Jストリーム
【東証グロース:4308】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社は、インターネットを利用した動画や音声の配信を一般的なメディアとして普及させることを目的に1997年5月に設立されました。この目的達成のため、事業開始から今日に至るまで、安定した配信・受信環境を提供するためのネットワークの構築を進めるとともに、コンテンツホルダーである当社顧客の様々な要望に応えながら多様な形式による配信サービスの拡充を図ってまいりました。インターネット環境が拡大し、回線の高速化やデバイスの多様化が進んだことから、インターネット動画はコモディティ化しました。また、新型コロナウイルス感染症の流行は、DXを推進し、利用者が動画を活用することに慣れる機会ともなりました。これに伴い、動画のビジネス利用も拡大、用途が多様化していく中、この市場における当社の役割はこれまで以上に重要になってくると認識しております。こうした変化を先んじて捉え、事業の拡大を図っていくことが当社の経営の基本方針であります。こうした変化を先んじて捉え、『最先端の動画ソリューションを提供し、企業活動の支援を通じて社会の発展に貢献する』ことが当社の経営の基本方針であります。
当社では、『もっと素敵な伝え方を。』をコーポレートメッセージとし、これを実現するための考え方と行動からなる『JストリームWAY』を社員の活動の指針として事業を推進しております。自社で構築した安定したネットワークを背景に、あらゆる形式の動画、音声(音楽)、画像コンテンツをあらゆる方法であらゆる端末へ配信できるストリーミング、ダウンロードサービス提供能力や、動画企画から制作・配信・分析までをカバーし、動画で達成したいあらゆるコミュニケーション上の課題に応えるソリューションの開発能力や、豊富な経験による専門性を有しております。当社は今後も予想される通信インフラの発展、ソフトウエアの技術革新などに対応しながら、最先端の動画ソリューション提供会社であり続けるよう努めてまいります。
顧客の成果に最大限コミットできるよう、自社サービスだけではなく、顧客の求めるソリューションを持つパートナーとの連携も推進し、あらゆる動画ニーズに応えられるエコシステムを創造して事業基盤の拡大に邁進いたします。
(2)経営戦略
当社グループでは、顧客の課題解決に向けてグループソリューションを結集し、動画活用を牽引する「The Streaming DX Company」を目指してまいります。あらゆる動画の利用シーンで一番に想起される企業グループとなるべく、以下の方針を設定しています。
・グループシナジーを最大化し、売上伸長と利益創出を図る
・データサイエンスとAI技術を駆使して、顧客への提供価値を最大化する
・卓越した動画インフラの知見で、収益の最適化を図り、かつ最高品質のサービスを提供する
・自社サービスを有機的に連携させ、課題解決力・市場競争力を高める
・インキュベーションとM&A、サービスの海外展開による事業拡大に取り組む
当社グループにおきましては、以下の3つを軸として市場認識をし、戦略を設定しております。
・EVC領域(医薬):医薬関連企業のマーケティング支援を中心としたサービス提供
・EVC領域(医薬以外):医薬以外の事業会社等のビジネス全般における動画コミュニケーション(EVC:Enterprise
Video Communication)を目的とした動画を中心とするソリューション・サービスの開発・提供
・OTT領域:OTTサービス(Over-the-Top media service:インターネット経由のメディアサービス)を提供する
放送局やコンテンツ事業者等に向けた配信基盤やソリューションの提供
これら3つの市場各々に向けて、DXの目的達成に最適化されたソリューションや、リアルと合わせたユーザー体験の高レベル化、セキュリティ強化等、安定して成果を挙げることにつながるソリューションを提供し、業容の拡大に努めてまいります。
EVC領域(医薬):医薬関連企業に向けては、グループ連携を強化し、デジタルソリューションを軸に、医療DXパートナーとして顧客提供価値を追求します。現在売上比率の高いWeb講演会関連市場の季節性に伴うリソース配分の難しさや需要の不確実性を受け、Web講演会以外の領域開拓も進めてまいります。
Web講演会におけるライブ配信は、コロナ期の集中的利用と比較すると取組に落ち着きが見られますが、依然企業と医療従事者を結び有用な情報を提供する最も効果的な手法の一つです。医師にとっても有用性が高いと当社調査でも判明しており、中長期的には十分な成長余地があります。この領域では、デジタルマーケティングや広告、サポート等の当社グループが比較優位を持つ点を中心に総合提案を実施し、既存大手顧客を確保した上で、中堅規模の取引顧客の規模拡大と、未取引大手企業への取引参入を進めます。デジタルマーケティングにおいては、「WebinarAnalytics」のデータ連携や講演内容のAIを活用した要約等の各種機能を向上させ、講演会とその後のコミュニケーションツールと合わせて提供することで顧客のマーケティングの上流工程へ貢献します。講演会集客にあたっては過去に集約・分析したデータに基づき、新興含めたメディアとの連携から最適な経路を選択し、成果の最大化を追求します。
