企業SAAFホールディングス東証グロース:1447】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 また、「(2)経営戦略等」につきましては、当連結会計年度末から本有価証券報告書の提出日までの間に変更を行っておりますので、変更後の内容を記載しております。

 <経営理念>

 当社グループは、「ICT技術・DXにより社会インフラの効率的、効果的付加価値の向上及び、社会貢献を目指す。」を経営理念に、IoT、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティング等の新技術を効率的、効果的に活用した付加価値の高いサービスを社会に提供し、豊かな社会の創造に貢献することを経営方針としております。

(1)経営方針

① 事業の方向性として、「社会問題解決型企業」を新たな目標に掲げ、コア事業を中心に固定概念を捨て多角的な視点で、事業拡大を図っております。

② グループとしての企業価値向上を最優先に掲げ「選択と集中」への事業再編と、財務基盤安定化を進めております。

(2)経営戦略等

①コア事業への投資

 これまで、進めてきましたM&Aや新会社設立等の投資は、下記、4コア事業(注1)を中心に、シナジー効果と「社会問題解決型企業」を目指し、持続的企業価値向上を図ってまいります。

<コア事業>

・コンサルティング事業・システム開発事業

 事業:マイナンバーソリューションや、自治体向けITコンサル、官・民向けシステム受託開発

・システム開発事業

 事業:官・民向けシステム受託開発

・人材事業

 事業:技術者派遣、家庭教師派遣、教員派遣、一般労働者派遣、人材紹介

・建設土木事業(地盤調査改良事業)

 事業:戸建て・マンション・ビル等、建設事業者向けの地盤調査や測量・地盤改良、不動産事業

 (注1) 当社は上記4コア事業の他に・保証検査事業、・建設テック事業、・海外事業、・その他事業

 の4つの事業を「育成事業」として次のコア事業候補として展開しております。

②財務基盤安定化と利益を拡大させるグループ体制構築

 事業の「選択と集中」を経営課題として掲げ、2022年4月以降、財務基盤増強・利益拡大を実行しております。

(a)赤字子会社の統廃合・閉鎖

 これまで、M&Aや数多くの新規子会社を設立してきました。しかし、個社別には、売上・利益とも結果が出ず赤字が拡大し、連結ベースの収益性や連結財務基盤に悪影響を及ぼす個社の存在が続いておりました。この問題を改善する必要性を真摯に受け止め、個社別に投資経済性と事業成長可能性を精査した上で、2022年3月期において、貸倒引当金の引き当て、のれん償却の一括処理、会社閉鎖を見据えた損失引当等を行い、収益性に問題のある会社を処理することといたしました。具体的には2022年3月期には、子会社8社の統廃合や譲渡、閉鎖、2023年3月期には、子会社6社の譲渡、統廃合、閉鎖の処理、および2024年3月期には、子会社8社の統廃合、閉鎖の処理を進め、基本的に収益性に問題のある会社の整理をはかることができました。

 今後も各個社の投資経済性、事業成長可能性、グループ他事業との相乗効果を精査し続ける体制を維持し、グループ財務基盤安定化、収益性向上、利益拡大を進めてまいります。

(b)資本市場の信頼の回復

 2023年3月期を選択期、2024年3月期を集中期、2025年3月期を成長期と位置づけてきましたが、2024年3月期上期に特別調査委員会によって発覚した過去における不適切な会計処理に基づく過年度修正を行い、東証に対しても改善報告書を提出するに至りました。そこで、2025年3月期は、「グループガバナンスの定着と資本市場からの信用回復」をグループ方針として掲げ、現中期計画最終年度ではあるものの「2025年3月期は、見直し事業計画」を策定し、実現可能な予算としてグループ全体で全力で信用回復に取り組むに資する計画といたしました。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、売上高と営業利益を、同等の重要指標に位置付け、同時に資本効率の改善を重要な経営課題であると認識し、事業成長性と収益性のバランスある発展を中期的な目標としております。

 当社グループの営業利益率に関しましては、売上高営業利益率5%の達成を重要事項と考えております。売上高、営業利益率の目標を達成できるように、積極的な事業展開や既存事業における生産性の向上等に努めてまいります。

(4)経営環境

 各セグメントの経営環境につきましては、2025年3月期の報告セグメントの内容を記載しております。

① コンサルティング事業

 当社グループの取組みとして、「クラウドコンピューティング」につきましては、総務省から、「地方自治体のクラウド化のための実証実験のPMO」を受託し、北海道、京都府、佐賀県等6道府県、78市町村で実施しました。また、「マイナンバー制度」につきましては、内閣官房、総務省をはじめとする50を超える自治体より、マイナンバー関連のコンサルティング業務を受託しました。

