企業QDレーザ東証グロース:6613】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

  文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 人間と物があらゆる情報とつながり始めたこの世界において、高機能汎用技術である半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。当社は「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもとに、世界の人々の生活を安全で豊かなものにし、幸福と平和に貢献する企業を目指すことを経営方針としております。

 経営方針に基づく重点施策として下記の5点を掲げております。

● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化

● 納期遵守による顧客満足度の向上

● 顧客要求を充足する信頼性の確立

● 製品検査レベルでの品質向上

● 従業員の継続的スキル向上

 当社の属する「半導体レーザ」業界は、着実にアプリケーションが拡大しており世界的に半導体レーザの新製品や高性能製品に対する市場ニーズが高まっています。当社はバイオメディカル、精密加工、半導体製造などの領域で顧客の強い支持を得ながら製品開発を進め、着実に市場に浸透しています。今後も量子ドットなどの当社独自の製品の性能向上と新製品開発を進め、新しい市場へ参入いたします。これらの成長する市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。

Ⅰ.中期経営計画

① 中期経営計画

2024年11月に中期経営計画を策定し、2027年3月期の全社黒字化達成することを目標とし、「ベースライン計画」と「成長可能性の追求」を行う事業プランを公表しました。この計画に基づき、レーザデバイス事業では、DFBレーザ、小型可視レーザ、高出力レーザをベースライン計画として売上高を毎年20~25%成長させると共に粗利率を45%に上げる計画とし、また量子ドットを成長可能性の追求としてコンピュータ光回路、次世代自動車、高度医療、人工衛星等での用途に向けた研究開発用の需要の獲得を想定しています。また視覚情報デバイス事業では「RETISSA ON HAND」の販売、他社開発視覚支援製品に対するコア部品供給又は技術ライセンス、他社開発ディスプレイ型視覚支援新製品販売をベースライン計画とし、またスマートグラス(XRグラス)、ビジョンヘルスケア(医療応用)を成長可能性の追求として他社との提携等によって将来の成長可能性を確保しつつ足元の負担を軽減し、これらによって視覚情報デバイス事業を2027年3月期に黒字化する計画としています。

 中期経営計画の1期目となる2025年3月期は、レーザデバイス事業部、視覚情報デバイス事業部の売上高およびセグメント利益は、中計経営計画に掲げた目標を達成しました。今後とも中期経営計画の目標である2027年3月期の全社黒字化に向けて取組む予定です。なお2026年3月期の業績予想に就きましては開示資料にて公表しております。

Ⅱ.経営全般

① ファブレス製造

 自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。

② 幅広い波長領域のレーザの開発、量産化

532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。

③ 量子ドットレーザ量産技術のシリコンフォトニクス展開

 光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは既存光通信デバイスと比較して高温度動作が可能で極低ノイズ特性を有することからシリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの低コスト化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組み合わせてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。

④ モジュールビジネスの展開

 バイオメディカル用途を中心に小型可視レーザ単体を販売する際、レーザと組み合わせるドライバは顧客が準備する必要がありました。一方で市場ではセットアップ時間や製品開発期間を短縮したい研究者および検査装置メーカなどにPlug&Playで直ぐに使える製品のニーズが有ることを捉え、ドライバを内蔵した新製品Lantanaを開発し、受注を開始しました。今後も幅広い市場ニーズを捉えるべくLantanaの波長ラインナップを追加するとともに、モジュール製品の開発を強化する予定です。

⑤ 最終製品の展開

「人の可能性を照らせ。」を具現化するため、従来の部品事業にとどまらず、半導体レーザ技術を応用した消費者向け製品事業を展開しております。そのひとつが、網膜投影技術VISIRIUM(ビジリウム)テクノロジーを採用した製品、RETISSA(レティッサ)シリーズであります。この技術は人間の水晶体のピント調節能力やピント位置に依らず、投影の端部まで鮮明な画像を網膜に描画できるという画期的な特徴を有しております。従来より販売しておりました装着型の網膜走査型レーザアイウェアに加え、様々な使用シーンに向けたレーザ網膜投影機器を上市しました。今後も世の中に光の可能性を提案する製品開発を行ってまいります。

⑥ 共同事業化による事業拡大

 スマートグラスやビジョンヘルスケアの分野は、将来的に大きな期待が持てますが、収益化までに数年以上の時間を要し、先行投資負担が大きくなることが予想されます。また、これらを商品化するためには、相当規模の資金・人的資源及び量産化・生産管理等のスキル・ノウハウが必要となります。両分野において、当社で持ち合わせている網膜投影技術を、製品化に長けた他社へライセンス化すること等で共同事業化を行い、収益の獲得を図ります。