医療機関における動画の活用も、製薬マーケティング領域以外の新規領域として展開を図ります。医師から患者に向けた説明の補助や疾患啓発等で有用な動画の活用法を開拓します。また、親会社であるトランス・コスモス株式会社や連結子会社株式会社ビッグエムズワイ、クロスコ株式会社を含めた企業グループとしてサービス領域拡大を図ります。
EVC領域(医薬以外):医薬以外の他事業会社のビジネス全般における動画コミュニケーションにおいては、動画を活用する企業と担当者にとってのベストソリューションパートナーを目指します。Equipmediaを中心としたSaaSサービスを利用する顧客の課題解決や活用提案を行う専任部署を設け、顧客の成功体験の拡大を図ります。
販促セミナーや株主総会等のセミナー関連用途に加え、企業での活用の広がりが期待される社内情報共有、教育・トレーニング用途には、Equipmediaに加えて「Webinar Stream」「J-Streamミテシル」等のサービス拡充を進めます。また「VideoStep」を通じて、新たな市場であるデスクレスワーカー向けの教育・トレーニングの支援を拡大します。
業務上の動画活用を支援するサービス「EQポータル」の機能を活かし、顧客企業に蓄積された動画等の有効活用を促進するとともに、プレゼンテーションを容易に動画化するなどの内製機能の提供拡大を通じて、SaaSサービスとしての活用範囲の拡大を目指します。販売面においては、大手顧客に対してSaaSと制作運用等の役務を組み合わせた高品質な運営を含めたアウトソーシングを提供するサービスへの拡大と並行して、内製機能を切り口とした低価格帯SaaSの市場拡大を両立させます。
OTT領域:インターネット動画サービス利用の普及拡大を受けて、更なる会員獲得に向け施策を打つ放送局・コンテンツ事業者をターゲットとします。技術・ビジネス両面で顧客の期待を超える提案と役務提供を通じて、これまでの「トータルテックパートナー」の先の、事業拡大のための「ビジネスパートナー」の立ち位置を目指します。
大規模配信、サイト運用等を総合的に担当している放送局等に対しては、新たなテクノロジーを利用したサービス提案、マルチCDN等を利用した配信品質の向上や、安定したサイト運用体制の提供を行います。BS/CS局や、スポーツ、各種公営競技等のコンテンツ事業者には、配信品質やセキュリティ強化といった今後重要性が高まるサービス等の提案を通じて新たな取引の拡大を図ります。そのほか、「マルチアングル配信」等のエンターテインメントに適した多様な配信機能に加え、コンテンツ配信用オーダーメイド型CMS「Stream BIZ」や課金機能による収益機会の増加、キャンペーン展開ツール「マストバイシステム」、さらに海外SaaSとの機能連携により、高度化する顧客ニーズの充足を図ります。また、セキュリティ対策ソリューションや、動画配信QoE(Quality of Experience)とQoS(Quality of Service)、リアルイベントでの動画活用など、今後需要拡大が見込まれるサービスの開発を進めます。
これら3市場については、コロナ環境下で急伸した医薬企業関連の市場が大きな比率を占める状況が続きましたが、中長期的には他2領域のニーズを的確に捉えて成長を実現することを通じ、医薬市場だけに依存しないポートフォリオの構成を目指します。
経営管理面におきましては、企業の成長と合わせ、適切なコーポレート・ガバナンスの浸透を図りつつ、グループ経営の統制を強化し、効率化を図ります。コロナ環境下で定着したテレワークについての適切な運用を推進し、一人一人の事情に合わせた時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現すると同時に、社員の健康管理・人事労務管理、セキュリティ管理面の向上と業務効率化を進め、必要な業務に邁進できる、快適で働きやすい職場環境を実現します。優秀な人材を育成・獲得するために、評価制度や社内研修制度を継続的に改善し、社員の能力向上を支援すると同時に、魅力ある就職先としての情報発信も継続してまいります。
投資、支出面においては、将来のニーズを予想しさらにスピードを上げて対応するとともに、需要の拡大に応える案件対応能力、開発能力等、企業体制をより充実させていくことが重要な課題であると認識しております。こうした方面への投資を効率的に行うと同時に、動画を利用して業務DXを図るSaaS企業等を主なターゲットとし、M&Aを通じた事業領域の強化、拡大を追求します。
(3)経営環境
