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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、厳格な要件が求められる法人向けで実績豊富なクラウド型認証プラットフォームである「Akerun Access Intelligence」を基盤に、スマートロック等のIoT機器やソフトウエアを活用したAkerunブランドのHESaaSのサービスの普及拡大によるキーレス社会の創出に加え、ギグワーカーを通じて様々な空間における人手不足の解決を支援する「Migakun」による施設運営BPaaSのサービスを展開することで、少子高齢化に伴う人手不足等の将来にわたる社会課題の解決に向けて、あらゆる空間の無人化・省人化を促進する新たな社会モデルの構築に取り組んでおります。

 そして、これら社会課題の解決を目指す空間DX事業を法人、住宅、商業施設、教育機関、自治体などの幅広い業界で展開し、リカーリング収益の最大化を通じた事業拡大を推進しております。

 当社グループでは今後の経営方針として、中核サービスであり市場における実績が豊富なAkerunを基軸及び起点として、Akerunにおける機能強化や営業活動の効率化、そしてAkerunの周辺領域における新規のサービスの拡充等により、人手不足等の社会課題を背景に需要が高まる無人化・省人化のためのソリューション提案に注力することで事業成長を追求する計画であります。

<Akerun及びMigakun等の既存事業>

 営業活動における効率性と収益性を強化しながら、当社グループの各サービスを組み合わせたソリューション提案を通じて生産性、ARPU、LTV等を最大化することで事業拡大を目指しております。また、開発においては既存サービス/製品の保守運用の効率化と改善に注力する計画であります。

<Akerunの周辺領域を中心とした新規事業>

 顧客や市場のニーズを的確に捉えた新サービスの効率的かつアセットライト(注)な開発を推進する計画であります。また同時に、中核サービスであるAkerunの周辺領域のプロダクトやサービスをアライアンスやM&A等を通じて取り込むことで、早期の収益化を実現するポートフォリオの拡充と事業基盤の強化を目指しております。

(注)アセットライトとは、資産(Asset)の保有を抑えながら、外部委託やリース等を活用して財務負担を軽く(Light)することで、市場環境等の変化への対応を目指す経営手法のことであります。

 具体的な経営方針及び成長戦略は以下の通りであります。


 当社グループの事業成長にあたっては、Akerunの顧客数の最大化を目指す“マーケット開拓”と、Akerunを中心としたソリューション提案による顧客単価の最大化を目指す“ソリューション開発”に特に注力する計画であります。この“マーケット開拓”と“ソリューション開発”を掛け合わせることで、顧客数と顧客単価を乗算した事業収益の最大化を目指しております。

① ソリューション提案の起点となるAkerunの顧客数の最大化(マーケットの開拓)

 当社グループとしての事業成長にあたっては、市場における実績が豊富なAkerunを基軸及び起点として、従来の主要顧客である法人オフィスに加え、商業施設、住宅、教育機関、医療機関、自治体等の新たな市場に向けた価値提供をより一層加速する計画であります。新たな市場の開拓にあたっては、無人化・省人化のニーズが旺盛な商業施設、不動産物件におけるスマート化のニーズが旺盛な住宅、そして従来型システムからの脱却とDXへのニーズが旺盛な教育機関/医療機関/自治体等への提案及びマーケティング活動等の強化により、新たな需要を取り込むことでAkerunの顧客基盤の拡大を図る考えであります。

 また、これらの市場へのアプローチにあたっては、当社グループが従来から推進する営業チャネルのさらなる多様化もより一層強化する計画であります。具体的には、Akerunの導入シーンに高い親和性を有する外部のシステム連携パートナー、オフィス複合機等を取り扱うOA機器のベンダーや商社、そして空間や施設そのものを取り扱う不動産事業者等のパートナーの開拓と拡充を通じて、あらゆる空間や施設におけるAkerunの提案機会の獲得と販売拡大を促進する計画であります。

② ソリューション提案のためのAkerun周辺領域におけるサービス/製品開発を通じた顧客単価の最大化(アップセル/クロスセル商材の開発)

 当社グループでは、前述の法人オフィスにとどまらない新たなマーケットの開拓に加えて、それら各マーケットに対するアップセル/クロスセルのためのソリューション提案を促進することで、顧客単価の向上を目指す計画であります。特に、ソリューション提案の基軸及び起点となるAkerunとのデータ連携、ターゲット顧客、導入タイミング等のシナジーを発揮する、Akerun周辺領域におけるサービス/製品を中心としたソリューション・ポートフォリオ及び商材ラインアップの拡充により顧客あたりの単価の最大化を目指しております。実際に、当社グループが提供するAkerunとMigakunのクロスセルにおいては、当社グループの顧客における両サービスの重複導入割合や顧客単価の向上等に対して、クロスセルの効率性及び収益性に顕著な成果を生み出しております(注1)。