 今後は、政府の「Cloud First」、「Digital First」推進に伴うIT投資が更に増加すると考えられます。

 コンサルティング事業は、このような環境下、受注機会が更に増加すると見込んでおり、引き続き内閣官房・総務省・地方自治体・民間企業に継続的にコンタクトしてまいります。

 なお、社会的なIT人材の不足により、ITに精通したコンサルタントの採用が難航しております。事業拡大にコンサルタントの獲得は必要不可欠なため、採用強化を図ってまいります。

② システム開発事業

 IT業界は、IoT対象製品の加速度的拡大、生成AIの普及、ブロックチェーン技術の応用加速など、新たな技術革新が進展しています。これらの動向と、IT関連のコンサルティングおよびシステム開発事業とのシナジー効果は大きいと考えられ、引き続き、ニアショア開発や金融関連分野、およびIoT関連のソリューションを提供する組込システム分野への事業拡大を図ってまいります。

 また、国や地方における多種多様な課題解決のため、さまざまな角度からのシステム開発を進め、コンサルティング事業とも連携し、AI、およびIoT関連製品、技術等の積極的な利活用を推進してまいります。

 なお、社会的なIT人材の不足により、SE(システムエンジニア)の採用が難航しております。事業拡大にSEの獲得は必要不可欠なため、採用強化を図ってまいります。

③ 人材事業

 雇用情勢は改善傾向にあるものの新規求人数の減少もあり、有効求人倍率は、前年同期比で横ばいとなりました。このような環境下、当社グループの技術者派遣業、製造業および流通業向け人材派遣業、教員派遣業などの専門性に特化した派遣業は、ニーズの高いものであると考えており、更なる売上拡大を図ってまいります。

 なお、社会的なIT人材の不足により、SE(システムエンジニア)の採用が難航しております。技術者派遣事業の事業拡大にSEの獲得は必要不可欠なため、採用強化を図ってまいります。

④ 地盤調査改良事業

 地盤調査改良市場につきまして、2025年3月期の年間の公共投資は底堅く推移しているものの、資材価格の高騰による住宅販売価格の上昇または高止まり、および物価上昇に伴う消費マインドの低下等により、新設住宅着工数は減少傾向となりました。なお、2025年4月の建築物省エネ法改正による駆け込み需要の影響もあり前期比2.0%増加いたしました。

 このような環境下、当社は更なる市場シェアを獲得し中長期的な事業成長に向けて、新工法の開発による差別化、店舗・中低層建築物等の地盤改良、および杭抜き・杭破砕等の受注獲得を進めてまいります。

 さらに、昨今の地球温暖化現象に伴う異常気象の増加により需要拡大をしている防災関連市場においても受注の拡大を見込み、被災された地域での復興関連事業への注力など、保有技術を活かして取り組んでおります。

⑤ 保証検査事業

 保証検査事業は、地盤調査改良市場とほぼ同様の経営環境下にあります。保証事業においては、新規の認定店の増加および既存の認定店の技術力の向上を図り、顧客満足度の獲得に注力してまいります。

 保証検査事業として、現有の顧客基盤を活用して新たな収益商品の開発・導入・販売により顧客との接点を高め、建物に関する安心相談窓口の地位を確立してまいります。

⑥ 建設テック事業

 当社グループの「GeoWebシステム」は、地盤データに第三者として電子認証を行うサービスであり、地盤データの不正・改ざんを防止することができるため、業界におけるニーズが高まっております。また、得られた技術を活かし、昨今市場が拡大しております中古住宅市場の品質検査分野におけるシステムの開発・販売を行うなどにより、受注の更なる獲得を目指しております。

 また、新規事業として建設、測量、エンタメ等の幅広い分野で活用できる3Dカメラ(4D Product)の日本市場の新規開発に取り組み販売促進に努めました。

⑦ 海外事業

 ベトナム社会主義共和国では、日本国内で培った地盤調査・改良の技術力を活かし、現地社員へ技術指導・教育を実施しながらメコン川の堤防補強等のインフラ工事を進めることにより、地域に貢献する企業を目指しています。

 2024年3月期においても、ベトナムのインフラ整備(護岸・道路・橋梁)、再生エネルギー発電事業の太陽光発電・風力発電の地盤調査、および下水道工事に関わる仮設工事等の受注に努めました。

