SBIアルヒ
【東証プライム:7198】「その他金融業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
人生は「ある日」の積み重ねでできています。当社グループは、ライフステージに応じた住まいの実現を金融面からサポートし、お客さまの大切な「ある日」をお手伝いし、笑顔溢れる社会に貢献します。
当社グループは、全国の店舗をはじめとする多様なチャネルを通じて、個人のお客さまには、固定金利商品も変動金利商品も取り揃えている住宅ローンに加え、自宅の買替えに伴う様々な資金に活用できるマイホーム売却サポートローン、自宅売却後も賃借し住み続けることができるリースバックを、住宅ローンの主要パートナーである不動産事業者さまへは仕入資金ローンや仕入物件を、ご提供しています。
当社グループは、多様な金融サービス、卓越したオペレーション、パートナーネットワークを通じて、お客さまにとってファーストチョイスとなる住宅金融のリーディングカンパニーを目指します。
(2)中期的な経営戦略
今後の住宅市場においては、人口や居住用不動産全体の流通量はやや微減となるものの、社会の多様化によるシングル、シニア、外国籍の方の増加などを背景に、同顧客層などにおける住宅ニーズが高まると考えております。また、住宅ローン市場においては、住宅市場に連動し、市場全体としては微減傾向となるものの、今後増加が見込まれる顧客層からの借入ニーズの高まりに加え、日本銀行の金融政策の正常化を進める中での段階的な政策金利の引き上げにより、固定と変動の金利差が縮小傾向となり、固定金利化ニーズが高まると考えております。
また、当社の足元の課題としては、事業環境の変化に対応するための営業現場、オペレーション及びプロパーローンの強化、外部環境に左右されやすいフロー偏重の収益構造からの脱却、更なるSBIグループリソース・機能の活用、と考えております。
このような事業環境見通し及び足元の課題を踏まえて、当社グループは、お客さまの各ライフステージにおける住宅金融サポート機能の構築を目指し、2025年5月に「中期経営計画2025」を策定しております。
当社は、「中期経営計画2025」において、①「フラット35」シェア圧倒的No.1、②成長領域への投資、③ストック収益50%超、の3つを重点施策として設定しております。
具体的には、「フラット35」の年間シェアでの圧倒的No.1に向け、「営業ネットワーク」と「オペレーション」への投資を拡大し、更なるDX化を推し進めることにより事業基盤を強化してまいります。
成長領域への投資に関しては、世帯数の増加や流通量の増加が見込まれるシングル、シニア、外国籍の方々といった新たな顧客層(成長領域)に対して、段階的にプロパーローンを中心とした商品開発の強化を進めます。それと同時にリスク・リターンのバランスを保ちながらリスクオンを実施するために更なるリスク管理体制を強化してまいります。
ストック収益50%の達成に向けては、SBIエステートファイナンス、SBIスマイル、SBIギャランティ(以下、SBIEFグループ)の継続的な成長、SBIグループとの共同出資にて開始した保証事業においては、当社の住宅ローンに加え、SBIグループのリソースを活用することにより全国の金融機関への住宅ローン保証業務の取扱いを拡大してまいります。これにより、従来の金利動向に左右されやすいフロー収益に偏っていた収益構造からストック収益の割合を拡大させ、長期的に安定した収益構造の基盤確立を行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
中期経営計画における財務目標は、以下のとおりであります。
指標 | 2025年3月期(実績) | 2030年3月期(注) |
営業収益 | 222億円 | 550億円 |
税引前利益 | 24億円 | 100億円 |
ROE | 4.5% | 10.0%超 |
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、足元の課題認識を踏まえ、2025年5月に「中期経営計画2025」を策定しております。
課題認識と戦略の方向性は以下のとおりです。
① 営業体制及び販売チャネル
当社グループは、FC店舗、直営店舗、直販拠点や、来店不要で手続きが可能な非対面チャネル、SBIEFグループの各店舗やSBIグループの親密地域金融機関との連携など、さまざまな販売チャネルを拡大して提供することで、より大きな市場に、より効率よくアクセス可能な体制を整備してまいりました。
引き続き、当社グループの強みである「営業ネットワーク」への投資を拡大し、FC店舗中心の持続的な店舗展開、店舗の営業活動や接客スキルの平準化及び向上を目的としたデジタル営業ツールの拡充などDX化による営業支援の強化、お客さまの多様化するニーズへの対応に取り組んでまいります。
FC店舗の出店において、新規FC店舗の人材確保が難しく、出店を見送るケースが複数発生しており、今後はこの課題を克服するための持続可能なモデルの開発を進めてまいります。まず直営店舗の出店を先行させ、営業基盤を確立した後に必要に応じてFC店舗に譲渡するなど環境変化に応じた機動的な店舗配置を行うことで、ビジネス機会の損失を防いでまいります。
また、営業体制の強化及び販売チャネルの拡大を進めるうえで、FC店舗を含む人材の安定的な確保、研修などの教育制度による能力向上及びコンプライアンスの推進が課題であると認識しております。そのため、店舗チャネルの戦略的な運営を従来以上に推し進め、販売体制の強化とコンプライアンスの推進に継続的に取り組んでまいります。
② オペレーション体制