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等

 企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、当社は売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しております。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は、これまでは認定顧客数の増加率で管理しておりましたが、各アプリケーションにおいて主要顧客に認定されていることから、今後は顧客内での認定製品の数を増やすことに重点をおき、認定製品数毎年9製品増加を指標といたします。視覚情報デバイス事業は、レーザ+MEMSの光学ユニットでの受注数を指標といたしますが、具体的な数値目標は今後のマーケティング活動の中で設定いたします。

(3)対処すべき課題

 今後の世界経済につきましては、トランプ米国大統領による各国への関税政策に懸念が高まり、依然として残る各地の地政学リスクへの警戒感とともに、先行き不透明な状況が継続するものと予想されますが、当社におきましては、「人の可能性を照らせ。」を念頭に、以下の課題に対する諸施策を講じることで、事業の強化を図ってまいります。

① 全社黒字化の達成(2027年3月期)

 営業利益の赤字が継続しているなか、2024年11月に中期経営計画を策定し、2027年3月期において黒字化を達成し、黒字化と成長可能性のバランスを図る事業計画を公表しました。この中期経営計画の初年度にあたる2025年3月期については、売上高、利益とも計画を達成しております。今後とも2027年3月期の全社黒字化に向けて取組みを進めて参ります。なお、2026年3月期の事業計画については公表済みであります。

② レーザデバイス事業の成長

 加工、センサ、バイオメディカル用光源領域では、既存製品の拡販と低コスト化、高付加価値製品の開発、新規アプリケーションへの参入を進め、中長期的に年率10%以上の安定的な事業成長を図ります。当社のコア技術である量子ドットは中長期的な成長ドライバとして光通信、LiDAR、民生品応用に向けた研究開発を進めてまいります。

③ ロービジョンエイド領域での取り組み

 視覚情報デバイス事業のうち視覚支援領域においては販売拡大が継続的な課題であります。

 国内販売につきましては、施設への導入やイベントの実施などを通じたバリアフリーやインクルーシブ社会の実現を目指し、かつ持続可能な取り組みの構築を進めてまいります。

「RETISSA NEOVIEWER」(DSC-HX99 RNV kit)および「RETISSA ON HAND」を販売している米国を含む海外市場においては、医療機器と誤認されるリスクを避けるためにCSUN技術会議など対面の場におけるPR活動を中心にしています。認知の浸透には相応の時間と費用がかかると考えられますが、パートナーとの関係強化、提携先の拡大、中国を含む市場開拓、事業開発を進めてまいります。

④ スマートグラス実現に向けた取り組みの継続・拡大

 視覚情報デバイス事業の飛躍的成長を実現するためには、多くの方が日常的に使うスマートグラスへの技術採用が欠かせない要素です。共同開発を続けるパートナー企業とともに、アイトラッキング機能の開発、低消費電力化、小型化、高精細化といった要素技術の成熟にむけて取り組むとともに、これまで蓄積した知財・ノウハウの収益化を目指してまいります。

⑤ マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化

 市場・業界・顧客分析、及び分析に基づく戦略的営業活動をさらに充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力を強化してまいります。

⑥ 水平分業提携先との協業体制の維持と発展

 チップ作製、モジュールアッセンブリ及び網膜投影機器の生産提携先と、将来ビジョン、年間計画、各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、定期的な訪問、打合せ等を行い、より一層の関係強化を図ってまいります。

⑦ 高品質・安定した製品の供給

 高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行ってまいります。

⑧ MBE装置(分子線エピタキシー法による結晶成長装置)の維持管理

 当社の技術を支えるMBE装置は事業部の移転に合わせて2026年4月に横浜市戸塚区の新拠点に移設をする予定でありますが、本装置は繊細な管理を必要とするため、移設時及び日々の修繕において、安定的な運用ができるような体制を図ってまいります。

⑨ 適切なコーポレートガバナンスとIR体制強化

 開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築してまいります。

⑩ MEOCHECK関連事業の展開

 眼のセルフチェックツールである「MEOCHECK」の判定結果の受診勧奨が診断にあたることが判明し、自主回収とソフトウェアの改修を進めております。本作業を早急に完了し、法令に適合した製品を市場に投入するとともに、眼のセルフチェックサービス事業においても医療行為と認識されることがないように慎重にビジネスモデルの構築を進めてまいります。

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