SMC
【東証プライム:6273】「機械」
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企業概要
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、企業として目指す姿を表した「経営理念」を以下のとおり定めています。
① 自動化・省力化に貢献する
空気圧機器をはじめとする自動制御機器製品の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」ことが、当社の社会的使命であると認識しております。
② 本業に専心する
「産業界の自動化・省力化に貢献する」要素部品メーカーとしての本分に徹し、本業である自動制御機器事業に経営資源を集中して、競争力の向上に努めてまいります。
③ グローバルに製品を供給する
世界各国・地域のルールやニーズに沿った製品、世界のどの市場でも通用する製品を供給してまいります。
(2) 経営環境
① 市場環境
(a) お客様の多様性
当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、自動化された工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどのオートメーションを支える要素部品として、あらゆる産業分野で使用されています。
当社グループは、特定の業種、特定のお客様への依存度が低いため、産業構造の変化や需要環境の急変への耐性が相対的に高いと認識しています。
(b) 製品の汎用性の高さ
空気圧機器は、汎用性が高く、お客様の創意工夫によって、用途が無限に拡大しています。当社グループは、お客様のニーズに応える製品開発を進めており、これを通じて新規需要の開拓が可能です。
(c) 環境保護への要請の高まり
環境保護の取組は人類共通の喫緊の課題であり、お客様の環境保護への要請は年々高まっています。
大気中に放出しても問題のない圧縮空気を動力源とする空気圧機器は、それ自体が環境にやさしい特性を備えています。
(d) 労働力人口の減少と人件費の高騰
少子・高齢化は世界的に進んでおり、多くの先進国では、労働力人口の減少が始まっています。また、これまで労働集約型の生産活動を担ってきた新興国においては、経済発展に伴い人件費が高騰しつつあります。
空気圧機器は、人の手による作業の代替に適した自動制御機器であり、労働力人口の減少や人件費の高騰に対処するための自動化・省力化ニーズに合致しています。
② 当社グループの競争優位性
(a) 空気圧機器の総合メーカー
空気圧機器は、空気配管上で使用される様々な機器でシステムを構成しています。当社グループは、それらの機器すべてを製造販売する総合メーカーであり、お客様に各種の空気圧機器をワンストップで供給することができます。
(b) 環境性能に優れた製品開発
当社グループは、製品設計の段階から、環境負荷の少ない製品の開発に取り組んでいます。また、お客様のニーズに応じた製品開発を続ける中で技術力を培い、特に製品の小型化・軽量化を得意としています。
空気圧機器の小型化・軽量化は、空気圧機器を組み込んだ装置やロボットの重量を減らし、お客様の工場全体のエネルギー消費量の削減を可能にします。
(c) 豊富な品揃えと潤沢な在庫
空気圧機器には、お客様の使用状況に応じた様々なバリエーションが要求されます。当社グループは、70万品目に及ぶ豊富な品揃えで、お客様のあらゆるニーズにお応えします。
空気圧機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン等に組み込まれる要素部品であり、空気圧機器の不具合や欠品によってライン等が停止すれば、お客様は多大な損失を被ります。そのため当社グループは、製品の品質管理に万全を期すとともに、戦略的に厚めの在庫を保持することにより、お客様のご注文に迅速に対応できる短納期即納体制を整えています。
(d) グローバルネットワーク
お客様の事業はグローバル化が進んでいます。
当社グループは80以上の国と地域に拠点を持ち、直販の営業人員を配置することで、お客様のニーズを的確にとらえ、ニーズに合った製品をグローバルに供給できる体制を構築しています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 当社グループの強みを活かした事業戦略
以下のような当社グループの強みを活かすことにより、さらなる売上成長と、低シェア地域及び低シェア製品の領域を中心に、販売シェアの向上を実現することができるものと考えています。
(a) 広汎なグローバルフットプリント
当社グループの製品は汎用性が高く、半導体・電機、自動車、工作機械だけでなく、あらゆる産業分野で多種多様な用途でご使用いただいています。顧客アカウントは70万社に上り、特定の業種・地域への依存度が低いことから、需要環境の急激な変化に対して強い耐性を持っています。