 ソリューション・ポートフォリオ及び商材ラインアップの拡充にあたっては、Akerunを起点としてアップセル/クロスセルしやすく、収益性に優れた商材の選定を進める計画であります。具体的には、当社グループで提供する住宅向けAkerun、Akerun QR受付システム、Akerunデジタル身分証、Migakun等の各サービスに加え、業界最大規模(注2)の勤怠管理/会員管理/決済等のシステム等のAPI連携サービス、そして今後はセキュリティ用途でのシナジーを発揮するAIカメラ、施設環境の向上のための各種サービス、無人化・省人化でのシナジーを発揮する各種システム等の商材の拡充を進める計画であります。

 また、ソリューション・ポートフォリオ及び商材ラインアップの拡充にあたっては、当社グループの認証、IoT、クラウド等のコアテクノロジーのアセットを活用した自社開発だけでなく、Akerunとの高いシナジーを発揮する商材を提供する企業との業務提携や協業、そして必要に応じてM&A等も視野に、資本効率に優れた商材の拡充をスピーディに進めていくことで、早期の収益化を実現することを目指しております。

(注)  1.当社グループの注力する特定マーケットにおけるテストマーケティングや事業シミュレーションをもとに算出。

2.業界各社の報道発表等を元にした自社調べ。


(2) 当社グループの取り組む市場の規模

 当社グループの事業が対象とする市場は、セキュリティ関連市場及び個人認証・アクセス管理型セキュリティソリューション市場に加え、空間や施設の無人化・省人化のための空間管理ソリューション市場であります。当社グループは、当社が主要ターゲットとしている従業員10名以上のオフィス向けクラウド/IoTセキュリティ市場規模を1,200億円(注3)と推計しております。また、これに商業施設等を加えた施設事業者向けHESaaS市場規模を5,950億円(注4)、さらに従業員数を問わないすべての産業の事業所と住宅向けの空間管理ソリューション/ファシリティマネジメント市場を加えたTAM(注5)を2兆1,000億円(注6)と推計しております。これらは巨大な市場規模を有しておりますが、クラウド上の認証プラットフォームを基盤にオフィス/商業施設/住宅等のあらゆる空間や施設向けに展開するAkerun事業とMigakun事業を両輪に、物理的な扉や錠前のセキュリティ及び認証のプラットフォーム化による社会インフラとしての地位拡大、さらにBPaaS等も加えた広義の空間管理及び無人化・省人化市場の創出により、さらなる顧客基盤の拡大と事業成長を図る考えであります。

 さらに、前述の通り、当社グループのクラウドの上の認証プラットフォーム「Akerun Access Intelligence」を基盤としたAkerunにおけるオフィス領域と住宅領域それぞれの特徴や市場優位性に加え、空間管理における人手不足等のニーズに対応するMigakunの市場優位性、さらにそれら事業間の強力なシナジーも活用しながらこれらの市場からの需要に応えていく考えであります。そして、今後はセキュリティや認証、施設運営代行だけにとどまらず、プラットフォーム上に蓄積されたビッグデータを活用したユーザー体験の向上や新規事業を含めた周辺領域へのサービス展開、そして資本効率に優れたM&Aも視野にシナジーによる提供価値の向上を図ることで、当社グループの提供する各サービスのプラットフォーム化及びインフラ化による顧客需要の獲得と顧客基盤の拡大、そして事業成長を加速していく考えであります。


(注) 1.「令和3年経済センサス‐活動調査」及び「令和5年住宅・土地統計調査」の調査結果をもとに当社作成

2.オフィス向けセキュリティインフラは月額100,000円、オフィス向けHESaaSは月額170,000円、施設向けBPaaSは月額50,000円(オフィス/商業施設) 及び月額20,000円(住宅)でそれぞれ試算

