SCSK 【東証プライム:9719】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 当社を取り巻く事業環境と対処すべき課題
社会のIT化・デジタル化による変化が、ビジネスやライフスタイルにも影響を及ぼし、そのスピードは新型コロナウィルスの感染拡大により一層加速しております。日常のあらゆるデータがデジタル技術で利活用され、様々な企業が生き残るために異業種と連携し、企業は産業構造の変化に合わせたビジネスモデルの変革を求められております。
国内のITサービス市場は、さらなるクラウド化の進行、デジタル化やDXの加速等により、企業のIT戦略、IT投資に質的変化が生じ、ビジネスとITとの関係が一層密接になっております。
一方、ITサービスに求められる人材像は「課題解決型」から「価値創造型」へと変化し、顧客企業も含めたIT人材の獲得競争が激化すると考えております。顧客企業においてもDXの加速に伴い、業界を越えた共通サービス、融合サービスの提供が拡大していく中で、顧客企業自身が内製化へシフトする傾向が予測されます。
このような大きな変化や不確実性を伴う環境の中、企業が持続的な成長を果たしていくためには、より長期的な視点から社会の本質的な変化を捉え、企業を取り巻く様々な社会課題に対し、事業を通じた解決と新たな価値創出に取り組む必要があります。したがって、当社グループが掲げる「夢ある未来を、共に創る」の経営理念に立ち返り、「サステナビリティ経営」を実践していく上で、優先的に取り組む領域を決めて共有するために「マテリアリティ(重要課題)」を策定し、当該方向性を踏まえた2030年の目指す姿としてのグランドデザイン、実現のステップとしての中期経営計画を2020年4月に発表いたしました。
2020年度から2022年度までの3年間の中期経営計画では、基本戦略である事業革新、DX事業化、人財投資により事業拡大を目指してまいりました。
事業革新におけるものづくり革新では「S-Cred+プラットフォーム」を核に、高水準の品質・生産性・柔軟性を備える多様なITサービスを提供してまいりました。分室革新では、それぞれの分室に応じた革新的な取り組みのプランを作成し、「価値共創型」分室への転換を推進してまいりました。
DX事業化では4つの重点領域において社会への新たな価値、新たな事業の創出に尽力してまいりました。モビリティ領域では保険会社やフリート事業者、リース事業者等に対するモビリティトランスフォーメーションのサービス化を推進してまいりました。金融サービスプラットフォーム領域では日本版TAMPや職域向け金融仲介プラットフォーム「エフクリ」といったプラットフォーム型事業を創出いたしました。ヘルスケア領域では医療従事者向けコミュニケーションプラットフォーム「Dr2GO」の投資開発を完了し病院への展開を進めております。CX領域では、顧客接点の高度化に特化したサービス「altcircle」を提供するほか、データプラットフォームの運用を開始しております。
人財投資では人材の高度化・多様化・拡充の観点から様々な施策を実施し、事業の成長と変革に資する人材の確保と育成に取り組んでまいりました。
(2) 経営計画全体像
当社グループは、経営理念に「夢ある未来を、共に創る」を掲げております。経営理念を実践するにあたり、社会が抱えるさまざまな課題を事業視点で評価し、社会と共に成長するために、特に重要ととらえ、優先的に取り組む課題を「マテリアリティ」として2020年に策定いたしました。併せて、経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、中長期の目指す姿として「グランドデザイン2030」を策定いたしました。お客様やパートナーと共に社会課題の解決に貢献するビジネスを創り出すことによって、「2030年 共創ITカンパニー」の実現を目指すというものです。「2030年 共創ITカンパニー」の実現に向けた実行計画が「中期経営計画」であり、2023年度からはじまる中期経営計画(FY2023-FY2025)は、「グランドデザイン2030」の第二期として位置付けております。
また、当社グループは従来から、社会課題の解決に貢献するビジネスを創出し、社会と共に持続的成長を果たすため、企業の社会的な影響力と責任を踏まえ、「サステナビリティ経営」に取り組んでまいりました。
脱炭素や循環型社会の実現に向けた事業環境の変化をチャンスと捉え、我々のコアコンピタンスを活用した新たな事業機会を獲得し、社会と共に持続的に成長することを目指す「成長戦略としてのサステナビリティ経営」を経営のスタンスとして、今後も強化してまいります。