また当社グループは、世界80以上の国と地域に500以上の拠点網を展開し、7,000名以上の営業スタッフを配置するとともに、販売代理店各社との協働により、お客様へのきめ細かなサービスの提供に努めています。世界5か国の技術センターには、2,000名以上の技術スタッフを配置し、センター間の連携強化を図りつつ、研究開発、技術情報の収集及びお客様への技術サポートを行っています。
こうした広汎なグローバルフットプリントを通じて収集・蓄積した情報は、お客様に付加価値をもたらす源泉であり、当社グループは、各種のITツールも利用して情報を共有し、事業戦略に活用しています。
(b) 70万品目の豊富な品揃え
当社グループは、主力の空気圧機器だけでなく、自動制御機器全般を網羅する一連の製品群をお客様に提供しています。豊富な品揃えは70万品目に及び、在庫も厚めに保持する戦略で、当社グループにご用命いただければ自動制御機器なら何でも揃う「ワンストップショップ」のサービスにより、お客様の様々なニーズに対応しています。
② 着実な設備投資
当社グループは、以下の観点から、着実な設備投資に取り組んでいます。これらは、短期的には減価償却費の負担により収益性の悪化を招きますが、中長期的には当社グループの競争力を高め、企業価値の向上に資するものと考えています。
(a) 生産能力の確保
地球温暖化や労働力人口の減少などの社会課題は深刻さを増しており、自動化・省力化を通じてこれらの解決に貢献できる自動制御機器は、中長期的な需要の拡大が見込まれます。当社グループは、不況期にも着実な設備投資を行って生産能力を確保することにより、需要回復期には他社に先んじて受注を獲得し、販売シェアを伸ばしてきました。
不透明な政治経済情勢を背景に、設備投資意欲の減退傾向がみられる現在の状況のもと、生産拠点、物流拠点及び研究開発拠点の拡充を進めています。
(b) 生産の複線化
当社グループは従来、集中生産とロケーションセービング(人件費を中心とする生産コストの低い国・地域での生産)による徹底的なコストダウンを進めてきましたが、自然災害や感染症、貿易紛争など様々なリスクを想定し、いかなる事態が発生してもお客様への製品供給責任を果たすことができる体制を確立するため、世界6か国の量産拠点を中心に、生産の複線化(一つの製品を複数の拠点で生産できる体制の構築)を進めています。
(c) 人的資本投資
当社グループは、「従業員が誇りと愛着を持てる企業」を目指して、快適な職場環境の整備に取り組んでいます。近年竣工した新工場、新本社、建設中の新技術センター及び遠野サプライヤーパークでは、従業員のウェルビーイング向上とともに、お客様、お取引先、当社グループ各社の従業員などとの交流促進を目的とした設備を導入しています。
③ CO2排出量削減に貢献する製品とソリューションの提案
当社グループは従来から、小型化・軽量化を進め、省エネルギー性能を高めた製品を開発し、お客様に提供してきました。当社製品の高い環境性能をお客様にアピールすることで、売上成長につなげていきます。
(a) 低圧化の提案
製造業における消費電力の約20%が、圧縮空気を生成するコンプレッサの稼働によるものとされています。お客様の工場で使用されるエアの消費量の削減や圧力の低圧化により、CO2排出量の大幅な削減が可能です。
当社グループは、エアの使用状況を常時監視し、設備の稼働状況に応じて自動的に圧力を下げる機能などを持つ「AMS(エアマネジメントシステム)」や、工場全体を低圧化しつつラインの必要な部分のみ局所で増圧する「省エネ増圧弁」など、低圧化に役立つ製品の提案に力を入れています。
(b) 省エネ診断
当社グループのスタッフがお客様の工場にお伺いして、エアの使用状況を細かくチェックし、エアの消費量の削減や圧力の低圧化を実現する製品やノウハウを組み合わせた、総合的な提案を行う「省エネ診断」の活動を進めています。
世界50か国以上で約200名の営業スタッフを担当者として任命し、お客様に対して年間350件以上の提案を実施しています。
(c) 「環境配慮型製品」
当社製品をシリーズごとに区分して、原材料の調達から生産、販売、お客様による製品の使用、廃棄に至るまでのプロセス全体における環境負荷の低減について、11項目の評価を実施しました。これらの項目のうち、お客様のCO2排出量削減に直接的に貢献できる4項目(省電力、省資源、省エア、省エネ性能の向上を目的に開発した新製品)のいずれかに該当する製品を「環境配慮型製品」と位置付けました。
環境配慮型製品の売上高は、当社グループの売上高全体の約80%を占めています。
(d) 政府・自治体との協働
当社は、経済産業省資源エネルギー庁の施策として(一社)環境共創イニシアチブが運営する「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業」の「省エネ診断機関」として登録を受けて、お客様の生産設備や装置の省エネ診断を実施しています。
このほか、各国政府や自治体などと協働して、当社グループの製品やソリューションの活用により、広くCO2排出量削減を図る施策の検討を進めています。
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