NIPPON EXPRESSホールディングス
【東証プライム:9147】「陸運業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。
(1)長期ビジョン
NXグループは、企業理念を拠り所として、創業以来ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきました。この変わらぬ使命を果たすため、社会の変化をとらえ、自らを進化させ続けます。また、安全に徹し、環境に配慮し、世界を舞台に全ての力を結集して、物流から新たな価値を創造することに挑戦していきます。そして、いつの時代にも、社会から求められ、信頼されることを誇りに行動します。
この企業理念に込められた想いを実践していくために、創立100周年の節目となる2037年のありたい姿として「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」に成長することを長期ビジョンに掲げております。長期ビジョンの実現には、ロジスティクスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるとともに、NXグループ自らが持続的な成長を果たす企業であり続けなければなりません。そのためには、多様な社員が、お客様や社会を支える仕事に誇りを持って活躍し、幸せを感じる企業であり続けられるよう邁進してまいります。
「安全・コンプライアンス・品質」に対するこだわりを基本とした現場力、企業メッセージ「We Find the Way」に表現されるお客様第一の姿勢は、大切にする価値観としてこれからも徹底的にこだわっていきます。加えて、NXグループがグローバル市場での成長を加速していくために、グループ・グローバルで全体最適やありたい姿・長期ビジョンに対するバックキャストで物事を捉えられるよう社員一人ひとりの意識と行動を変容させ、自律的で挑戦的な価値観を醸成させる企業風土への変革を進めてまいります。そのような変革を通して、NXグループが「イノベーションによる新たな価値創造」、つまり、ロジスティクスを通じてお客様や社会へ新たな価値を提供していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
そして、その先にある「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という姿を、NXグループ全体で共有し、その実現に向け進んでまいります。
長期ビジョンの実現に向けたステップを、上図に示しております。
グローバル市場での存在感を高めるべく、2037年度に海外売上比率50%を目指すという長期目標を掲げ、2024年1月から「NXグループ経営計画2028」をスタートしました。本計画の1年目においては、売上の拡大とともに収益性の向上についても目標指標を定め、諸施策の取組みを進めてまいりました。
引き続き変革に挑戦し、長期ビジョンの実現を目指してまいります。長期的な目標を見据え、引き続きバックキャストの考え方に基づき、経営計画に掲げた諸施策を着実に実行してまいります。
(2)NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0
“ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”
①経営計画の取組み
NXグループは、長期ビジョンの実現に向けたバックキャスト思考のもと、2024年1月1日より、5年間の経営計画「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」を策定し、グループ価値の向上を目指して取り組んでまいりました。
■基本方針
・グループ全体最適志向の下、グローバルな競争力の向上と事業の成長を実現する。
・明確な事業ポートフォリオと役割分担のもと、事業の競争力・収益性を高め、企業価値を高める。
・社会課題解決や持続可能社会の実現へ貢献するサステナビリティ経営を実践し、顧客・社会・株主・社員から選ばれる企業グループへ変革する。
上記、3点を掲げ、重要な数値目標(KGI)として、2028年度における売上収益3兆円、事業利益1,500億円、RОE10%以上を目指します。
■重点取組み
「グローバル市場での事業成長の加速」
営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取り扱う事業領域の拡大を目指し、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。
≪主なKPI≫
・海外売上(M&A含む)
・重点産業売上、倉庫・配送等売上
・航空フォワーディング数量(t)、海上フォワーディング数量(TEU)
「日本事業の再構築」
アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直しなど収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。
≪主なKPI≫
・事業利益率(ロジスティクス日本セグメント)
・事業成長による売上・利益
・料金改定、コーポレート業務の効率化による効果額
「サステナビリティ経営の推進」
企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)である「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」に対する取組みを進めてまいりました。
≪主なKPI≫
・CO2排出量の削減量(Scope1~3)
・NXコアエンゲージメントスコア
「企業価値向上に向けた取組み」
資本コストを上回る資本収益性確保に向け、RОEの改善に取り組んでまいりました。経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めるとともに、新たに内部経営指標にRОICを導入するなど資本収益性を意識した経営への転換を進め、更には、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。
≪主なKPI≫
・RОE、RОIC、自己資本比率
②経営計画における経営数値目標及び実績について
■経営数値目標
経営計画の初年度である2024年度の実績及び最終目標に対する進捗状況は、以下のとおりです。
(単位:億円、%) | ||||
項目 | 2023年 12月期実績 | 2024年 12月期実績 | 2028年度最終目標 | |
最終目標数値 | 進捗率 | |||
売上収益 | 22,390 | 25,776 | 30,000 | 85.9 |
事業利益 | 812 | 635 | 1,500 | 42.4 |
事業利益率 | 3.6 | 2.5 | 5.0 | - |
親会社の所有者に帰属 する当期利益 | 370 | 317 | 1,000 | 31.7 |
海外売上収益 | 5,855 | 9,262 | 12,000 | 77.2 |
RОE | 4.8 | 3.8 | 10.0以上 | - |
※「海外売上収益」は連結調整後数値となります。