インターネットを通じた各種コンテンツ配信の市場や動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有は成長基調にありますが、利用される領域が非常に広範であり、どの領域の活動においても、紙媒体や相対による手段から、ウェブ化、さらに動画の利用が進むことが想定できる状況にあります。こうした市場環境下においては、市場規模の拡大に合わせて各種の類似サービスが現れますが、当社グループとして健全な成長を遂げるためには、顧客の動画利用用途に適合し、顧客が意図する成果を挙げることに貢献できるソリューションを常に提供し、市場において確固たる地位を占め続けることが重要であると認識しております。
医薬企業関連の市場においては、コロナ環境下でデジタルシフトが急速に進行したマーケティングが、政府の薬価政策、為替等の影響等を考慮しつつ、今後の展開を検討する状況にあります。当社グループとしては、顧客の活動動向を注視しつつ、マーケティングのより上流のプロセスに参加、提案を行い、変容の兆しを早期に捉える営業活動・情報収集を行います。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、インターネットを通じた各種コンテンツ配信の市場や、動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有は成長基調にあると認識しております。こうした環境下においては、導入顧客の動画利用を促進する知識や情報を提供し、利用実績を積み重ねることで目的達成への効果を実感頂き、取引規模を順次拡大していくことが重要であると判断しております。この方針の達成状況を判断するために重視している指標は、特に継続的売上と利益が期待できる配信系のプラットフォーム売上高や取引先数(サービスによっては同一企業に複数アカウントを発行する場合もあるため、アカウント数)、既存取引先の維持率、また新規の取引先獲得数であります。また、構築した配信基盤を利用して、こうした顧客に適切なサービスを提供して利益を上げられているかの目安として、営業利益率を重要な指標としております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、以下の点を重要な課題として掲げております。これらの重要課題への対応策を具体的な施策に反映させ、業容拡大や会社の健全な運営、社会貢献に努めてまいります。
<配信能力、サービス提供にかかる課題>
・医薬企業関連のウェブ講演会のオプションメニューの充実や、データ分析等のデジタルマーケティング・プロモーション領域における専門組織やサービス、ソリューションの確立
・主力サービスJ-Stream Equipmediaの配信基本機能向上と、株主総会、販売促進セミナー、学会などに代表される顧客の動画利用用途夫々に特化した機能開発、動画内製支援機能の強化や有力SaaSとの連携による活用対象用途・販路の拡大
・企業自身による動画利用をサポートする、AIを活用した動画内製サービスの開発展開
・ライブ案件に関連する制作の合理化・共通化による効率向上と費用削減
・コンテンツ配信向け開発運用についてのキャパシティ増強や、双方向配信、超低遅延配信、管理制作機能、エンタメ向け販促支援ソリューション等の、メディアのニーズに対する対応
・ネットワークキャパシティの増強とトラフィック原価削減、監視体制、耐障害性の充実
・通信量の増加へ対応するネットワーク制御技術開発
・映像制作表現やクオリティの向上、提案力の向上
<営業力強化のための課題>
・医薬企業における新しいチャネルの構築やメディア開拓を通じた販路の拡大
・一般企業のDX推進、特にイベント配信や社内コミュニケーション活性化、教育の充実といった目標達成を支援するためのプロデュース力の強化と、カスタマーサクセスに寄与する活動の強化
・一般企業向け市場における、代理店ほか各種ベンダー向けを含めた情報発信、共同提案体制の強化、導入支援等を通じた顧客開拓力の強化
・放送局を中心としたメディア事業者向け市場におけるコンテンツ配信需要や、番組供給事業者、公営競技等個別のコンテンツプロバイダの事業展開を支援し、収益機会とするための関係強化
<新しい事業領域開拓のための課題>
・M&Aを通じた新領域の開拓、海外市場向けの展開
<経営管理・財務にかかる課題>
・事業展開、M&A等を通じたROEの改善
・顧客需要動向の把握の精度向上
・適切な外注比率、外注費のコントロール
・グループ統制の更なる強化浸透
・新サービス開発・既存サービスの改善のための開発メンバーやネットワークエンジニア育成
・成果を維持しながら労働時間を短縮する手段、人材採用・維持するための多様な働き方、キャリアパスに即した研修等の能力開発等を補助するシステムの安定した運用
・テレワーク環境に適応した、AI、RPA等も活用した業務のシステム化と合理化
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