3.10名以上の小売・飲食、学習支援(学校を除く)、生活サービス、娯楽等の産業を除く事業所向け

4.上記(注3)に加え、10名以上の商業施設(小売、飲食、生活サービス、エンターテイメントなど)を含む全ての産業の事業所向け

5.TAMとは、Total Addressable Marketの略で、特定のサービスや製品によりアプローチ可能な最大の市場規模を示すものであります。

6.従業員規模を問わない全ての産業の事業所及び住宅向け

(3) 2022年度からの中期経営計画を通じた早期黒字化のための取り組みと成果

 直近の数年における当社グループを含むSaaS企業やグロース企業を取り巻く市場環境は大きく変化しており、株式市場、競合環境、部品等の調達、マクロ経済環境等、今後も引き続き不確実要素が残ると当社では分析しております。この状況を受け、当社グループでは様々な変化に対応するために組織としてのレジリエンシーを高めることを目的に、営業利益の黒字化に向けた継続的な事業成長に加え、収益性の強化や生産性の向上を目指し、2022年度を開始年度とした中期経営計画を策定しております。この中期経営計画では、Akerun導入台数の拡大に加え住宅領域への積極的な投資と事業成長を主軸とした事業の拡大を目指しております。具体的には、Akerun導入台数の拡大にあたり、導入社数/シェア国内No.1の実績を有する法人向けスマートロックを活用したオフィス利用、オフィス向けで培った実績や堅牢性、信頼性を基盤として住宅向けにも拡大・普及を目指す住宅利用、そしてオフィスや住宅だけにとどまらない、より広範な領域での導入拡大を目指す商用利用という3つの柱により、導入台数の増加を図ってまいりました。特に、商用利用においては、喫緊の社会課題となっている少子高齢化等に起因した人手不足への対策や業務効率/施設運営効率の向上を目的として普及が進む、商業施設や小売店舗等の無人化・省人化の潮流をインフラとして支えるAkerunの役割が拡大していることから、APIを通じた外部サービス連携も含めた業種や業態を問わない商用利用におけるAkerunのユースケースの創出と拡充、そして提案機会の増加に伴う売上拡大を推進してまいりました。

 これらの取り組みの結果、売上成長の達成と同時に、投資効率の最適化に伴う収益性や生産性の向上を実現しており、中期経営計画の目標の1つであった2023年中の連結営業利益の単月での黒字化を同年12月に達成しております。そして、Akerunの堅調な事業成長に加えて、新規事業である施設運営BPaaSのMigakunの売上高への貢献等もあり、2024年12月期の連結営業利益と連結フリーキャッシュフローの通期黒字化も達成するとともに、事業成長と高い収益性を両立する経営体制の拡充に成果を挙げております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。

① 規模や業種業態を問わないさらなる新規顧客及び新規ユーザーの獲得

 当社グループの中核サービスとなる「Akerun入退室管理システム」の導入顧客の新規獲得及びユーザー数の増加が経営方針における最重要課題であると考えております。「Akerun入退室管理システム」は、既存の扉に後付け可能、従来型システムにはないクラウドを活用した入退室ログの活用、勤怠管理/会員管理/決済等の外部システムとの連携によるユースケースの拡張性等の特徴から、国内の企業や商業施設、住宅における導入余地は引き続き非常に大きいものと考えております。

 今後も営業体制の強化や生産性の向上、直販に加えて取次/再販等の営業の販売パートナー/チャネルの新規開拓と拡大、従来の中小規模企業に加えて大企業や新たな業界への拡販など対象企業の拡充、そして技術開発や外部サービスとの連携拡大を通じたサービス自体の価値のさらなる向上等を通じて新規導入や追加導入を促進することで、それに伴う新規顧客及びユーザー数の拡大を図ってまいります。

② 技術開発力の継続的な向上

 技術開発は当社グループの市場競争力の強化と持続的成長に欠かせないものであると認識しております。引き続き優秀な技術者の採用・育成を推進するとともに、研究開発への投資を通じた技術力の強化・拡充により、IoTや認証、クラウド等に関する先端技術を取り入れるなど、ハードウエア、組込み、アプリケーション、Web等の各開発分野のさらなる技術力及び開発力の強化に取り組む計画であります。

③ 利益及びキャッシュ・フローの中長期的な拡大

 当社グループは、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの創出を目指しており、第11期連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)は営業利益及びフリーキャッシュフローにおける黒字化を達成しております。

 当社グループの収益の中心であるHESaaS及びBPaaSのビジネスは、リカーリングモデルで顧客にサービスを提供し、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルである一方で、顧客獲得費用や開発費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的であります。しかしながら、直近の株式市場を取り巻く環境や競合環境、及びマクロ経済環境等を鑑み、当社グループでは経営の強靭化と収益性の拡大が引き続き必要であると認識しております。