当社グループは、住宅ローン業務において、OCR(Optical Character Recognition)やRPA(Robotic Process Automation)、AI等の最先端テクノロジーを活用して、お客さまの利便性と営業及び事務効率の向上に取り組んでおります。また、審査プロセスの強化やeKYC等のテクノロジーを活用した住宅ローン不適正利用の予防に取り組んでおります。
一方で、多様化する商品・顧客属性などに伴う事務工数の増加が発生しているため、今後も引き続きテクノロジー活用領域の拡張を進め、DX化を推進してまいります。DX化を通じて、お客さま、不動産事業者さま、FC店舗にとって最適なプロセス構築を目指します。オペレーション体制の強化において、イノベーション・チャレンジを継続することが当社グループの責務かつ課題であると認識しております。
③ 競合他社の状況と商品ラインアップ
住宅ローン市場においては、銀行等が提供する変動金利商品が全住宅ローンの約90%(注1)の市場を占有し、貸出金利、付帯サービス拡充などの競争が激化しています。住宅価格の上昇及び物価高の影響で月額返済額の低減ニーズが高まったことに加え、日本銀行の金融政策修正により長期金利が先行して上昇したことを受け、固定と変動の金利差が拡大したことで、全期間固定金利の「フラット35」にとっては厳しい市場環境が続いておりました。しかしながら、2024年度下期以降、日本銀行が金融政策の正常化を進める中で、段階的に政策金利の引き上げを行ったことにより、固定と変動の金利差が縮小傾向となっております。
当該外部環境の中、当社の課題であったFC店舗領域における変動金利商品として「ARUHI 住宅ローン(MG保証)」に加え、2025年4月に「ARUHI 住宅ローン(SBI信用保証)」をリリースすると共に、「ARUHI フラット50」などの月額返済額の軽減ニーズに対応した毎月の返済額を抑える超長期住宅ローンを導入いたしました。
また、当社は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している全期間固定金利商品である「ARUHIフラット35」(「フラット35(買取型)」)に加え、当社独自の全期間固定金利商品である「ARUHIスーパーフラット」(「フラット35(保証型)」)の拡販や「フラット35」子育てプラス、ペアローンなどを活用し、固定金利市場の拡大を図っています。2025年3月期の「フラット35」の融資実行件数(借換を含む)シェアは26.3%(前年比1.6%増)となり、15年連続で第1位(注2)となりました。
固定と変動の金利差の縮小傾向という固定金利商品に吹き始めているフォローの風を確実につかみ、引き続き「フラット35」シェア圧倒的No.1に向け、事業基盤を強化してまいります。加えて、既存の取扱商品では、世帯数の増加や流通量の増加が見込まれるシングル、シニア、外国籍の方々といった今後の成長領域において取りこぼしの発生が見込まれることから、プロパーローンの強化を進めてまいります。
(注)1.出典:国土交通省 令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
固定金利期間選択型を含む。
2.2010年度~2024年度統計、取扱全金融機関のうち借換を含む「フラット35」融資実行件数
(2025年3月末現在、当社調べ)
④ 収益構造
当社の収益構造は、金利動向の影響を受けやすい「フラット35」の事務手数料を中心としたオリジネーション関連収益といったフロー収益に偏っていたことから、SBIエステートファイナンスをグループ会社化するなど、ストック収益の割合を拡大させてきました。
2025年2月に、SBIグループとの共同出資にてSBI信用保証株式会社を設立し、同年4月より保証事業を開始いたしました。当社において、同社を保証会社とするプロパーローンを開始したことに加え、SBIグループのリソースを活用することによる全国の金融機関の住宅ローンへの保証業務の拡大を通じて、信用保証残高を積み上げ、ストック収益の拡大を目指してまいります。
併せて、SBIエステートファイナンスの不動産事業者さま向けの仕入資金ローン、お客さま向けのマイホーム売却サポートローン等商品のFC店舗及び直営店舗で取扱うためのグループ内の連携強化、営業エリア拡大など、住宅ローン以外の住宅金融商品の取扱いも強化し、ストック収益の拡大を進めてまいります。
⑤ リスク管理
当社グループは、リスク管理基本方針に基づくERM(Enterprise Risk Management)体制により、グループ全体のリスクを統合的に管理しております。事業領域の拡大や商品拡充に伴う新規リスクや既存リスクの継続的なモニタリングにより、リスクを適切にコントロールしながらビジネスの拡大による企業価値向上に取り組んでまいります。
なお、リスク管理の詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ コンプライアンス
当社グループは、当社の「MISSION、VALUE」の企業理念に則り「SBIアルヒ・コンプライアンス行動規範」を定め、FC店舗従業員を含む全役職員に周知しております。この行動規範では、社外のステークホルダー(お客さま・株主・社会全般など)への行動規範と帰属する組織の一員(よりよい企業風土・組織の一員・経営者など)としての行動規範を定めております。
なお、コンプライアンス体制の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③コーポレート・ガバナンスに関するその他の事項 d.コンプライアンス体制の整備状況」をご参照ください。
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