IPSホールディングス
【東証スタンダード:4335】「情報・通信業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、
① SAP ERPの導入支援を通じてお客様の経営革新、ビジネス革新を支援すること。
② 導入品質、コスト、納期(以下QCDと呼ぶ)及び顧客に対する付加価値の醸成を顧客満足の4大要素と考えて、それらをより高次元に引き上げて提供すること。
③ 陳腐化した技術、付加価値の低いサービスを廉価に提供するのではなく、先進的な技術を背景に、当社にしか出来ないサービスを追求し提供することにより、高い収益性を得ること。
④ ビジネスにおいてお客様に上記のサービスを提供することと共に、新しい技術の習得や開発、従来の技術の研鑚、製品開発や標準化、教育等の研究開発が極めて重要であり、全社を挙げてこれらに取り組むこと。
以上を基本方針としております。
当社グループの経営理念は、
“お客様の驚きと満足、当社社員並びに株主の皆様の喜びを実現すること”であります。
当社グループが提供する新しい技術やサービスによってお客様がビジネスにおいて新たな成果を得ることで、お客様に驚きや満足を感じて頂き、また、同時にそれらを達成することを通して、全社員が目標達成や自己の成長の喜びを感じ、結果として社員並びに株主の皆様と利益配分の喜びを共有することであります。
これらを念頭に、創業以来SAP ERPを導入販売することを通して、お客様が市場環境において迫られている経営革新、ビジネス革新を情報システムの面から支援すること、その為に技術、品質、納期、コスト、利益を徹底して追求し、最大のサービスを顧客に提供することに邁進しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、着実な健全経営を主眼としており、経営指標としては売上高経常利益率、自己資本比率を重視しております。具体的な達成目標値は定めておりませんが、売上高経常利益率で15~20%、自己資本比率で70%を基準として運営しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの基幹ビジネスであるSAPビジネスは現在堅調であります。お客様である企業においては、厳しさを増す市場環境や技術革新、働き方改革を背景に、今後より一層の生産性向上が求められます。従って、企業にとってERPは益々重要・不可欠な存在となり、SAP市場も中長期にわたり堅調に推移すると思われます。しかしながら、企業の競争環境の変化やIT技術の変化に応じて、企業のニーズはより高度かつ多様に変化していくことが想定されます。
そこで当社グループは以下の二つの取り組みを推進しております。
① デリバリー体制及び製品開発体制の強化
2024年度から150人体制へと体制増強を進めると共に組織改革を推進し、デリバリー体制の強化を図ると同時にサービスや製品の開発・改善を行う体制の強化を図ることで、QCDの一層の向上に努め、新たな技術への対応を進めます。
② 新しい技術の研究開発の推進
RPAやAI、IoTは新たなビジネスチャンスを生み、今後10年が普及期となり、より大きな市場になると想定しています。そこでこれらの分野の研究開発に取り組み、利用技術やソリューションを開発し、実ビジネスを確立すると共に、上記SAPビジネスと連携することで相乗効果を狙ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(3)に記載の経営の基本方針及び中長期的な会社の経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
数年前よりERPシステムのパブリッククラウド化とデジタル・トランスフォーメーション(以下DX)が市場トレンドになると述べて参りました。そして、それぞれに求められる課題について取り組んで参りました。このトレンドは大きくは変化しておりませんが、それぞれの領域において、フェーズの変化や新たな技術の台頭が起こっております。SAP市場においては、パブリッククラウドの販売が主軸に変化し普及期に入って参りました。また、DXにおいても、そのツールとして生成AIが台頭してきており、スタッフ業務の自動化に向けて、先行する数社が試行を開始しております。このような変化に応じて、当社が対処すべき課題も目標や内容を最適化しております。
① SAPパブリッククラウドへの対応の強化
現在、SAP市場においてはほとんどの新規顧客はパブリッククラウドであるAP S/4HANA Cloud Public Editionの採用を開始しております。この領域において対処すべき課題は以下の三点です。
(ア)Fit To Standardの為の導入方法論とサービスの開発
パブリック・クラウドサービスにおいては、従来のSAPと一線を画して、完全にSAPの標準機能に合わせた業務手順の変更が求められます。SAPに合わせて業務設計を行い業務手順を変更する、あるいはSAPに合わせる為に補完する業務手順の設計と実現が必要になります。よって、より顧客業務側に踏み込んだコンサルティングサービスの提供やソリューションが必要になり、その開発に取り組んで参ります。
(イ)開発環境の変化への追随
パブリッククラウドでは従来のSAPと全く異なる開発環境が提供され、そこでしか拡張開発と呼ばれる顧客業務に合わせ得た業務機能を実現するプログラムの開発が出来ません。その開発環境における開発技術の習得とそれに合わせた拡張開発プログラムの製品化に取り組んで参ります。
(ウ)顧客のIT活用技術の育成
パブリッククラウドの有効活用は“導入”の一時点だけでなく、継続して顧客に求められる課題です。従って、顧客の中にIT活用力を育成して確立する必要があります。しかしながら国内中堅・準大手企業では内部にIT人材をほとんど抱えていません。顧客企業内部におけるIT人材の育成と確立、これに向けてのサービスの開発と提供に取り組んで参ります。
以上の課題はこれまでと変化はありません。当社は競合他社に先んじて取り組みを開始しておりましたので、既に優位なポジショニングを獲得しております。今後は“圧倒的な競争力の獲得”を目標に、引き続き取り組んで参ります。
② DXによる真の効率化の実現と生成AIの実践活用
DX流行りの昨今ですが、新しい技術を適用した効率化やコストダウンの取り組みは良く見られますが、個別業務に対する取り組みがほとんどです。DXと呼ばれるに相応しい企業全体、経営そのものにインパクトがあるような取り組みは極わずかです。企業内部にはITを活用して企業変革・改革を実現することを推進する人材も方法論も無く、同様にそのようなサポートを行えるITコンサルティングファームもほとんどいないことが実態です。DXのみでなくERP導入効果を創出していく為にも、企業内部でITを活用した変革を推進することが不可欠です。そのような本質的な顧客価値の創出に向けて、サービスの開発に取り組んでいく所存です。
その一つとして、生成AIを活用した業務の自動化の試行と実践に取り組んで参ります。生成AIを基幹業務に適用し、本格的な業務の自動化を図る取り組みはまだ始まったばかりです。その技術を確立している企業は未だなく、当社も先行優位を確立すべく取り組みを開始します。
③ 人材開発育成
IT市場は恒常的に人材難に喘いでいます。今や市場に人材を求めてもそこで需要を満たすことは困難であることがここ何年もの実態です。そこで、海外の人材を活用すると共に、改めて、新卒採用を中心に人材の育成に努め、企業に対する十分なロイヤリティーを獲得すべく従業員満足度を高めていくことで充実した体制を構築していくことを本筋として取り組んで参ります。
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