 なお、2025年3月期においては、ベトナム国における社会的な土砂不足等による工期延長や材料費の高騰が発生しており、海外事業として大きな受けております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、事業の方向性として、「社会問題解決型企業」を目標に掲げ、コア事業を中心に固定概念を捨て多角的な視点で、事業拡大を図ってまいります。そして、2023年3月期の変革第一期「選択の期間」を経て、2024年3月期がグループ全社の変革第二期「集中の期間」であると位置づけ、「中期経営計画」を基にグループ各社の利益増大・企業価値向上を最優先に進めてまいりました。中期経営計画の最終期である2025年3月期については、グループ収益体質再構築としてグループ会社間の統廃合、およびコア事業を中心に戦略的ポートフォリオ強化の実施、ならびにグループガバナンスの強化を図ってまいりました。しかしながら、結果は当初の計画を大幅に下回ることとなり、大きく課題を残すこととなりました。この結果を踏まえ、当社グループでは抜本的で更なるガバナンス体制変革を推進してまいります。株主の皆様、および投資家の皆様、また、顧客の皆様、取引先企業の皆様などステークホルダーの方々にとって当社グループの成長可能性と収益性回復を伴う持続的企業価値向上を判断していただける新たな中期経営計画の策定を進めております。

① ガバナンス体制の強化

 当社は、当社連結子会社のITbookテクノロジー株式会社(現NXTech株式会社)において、2021年3月期および2022年3月期の会計処理において、一部に疑義があるとの指摘を受け、外部の有識者で構成される特別調査委員会を設置し、2023年8月31日に調査報告書を受領しました。

 本調査報告書では、不適切な会計処理が発生した原因として、当社子会社における業務プロセスの脆弱性、子会社におけるガバナンスならびに子会社の役職員の開示制度および会計に関するリテラシーの問題、また当社においてはグループ内部統制、内部通報制度の整備・運用、不正の疑義を把握した際の調査の十分性および監査法人との連携の問題について指摘がなされております。

 これを受けて当社は、2023年9月26日付「再発防止策および関係者の処分等に関するお知らせ」および2023年10月26日開示の「東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ」において再発防止策を公表しております。また、2024年5月8日付「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」および2024年10月18日付「「改善状況報告書」提出後の改善措置の実施および運用状況に関するお知らせ」において、再発防止策の実施状況を公表しております。

 引き続き、実施してきた再発防止の取り組みを今後も全社一丸となって継続的に実行・改善し、ガバナンス体制とコンプライアンス体制維持に努めてまいります。

 また、事業環境の変化に即応し、迅速かつ最適な意思決定およびその執行を行っていく必要性の認識のもと、当社は執行役員制度を新たに見直し、「経営監督機能」と「業務執行機能」の分離を進め、それぞれの役割の明確化と機能分化を図ってまいります。さらに、取締役会の監督・監視機能を強化するため、主要な委員会から取締役会への報告を義務付けるとともに新たに任意の「指名・報酬委員会」を設置し、取締役、執行役員選任、報酬額決定等に対する諮問、答申を受け、コーポレートガバナンスコードの趣旨の徹底を図ってまいります。そして、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に励み、当社グループすべてのステークホルダーの皆さまからの更なる信頼回復に努めてまいる所存です。

② 新規事業の創出と新技術の研究・開発

・方針

 DX(デジタルトランスフォーメーション)が生成AI導入をともなって新たな段階に入るなど本格化するなど社会情勢が大きく変化していく中で、既存事業のみならず、競争優位性を担保する独自の新規事業の確立が必要であると考えております。当社グループの既存事業とシナジー効果が高い事業および事業規模拡大に必要となる事業等、広い視野・柔軟性を意識し新規事業の確立に取り組んでまいります。また、市場ニーズに適時・的確に応えることができる技術力の研鑽と革新的な新規事業の確立に不可欠な新技術の研究・開発に努めてまいります。

・建設土木事業

 株式会社サムシングの技術本部が中心となって国内外での技術・ノウハウの共有、新工法の研究開発に取り組んでおります。市場ニーズの多様化、技術の高度化、競争激化等の環境下で差別化を図るためには、更なる活動強化が必要であると考えております。今後も人員の増強、研究開発活動の推進により、一層の高品質化・高度化・サービスの高付加価値化を図ることで、当社グループの業績向上に役立てます。

・システム開発事業

 NXTech株式会社が中心となり、AIやIoTで続々と登場する新たな技術を活用し高度化を図ることで、利用者の利便性の向上、顧客への提案力向上を実現してまいります。引き続き、得意分野である建築土木・農業・環境・防災IoT、IoT機器を中心に研究・開発を推進してまいります。