<グランドデザイン2030>
当社グループが目指す「2030年 共創ITカンパニー」は、人的資本力の向上をもって、お客様やパートナー、社会との共創を推進し、各種課題に対し、価値提供し続ける企業グループです。
「2030年 共創ITカンパニー」を実現するために、本質的な企業力として、「経済価値」と「社会価値」「人的資本価値」等の非財務要素を包含した企業価値である“総合的企業価値”の飛躍的向上を実現いたします。
<「2030年共創ITカンパニー」に向けた経営方針>
①コア事業の高度化・拡大
・人材力・技術力を高度化し、お客様のパートナーとしてデジタル化・事業変革に貢献
・収益力を高度化し、持続的成長に向けた将来への投資余力・成長余力を創出
②お客様のビジネス成長への貢献
お客様との取引・共創により得た知財・知見を活かし、マーケット全体の課題解決に貢献
③社会への新たな価値創出
コア事業の知見を起点に、社会課題解決をリードする「次世代デジタル事業」の創出に挑戦
<当社グループ中期経営計画(FY2023-FY2025)>
本中期経営計画は、「2030年 共創ITカンパニー」に向けた第二期として位置付け、第一期(FY2020-FY2022)の基本戦略の施策を収益化・業績貢献に繋げるべく、以下の方針にて推進いたします。
●中期経営計画(FY2023-FY2025)方針
“総合的企業価値”の飛躍的な向上に向け、
・お客様や社会に対して、新たな価値を提供し続けるため、事業分野、事業モデルを再構築する
・社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化する
3つの基本戦略と経営基盤強化策を推進いたします。
●基本戦略1:事業シフトを断行~3つのシフト~
•事業環境の変化に対応し持続的な成長に向け、事業分野・事業モデルを再構築いたします。
•収益率の向上とともに、持続的成長への投資余力・成長余力を創出いたします。
① 成長力ある事業領域へのシフト
② 高付加価値分野へのシフト
③ 高生産性モデルへのシフト
●基本戦略2:成長市場において、市場をリードする事業を推進
•クラウド・デジタル活用にて成長を期する市場・技術領域において、当社グループの保有する強みをもとに、市場成長への貢献と共に、当社グループの高成長を実現いたします。
•現有リソースにとらわれないリソース集中、先進技術を組織的に活用、継続的に対象事業を見出します。
●基本戦略3:社会との共創による「次世代デジタル事業」を創出
・コア事業の知見を活かし、従来とは非連続な「次世代デジタル事業」、社会へ新たな価値創出をリードいたします。
・当社グループ「マテリアリティ」を起点とした領域における継続的な事業の開拓・挑戦を行います。
●経営基盤強化
「技術ドリブン推進」
先進技術獲得による新たな価値創出・事業開拓、社会実装に向けた高度先進技術者の拡充を行うとともに、長年蓄積された業務ノウハウ・著作物等の知財化、全ての顧客フロントでの顧客課題解決に向けた活用促進による知財価値の向上、ファンド出資等を通じたベンチャー企業との協業等のオープンイノベーションの推進を一層強化いたします。
「人材価値最大化」
本中期経営計画の方針である「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化する」の実現のため、多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティ&インクルージョンの実践、Well-Being・健康経営の推進、事業戦略と人材ポートフォリオの最適化、処遇・報酬制度等による基盤整備を行います。
「共感経営の推進」
会社・トップマネジメント・リーダーと社員の双方が“共感”することで、一人ひとり、あるいは一企業では成し得ない、大きく・新たな価値を生む原動力となることを踏まえ、共感経営を推進してまいります。
●投資領域
持続的な成長に向け、3年間総額1,000億円レベルの積極的な投資姿勢を継続してまいります。
●経営指標
・財務目標
| 2023年3月期 | 2026年3月期 |
営業利益 | 513億円 | 650億円 |
営業利益率 | 11.5% | 12.5%以上 |
ROE | 14.4% | 14.0% |
・株主還元
| 2023年3月期 | 2026年3月期 |
配当性向 | 43.5% | 50.0% |
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