INCLUSIVE
【東証グロース:7078】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針について
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」を企業ビジョンとして掲げ、メディア領域、ブランドコンサルティング領域、食関連領域、宇宙関連領域において事業を展開してまいりました。各事業会社が迅速かつ柔軟な事業展開に取り組み、これまで培ってきたメディアマーケティング領域を活かしつつ、更なる事業拡大と企業価値向上を実現させることが重要課題と捉えております。そのうえで、市場環境の変化に迅速に対応し、グループ経営の強化、人的資本や経営資源の効率化を進め、既存事業に囚われない新規事業の創出を加速し、INCLUSIVEグループ全体における事業領域の拡大をいち早く実現するため、2025年10月1日付で当社グループは持株会社体制へ移行いたします。
持株会社体制への移行後は、子会社である各事業会社はそれぞれの領域において柔軟かつ迅速な経営判断のもと事業を展開してまいります。それに伴い、これまでのメディア・コンテンツを主軸とする事業から地域観光資源開発・地域レガシー産業のDXや高付加価値化などの地域創生事業への転換を進め、地域創生を基軸とした新規事業の創出と事業領域の拡大に努め、INCLUSIVEグループ全体の企業価値向上を目指してまいります。
当連結会計年度において当社グループは、メディア&コンテンツ事業、企画&プロデュース事業、食関連事業、その他事業の4セグメントにおいて事業展開をおこなっております。
メディア&コンテンツ事業
メディア&コンテンツ事業は、メディア、ニュースレターなど多岐に渡る情報発信フォーマットを通して、インターネット上でユーザーを集客し、広告による法人クライアントからの収益獲得、もしくは個人ユーザーに対するコンテンツ・サービス販売による課金を行う事業領域です。
当該事業領域においては、短期的には、案件ごとの利益率向上を重要指標と捉え、既存・新規を問わず取引先との関係強化と並行して当社の強みを発揮できる案件の選択と集中を推進してまいります。中長期的には、グループ会社との連携により、内製化傾向の強い事業会社のデジタルマーケティングの領域において、事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援、コンサルティングとともに運営メディアの獲得と広告関連サービスのアップセルとクロスセルに注力しております。それらを踏まえ、メディア収益化支援、事業コンサルティングを重点活動領域と設定しております。
企画&プロデュース事業
企画&プロデュース事業は、事業会社および自治体ほか各種団体向けブランドコンサルティングやプロデュース、地域資源を有効活用する地域創生事業を展開しております。
当該事業領域においては、ブランディング支援や企業向けPRコンサルティングサービスなど、既存取引先との関係強化を推進し新たな案件獲得を強化するとともに、地域ブランドを発掘し、埋もれていた地域資源の価値を創出する地域創生事業に注力しております。今後は日本政府の掲げる「観光立国推進計画」の実現に向け、インバウンド旅行者へのリピーター施策や国内観光産業への需要が高まると想定され、観光拠点や既存施設のリブランディングや地域発のテックベンチャーに対するブランディング支援やデジタルマーケティングの展開など、観光と地域産業の活性化に貢献するプロジェクトへの取り組みを進めております。
食関連事業
食関連事業は、当社グループの株式会社下鴨茶寮の持つ安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤として、インバウンド需要を満たす京都・東京の店舗運営と料亭ブランドを基軸にしたデパ地下店舗運営、EC事業などに取り組んでおります。
当該事業領域においては、自社製造体制のもと、大幅な円安を背景としたインバウンド消費を見越し、新商品の開発を進めるとともに国内リアル店舗での高単価高付加価値サービスの提供に注力しております。EC事業においては、京都老舗料亭のブランド力を軸とした商品開発とグループ連携を意識した販促力の強化、ならびに自治体や地域生産者などとの話題性のあるコラボレーション施策を推進しております。中長期的には、下鴨茶寮のブランド力を強化し、EC事業の海外展開など、新たなサービス開発等を進める方針です。
宇宙事業をはじめとしたその他新規事業
宇宙関連領域においては、子会社であるLAND INSIGHT株式会社の事業展開を強化します。特に衛星データの利活用分野において、新たな事業の展開とサービス開発に注力しております。農業、インフラ、防災、環境管理など多岐にわたる分野での応用可能性が広がる中、衛星データを利活用したソリューションは、地域課題の解決や行政の効率化に大きく寄与する重要な技術基盤となりつつあります。当社では、この成長領域においてリーディングポジションを確立すべく、技術開発・パートナーシップ・政策連携の各面から積極的な取り組みを進めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、収益規模を持続的に拡大させていくことと、効果的なリソース配分がなされている事の両面を担保していく観点から、売上高ならびに営業利益を重視しております。また、今後の成長に向けた新規サービス等の開発投資が重要との認識から調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費及びのれん償却費+株式報酬費用+寄付金)についても、当社グループの経常的な事業収益力を測る指標として重視しております。
(3)経営環境について
当連結会計年度におけるわが国の経済は、日経平均株価の史上最高値を更新するなど好調な企業業績に支えられ、総じて回復基調を維持しております。また、春闘賃上げや政府日銀によるマイナス金利政策の終了といったデフレ脱却に向けた兆しも見られています。しかしながら、米国の政権交代後の通商政策の行方や中東・東アジアの地政学的リスクの高まりなど不確定要素も多く、今後もわが国経済の先行きには警戒が必要な状況が続いております。
