企業SBIインシュアランスグループ東証グロース:7326】「保険業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営理念

 当社グループは、SBIグループの「顧客中心主義」の徹底という基本的な経営観を踏襲し、事業を運営しております。保険分野において様々な付加価値を創造し、顧客基盤の更なる拡大を続けることで、持続的な企業価値の向上を実現したいと考えており、以下の4項目をグループ経営理念として掲げております。

1 全てにおいてお客様を中心に考える  ~「顧客中心主義」の徹底~

・常にお客様の立場に立って、お客様にとって真に必要なものは何かを考え、弛まぬ創意・工夫による顧客満足・利便性の向上、企業努力による顧客還元を追求し続ける。

・業務全般において細部に亘りフィデューシャリー・デューティーの原則に則った運営を徹底する。

 

2 保険業界におけるイノベーターたれ

・常に既成概念に囚われないチャレンジ精神をもつ。

・Fintech(※1)やBlock Chain(※2)などの技術革新を敏感に捉え、これらを活用したより付加価値の高い商品やサービスの開発を追求し続けるとともに、高齢化やシェアリングエコノミーの進展など人々の生活様式や社会の変化に迅速かつ柔軟に対応する企業文化を持ち続ける。

 

3 正しい倫理的価値観をもつ

・常にお客様の資産を預かる金融機関としての高い倫理的価値観を持ち業務を遂行する。

 

4 社会的責任を全うする

・保険事業者としてまた一企業として、社会の一構成要素であるという社会性を十分認識し、さまざまなステークホルダーの要請に応えつつ、社業を通じ社会の維持・発展に貢献していく。

(※1)FinTechとは、FinanceとTechnologyを組み合わせた概念で、金融領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。

(※2)Block Chain(ブロックチェーン)とは、暗号資産の中核技術として発明された、ピア・ツー・ピア方式によるデータ処理の基盤技術のことをいいます。複数のコンピューターが分散合意形成を行い、暗号署名をしながらブロック単位で複数データを処理する点が特徴です。

(2) 当社グループの強み

 当社グループでは、以下の3項目の強みを軸とした経営戦略によって、単独の保険会社では成し得ない企業成長の実現を目指しております。

(高い価格競争力)

 インターネット等を駆使した効率的な顧客アプローチやコストの最適化を実施することで、非常に低い事業費率を実現し、圧倒的な価格競争力を獲得しております。また、そのメリットをお客様に還元することで「顧客中心主義」の徹底というSBIグループの基本的な経営観を体現しております。

(SBIグループのシナジーネットワーク)

 インターネットリテラシーの高い顧客層で構成されているSBIグループの顧客基盤や、全国の地域金融機関とのリレーション、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業など、SBIグループが有する事業ネットワークに即時にアクセスできる優位性を活用することで、高い効率性をもって当社グループの顧客基盤を拡充しております。

(最先端テクノロジーの活用)

AI・ビッグデータなどの最先端テクノロジーを導入することで、より顧客の利便性に資する商品やサービスの開発を行うと同時に、事業費の削減を加速し更なる保険料の引き下げを実現するなどの取り組みを行っております。

(3) 中期経営計画

 当社グループは、急速な技術革新や不透明な経済情勢下における経営環境の変化に適切に対応し更なる事業の成長を目指すため、2023年5月に中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)を策定いたしました。本中期経営計画は、保険事業におけるイノベーターとして顧客の便益を高める商品・サービスを提供する保険グループを目指し、「シナジー」、「テクノロジー」、「ニッチ」を基本戦略に据えて策定しております。各基本戦略の概要は以下のとおりであります。

シナジー:グループシナジーの深化による効率的な販路の拡充とグループ経営基盤の発展

 インターネットリテラシーの高いSBIグループの顧客層へのアクセスや、グループの事業ネットワークの活用により、効率性を追求した販路の開拓を推進してまいります。また、当社グループ各子会社の位置付け・役割を明確にし、相互送客による保険商品のクロスセリングを強化するなど、効率的な事業規模の拡大に取り組んでまいります。加えて、各社の管理部門における重複業務を集約し業務を効率化することで収益力を強化するとともに、コンプライアンスやリスクに関する各子会社の取り組みや課題を当社グループ内で共有し、企業価値向上に向けたコーポレート・ガバナンスの強化も図ってまいります。その他、SBIグループの重要施策であるオープン・アライアンス戦略や地方創生戦略に基づく外部企業・地域金融機関との提携を促進し、当社グループのシナジーを高める経営基盤の構築を推進してまいります。

テクノロジー:テクノロジーを駆使した業界内における差別化と顧客利便性の追求

 インターネットを駆使したローコスト・オペレーションにより実現する価格競争力は当社グループの競争力の源泉となっておりますが、今後、これを一層高めるべく、最先端テクノロジーの活用を積極的に行い、同業他社との更なる差別化を推進してまいります。具体的には、AI・ビッグデータを活用し、損害率の改善を目的とした不正検知モデルの構築や、マーケティングにおける効率的な顧客アプローチモデルの構築等を進めてまいります。また、事業費の削減を目的に、RPA(Robotic Process Automation)(※3)の導入を進めるなど、間接部門の生産性向上及びコスト削減に引き続き取り組んでまいります。加えて、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業などからも積極的に技術を導入することで、顧客利便性を高めたサービスの提供を追求してまいります。

(※3)RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉です。人が行う作業をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を行う技術やシステムをいいます。

