みも行っております。そして、各種取組みの効果はデータに基づき評価し、役員・社員の行動変容の促進に繋げております。
また、経営管理態勢の強化の観点では、保険金サービス部門に営業部門が不適切な介入を図ることがないよう、保険金支払業務の独立性を担保するとともに、オペレーションが適切かつ効率的に行われるよう業務プロセスの見直しも進めております。
さらに、適正な競争環境を確保するとともに、旧来の業界慣習から脱し、お客さまに保険本来の価値提供で選ばれる会社となることを目指し、政策保有株式の売却、代理店に対する過度な本業支援の廃止、顧客本位の業務運営の構築に資さない出向の廃止、独占禁止法遵守に関する社員・代理店向けの教育などの具体的な取組みを着実に実行してまいります。
当社による損保ジャパンの経営管理態勢の観点では、損保ジャパンの取締役会の監督機能を強化するために監査等委員会設置会社への移行を決定しました。そのうえで、当社役員の損保ジャパン取締役兼任者を増員して社外取締役を含む非業務執行取締役が中心の取締役会構成とし、取締役会議長はグループCEOが務める態勢としております。一部の本社部門においては、当社と損保ジャパンが一体的に業務運営を行い、相互兼務を通じた経営状況の常時把握と施策立案への直接的な関与などを実施しております。
内部監査機能の強化に向けては、グループの内部監査領域の最高責任者としてグループCAEを選定して、グループ横断で第3線の態勢強化を図る体制としました。損保ジャパンを含めたグループレベルでの一貫性ある効果的な内部監査を実施してまいります。
また、損保ジャパンが2025年3月24日付けで金融庁から保険契約情報等の不適切な管理に関する業務改善命令を受けた件につきましては、経営陣のコンプライアンスへの認識・取組み不足、過去の慣習を優先したコンプライアンス・お客さま保護の軽視、現場・本社部門におけるリスクオーナーシップの欠如と本社管理部門の機能発揮不足等を真因と認識しており、これらは前事業年度に業務改善命令を受けた各件における真因と共通するものであると分析しております。
損保ジャパンにおいては、遂行中の業務改善計画からさらに踏み込んだ対策を講じるべく、これらの真因に対して、法令等遵守態勢、適切な顧客情報管理態勢等の確立、コンプライアンスおよびお客さま保護を重視する健全な組織風土醸成等の再発防止策を策定し、着実に実行してまいります。再発防止策の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しております。
(3) 報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等
① 国内損害保険事業
ア.経営環境および経営戦略
国内損害保険事業を取り巻く環境につきましては、自然災害の頻発化や激甚化、インフレによる保険金支払単価や人件費・物件費の上昇、AIなどの新技術の登場による産業構造やビジネスモデルの変化など、予測が困難な状況となっております。
国内損害保険事業は、このような環境変化の中においても、SOMPOグループの中核会社として、グループが目指す「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」を実現するため、信頼回復とレジリエンスの向上に取り組み、グループの成長に寄与してまいります。
イ.中期経営計画(2024~2026年度)およびKPIの進捗状況
主要事業会社である損保ジャパンの「E/Iコンバインド・レシオ」および「政策株式削減額」、国内損害保険事業の「事業別ROE」を主要なKPIとしております。
損保ジャパンの2024年度E/Iコンバインド・レシオは、火災保険の収支改善に加え、自然災害・大口事故等の一過性の増益要因が追い風となり、2024年11月公表の通期業績予想(以下「通期予想」といいます。)から1.9pt改善し98.9%となりました。損保ジャパンの2024年度政策株式削減額は、通期予想を293億円上回る4,293億円となりました。国内損害保険事業の2024年度の事業別ROEについては、損保ジャパンの2024年度E/Iコンバインド・レシオの改善が貢献し、7.9%となりました。