当社グループは、ネットメディア収益化およびネット広告などのメディア&コンテンツ領域、企画&プロデュース領域、食関連領域、宇宙関連事業領域など複数領域での事業展開に取り組んでおります。
メディア&コンテンツ領域においては、国内のインターネット広告費が日本の総広告費の47.6%を占め、そのうちインターネット広告媒体費がSNSや動画広告の伸びとともに前年比110.2%の2兆9,611億円と高い成長率で推移しており(「2024年 日本の広告費」株式会社電通)、社会のデジタル化を背景に堅調に成長を続けております。
食関連事業領域においては、インバウンド需要の好調が続いており、2024年(暦年)における下鴨茶寮の出店場所である京都府及び東京都の旅行消費額は、それぞれ5,458億円及び28,701億円(国土交通省観光庁「訪日外国人消費動向調査:都道府県別集計」)と国内でも需要が集中するエリアになっております。
企画&プロデュース領域においては、政府が掲げる「観光立国推進計画」の実現に向けて、インバウンド旅行者の消費拡大や再来訪の促進、観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化など、さまざまな取り組みが進められています。当社グループでは、地域観光拠点のリブランディングや施設整備をはじめ、地域発のテックベンチャーに対するブランディング支援やデジタルマーケティングの展開など、観光と地域産業の活性化に貢献するプロジェクトを手がけています。
宇宙関連事業領域においては、政府が推進するアナログ規制撤廃の流れを受け、衛星データを活用した業務効率化および省人化など地方自治体の農業行政におけるDXを推進し、地域課題の解決支援に積極的に取り組んでおります。
(4)対処すべき課題
①業界動向について
個人および法人のインターネット活用の場面が拡大したことに伴い、インターネット広告市場も拡大しております。しかし、インターネット広告業界は、広告領域の他の事業同様に景気変動の影響を直接的に受ける性格を有しております。そのため当社は、新たな業界動向を察知し、外部環境の変化に対応できる臨機応変な組織構築を行ってまいります。具体的には、直近においては生成系AIの社会全般に対する普及を見越し、AIを活用した新たなコンテンツ生成体制の構築やIPビジネスを展開するなど、拡大する新しい事業領域に対して付加価値を提供するサービスを企画・開発していく方針です。
また、インターネット広告業界の中で、予約型広告の市場成長をしのぐスピードで運用型広告市場の成長が顕著となっております。かかる事業環境の中、当社は2024年8月1日付で子会社であるData Tailor株式会社を吸収合併し、事業を集約することで経営資源の適正化を図りました。今後は、広告枠の効果的な配置による収益機会最大化と、収益性の高いメディアの制作・運用ノウハウの強化や改善を行っていく方針です。
②競合環境の変化について
当社収益の大半は、広告主によるインターネット媒体出稿費用に直接あるいは間接的に依存する比率が高いのが現状です。昨今のインターネットメディアの増加により、メディア間での競合が激化し当社の広告受注単価あるいは受注数に影響が出る場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、継続した広告メニューの改善・開発を、広告主や媒体社との意見交換を頻繁に実施しつつ継続していくとともに、サービス間で連携しSNSやオウンドメディアの運用、コンテンツマーケティングやEC関連ソリューションの提供など、広告獲得以外の価値をクライアントに提供する活動にも注力してまいります。
③ブランドセーフティへの対応について
インターネット広告を行う際には、数多くの広告配信ネットワークやメディアから広告が配信される事から、適切なコントロールがなされていない場合、広告主が表示を想定していない、コンテンツの質が低いメディアに広告が表示される可能性があります。かかる事象が発生することで、広告を実施したことによって広告主のブランド毀損が発生する可能性があるため、このようなブランド価値毀損が発生しうる広告掲載を防止する、ブランドセーフティが意識されるようになってきており、広告主が不適切な広告媒体を避け、アドネットワークを配信ネットワークとしての質に注目し選別するなどの動きが注目されつつあります。その中で、当社グループはコンテンツ制作体制を強化し、コンテンツに対する社内レビュー体制の強化や、専門家の監修強化を通して、コンテンツの質向上に取り組んでいます。
④特定の経営陣への依存緩和について
当社グループの代表取締役社長である藤田誠は、2007年の創業以来当社の代表を務めております。同氏は、インターネットサービス事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、当社の事業戦略の決定に重要な役割を果たしております。当社では、取締役会や、事業運営に必要な定例会議の実施を通した情報共有や幹部の育成、組織の強化を行う事や、適宜権限の委譲を行っていく事で、同氏に過度に依存する体制を緩和していく方針です。
⑤内部管理体制について
当社グループは現在、成長段階であり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であります。そのため、当社グループは経営の公正性・透明性を確保するための更なる内部管理体制強化に取り組んでおり、従前より実施している定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の更なる強化などを行っていく方針です。
⑥人材の確保及び育成について
当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人材の確保が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人材や、コンテンツ制作のスキルを有する人材の確保に努めるとともに、人事・教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。
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