 当社グループでは、事業の拡大によりストック収益を順調に積み上げるとともに、事業の収益性をより一層高めることで、今後も当社グループの提供するサービスを通じて、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。

④ Akerunを起点としたソリューション提案によるサービス提供価値のさらなる向上と新規サービスの拡充

 当社グループが提供する法人向け/住宅向けAkerun及びAkerunと連携する勤怠管理/会員管理/決済等の外部サービスによる価値提供に加え、Migakun等の新規事業とのシナジーを通じたさらなる導入促進とユーザー基盤の拡大と同時に、既存顧客の満足度の向上のために、従来から提供する入退室管理や勤怠管理にとどまらない、新規事業であるMigakunやAkerunの周辺領域の新規商材の提案等の提供価値のさらなる向上が必要であると認識しております。

 当社グループでは、顧客環境の様々な課題を解決するソリューション提案及びクロスセルのための組織体制の再編、開発体制の強化・拡充を通じた新規サービスの開発、そして外部のパートナー企業との技術連携による継続的なサービス拡充を積極的に進めることで、市場における実績が豊富なAkerunを起点としたユーザーへのさらなる提供価値の向上を図ってまいります。また、事業成長のための起点としてのAkerunの法人、住宅、商業施設、さらには学校、医療機関、自治体への導入促進と規模を問わない顧客基盤の拡充等、新規事業とのシナジーやさらなる新規事業の開発を検討・推進してまいります。

⑤ 住宅領域を担う子会社の事業拡大と収益性の強化

 当社グループのさらなる事業成長と収益性の強化に向けて、住宅領域におけるスマートロック及びその関連システムの普及と事業拡大に取り組む子会社の株式会社MIWA Akerun Technologiesにおける、主に不動産管理会社等のサービス導入顧客の新規獲得及び営業利益の黒字化が必要であると認識しております。

 当社グループでは、住宅領域におけるIoT及びクラウド等のテクノロジーを活用した居住者の利便性の向上に加え、特に集合住宅等における不動産管理会社や不動産オーナー等の管理性の向上を目的とした旺盛な需要を取り込むとともに、共同出資会社である美和ロック株式会社の市場における信頼性や実績、販売網等も活用しながら、住宅領域におけるさらなる新規顧客の獲得と事業成長に取り組んでまいります。

⑥ 情報セキュリティ体制の強化

 当社グループの提供するサービスでは、認証に用いる個人情報等の機密情報を取り扱っております。この情報資産を保護するため、当社グループでは情報セキュリティ基本方針を策定し、最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer、CISO)を含む専任のセキュリティ担当者を設置しております。さらに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)」の認証を本社及び大阪オフィス、福岡オフィス、札幌オフィス、物流拠点の各拠点で取得しております。また、技術開発にあたっては社内に専任の品質保証エンジニアを配置し、さらに外部のセキュリティ診断等も実施することで、システムとしての安全性と堅牢性の向上を図っております。これらの取り組みにより、全社的な情報管理体制を強化するとともに、従業員への継続的な情報セキュリティ教育を実施することで、情報セキュリティ体制を強化してまいります。

⑦ ガバナンスの強化

 当社グループは鍵や認証というセキュリティに関する事業を行う企業として、ユーザーや市場からの信頼が必要不可欠であると考えております。情報管理、財務、IT、その他の社内制度等を含めた内部統制の継続的な策定、強化、改善を実施することで信頼を獲得し、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。

⑧ 優秀な人材の採用及び育成と定着

 当社グループの将来にわたる持続的成長に向けて、優秀な人材の採用及び育成と定着が欠かせないものと認識しております。特に、サービスの開発や継続的な改善によるサービス価値の強化を担うエンジニアと、さらなるサービス導入促進のための営業人員及び新規事業における採用及び育成と定着が不可欠であると考えております。当社グループでは、優秀な人材の育成と定着に向けて積極的な人材の採用活動を実施するとともに、人材の育成と定着のための社内トレーニング体制の強化や企業文化の醸成等の施策を推進してまいります。

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中長期的に安定した売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そのため、当社グループは達成状況を判断するための経営上の指標として主に売上高、売上総利益、営業利益を採用しております。また、2025年2月に開示した「事業計画及び成長可能性について」において2025年12月期からの新たな事業方針及び成長戦略を策定するとともに、2025年12月期の通期における業績目標を設定し、この目標の達成に向けた成長を加速させることに注力する所存であります。

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