中期経営計画においては、2026年度までに政策株式削減額6,000億円以上を計画していましたが、2024年度の進捗状況を踏まえ、8,000億円以上へ計画を修正いたしました。E/Iコンバインド・レシオ、事業別ROEについては、2024年度に公表した計画値から変更はなく、E/Iコンバインド・レシオ95%未満、事業別ROE10%以上を目指しております。
※1 IFRSベース
※2 日本基準
※3 日本基準ベースの目標値(8%)をIFRSベースに換算
ウ.KPI達成に向けた主な取組み
2024年度に策定した「SJ-R」(※)に引き続き取り組み、事業基盤と収益基盤の変革を進めていくことで、持続可能な成長を実現してまいります。収益基盤の変革では、ポートフォリオ・アンダーライティングの変革や営業部門・保険金サービス部門の基幹オペレーションの見直しなどによる収益性向上に取り組んでまいります。事業基盤の変革では、データドリブンの推進や専門人材の育成などによる競争力の強化を図り、KPI達成を目指してまいります。
※「お客さま、社会、そして自分にまっすぐ。」というスローガンのもと、「新しい損保ジャパン」を目指
す全社プロジェクト。「SJ-R」では、お客さま・社会からの信頼回復を最優先として、業務改善計画
に着実に取り組むとともに、「新しい損保ジャパン」を実現するために必要となる事業基盤と収益基盤の
変革に取り組んでおります。
② 海外保険事業
ア.経営環境および経営戦略
海外保険事業はSompo International Holdings Ltd.を中心に米国、英国、欧州大陸、中南米、中東、アジア等でプロパティ、カジュアリティ、スペシャリティ保険および再保険を展開し、コマーシャルおよびコンシューマーのお客さま向けに対して、高品質な保険および保険関連サービスをグロ―バルに提供しております。グループの成長の牽引役として事業規模と収益性の両面で着実な拡大を続けてまいります。
イ.中期経営計画(2024~2026年度)およびKPIの進捗状況
中期経営計画では、市況変動への対応をしつつ規律ある保険引受に基づき戦略的かつ継続的な成長に焦点を当てております。今後の事業環境については、保険マーケットおよび経済環境の両方において大きく変化することが想定されますが、顧客基盤を拡大し続けるとともに将来への投資を行い、商品および地理的の両面でグループの拡大に寄与し、株主価値の向上に重点を置いております。
海外保険事業では、「修正利益の成長率」、「戦略的事業規模の拡大」および「事業別ROE」を主なKPIとしております。
2024年度は、主に保険引受利益の改善ならびに金利上昇と資産ポートフォリオの拡大による資産運用収益の大幅な増加によって、修正利益は13.8億ドル、事業別ROEは14.2%となり、目標を達成しました。また、戦略的事業規模の拡大についても2026年度の目標達成に向けて順調に推移しております。
※1 旧基準(IFRS4号)
※2 負債比率:20%
ウ.KPI達成に向けた主な取組み
人材、テクノロジーおよびインフラの3つのエリアへの投資に重点を置いております。具体的には、トップラインの成長のための各保険分野でのアンダーライターの採用および強固な契約管理環境維持を目的としたサポートスタッフの雇用、テクノロジーやデータを活用した業務効率の向上およびそれによるお客さまと従業員双方を支援する体制整備の確立、ならびにグローバル事業の拡大をサポートするために組織と顧客ベースの成長を進めております。
③ 国内生命保険事業
ア.経営環境および経営戦略
生命保険業界の経営環境は、少子高齢化の進展や健康寿命への関心の高まり等による保険ニーズの多様化、デジタル技術進展、経済動向の不確実性など、大きく変化しております。また、政府が掲げる「健康寿命延伸プラン」のもと、国民一人ひとりの健康づくりや疾病等の予防をサポートするため、官民一体となった取組みが進められております。
このような環境下で国内生命保険事業は、SOMPOウェルビーイングの一員として、引き続き、Insurhealth®の提供を通じて、お客さま本位の業務運営方針に基づき「健康応援企業」として更なる進化を目指すことにより、社会課題の解決に貢献してまいります。
イ.中期経営計画(2024~2026年度)およびKPIの進捗状況
経営方針として「お客さま本位で、ひまわりファンをさらに増やし、健康にすることで、社会価値と経済価値の双方を創出する」ことを掲げております。経済価値目標として「2026年度IFRS修正利益700億円以上、事業別ROE8%以上」を、未財務・社会価値目標として「2026年度末ひまわりファン700万件、健康行動数(※1)55万件」を、それぞれ経営数値目標として設定し、その達成に向けて取り組んでおります。