・人材事業

 社会的な人手不足により人材のニーズは年々高まっております。当社グループの人材事業の強みは、技術者派遣や教員派遣等の専門性の高い人材を派遣していることです。引き続き、社会的なニーズを捉え事業の拡大を目指してまいります。

③ 収益体質の改善について

 社会的なインフレおよび円安の影響により、人件費および材料等の高騰の影響を大きく受けております。これらの高騰に対応するため、2025年3月期より当社グループにおいても顧客への売価単価交渉を行ってまいりましたが、交渉の進捗は芳しくなく、今後の課題となっております。引き続き、売価交渉については当社グループの重要課題の一つと捉えて積極的に交渉を進めてまいります。

 また、売価交渉のみならず、当社グループの収益体質の改善を図るため、業務効率化、グループ内の間接部門の見直し等、様々な視点をもって利益の獲得を目指してまいります。

④ 人材の確保について

 コンサルティング事業およびシステム開発事業において、ITコンサルティングやプロジェクトマネジメントのノウハウを有する優秀な人材の確保が重要になります。

 また、建設土木事業では、品質を一定以上に保つため、原則として正社員による現場作業を中心に行っております。一方で機械化を促進し作業の生産性向上に注力しておりますが、業容の拡大のためには、作業人員を一定数確保することが不可欠であります。

 そのため、SAAFホールディングス人事部が中心となり、継続的な新卒採用、有能な人材の中途採用活動強化およびグループ人事制度の共有・最適化等を図っております。さらに、社内人事評価システムやグループ全社横断的な教育体制および社外研修の充実などにより、優秀な人材の育成・確保および従業員のモチベーション・満足度の向上による「働きがい」のある組織づくりを目指しております。

⑤ 競合について

 当社グループの建設土木事業は、一定の安定した需要が見込めるため、公共工事の受注を主たる業務としていた建設会社が新規参入してくる可能性があります。また、既存の地盤改良業者がシェア拡大・維持のために低価格戦略を採ってくることも考えられます。

 対策として、ICTなどの活用を促進し、他社にはない独自のサービスを開発し、技術面だけでなく競合他社との差別化を図ってまいります。

⑥ 海外事業の収益の改善について

 当社グループの海外事業においては、長期的な企業成長の確保という観点から、2011年、ベトナム社会主義共和国に駐在員事務所を設立しました。そして、2013年に現地法人(SOMETHING VIETNAM CO.,LTD.)を設立し、また、2016年に現地法人(JAPANEL HOME (CAMBODIA) CO.,LTD.)を設立し、海外事業の展開を進めております。

 また、2018年よりベトナム社会主義共和国で地盤調査改良事業を中心に事業活動を行っております。しかしながら、2025年3月期においては、ベトナム国における社会的な土砂不足等による工期延長や材料費の高騰が発生しており、当初の計画を大きく下回り赤字の結果となりました。現在は、盛土材を大量に必要とする土木工事案件から、地盤改良工事案件や堤防補強工事案件受注の営業活動へシフトする等の対応をしております。また、ベトナムでの深刻な土砂不足が判明してから、現場スタッフへの指示・対応が迅速に行えていない等の管理能力および対応遅延や材料費の高騰に伴う工事原価管理力への課題が浮き彫りになりました。そのため、明確な手順書・報告フローの確立、人員体制の見直し、管理システムの導入等、対策を進めております。

 海外事業の早期収益改善に努めてまいりますと共に事業の方向性に関しても再検討を進めてまいります。

⑦ 今後の見通し

 2026年3月期の通期業績予想につきましては、当初の計画から変更しており、売上高30,000百万円、営業利益580百万円、経常利益380百万円、親会社株主に帰属する当期純利益110百万円を見込んでおります。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

実績

2025年3月期

実績

2026年3月期

予想

売上高

29,270

28,855

30,000

営業利益

713

333

580

経常利益

767

142

380

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失

183

△129

110

 当社は、2022年3月期の期中に初となる中期経営計画を公表後、様々な要因により計画の変更を行いながら最終期である2025年3月期を迎えました。結果は当初の計画を大幅に下回ることとなり、大きく課題を残すこととなりました。この課題を踏まえ、株主の皆様、および投資家の皆様、また、顧客の皆様、取引先企業の皆様などステークホルダーの方々にとって、当社グループの成長可能性と収益性回復を伴う持続的企業価値向上を判断していただける新たな中期経営計画の策定を進めております。

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