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【東証プライム:8725】「保険業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グループの目指す姿として「経営理念(ミッション)」、「経営ビジョン」、「行動指針(バリュー)」を以下のとおり定めております。
<経営理念(ミッション)>
グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます
<経営ビジョン>
持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造します
<行動指針(バリュー)>
お客さま第一 :わたしたちは、常にお客さまの安心と満足のために、行動します
誠実 :わたしたちは、あらゆる場面で、あらゆる人に、誠実、親切、公平・公正に接します
チームワーク :わたしたちは、お互いの個性と意見を尊重し、知識とアイデアを共有して、ともに成長します
革新 :わたしたちは、ステークホルダーの声に耳を傾け、絶えず自分の仕事を見直します
プロフェッショナリズム:わたしたちは、自らを磨き続け、常に高い品質のサービスを提供します
(2) 目標とする経営指標
当社グループは2024年度よりスタートした中期経営計画(2022-2025)第2ステージにおいて、グループ全体の業績を示す経営指標として「グループ修正利益」(注1)、「グループ修正ROE」(注2)、「IFRS純利益」、「修正ROE」(注3)、「ESR(Economic Solvency Ratio)」(注4)を掲げており、目標値は次のとおりであります。なお、当社グループは2025年度末決算からIFRS(国際財務報告基準)を適用する予定であります。
| (2024年度実績) | 2025年度目標 |
グループ修正利益 | (7,317億円) | 7,600億円 |
グループ修正ROE | (15.7%) | 16% |
IFRS純利益 | - | 4,500億円 |
修正ROE | - | 12% |
ESR | (226%) | 180~250% |
(注)1 グループ修正利益 =連結当期利益+異常危険準備金等繰入・戻入額-その他特殊要因(のれん・その他無形固定資産償却額等)+非連結グループ会社持分利益
2 グループ修正ROE=グループ修正利益÷グループ修正純資産(連結純資産+異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産)
3 修正ROE =IFRS純利益÷(IFRS純資産-政策株式の含み損益)
4 ESR =時価純資産÷統合リスク量(信頼水準99.5%)
(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
今後のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が持続することが期待される一方、米国の通商政策の動向、欧米における高金利の継続、中国における不動産市場の停滞の継続に加え、複数の地域で進行する地政学的な緊張の高まりによる影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクが懸念されます。
保険業界においては、保険料調整行為等の不適切事案の発生を受けて、金融庁において「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」及び金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」が開催され、保険市場に対する信頼の確保とその健全な発展に向けた方策について議論が重ねられました。今後、これらの議論を踏まえた保険業法の改正等に業界として適切に対応し、お客さまと社会からの信頼回復に向けた取組みを推進するとともに、引き続き保険とその周辺サービスの提供を通じて社会のレジリエンスを高める社会インフラとしての役割を果たしていくことが求められております。
このような中、当社グループとしても、グループの「ミッション・ビジョン・バリュー」に立ち返って、全役職員及び代理店の行動を見直し、「ビジネススタイルの大変革」を進めるとともに、お客さまの信頼回復に全力で取り組んでまいります。そのうえで、デジタル技術の進展や人手不足の進行などの事業環境の変化を踏まえ、中期経営計画(2022-2025)に掲げた基本戦略やその基盤取組みを進めてまいります。
[ビジネススタイルの大変革]
当社グループでは、「お客さま第一の業務運営」「ガバナンスの強化」「コンプライアンス」を基礎に据えて、「提供価値の変革」「事業構造の変革」「生産性・収益性の変革」を柱とするビジネススタイルの大変革を、引き続き進めてまいります。
提供価値の変革 | 事業構造の変革 | 生産性・収益性の変革 |
○適正な競争環境の構築 商品・サービスにおける競争優位性の強化 ○リスクソリューション提案力の強化 「保険本来の機能」+「補償・保障前後のソリューション」の強化 ○引受管理の強化 リスク関連情報・データを活用したアンダーライティング強化 | ○新たな成長投資 開拓余地・市場成長が見込める事業への新たな投資の拡充 ○デジタル・人財への投資 生成AI等新たなソリューションへのDX投資、人的資本投資の拡大 | ○1プラットフォーム戦略の完遂 本社機能の一体運営の推進、グループへの拡大 ○オーバースペックな業務の見直し ペーパーレス化・デジタル化推進 ○資産運用の強化 市場環境の変化を踏まえた収益性の追求 |
お客さま第一の業務運営 | ガバナンスの強化 | コンプライアンス |
○お客さま第一の業務運営の再徹底 ○お客さま・社会の要請・期待に応える自発的な行動 | ○経営陣によるガバナンス態勢強化 ○3ラインディフェンスにおける第2線・第3線の機能強化 | ○コンプライアンス知識・意識の向上 ○リスクの予見、予兆検知能力向上 ○モニタリング、知見の蓄積とグループ内共有 |
当社は、これらの取組みをグループ各社が確実に進め、三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社がそれぞれの業務改善計画を着実に実行していくよう、持株会社として、経営管理態勢の強化、ガバナンスの発揮、グループ全体におけるコンプライアンスの徹底に引き続き取り組んでまいります。