2024年度の修正利益は、保有契約が着実に増加した一方で将来投資による事業費の増加等により、570億円となりました。新契約CSM(Contractual Service Margin)(※2)は、Insurhealth®を中心とする新契約の積み上げにより、698億円となりました。事業別ROEは、純資産の増加を主因に7.7%となりました。
※1 健康診断受診や軽負荷歩行運動など、ひまわりファンの健康に向けた行動変容の数
※2 IFRS17に基づき新契約の将来利益の現在価値を表す指標
※1 IFRSベース
※2 IFRS修正利益÷IFRS純資産
ウ.KPI達成に向けた主な取組み
デジタル・データ・AIを活用し、新契約の拡大と事業費構造改革に取り組むことで、2026年度の修正利益700億円、新契約CSM930億円、事業別ROE8.0%以上の達成を目指してまいります。
a.新契約の拡大
ウェルビーイング事業との連携による顧客紹介体制の確立、保険と健康応援を一体提案する営業(トレードオン営業)の強化、生産性向上による活動量アップに取り組むことで、飛躍的な成長を図ってまいります。
b.事業費構造改革
選択と集中に基づく重点領域への投資を行いつつ、組織改変と生産性向上により、一般事業費の削減に努めてまいります。
④ 介護事業
ア.経営環境および経営戦略
急速に進展する高齢化に伴い、介護を必要とする高齢者は増加し、今後も国内の介護市場は拡大することが見込まれております。その一方で、生産年齢人口の減少に伴い、介護を支える労働力の減少が見込まれており、持続可能な事業モデルを確立するためには、品質を伴う生産性の向上や人材確保・育成が喫緊の経営課題であると認識しております。
そのような環境下において、当社グループは、介護事業参入以降、入居率向上、人材強化、ガバナンス強化に取り組むことで収益化を達成し、SOMPOグループの1事業として着実に成果を積み上げてまいりました。基盤のオペレーター事業に加え、プラットフォーム事業とグループの中核として取り組むウェルビーイング事業を新たな収益の柱とすることで、自社の利益成長だけでなく、介護業界全体の変革、発展に貢献してまいります。
イ.中期経営計画(2024~2026年度)およびKPIの進捗状況
介護事業では、「事業別ROE」をKPIとし、2026年度に12%以上の達成を目指しております。また、介護オペレーターとしてのさらなる成長を実現するため、2026年度末時点での居住系サービスの「入居率」を95.5%に引き上げることを目指しております。
2024年度は、収益力の向上、「未来の介護」(※)モデルの展開、物価高騰などの外部環境への適応、エヌ・デーソフトウェア株式会社とのシナジー創出などに取り組んだ結果、入居率は94.7%(2025年3月末時点)、事業別ROEは13.7%となりました。
※データとテクノロジーの活用のほか、介護施設のオペレーションにおけるムリ・ムダ・ムラを見直すことで
時間を創出し、人は人にしかできないことに注力する「品質を伴う生産性向上」を実現する取組み。2024年
度は月80,000時間の生産性向上を実現(取組み前の所定労働時間数比較)。
※1 IFRSベース
※2 施設・在宅介護などの介護保険収入を軸とした事業の修正利益を分子として計算。2023年度は旧基準、2024年度以降はIFRS ベース
ウ.KPI達成に向けた主な取組み
オペレーター事業では、「未来の介護」モデル展開のさらなる推進による品質を伴う生産性向上や、介護保険外のプライベートサービスの本格展開による収益基盤の強化によって、収益力をさらに高め、持続可能な事業モデルを構築してまいります。また、プラットフォーム事業では、SOMPOケア株式会社が介護オペレーター事業で培ったノウハウとエヌ・デーソフトウェア株式会社の介護ソフトウェアとの融合を図り、介護事業者のシステム化の支援およびそれに伴うサービス品質の向上と職員の負荷軽減を実現してまいります。これらの取組みにより、修正利益、入居率等のKPI達成を目指してまいります。
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