ニッチ:独自性を発揮したニッチ戦略の実行による市場の開拓と革新的な商品開発

SBIグループとしての独自性を有した戦略を構築し、少額短期保険市場を中心に、潜在的な需要が見込まれる成長市場を探求し、顧客基盤の開拓を推進してまいります。また、既存市場での同業他社との差別化や、成長市場での当社グループの優位性を確立するため、独自性、革新性のある商品・サービスの開発と市場への投入に取り組んでまいります。加えて、非連続的な成長の実現に向け、少額短期保険会社を中心としたM&Aの見込先を安定的に確保し、既存事業と組み合わせた新分野の創出や新市場の開拓などに取り組み、経営基盤の拡大を目指してまいります。なお、M&Aの見込先については、当社グループ各社とのシナジーを期待できる経営方針、商品性、販路等を有することを前提に、グループ全体の成長に資する取り組みとなることを目指して検討してまいります。

 また、本中期経営計画における2028年3月期の数値目標は次のとおりであります。

 

(参考)

2023年3月期 実績

2028年3月期

連結業績目標

対2023年3月期

増減率

経常収益

961億円

1,600億円

66.5%

経常利益

63億円

170億円

169.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

12億円

40億円

222.5%

 当社グループでは、セグメント利益や保有契約件数等のKPI(Key Performance Indicator)も注視し、前述の基本戦略の確実な遂行により、上記連結業績目標の達成を目指してまいります。

(4) 優先的に対処すべき課題

 今後の経済動向について、海外経済は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化やインフレ抑制を目的とした金融引締め政策による景気の下振れ懸念など、先行き不透明な状況が続いています。国内経済では、新型コロナウイルス感染症の分類引き下げにより社会経済活動が正常化し、個人消費の増加が期待されますが、更なる物価上昇による景気の下振れリスクも想定されます。

 こうした状況の中、当社グループにおいては、各セグメントにおける市場環境を踏まえながら、中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)の達成に向けて次の取り組みを進めてまいります。

(損害保険事業)

 損害保険市場は、少子高齢化やシェアリングエコノミーの拡大に伴う新車販売台数の伸び悩みや、自動車安全技術の向上による損害率低下を受けた保険料の引き下げなどにより、中長期的には自動車保険市場が緩やかに縮小していくものと考えられます。一方、顧客の多様化・複雑化する補償ニーズを捉えた新種保険の伸長により新たな保険市場が創出されることで、市場全体は従来の自動車保険中心の市場構成から変化しつつも緩やかな拡大が続くものと見込んでおります。

 こうした市場環境のもと、損害保険事業においては、積極的な事業拡大と構造改革を進め、ダイレクト型自動車保険市場でのプレゼンスを獲得することを目指して取り組みを進めてまいります。具体的には、法人向けを含む新商品開発や、既存商品の改定による収益の拡大を目指してまいります。また、業務プロセスの自動化を推進することで一層のローコスト・オペレーションを追求し、業務の効率化にも取り組んでまいります。

(生命保険事業)

 生命保険市場は、2025年に「団塊の世代」層すべてが後期高齢者(75歳以上)となることや平均寿命の延伸、生命保険の加入中核層である働き盛り世代(30~40歳代)の人口減少などを受けて、伝統的な死亡保障関連のニーズが緩やかに縮小していくものと考えられます。一方で、健康寿命の延伸や高齢社会対応への関心の高まりなどを受け、医療保険やがん保険、就業不能保険、認知症保険などいわゆる「第三分野」商品市場の拡大や、疾病予防サービスなどの健康寿命延伸に関連する付帯サービス等への需要増加が見込まれることから、個人保険市場全体は今後も一定規模が維持されるものと考えております。また、住宅ローン市場については、低金利での借り入れ環境が継続することが見通されることに加え、堅調な住宅の成約状況や借り換え需要を背景に、団体信用生命保険の市場が大きく縮小するリスクは少ないと考えております。

 こうした市場環境のもと、生命保険事業においては、効率性の高い増収施策の推進に取り組んでまいります。具体的には、SBIグループ内の金融機関及び地域金融機関での団体信用生命保険の拡販と、主力商品である定期保険、就業不能保険、医療保険の対面・非対面チャネル双方での販売拡大に取り組んでまいります。また、顧客・契約管理におけるAIの利活用や保険金支払業務フローの見直しなどに取り組み、業務効率の向上も図ってまいります。

(少額短期保険事業)

 少額短期保険市場は、損害・生命保険の各市場と比較すると市場規模は相対的に小さいものの、法令上の参入規制が緩やかであるため、異業種や大手保険会社からの参入も多く見受けられ、毎年順調な市場拡大を続けております。一方で、業界規模の拡大に伴い、少額短期保険業者の経営ガバナンス力の強化とコンプライアンスの徹底による経営基盤の改善が業界全体の対処すべき課題として顕在化していると捉えております。

 こうした市場環境のもと、少額短期保険事業においては、少額短期保険業が有している独自性などの価値を改めて認識し、業界を牽引する地位になることを目指して取り組みを進めてまいります。具体的には、少額短期保険業がもつ商品開発の早さなどの機動性を活かした新商品の開発・投入による新市場開拓や、当社グループの強みでもある最先端テクノロジーを活用した既存商品の改良などに取り組んでまいります。また、当社グループ内各少額短期保険業者の一体的な人材活用やコーポレート・ガバナンスに関する課題の共有にも取り組み、経営基盤の強化を進めてまいります。

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