[中期経営計画の基本戦略・基盤]
中期経営計画(2022-2025)第2ステージ(2024~2025年度)では、ビジネススタイルの大変革を進めつつ、お客さまと真摯に向き合い、お客さまと社会の課題を解決していくことにより、CSVの実現と持続的な成長を引き続き追求することとしております。レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループを実現するため、3つの基本戦略「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」とこれらの基本戦略を支える4つの基盤「サステナビリティ」「品質」「人財」「ERM」それぞれについて着実に取組みを進めてまいります。
基本戦略 | Value (価値の創造)
| ・デジタル技術・データを活用した補償・保障前後を含む新たな商品・サービスの開発・収益化を推進し、お客さま・社会の課題解決を実現します。 ・自然災害ロス等の増加、インフレの継続等の事業環境変化を踏まえ、自動車保険・火災保険の収益力強化、生産性の向上を図ります。 | |
Transformation (事業の変革)
| ・国内損害保険市場の中長期的な成長鈍化を踏まえ、海外事業・生保事業の拡大により、分散の効いた事業ポートフォリオを実現します。また、事業管理の高度化(業績改善や不採算事業の見極め)による資本効率の向上を図ります。 ・生成AI等デジタル技術の急速な進化と利活用の加速を踏まえた最適なソリューションを追求することで、ビジネススタイルの変革を進め、事業の変革に取り組みます。 | ||
Synergy (グループシナジーの発揮)
| ・人手不足の進行等を踏まえ、1プラットフォーム戦略の推進によるグループ会社間のシナジーを発揮し、持続可能な事業運営体制の構築とさらなる効率化と品質向上に取り組みます。 ・加えて、グループ各社の顧客基盤を活かした生損及び生保2社間の提携販売の拡大や、本社と海外拠点間のコミュニケーションを強化し、国内外でノウハウの相互展開を推進します。 |
基盤 | サステナビリティ | 品質 | 人財 | ERM |
ステークホルダーと当社双方にとって重要度が高い社会課題の解決を目指し、3つの重点課題 「地球環境との共生 (Planetary Health)」「安心・安全な社会 (Resilience)」 「多様な人々の幸福 (Well-being)」に統合的に取り組みます。 | 従来の品質取組みに加えて、業務運営ルールの明確化や第2線・第3線のリスク管理態勢の強化を行い、代理店も含めたお客さま第一の業務運営・コンプライアンスの再徹底を図ります。 | 人手不足の進行に対応するため、人的資本への投資を拡大し、社員のエンゲージメントの向上を図ります。 | 法務リスク・コンダクトリスク等の定量化が難しいリスクの定性的な評価とガバナンス態勢を強化します。また、2030年3月末までに政策株式の保有ゼロを実現することにより、リスクの削減と資本効率の向上を図ります。ROEの向上に向けて、各事業会社が利益創出力を強化するとともに資本収益性を高めていきます。 |
[事業領域別の取組み]
主な事業領域別の取組方針は以下のとおりであります。
国内損害保険事業においては、事業のあり方を見直し、お客さま第一の業務運営を徹底して、お客さまに向き合った企業活動を実践してまいります。また、自然災害の甚大化・頻発化、インフレの継続等、保険引受損益の悪化要因を踏まえつつ、自動車保険、火災保険及び新種保険の収益力強化を図ります。
国内生命保険事業においては、長期的な人口減少や高齢化社会の進展等の環境変化に対応した商品・サービスの開発や販売チャネルの強化、外貨建て保険等リスク性金融商品も含む販売管理態勢の強化を進めます。また、三井住友海上あいおい生命保険株式会社と三井住友海上プライマリー生命保険株式会社それぞれの商品特性に応じた資産運用を基本としつつ、金利等の市場の変動を捉えて運用収益の拡大にも取り組んでまいります。
海外事業においては、MS Amlinのロイズ・再保険事業の安定的な拡大やトヨタリテール事業の収益改善に取り組むとともに、米国・アジア事業のさらなる拡大を図るため事業投資等を検討し、加えて、ガバナンス態勢の強化を図るなど、リスク分散を図りつつ資本効率の向上・企業価値向上を実現してまいります。
資産運用においては、金利上昇などの市場環境の変化に対応しつつ、時価純資産価値(注)を持続的に拡大するため、分散されたポートフォリオを構築してグループ全体のリスク対比リターンの向上を図るとともに、政策株式の削減に継続して取り組んでまいります。また、グループ各社の運用方針・戦略・計画や投資情報の共有、人財育成や外国資産運用に係る共通プラットフォームの活用等を通じてグループ内の知見やリソースを有効に活用してまいります。
(注)時価純資産価値
経済価値ベースで評価した時価資産から時価負債を控除した差額であり、実質的な自己資本のこと。
なお、当社は、三井住友海上火災保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社を2027年4月を目途に合併させるため、今後、具体的な検討・対応準備を進めることを決定しました。当社グループのビジョンである「世界トップ水準の保険・金融グループの創造」を実現し、レジリエントでサステナブルな経済・社会の発展を支えるため、より強固な国内損害保険事業体制を構築してまいります。
また、当社は、2025年6月23日開催予定の第17期定時株主総会での承認を条件として、監査等委員会設置会社へ移行します。これにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、重要な業務の執行に関する決定の一部を取締役に委任し、意思決定及び業務執行の迅速化を図ります。加えて、取締役会の構成について社外取締役を過半数とし、取締役会における経営判断の客観性を高め、ガバナンス体制の一層の充実を図ります。
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