※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。
セグメント別 | (単位:億円、%) | ||||
セグメント | 項目 | 2023年 12月期実績 | 2024年 12月期実績 | 2028年度最終目標 | |
最終目標数値 | 進捗率 | ||||
日本 | 売上収益 | 12,565 | 12,620 | 13,500 | 93.5 |
事業利益 | 485 | 405 | 790 | 51.3 | |
米州 | 売上収益 | 1,512 | 1,530 | 2,180 | 70.2 |
事業利益 | 92 | 53 | 135 | 39.7 | |
欧州 | 売上収益 | 1,926 | 5,017 | 2,530 | 198.3 |
事業利益 | 98 | 112 | 130 | 86.5 | |
東アジア | 売上収益 | 1,576 | 1,739 | 2,220 | 78.3 |
事業利益 | 37 | 45 | 110 | 41.2 | |
南アジア・ オセアニア | 売上収益 | 1,408 | 1,576 | 2,170 | 72.7 |
事業利益 | 83 | 54 | 125 | 43.8 | |
警備輸送 | 売上収益 | 678 | 685 | 730 | 93.9 |
事業利益 | 33 | 24 | 40 | 60.2 | |
重量品建設 | 売上収益 | 511 | 500 | 580 | 86.3 |
事業利益 | 65 | 53 | 70 | 75.7 | |
物流 サポート | 売上収益 | 4,258 | 4,204 | 4,760 | 88.3 |
事業利益 | 138 | 122 | 165 | 74.1 |
※連結調整前数値、億円未満切り捨てとなります。
※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。
※欧州の2024年12月期実績にはM&A(cargo-partner社、Tramo社)の実績を含んでおります。
■経営計画各種戦略の実施状況及び経営成績についての評価
経営計画達成に向けた2024年度の重点戦略の取組み、及びKPIの進捗状況、それらについての分析と評価については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」をご覧下さい。
■資本政策
≪目標数値≫
・ROE 10.0%以上
・配当性向 40%以上
・総還元性向 55%以上(2024年度~2028年度累計)
・自己資本比率 35%程度
≪実績の推移≫
③対処すべき課題
今後の経済動向につきましては、欧米を中心とした金融政策の緩和などにより、安定化の兆しを見せながらも、アメリカの政権交代による貿易政策の見直し、中東情勢やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など地政学リスクの高まりにより、引き続き不透明な状況が続くことが予測されます。
物流業界におきましては、地政学リスク及び経済安全保障リスクの高まりを踏まえ、安全調達の観点から既存のサプライチェーンを見直す顧客企業への対応に加え、気候変動への対応や、慢性的な人材不足、デジタル化への対応、先端技術の導入による新たな物流サービスの開発など、業界全体として社会の持続的な成長を支える新たな価値創造産業への転換が求められております。
NXグループは、このような経営環境のもと、創立100周年となる2037年にありたい姿として定めた「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョンの実現に向けて、5年間の経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」の達成に向けて、引き続き取り組んでまいります。
「グローバル市場での事業成長の加速」
重点産業を中心としたアカウントマネジメント体制の更なる強化とグローバルに展開するフォワーディングネットワークや倉庫業務などNXグループの幅広いロジスティクスソリューションを駆使して、お客様のグローバル・サプライチェーンに対するEnd to Endソリューションの提供強化に注力してまいります。
また、M&Aや提携、戦略投資によるダイナミックな事業成長の実現にも引き続き取り組んでまいります。特に、直近のM&Aにより子会社化したcargo-partner社、Simon Hegele社へのPMI早期実行により、グローバルネットワークの拡大など、グローバル市場における競争力の強化に取り組んでまいります。また、エリア戦略として、中長期的な視点で、更なる経済成長が見込まれるインドでの事業拡大にも引き続き挑戦してまいります。
「日本事業の再構築」
カンパニー制を導入した日本通運株式会社においては、引き続き東名阪を中心としたアカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、事業体制の見直しも進めてまいります。East・West両カンパニーにおいては、収益性と資本効率の向上に徹底的にこだわり、エリアに応じた経営を推進してまいります。これらのマーケットに応じた経営の推進と事業基盤の変革により、日本事業の再構築を進めてまいります。
また、専門ロジスティクス事業については、専門性の向上と品質の強化に努めるとともに、物流サポート事業においては、ロジスティクス・トータル・ソリューションの展開によるNXグループ全体の競争力強化に取り組んでまいります。
「サステナビリティ経営の推進」
「サステナブル・ソリューションの開発・強化」では、脱炭素に繋がるロジスティクスソリューションの強化やDX推進によるソリューションの開発など、NXグループ全体で喫緊の課題として捉えている脱炭素、人手不足といった課題解決に引き続き取り組んでまいります。「気候変動への対応強化」では、Scope1・2(自社排出)だけでなく、Scope3(自社以外の排出)の削減にも取り組んでまいります。
また、「イノベーションを生む人財力の向上」では、優秀な人財の確保・育成、Well-beingの充実、DE&Iの推進により、多様な人財が能力を発揮し活躍できる環境作りに引き続き取り組んでまいります。
「企業価値向上に向けた取組み」
PBR1倍割れの解消と株主資本コストを上回るRОE向上によるエクイティ・スプレッドの確保を当面の課題として、経営計画に織り込んだ成長戦略を推し進めるとともに、低収益不動産の売却など従来にないBS(Balance Sheet)マネジメントの強化と資本政策の見直しを進めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオマネジメントの更なる強化として、成長事業へのシフトと低収益・ノンコア事業の抜本的改革にも取り組んでまいります。
これらの取組みにより生み出したキャッシュについては、財務健全性を維持しながら、成長投資や株主還元のための資金にバランスよく配分していくことで、資本創出の好循環を生み出し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
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